世界に嫌われた少女も異世界に来るそうですよ?   作:あばばばば

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久々です。
約五か月ぶりに戻ってきました。
更新していなかったハイスクールD×Dと剣舞の方も近々更新していきます。いえ、本当に。はい、頑張ります……。
カイトくんが更新しろと脅してきたりぼっちさんは働きたくないから更新拒否してきますが更新します。
え? なら新作書く前に更新してこいって? いやはや――返す言葉がねえよ!?
なので許してください! なあに、更新くらい余裕ですよ! ヤハハ!

では、新作始めまーす。


第1章 少女の居場所は
その邂逅は……


 どうして、私だったのだろう。

 白地のワンピースの少女は、長く伸びた緋色の髪をすくいながら、今日も考え始める。

(この世界を壊す役割を、どうして私が受け持ってしまったのだろう。神さまは意地悪だ。そう、神さま。私にこの力を与えた、形の定まらないあの人。人? 人と呼ぶには歪で、滅茶苦茶で。そう、言うなら『それ』だろうか。

 うん、多分それが一番しっくりくる呼び方だ。)

 少女はうれしそうに微笑み、笑顔を浮かべた。けれど、その笑顔はすぐにくもり、窺えなくなる。

「私が願ったのは、人の幸せだった。なのに与えられたこの力は、人を傷つけるだけのもの。そして、最後には世界も一緒に巻き込んで破壊する力。私はこんな力いらない……。欲しかったのはこんな力じゃない。ううん、力なんていらない。こうなるって知っていたなら、力なんて望まなかった……」

 少女は目に涙を溜め、ベッドへ潜り込んだ。

 自分以外誰もいない家。

 昔は家族に囲まれ、明るい空間がそこにはあった。しかし、いまあるのは暗く、寂しいだけの部屋の集まりだ。

 布団を頭までかぶり、その中で体を小さく丸める。

 そうしていないと、押しつぶされそうになる。不安になる。一人であることに。自分の力に。

 自分の願いは叶えられ、けれど全てが破滅したあの日を思い出す。

 家族を失ったあの日を――。

「誰かを傷つける力なんて、他の人のところにいっちゃえばいいのに……」

 その発言がどれだけ身勝手であり、他人へ不幸を押し付ける言葉であるか、少女は理解している。けれど、言わずにはいられなかった。

 一筋流れた涙とともに、少女の意識は闇へと落ちていった。

 

 

 

「ん? 私、寝ちゃったんだ……」

 少女は、自分が意識を手放していたことを、窓の外を見ながら確信した。

 外はまだ暗く、月明かりのない空には星が瞬いている。

「汗くらい、流さないとね」

 寝ている間に嫌な夢でも見たのだろうか、少女には珍しいことではないが汗だくになっていた。

 いくら何もないとしても、これではいささか以上に気持ちが悪い。

 浴室で汗を流し終え、着替えを終える。

 服は同じものがいくつも支給されているので、今回もまた白地のワンピースを着る。下着については、この家から一切の外出をしないので身につける必要性があまりない。

「でも、だからって持ってこないのはどうかと思うけど…………」

 とは言え、自分は人とは違う。

 と勝手に納得していしまうのがこの少女の悪い癖だった。

(誰もいないのに、おしゃれなんてバカみたい……私にはもう、この世界でなにかをする権利も、誰かといることすらできないのに。あの獣が現れたときから、わかっていたはずなのに)

 当時、自分がどうしてもしなければいけなかったこと。願ってしまった代償は大きかったけれど、それでもと思ったこともあった。けど結果は無意味に終わった。

 守りたかったものは自分で破壊し、後に残ったのは、自分に向けられた恐怖と嫌悪。明確な敵意のみだ。

(私の存在は無意味で無価値。でも、あのときの願いだけは――ううん、そんなことを思うこと自体、きっと罪)

