龍兵衛が関東から戻り、数ヶ月が経った。
年が明けても未だに冬模様続く春日山の廊下を身を震わせながら歩いていた。
関東の改革は幸いにも身を結び、兼続が来る頃には万全の状態で引き継ぐことができた。その代わり、新年を共に迎えることが出来ずに景勝のへそを曲げることになったが、最も成すべきであったことを成したのだから、よしとしようと切り替えつつ土下座した。
北条一族の処遇も含めて比較的上手くいったため、これだけ早く帰ってこれたと反論したかった気持ちもあったが、景勝の機嫌を取ることを優先した。
今は謙信に提出するべき資料を颯馬に託し、足早に自室に戻る最中である。
珍しく仕事が少なく、後は来た仕事を受動的に片付ければ問題ない。休む暇も無かったため、座布団を並べて疲れた体を横にしてもばちは当たらないだろう。
だが、そう考えることだけでも天は黒と判断したのだろうか。
三人。
龍兵衛は小さく舌打ちすると刀を手に取り、後ろから聞こえる足音の方向に振り向く。
「どこの手の者だ?」
薄汚れた衣で顔を覆っている三人の刺客は何も言わず、着実に距離を詰めてくる。
龍兵衛は謙信や慶次のように相手の構えを見て、実力を判断できるような目は持っていない。しかし、城の奥に忍び込んできたことを考えるとかなりの手練ではないかと推測を立てることが出来る。
さらに問題なのはどうやってこの状況を切り抜けるかだ。龍兵衛も人手が多い所に後退しているが、刺客たちはそうはさせまいと刀を抜き、素早く距離を詰めてくる。
もう一振りすればそれぞれの刀の切っ先同士が届くだろうという所まで来てしまった。このところ忙殺されていたせいで全く鍛錬をしていなかったため、腕は完全になまっている。
龍兵衛は致し方ないと息を大きく吸う。
「曲者だ!」
何年ぶりに張り上げた叫び声はそれなりに城内に届いた。
「何事!?」と微かに声が聞こえてくる。
だが、同時に刺客たちをせっかちにさせてしまった。一人が一気に距離を詰めてくる。何とかかわしたが、次の者への襲撃に対応出来る時間を失った。やむを得ないと横に飛ぶようにして避ける。
素早く立ち上がるも三人が三方向から同時に襲いかかってきた。一か八かと龍兵衛は間隔が比較的空いていた右と真ん中の刺客の間を滑り込むように潜る。
三人の体勢が崩れているのを見て、味方の声が聞こえた方へと走る。
しかし、足の速さは向こうが圧倒的に上である。多少は人がいそうな所に出たが、味方の気配を感じられない。
龍兵衛は仕方ないと反転し、一人に向かって刀を突き出す。向けられた者は驚いたように足を止めたが、間に合わずに腹に致命的な傷を負った。素早く刀を引き抜き、残された二人の対処に臨む。
味方の死を全く気にしていない様子で龍兵衛に詰め寄ってくる。
万事休すかと思った矢先、茶色の物体が刺客の一人の腕を引っ張りながら目の前を通り過ぎた。驚きの余り、倒れた者を見ると三毛猫が腕に強く噛み付いている。
遅れて犬が三匹やって来て、龍兵衛を守るように刺客たちへ立ち塞がった。
「やってしまいなさい!」
角から聞こえた声を合図に二匹が残った刺客に襲いかかる。連携良く右腕と左肩に噛み付き、完全な隙を作ってくれた。龍兵衛は容赦なく胸に刀を突き立て、とどめを刺す。
生き残った一人は拘束から逃れようと暴れている。だが、戦闘を終えた二匹が加勢し、龍兵衛も刀を目の前に突き立てたため、抵抗を止めた。
結局、二人は死に、一人は怪我を負わせ、逃げられないようにした。
「資正殿、ご助力ありがとうございます」
振り返り、近付いてきた太田資正に頭を下げる。
「いえいえ、お礼などいりません。お怪我はありませんか?」
