東方紫幻郷   作:ジャオーン

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十五.食料こそが最良の対価

「あら……おかえり」

 

「……ん。ただいま」

 

 

私が藍様の案内を終えて博麗神社へと帰ってくると、何時ものように縁側で茶を啜っていた霊夢が迎えてくれた。

私はちょうど三日ぶりに帰ってきたこになる。

自分ではそこまで日数をかけた記憶はないのだが、如何せん気を失っていた時間が長った為に気が付けば三日という日数が経ってしまっていたようだった。

 

 

「まったく……三日も無断外泊なんてするんじゃないわよ」

 

 

そして三日ぶりに博麗神社の空気を吸っていた私に霊夢が呆れたように言ってきた。

 

 

「……ん。ごめん。心配……かけた?」

 

「違うわよ。あんたが居ないと自分で家事をしなければいけないじゃない」

 

 

それが当たり前のように彼女はそう言いのけた。

そうだった。彼女はそういう人であった。

変わらず揺らがず何者にもとらわれずそこにあり続ける。

私は霊夢が心配で心を乱すといったところを想像すら出来ない。

 

 

「あは――。でも、私が来る前は自分でしてた……でしょ?」

 

「ふん。人間はね一度でも楽を覚えるとそれが自分のなかで基準となるのよ」

 

 

されど霊夢は無感情の人間ではない。

その根底にはきちんと人間としての感情を持ち合わせている。

楽しむときには楽しみ、嬉しい時には感情のままに喜ぶ人間だ。

そしてきっと……悲しいときには涙を流すときもあるだろう。

ゆえに彼女は嘗ての私がそうであったような道具であらず人間である。

 

けれど彼女は不偏。変わらず揺らがず偏らず博麗霊夢として誰よりも真っ直ぐにあり続けている。

博麗の巫女という幻想郷において最も重要であるとすら言ってもかまわない役職を担っているというのに。

彼女変わらない。

 

そんなものでは彼女を縛ることは出来はしない。

だから私はそんな霊夢にある種において憧れにも似た思いを抱く。

人には重すぎる役職を担おうともそんなもので揺るがない彼女に。

人を超越し妖怪に匹敵するほどの力を持ち得るのに紛れも無いほどに人間である霊夢に。

紫様に対する憧れとは違うけれど、それでも確かに霊夢もまた私にとって学ぶべきことの多い人間であると――そう思っている。

 

 

「……分かった。なら今日は頑張ってご飯作るね。だから……少し待ってて?」

 

「…………そう。なら期待して待っていることにするわ」

 

 

そう言うと後はこちらへ目線を向けることも無く、ただ手に持つお茶を啜りながらに縁側に座り続ける……そんな姿に。

泰然自若としならがらも、その姿があまりにも似合っているからこそ、彼女はこうして博麗の巫女としてありながらもなお、自分を見失わずにそこに居るのだろうと思えるからこそ。

私はそんな霊夢の姿をしばしの間見つめた後に食事の準備にかかろうとしたところで……。

あることに気が付いてしまったが為に、再び霊夢の方を振り返り彼女へ向けて声をかけた。

 

 

「…………霊夢。天気の良い日はお布団は外に干してって……言ったよ?」

 

「……いやよ面倒くさい。それにそれは琥珀の仕事でしょう」

 

「……なら、今から干してくる」

 

「ダメよ。その前に食事の準備を先にしなさいよ。私はお腹が空いたのよ」

 

 

今までも何度かあった、霊夢とのちょっとしたやりとりが。

何時の間にかそれが日常になりつつあるのだと自覚しながらに。

とりあえず、先にお布団を干してしまおうと想いながらに、今日の食事は何にしようかなんて考えていたのだった。

 

 

ふむ……今日のお昼ご飯は霊夢の為に少しだけ豪華にする為にも使える食材はできるだけ使うつもりでいる。

 

まずはレミリアの所に行く前に造っておいて鶏肉の燻製を使うことにする。

鶏肉と言っても鶏では無くキジ肉である。

山で食材を探しているときに偶然見つけたこの鳥を、運良く狩れたからである。

 