 窓の外の夜空で、流れ星が瞬く。

 ひとつではなく、いくつもの、流星群となって夜空を彩るそれらは、少女が願いをかけたときとよく似ている。

 しかし、少女の視線は空でなく、本棚の横に置かれている机の上へと向けられていた。

 この部屋――いや、家に好んで入る人間は決して存在しない。少女の噂を一度でも耳にした者であれば、必ず避ける場所だからだ。

 より正確に言うのなら、一人だけはいつだって自分と会ってくれるし話してくれるのだが。いまだって、きっと意識を向ければ反応してくれるだろう。まあ、この話はいまするべきものでもない。

 問題なのは、少女は確実に、いままで一人であったということだ。

 だと言うのに、机の上には、いましがた置かれたばかりであろう一通の封書があった。

(そういえば、もうどれだけの間、人と話してないんだろう)

 誰が置いたのかという疑問ではなく、そんな思いが先に浮かんだ。本来人と話すのが好きだった少女は、すでに他人との話し方を忘れつつある。

 それは隔離され、世界から切り離された少女にとって、当然の結果だったと言えるだろう。

 だが、無視するわけにもいかない。

 見ないままだと、下手をしたら世界をまた敵にするかもしれないのだから。個人としても、これ以上を望んではいない。

 仕方なく封書へと視線を向けるが、宛名にはこう書かれていた。

 自分の名前である『夜鈴燈火殿へ』と。

「今後の予定とか、特殊施設の資料……じゃない。うん、期待しちゃダメだよね、そんな夢みたいな奇跡……」

 そう言い、燈火は手紙の封を切った。

「…………これはまた、挑戦的というか、なんというか」

 手紙の文章に、燈火は苦笑した。

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

 その才能を試すことを望むのならば、

 己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、

 我らの"箱庭"に来られたし』

  

 読み終えた瞬間、眼前には見たことの無い風景が広がっていた。

 それだけなら、まだよかった。

 燈火の今の状態は、空中に投げ出された形だった。それも、目測だが上空数千メートルと言ったところだろう。

「……」

 自分が落下中であることを知るのに数秒を有し、直後。

「人――?」

 これはなんの冗談だろう? と疑問を浮かべる燈火。

 まさか自分とそう年の変わらなそうな人間をこんな間近で目にすることになるとは。

「景色が違う……ここ、どこ?」

 窓から見える世界は味気ない。

 精々、空だけが自分を飽きさせない景色であった。けれど、眼下に広がる世界は、そうではない。

 もしかしたらという希望を抱きつつ、どうするかは、視界の端に映った、自分と同じ運命を下るであろう三人に託した。

 燈火はどうこうする手段がなかったと言うより、する気がなかったのだろう。だって、何かすれば弾かれるのは世の常だったから。

 黙って見ている方が、傷つかずに済むのなら、それが一番いいに決まっている。

 

 

 余談だが、燈火がこの扱いを、自身を殺すために一手間かけた演出ではないかと一考したのは、また別の話だ。

 

 

 

 

 

「なんなんだこの仕打ちは。死ぬかと思ったぞ」

 結果から言えば、あらかじめ落下地点を設定していたかはともかく、湖に投げ出された。

 燈火は陸地よりもわりと遠い地点に落とされたため、陸地に上がるころには落下中に見かけた三人はすでに上がり、それぞれに罵詈雑言を吐き捨てていた。

「し、信じられないわ! まさか問答無用で引き摺り込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

「…………いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

「俺は問題ない」

「そう。身勝手ね」

 黒髪ロングの少女とヘッドホンの少年はフン、と互いに鼻を鳴らして服の端を絞る。

「此処……どこだろう?」

「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか?」

 猫を抱いている少女の呟きに、ヘッドホンの少年が応える。

「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」

「そうだけど、まずは"オマエ"って呼び方を訂正して。――私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴方は? 」