資正の問いに「大丈夫です」と手を挙げる。
「しかし、誰がこのようなことを……」
「分かりません。しかし、資正殿はよくお気付きなりましたね」
「あの子たちが教えてくれたのです。においに敏感ですから」
資正は病が癒え、犬の鍛錬を行っていた。そこで犬たちがせわしなく龍兵衛のいる方向に警戒をしていたらしい。さらに先程の声を聞いて何か起きているといつも戦場に出している三匹を向かわせた。
彼らがいなければ龍兵衛は今頃どうなっていたか分からない。御礼として撫でてやりたいが、拘束を任せているため、後日、骨付き肉でも持っていこうと決めた。
「この者は如何致しましょう?」
「こちらで適切に処理しておきます」
資正の後ろに視線をやると続々と人が駆け寄ってきている。
彼女もそれを見て分かったと頷き、犬たちを連れて戻っていった。
それから景勝を筆頭に多くの者から心配と襲撃された理由を代わる代わる問われた。結局、刺客への対応も含めて夕方まで落ち着くことは無かった。
「はぁ……」
日が完全に暮れ、ようやく解放された龍兵衛は部屋で仰向けになって疲れを取る。
このまま目を瞑っても良いが、一つだけやらなければならないことがある。
もう一度溜め息を吐き、起き上がると部屋から出る。外には護衛のために控えていた兵が三人、立っていた。一人で大丈夫だと付いてこようとする兵を無理矢理制する。景勝の厳命でしばらくは警護を付けて行動するようになった。しかし、これから向かうのはとても彼らに聞かせられるような話ではない。
普段は静かな廊下だが、昼のことがあったため、少し巡回する兵が多い。龍兵衛を見て、声をかけてくる者もいたが、断りつつ城の奥へと進む。目的の部屋は襖が閉じられている。だが、中に人がいる気配はあった。
「本庄殿、今よろしいでしょうか?」
「どうぞ」
小さく息を吐くと襖を開く。
実乃は龍兵衛の姿を認めると穏やかな笑みを浮かべ、座る場へと促してくれた。いつもの白を基調にした着物に薄い水色の羽織をしている。
「夜分の仕事中に申し訳ございません」
「いいのよ。せっかく貴方から来てくれたのだし」
相変わらず胡散臭い台詞を言いながら今度は妖艶な笑みを浮かべてくる。
このまま相手の雰囲気に呑まれるわけにもいかないため、さっさと本題を切り出す。
「本日、何者かの刺客に襲撃されました」
「あら。道理で騒がしかったのね」
「……どうやら、違うようですね」
「疑っていたの? 心外だわ」
わざとらしい怒りの表情を見せてくる。ここで実乃が主犯ではないと決めるのは早計だろう。彼女はこれまで偽りと誠意を兼ね合わせて上杉家中での権力を強め、適切な政治を行えるように内部を動かしてきた。
これも自身の権力を強める一つとすれば疑り深い方が良い。
「自分はこれを内部の者だと睨んでいるのですが」
「証拠はあるの?」
「確実なものはありません。ですが、自分のような者を襲うのは外からではなく、内からであれば辻褄が合うからです」
「どうしてかしら?」
「春日山から新潟ヘ本拠を移す話です」
実乃の表情が一瞬無になり、何度か頷くといつもの余裕のある笑みへと変わる。
「やはり貴方の提案だったのね」
三日前の評定で謙信が切り出した。やはり、多くの者が驚愕し、反対する者もそれなりに出た。
「内容が内容だったので、根回しをしなかったのは自分に非があります。取り下げても良いのですよ」
「だからね。違うって言ってるでしょ?」
「では……」
さらに詰問する龍兵衛だが、実乃に手で制される。表情が先程とは打って変わってかなり真剣で、怒りを含んでいる。