鶏よりもなお、甘味が強く風味もあるこの肉は本来は鍋で煮ることで良いダシとなるからこそ、本来はキジ鍋として食べるのが良いのだけれど、今回は保存まで考えて燻製にしたのだった。

 

あぁ……そういえば。

燻製をしようと思い、燻製用の木材と燻製に使う場所が無いかと霊夢に聞いたところ、全く理解されなかった。

つまり、燻製という調理法自体がこの幻想郷には存在していなかったのだ。

 

確か……私の知識によると燻製という技術自体は江戸時代にはあったはずだけれど。

だからこの幻想郷にあっても可笑しくは無いはずなのだが……と、そこまで思ったところで。

 

そういえば、日本の燻製はそも鰹の燻製から始まり基本が海産物に対するモノが主であったらしい。

だからこそ幻想郷においてはその源泉となる海が無いからこそ燻製技術が無いのもそれが原因か。

 

あるいは……この幻想郷における食料の扱いそのものによるものか。

そも、幻想郷における食料自給率は決して低くない。

人里の話を聞き、市場に並ぶ食材を見れば、よっぽどのことが無ければ食材が無くなり餓えるということは無いのが分かる。

 

それも、幻想郷において人里を一歩出れば何時命を失ってもおかしくないほどに危険であるけれど。

しかし逆に言えば、人里に居れば絶対に安全なのだ。

だからこそ人々は人里の中で食材を造り、そしてそれを全て人里の中で消費する。

 

燻製というものは、現代においては嗜好品という位置づけにあるが、その始まりは保存食としての歴史がある。

港町から内陸に輸出する為の技術であったり、旅や戦争などにおいて長期間において食料を保存する為に培われてきたものだからこそ、今日食べるモノは今日買ってくれば良いというこの世界においては、あまり意味を為さないものだからこそ、燻製が無かった……と考えることもできる。

 

だけど――まぁ、幻想郷においてそんな本来あるべき歴史の積み重ねからの推測はあまり意味をなさないのだけれど。

なぜならば、この世界における技術はあまりにチグハグだから。

いえ、技術に限らず様々なモノに統一性が存在しない。

江戸時代どころか、それよりも遥かに古い風習や技術が多々あるかと思えば、近代どころか現代にすら匹敵するような技術や食べ物……その他多くのモノが散乱していたりする。

それに文化もまた然り。東洋の世界において忽然と西洋文化が入り込んでいたりするのだ。

 

だからこそ、この世界において技術の有無、文化の成り立ちを推測することはあまり意味をなさない。

そこに有るからこそ有る。無いのならば無い。

ただそれだけのことだけれど……。

 

 

あぁ……。

燻製肉を捌いていたら、いつの間にか思考が横にずれていた。

とにかく私はキジ肉を燻製にしたのだ。

自身で桜の木を削り、燻製箱を造り、凄く簡易的なモノであったけれど、お手製の燻製道具を造りキジ肉の燻製に成功したのだった。

まぁ、その時に霊夢には大変驚かれたのは余談であるけれど。

 

 

そうして作ったキジ肉に最後の味付けを終え、蓄えておいた山菜を盛り付ける。

それに同時に造っておいた味噌汁も用意して……。

後は……あぁご飯。ご飯だ。

キジ肉にはやはりご飯は必要不可欠だ。

 

うん……良し。上手く炊けている。

 

ご飯を釜からお椀に盛って。

最後に漬物を添えれば。

 

 

「うん……。良い感じ」

 

 

味見をしたが悪くない。

これならきっと霊夢も満足してくれるだろう。

そう、私が思ったところで。

 

 

「あら……。やっとできたのかしら?」

 

 

ちょうどタイミング良く――。あるいは、出来上がったモノの匂いに惹かれて、霊夢がやってきた。

 

 

「うん……。盛り付けたから。持っていくの手伝って?」

 

「はいはい。あら……良い香りね」

 

 

そんな会話をしながらに全ての料理を運び終えると。

二人で手を合わせて食べ始める。

 