「………春日部耀。以下同文」

「そう。よろしく春日部さん。それで、そこの赤髪の貴方は?」

 燈火は三人の会話に興味は無く、いや、むしろわざと避けるように水面を見つめていたら、突然声がかかった。

「わた、し……? えと、夜鈴……夜鈴燈火……。あと、赤じゃなくて緋色」

 実に3年もの間他人と話していない燈火にとって、不意打ちのように始められた会話についていけてなかった。

 ビクビクしているわけではないが、やはり拙い感じではある。

 なのに髪の色は否定するのか。

「そう。よろしくくらいは言ってもいいんじゃないかしら?」

「……ごめんなさい」

 飛鳥に対して小さくなりながら謝る燈火に対し、奇妙な罪悪感を覚えた飛鳥は、逃げるように、この場で唯一の男子へと声をかけた。

「最後に、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

 心からケラケラ笑う逆廻十六夜。

 傲慢そうに背を向ける久遠飛鳥。

 我関せず無関心を装う春日部耀。

 水面をただ見るだけの夜鈴燈火。

 

 

 そんな彼女らを物陰から見ていた黒ウサギというウサ耳の少女は、四人を召喚した人物であり、迎えに来た人物でもあるのだが、

(うわぁ………なんか問題児ばっかりみたいですねえ……)

 召喚しておいてアレだが……彼らが協力する姿は、客観的に想像できそうにない。黒ウサギは陰鬱そうに重くため息を吐くのだった。

 

 

「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

「………この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

 

 

(全くです。というか緋色の髪の方は話に混ざろうともしないのですか……)

 黒ウサギはこっそりツッコミを入れた。

 もっとパニックになってくれれば飛び出しやすいのだが、場が落ち着き過ぎているので出るタイミングを計れないのだ。

「――仕方がねえな。こうなったら、そこに隠れている奴にでも話を聞くか?」

「なんだ、貴方も気づいていたの?」

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ? そっちの猫抱いてる奴も、緋色の髪の奴も気づいてたんだろ?」

「風上に立たれたら嫌でもわかる」

「呼吸がよく聞こえる。隠れている内には入らない、と思う……」

「……へえ? 面白いなお前達」

 軽薄そうに笑う十六夜の目は笑っていない。四人は理不尽な招集を受けた腹いせに殺気の籠もった冷ややかな視線を黒ウサギに向ける。黒ウサギはやや怯んだ。

「や、やだなあ御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ? ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますョ?」

「断る」

「却下」

「お断りします」

「……」

「あっは、取りつくシマもないですね♪」

 バンザーイ、と降参のポーズをとる黒ウサギ。

 しかしその眼は冷静に四人を値踏みしていた。

 黒ウサギはおどけつつも、四人にどう接するべきか冷静に考えを張り巡らせている――と、春日部耀が不思議そうに黒ウサギの隣に立ち、黒いウサ耳を根っこから鷲掴み、

「えい」

「フギャ!」

 力いっぱい引っ張った。

「ちょ、ちょっとお待ちを! 触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

「好奇心の為せる技」

「自由にも程があります!」

「へえ? このウサ耳って本物なのか?」

 今度は十六夜が右から掴んで引っ張る。

「………じゃあ私も」

「ちょ、ちょっと待――!」

 今度は飛鳥が左から。

 燈火は空を見て、動く雲を眺めていた。どうやらあまり興味は無いらしい。

 

 だが、この後そんな燈火へと、問題児3人から逃げ出した黒ウサギがぶつかってくるのは、会話に混ざらなかった罰だった――のかもしれない。

 罰にしては随分と小さなものに感じるが、他人と関わってこれなかった彼女には少々きついものになっただろうことは想像に難くない。

(ああ、やっぱり世界は私に対していじわるだ……)

 そう燈火が思ったかどうかは、誰も知る由はない。

 




初めての女主人公です。
書いてる側としては違和感ばりばりで書きにくい……。というか動かしづらい。
違和感があったら教えてくださいね。
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