「その必要は無い。貴方の提案なら繋がりが出来た。それに越後と上杉のためになる」
「説明しなくても分かるのですか?」
「何年越後にいると思っているの?」
実乃は唇をつり上げる。謙信が幼い頃から家臣として師として支えてきた彼女は上杉を支える最古参である。
「なら、何故本庄殿はこのことを進言しなかったのですか?」
「私は上杉に綻びが出ないように皆を調整するのが役目。わざわざ立場を危うくするつもりはない」
「つまり、今回自分が言うのを待っていたと?」
明言せずにただ笑みを深めるだけで何も言わない。肯定しつつも口にせず、いざという時は知らん顔するつもりだ。
きりが無いと考え、本題へ戻るべきと小さく息を吐く。
「刺客については、内からの可能性が高いため、明日から調べるつもりです」
「そうね。それが良いでしょう」
「反対しないのですね」
「当たり前よ。これでも私は貴方を買っているし、感謝しているのよ?」
「感謝?」
「大熊を追い出してくれたの。一生忘れないわ」
龍兵衛の脳内で一つの歴史が思い浮かぶ。
正史では、実乃は大熊朝秀と対立し、執政の座を奪い合っていた。この世界では龍兵衛が大熊を失脚させることに加担し、その座に龍兵衛が座っている。大熊ほどの地位では無いが、官位を貰った今、正に実乃の片腕と言って良い。
本人は日々、戦々恐々としているが。
「貴方はあれと違って選り好みしない。敵味方だろうときちんと公平にかつ越後を発展させてくれている。十分、十分よ」
「何が言いたいのです?」
「貴方が私を疑うのは当然。それほど家格があるわけでも、代々仕えてきた訳でもない貴方が私のような者に嫌われやすい。だからしょうがない。颯馬のように誰からでも好かれるような愛想も性格もしていない」
語りを始め、真意を全く言おうとしない。このまま粘っても長々と関係の無い話をされるだけだ。
「いたぶるのが目的なら……」
立ち上がると同時に実乃が袖を掴み、全く目が笑っていない笑みを浮かべる。大人しくすべきと直感が働き、元いた場所に居直る。
実乃は近付いたまま、今度に満足そうに目を笑わせた。
「先に言ったように私は貴方に恩義を感じている」
「ですから?」
「刺客については、任せさない?」
「……闇に葬るおつもりですか?」
「真実は貴方に教えるわ。それでどう?」
「いいわね?」と有無を言わせない鋭い目つき。龍兵衛は反射的に首を縦に振った。
そして、後悔した。もっと確実な保証と見返りを求めれば応じてくれただろう。だが、実乃は真実を突き止め、それを教えてくれると言っていた。今はその言質だけ取れただけでも十分だろう。
「では、お言葉に甘えさせていただきます」
「そう。じゃあ、明日から取り掛かるから。どういった経緯で襲われたか教えてくれる?」
龍兵衛は頷くと襲われた時の状況を事細かに伝えた。実乃は一つ一つに頷きながら、眉間にしわを寄せながらと様々な所作を見せる。そして、一通り話し終えるといつになく真剣な表情で天井を見上げ、ゆっくりと視線を合わせてくる。
「情報をありがとう。必ず首謀者は捕まえるわ」
「あ、ありがとうございます」
少し気圧されながらも表情を変えずに感謝を伝えることが出来た。
それで話は終わりと実乃から威圧的な雰囲気が一気に消え、人差し指を立てる。
「あと、話が大きく変わるけど、近江から貴方の親戚らしき人が上杉に仕官したいと言っているのだけど」
「……自分は天涯孤独なのですが」
少し心音が大きくなる。とぼけたが、実乃には全く通用せず、嘘は駄目と首を横に振られる。
「知っているわ。まぁ、名は勝手に貴方が借りたんでしょう? 借りを返すと思って対処して」