料理の感想は……聞かずともわかるほどであった。

霊夢は食べ始めてからは、途中に一言も話すことなく最後まで食べ切ってしまったのだから。

 

 

「美味しかった?」

 

「えぇ。特に雉肉の……燻製だっけ? 初めはわざわざ炙る意味なんて分からなかったけれど、こうやって食べてみると悪くないわね」

 

「そう……良かった」

 

「また期待しているわ」

 

「……ん。頑張る」

 

 

結果として、量としては軽く四人前はあるであろうそれを霊夢はほぼ一人で平らげてしまった。

小柄と言っても良い彼女の体の何処にそれほど入るのかと疑問に思うのだが、とりあえずはこれでだけの量をもってやっと彼女は満足して貰えたようだ。

 

最後に食後のお茶を用意する。

そうして、居間で寛いでいる彼女を見つめ、十分に和んでいるであろうタイミングを見計らって私はついに一つのお願いをする為に口を開いたのだった。

 

 

「霊夢……。一つお願いがある」

 

「何かしらー?」

 

 

普段であればお願いという言葉を聞いただけで、面倒くさがりの霊夢ならば一蹴してしまうかもしれないけれど。

今は食事の後というこもありこちらに対して好意的だ。

そも、私がわざわざ気合いをいれて料理に手を入れたのも、無断で何日も神社を離れていたという詫びるという意味も確かにあったけれど。

それよりも、こうして一つのお願いをする為の意味合いのほうが強かったのだから。

 

 

「私に弾幕ごっこを……教えて欲しい」

 

「…………え? 弾幕ごっこ?」

 

「……ん。そう。まだ私の望むもの造りあげられなかったから。だから……弾幕ごっこの練習に付き合って欲しい」

 

 

弾幕ごっこ。

それはこの幻想郷においてのみ行われる決闘方法。

妖怪と人が対等の舞台で戦い合える妖力、神力、魔力、そして霊力によって造り上げる弾幕を撃ち合う戦闘方法。

いえ、あれは正確には戦いというものではなく。

自身の想いの具現化。

幻想の発露とも言えるソレ。

 

美しく――より美しく造りあげる幻想風景。

それをもって互いに競いある決闘方法が弾幕ごっこなのだと理解したからこそ。

私は霊力をもってそれを造りあげようとしてきた。

初めて見た光景を私が憧れたあの幻想的な光景に――私は私がもつ霊力をもって至ろうととしたのだけれど。

けれど、それは間違っていたのだと……レミリアとの弾幕ごっこを経て私はそう思ったのだった。

 

そもそも根底の方法からして間違っていたかのように。

人が持つ霊力を持ってそこに至ろうとすること自体が不可能であったかのように思えたからこそ

もっと別の。私の中に感じた根底から異なる幻想を……。

 

 

確かに、ただ弾幕ごっこに勝つだけならば、そのようなあやふやなモノに頼ることもなく。

より明確に操ることのできる、霊力を練り上げることに注力すべきなのかもしれないけれど。

だがそれでは駄目なのだ。

 

私は誓ったのだから。

紫様に。自らが望む世界に至ったみせると。

ならばいつまでも停滞などしていられない。

 

 

美しく――。より美しく。見るものを魅了しうる幻想的な風景の具現化こそが目標であるのだから。

霊力による弾幕の構築を行うのではなく……。

もっと別の……。あの時、レミリアとの戦いの最中に確かに私のうちに感じたソレを。

霊力が枯渇し、意識が朦朧とした中で感じた私のうちにある幻想。

その発露こそを目指すべきなのだと、そう思っただった。

 

 

 

けれど今の自分ではそれをどうすれば良いのかが分からなかった。

あの時、確かに感じたソレも。

けれど今はもっと奥底に眠ってしまったかのように感じるからこそ。

だからこそ、私はそれをもう一度感じる為に。

弾幕ごっこを繰り広げたいと思ったのだった。

 

 

 

 

そして、此処に居るのは博麗霊夢。

ことその弾幕ごっこに関しては誰よりも詳しいであろう少女。

ゆえに私は彼女に頭を下げてお願いをしたのだったが……。

 