仕官するのは確定らしい。だが、面倒を見ろとは言われていない。
「いざとなれば恩を仇で返すことも?」
「貴方の面子が潰れない程度でね」
確認が取れ、承知したと頷くと同時に安堵する。元々、官位も利用価値がある道具と見ているような龍兵衛にとって面子など、あって無いようなものだ。かえって無能な輩の後処理を任される方がずっと面倒であると考えていた。
「それより、我らの力になりそうですか?」
「穏やかそうな人柄だったし。まぁ、城代ぐらいなら出来ると思うわ」
「何という方です?」
「たしか……河田六郎だったかしら」
龍兵衛は納得したように頷く。河田重親は北条と対立と同盟の時期を巧みに生き抜き、越相同盟を取り持つなど功績を上げている。家中の対立抗争に敗れる末路があるが、その災いはすでに取り払っている。
記憶通りの実力があれば関東と越後の取次という重要な役割も任せられるだろう。
「分かりました。とりあえず、自分も会っておきます」
「助かるわ。あ、あと、もう一つね」
話は終わったと思い込み、上げかけていた腰を嫌々戻す。
「……もう。本当に良いことだから、そんな顔しないで」
「表情には出していませんが?」
「態度よ態度。まったく、自分でも分かってやってるでしょうに」
母親が子を叱るような口調で言われても全く心に響かない。これだけ不快感を与えているが、実乃は口元を手で覆いながら笑う。それを楽しむようなその態度がますます苛立ちを増長させる。
「何でしょう?」
聞くと姿勢で示すと実乃は嬉しそうに笑みを浮かべる。
龍兵衛は心中で、先程の刺客の件で感謝した思いを返してくれと叫んだ。
「越前の情勢は聞いている?」
「ええ。一向宗の反抗が未だに続いているとか」
龍兵衛の考えた戦略によって斎藤率いる越前攻略隊は無事に織田を追い出し、越前を攻略した。だが、それで終わりでは無かった。
織田によって殲滅されたはずの一向一揆がまた蜂起し、軍を分断せんと動き始めた。この動きは誰も予想しておらず、上杉軍は対応できずに防衛線の形成に各地で失敗しており、苦戦を強いられている。
「……それで、良いこととはいったい」
「例によって貴方を糾弾する者がいるのよ」
「厄介払いをするのは自分の役目では?」
「まぁまぁ。誰も彼も切り捨てたら人がいなくなるし、そこは私が上手くやっておいたから安心して」
龍兵衛は素直に感謝しておくべきと頭を下げる。家臣の不正を監察し、実乃に報告して処分するかを決めて適切に対処するのは彼の仕事である。今回、実乃が自ら素早く対応したということは、彼女なりに貸しを作ったつもりだろう。
「では、越前への救援は自分が行いましょう」
「察しが良くて助かるわ。でも、条件付き。景勝様を連れて行ってね」
実乃が静かにこちらに近付き、耳元に口を寄せる。
「越前のほとぼりが冷めたら、謙信様は隠居されるわ」
「真ですか?」
「ええ。けど、まだ口外禁止よ。貴方にしか教えていないわ」
実乃は片目を瞑る。本性をしらない男なら理性の柱を容易く折られていただろう。龍兵衛は冷静に思慮を巡らせると先程の越前への出陣と組み合わせると彼女の真意が見えてきた。
「景勝様に武功を立てさせ、威容を示すのですね」
「頼むわね。私も頃合いを見て、身を引くつもりだから」
「……え?」
龍兵衛は呆然と実乃を見たまま固まる。だが、実乃は構わず、至って真面目に話を続ける。
「安心して、すぐじゃないわ。きちんと頃合いを見てあげる」
龍兵衛も思考まで滞ってはいない。すぐに彼女の言わんとしていることを脳内で理解し、本当なのか尋ねる。真剣な表情のまま頷く実乃の目は雪のように冷たく感じられた。釈然としない疑問さえも全て相手の中で凍らせ、口にしたことがさも当たり前だというような気にさせられる。
「分かりました。そこまで仰るのであるなら」
「ええ。悪いとは思っているわ。けど、謙信様が下がるのであれば、私もね」
「本庄殿の謙信様への忠誠、見習わなければなりません」
「大丈夫。貴方は十分、上杉に貢献してくれたわ」
目を見開き、実乃を見る。常に容赦ない対応で、龍兵衛を苦しめ、何とか対処する度に笑顔で知らん顔をされてきた。ひとえに彼女が自身を嫌い、きっかけを作り、上杉から追い出そうとしていたからだと思い続けてきた。
「試していたのよ」
「やはり」
「でも、それをはね退ける力が無ければ、駄目とも思っていたのも事実」
「嫌われていたとばかり思っていました」
実乃ははっきりと言われたのが意外だったのか、苦笑いを浮かべる。
「自覚があったから、何も言えないけど、はっきり言われると傷付くわね」
「申し訳ございません」
「感情がこもってない。意趣返しにしては、弱いわね」
もちろんわざとそうしたのだが、口元を指で押さえて笑っているのを見ると逆効果だったらしい。実乃は数秒笑うと一つ息を吐き、真剣な表情に戻る。
「貴方は見事に家中での孤立に耐え、上杉を良い方へと導いた。そして、景勝様が主として立たれる時、貴方もあの御方を支えるべき者として十分成長したわ」
表情は全く変えずに頭を下げる。手放しでそこまで褒められると彼女の掌で調子に乗ってしまいそうになる。だが、どこで掌を返されるかも分からない。
「順当にいけば、家格や実力を見て兼続が家臣を引っ張るでしょう。でも、景勝様を影で支えるのは貴方。これまで私が行ってきたことを貴方たち二人に託すつもりでいて頂戴」
「颯馬ではなくてよろしいのですか?」
「彼は謙信様と共に身を引くつもりだから。それに、彼は少し優し過ぎる。この役目は、妥協ばかりでやっていけないわ」
「そしてね」と実乃は人差し指を立てる。
「初めて見た時に思ったわ。貴方こそ、上杉を影から支える人物に相応しいとね」
心臓の鼓動が激しくなる。嘘か真か分からないが、普段は静かに人を追い詰める彼女からここまで強い口調で言われると信じてしまいたくなる。
信じて考えるのであれば兼続が筆頭家老として景勝を支え、政務を取り仕切る。だが、正義感の強い彼女は理に適わないことを思うように回していくことは出来ないだろう。これまでは実乃が双方を巧みに扱って物事を移してきた。
龍兵衛が知識を活かした取組を容易に行えたのも彼女のおかげである。
一方、実乃がこれまで一人で動かせたからこそ、円滑な動きをすることが出来た。それを兼続とは相反する立場にて影となるべき者も必要になる。律儀で生真面目な彼女と上手く付き合い、冷酷に物事を運ぶことが出来る人材こそが影の立場に相応しい。
だからこそ、実乃は龍兵衛に厳しく当たってきた。
そう考えれば、龍兵衛を守るようにしてきた彼女の行動に何かと合点が行く。彼が一部の者から支持を持っていた事実も彼女の家中での権限を使えば簡単に事実を捻じ曲げて追放することも出来た。
全て龍兵衛に期待していたからこその裏返しであり、古来の酷吏にも似たほどに冷酷に動けるようになっているか見定めていた。
龍兵衛の脳裏に景勝との約束を交わした日と惟信を殺した光景がよぎる。約束を果たす土台に正式に立ち、最愛の人を殺す冷酷な心をこれ以上痛めつけることなどあろうか。
「改めて言うわ。真に私の跡を継ぐのは貴方よ。やって頂戴ね? 上杉と景勝様のために」
真剣な口調で問う実乃に龍兵衛は強く頷いた。