 

「いやよ。面倒くさい」

 

 

取り付く島もなく断られてしまった。

やはり――ダメか。

あの程度の料理ではまだ彼女を動かすには足りなかったらしい。

 

だけど……ええそうでしょうとも。

だって彼女は霊夢なのだから。

誰よりも怠惰であろうとする彼女が簡単に私の願いを聞いてくれるなどそもそも思っていない。

 

ゆえにこちらも無策で挑もうなど思わずに。

まだまだ私の策は二重になって存在する。

 

こういうこともあろうかと……なんて。

すでに仕込みは十全に終えている。

後はこの手札をもってあちらでだらしなく横たわりなだがお茶を飲む彼女を陥落してしまえば良いのだから。

 

 

「あは――。もちろん、ただでして貰おうなんて思ってない……よ?」

 

 

そう言いながら私の前に一つのお皿を差し出す。

その上にふよんと揺れ動く黄色い食べ物を乗せながら。

 

 

「…………それは?」

 

 

そしてそれまでこちらに視線すら見せなかった霊夢が興味を示した。

ふふ。私は知っているのだから。

霊夢ならば必ずそれに興味を示すだろうと言うことを。

だって彼女はこう見えても甘いものが大好きだというこを今までの食事から知っているから。

 

 

「ババロアという――いえ、この場合はプリン……かな? とにかくそういうデザート……だよ。幻想郷だと珍しいと思うけど?」

 

 

料理や裁縫といったものはあの屋敷に居た頃に、全てを自分たちでこなさなければならなかったからこそ覚えさせられたものであった。

そしてあの男はとりわけ甘いモノを好んで食べていたからこそ、私達にもそれを造るようによく命じていた。

別にあの男に感謝などしはしなくが、それでもあの時の経験からこうしてお菓子を含む料理の腕が身に付いたというべきなのは確かなのだけれど。

 

そうして、私の中にある知識から。

何か合った時に役に立つだろうと思い造ろうと思っていたのがデザードであった。

この幻想郷は、和菓子の方は豊富……というほではないが、それでも十分な数のそれが確かに人里では造られていたのだけれど、洋菓子のほうはやはり数が少なかった。

 

 

だからこそ、こうして自分で作ろうかと思いたったのだけれど。

やはり材料と器具の確保が難しかった。

特に器具の方は致命的なまでに足りなかったからこそ――というよりも現代技術の恩恵がいかに大きかったかを自覚させられたのだが。

だからこそ、出来るだけ器具を要しないモノを考えたうで作りあげたのがこれであった。

 

卵と牛乳による氷菓子。

人里では、畜産自体は行われていたために牛乳と卵はすぐに手に入ったが為に、初めはババロアを造ろうと思ったのだったけれど。

しかしここで問題になったのが肝心のゼラチンが幻想郷では手にはいなかったのだ。

確かゼラチン自体は古代から日本においても膠として使われていたはずなのだけれど。

けれど食用に使えるゼラチンは、幻想郷には存在していなかった。

 

だからこそ、初めはそれの作成を諦めようかと思ったのだったのけれど。

しかし記憶の奥底に眠っていた知識に――確か熟したバナナか柿を入れれば十分に固まったはずというというものが残っていたからこそ。

 

試しに熟したバナナを使って作ってみることにしたのだった。

本当はミキサーがあれば良かったのだけれど、無い以上は仕方がないので弱く熱しながらに卵と牛乳を合わせながらに手作業で溶かしていき、最後はそれを型にいれ冷やし固めたのだった。

幸い氷だけは一年中手に入るのが、幻想郷であるから冷やすことには困らなかった。

 

そうして出来たのがこれであった。

 

 

「ええ…………初めて見るわね」

 

「……ん。一口食べてみる?」

 

 

 

そう言いながら私は用意しておいたスプーンでプリンの端を一口掬い彼女の口元へと持っていく。

霊夢は一瞬臭いを嗅いだのちに問題ないと判断したのかそのままスプーンごとプリンを口に含め。

そのままプリンを喉へと飲み込んでいった。

 

そして――――。

その瞬間の霊夢さんの表情を見て――――。

私は勝ったと思った。

 

 

「どう……?」

 

「……………………………………美味しいわ」

 

 

私の問いに長い沈黙の果てに霊夢さんは未だスプーンを咥えたままそう言ったのだった。

 

 

「あは。もっといる?」

 

 

そして私がそう笑顔でそう話しかけると霊夢は一瞬苦虫を噛み潰したような表情をするも、未だ悩むようにこちらとプリンへと目線を行き来させている。

どうやら未だ私に弾幕ごっこを教える労力とプリンを取るかで悩んでいるようだ。

 

だけど――既に貴方はこちらの術中にあるのよ霊夢。

そもそも私の策は二段構えに出来ているのだから。

 

 

「ちなみにこれはまだ試作品。今回は時間と材料が足りなかったから造らなかったけど……。本当はこの上にカスタードクリーム――牛乳と砂糖を混ぜ合わせて作った甘いクリームを載せると完成……だよ?」

 

 

私は出来る限りの笑みを浮かべながらそう霊夢に話し続ける。

自分の中で理想とする笑み。

 

紫様が普段浮かべていらっしゃる笑みを思い浮かべ出来るだけ真似をしながら。

 

私は霊夢さんに笑いかける。

すると彼女は未だに私が右手に持っているスプーンを咥え続けたままにウ~とやや可愛らしい唸り声を上げながらこちらを睨みつけられてしまった。

 

 

「砂糖は……少し高かったけど人里にも売っていたから、手に入れようと思えば手に入れらえたよ。残りの材料は既に確保してあるから……。だから後はそれらを混ぜ合わせ冷やす工程さえ間違わなければ、問題なくできるから……。そうしてできたクリームをプリンに載せれば完成。カスタードプリンになるよ。……欲しい?」

 

 

私はニコニコと笑いかけながら話し続けた後で霊夢の口からスプーンを抜き取るともう一口プリンを掬い取り彼女の口元へと運んでいく。

そして霊夢もまた何も言わずもう一度それを咥え込む。

私は霊夢さんがプリンを飲み込んだの確認すると最後の一手であろう言葉を彼女にかけていく。

 

 

「でも、その造る工程が少し思いだせなくて……。きっとそれを思い出せないと失敗してしまうと、思うんだけどね。でも、もう少しで思い出せそう……なんだけど。だから、もしかしたら――そう、もしかしたらだけど――」

 

 

――弾幕ごっこをしたら思い出すかもしれないの。

 

なんて――。

そんなことを私は呟きながらに。

私は左手でクスクスと笑う口元を隠しながら話しかける。

すると霊夢は遂に自身の渋面を隠すこともなくこちらを睨みつけてきた。

 

なのでそのままの姿勢で見つめ合うことととなった。

霊夢は渋面のまま。そして私はクスクスと笑いかけるままに。

そして数分が過ぎたところでやっと霊夢が折れてくれたのか表情を崩しそのまま私からスプーンとプリンを奪い取ると一気に食べてしまった。

 

 

「ああもう…………。分かったわよ。ちゃんと付き合ってあげるから。後できちんと作るように約束しなさいよ」

 

 

そして溜息をつくと、重い腰を上げるとそのまま外へと向かって歩いていく。

彼女は一度やると決めたのなら後は直にやり始めるのだ。

そんな気持ちの切り替えの早さは霊夢らしいと思う。

だからこそそんな彼女の背に向けて、私は先ほどまでの笑みとは違う。

もっと自然に浮かんでくる笑みを浮かべながらに礼を言うのだった。

 

 

「……ん。ありがとう。霊夢のそういうところが好き……だよ?」

 

「…………あんた本当に紫みたいになってきわね」

 

 

そして外へと向かっている霊夢に私の気持ちを告げると彼女は今度こそ本当に嫌そうな顔でこちらを見てきたのだった。

 

 

「あは――。それは私にとっては最高の褒め言葉だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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