IS~Clown of Despair Clown of Hope~ 作:飛翔翼刃
それだけおっさんになったということですね( ^ω^)・・・。
まあそんなことは置いといて本編どうぞ!
次の日、IS学園に新一年が入学する日。
1年1組に噂の男子が一人、席にポツンと座っている。
周りからの視線が何とも言えない感じで、早くも参っている様だ。
彼の名は
織斑千冬の弟である。
(なんでこんなことになっちまったんだ…)
一夏は受験する学校の受験会場を間違えた挙句、そこにあったISに触れたら起動させてしまって、このIS学園に入れられてしまったのだ。
なんともまあ、運がいいのか悪いのか、感じ方は人それぞれだろう。
一夏は誰でもいいから助けてくれと祈るばかりであった。
そして教室に真耶…もとい山田先生が入ってくる。
「皆さんご入学おめでとうございます。
今日からこのクラスの副担任になりました。山田真耶です。これから一年間よろしくお願いします」
丁寧な挨拶と礼をする真耶。
「「「「・・・・・・・・・・・」」」」
真耶と一夏をまじまじと見つめる生徒達。
「ぇえっと…このIS学園は全寮制です。朝から放課後まで、皆さん一緒に生活をします。仲良く助け合って楽しい三年間にしましょうね」
生徒の反応は空しくも返ってこないのであった。
(マジで女の子しかいないとかなんかツライ…)
一夏はもうギブアップして普通の学校に行きたいと思ってしまう。
「じゃあ!自己紹介をしましょうか!!それじゃあ出席番号順で…」
真耶は出席簿を確認し始める。
(箒…助けてくれよ…)
一夏は幼馴染の
(そんなのありかよ…六年ぶりの再会だってのによ…まさか俺嫌われてる!?)
箒の態度に項垂れてしまう一夏。
「織斑一夏君?」
「え?は、はい!?」
急に自分の名前を呼ばれ、大きな声が出てしまい焦る一夏。
「驚かせてごめんね。でも『あ』から始まって今は『お』なんだよね。自己紹介してくれるかな?ダメかな?」
真耶は一夏に優しく話しかける。
「いや、その、大丈夫です」
席を立つ一夏。
「え、ええっと…織斑一夏です。よろしくお願いします」
周りの視線が光る。
周りを見渡す一夏。
箒のほうを見ても、やはりそっぽ向かれる。
(ダメだ!これでは暗いやつだとレッテルを貼られちまう!)
一呼吸置き、深呼吸をして…。
皆の視線が一夏に集まる。
「以上です!!」
ずるぅ!っと皆席から落ちてしまう。
「あれ?何がいけなかったんだ!?」
何がいけなかったのかわかってない一夏。
そこに近づく影。
その影から一夏に拳骨が振り落とされるのであった。
「いっつつ…げぇ!千冬姉!」
もう一発拳骨される一夏。
「学校では『織斑先生』だ」
「織斑先生。会議のほうと彼のほう終わったんですか?」
「ああ、山田先生。クラスへの挨拶を押し付けてしまってすまないな」
(なんで千冬姉がここにいるんだ?)
一夏がそう思っても仕方ないのである。
千冬は家に年一、二回ぐらいしか帰らない上に職業不詳の実の姉が、ここIS学園にいるのだから。
「諸君。私がこのクラスの担任の織斑千冬だ。君達新人をこの一年で使い物にするのが私の仕事だ」
すると生徒達から。
「きゃあああー!!!」
「千冬様よ!!」
「本物の千冬様だわ!!」
「あたし、お姉さまに憧れてこの学園に入ったんです!!」
と、とてつもないエネルギー量の黄色い声が飛び交う。
「毎年よくもこう馬鹿者共が集まるのも疲れるな。まさかと思うが私のクラスに集中させているのか…」
千冬は片手で頭を抱えながら、溜め息を吐く。
「お姉さまー!!もっと叱って!!」
「私達を罵って!!」
まだまだ黄色い声は止まない。
(やれやれなんともまあ、これから兵器の扱いを教わるというのに気楽なもんだね)
廊下に待たされている翼。
本当に兵器の扱いを教えるところなのか疑問が浮いてくる。
でも俺には関係ないか…それで命を落としても自分の責任なのだから…。
欠伸をしながら、待ち続ける翼であった。
「で、自己紹介も満足にできんのかお前は」
「いや、俺は千冬姉…ぐぅ!」
机に頭を押し付けられる一夏。
「『織斑先生』と呼べと言ったろう」
「…はい。織斑先生…」
「ねえ、織斑君ってあの千冬様の弟?」
「それじゃあ世界で唯一男でISを使えるのも、それが関係しているのかしら?」
周りがざわざわと騒ぎ始める。
「静かに!」
騒ぎ始めていた生徒達が全員静かになる。
「君達にはISの基礎知識を半年で覚えてもらう。その後実習だが基本動作については半月で覚えてもらう、いや染み込ませろ。いいか…いいなら返事をしろ!よくなくても返事をしろ!」
ただの横暴であるが千冬が大好きな生徒諸君は…。
「「「「「はい!!!!!」」」」」
と一つ返事答えるのであった。
「それともう一つ君達に連絡がある。急遽入学が決まったやつが、このクラスに入ることになった。おい入って来い」
皆ドアのほうに注目するが一向に入ってこない。
「どうした?さっさと入って来い!」
それでも入ってこない翼。
千冬が仕方なく廊下を見に行く。
すると……壁に寄りかかりながら寝ている翼。
「こんの馬鹿者が!!」
重い拳骨が翼を襲う。
ゴッチーーーン!!!と音が鳴り響く。
「いってえええー!!」
その一撃で目を覚ます翼。
「寝ているお前が悪い!そら早く入って来い!」
頭を擦りながら、千冬の後に付いて行く。
教室に入ったら、女子達はまたもや騒ぎ始め、一夏は救いがきた!と舞い喜んでる。
「さっさと自己紹介をしろ」
「へいへい。神守翼だ。まあよろしくな」
一夏と同レベルの自己紹介をした翼にもう一撃拳骨が飛んでくる。
「見えてる攻撃に当たるバカはいないぞ」
余裕で攻撃をかわす翼。
「くっ!お前の席はあそこだ」
一番後ろの窓際席を指定される。
「りょーかい」
席に向かう途中、綺麗な金髪の縦ロール髪のお嬢様に睨まれたが知らん振りして通り過ぎる翼。
席に着くと真耶がISの名称やら開発コンセプトに条例とか事細かな説明をしていく。
(宇宙進出をするためとか言ってるのに停滞とはね。まあ問題が色々と山積みなんだろうな)
宇宙でも活動していたこともあり、
(とりあえず実技に関しては問題ないが、筆記のほうがめんどくせえな)
勉強はできないわけではないが、座って勉強するのが苦手な翼。
そんなことを考えていると休み時間になったらしい。
それと同時に廊下がざわざわと女子の群れが噂の男子を見に来たのだ。
「ねえあの子が噂の世界でただ一人ISを動かせる男子ですって」
「入試のときにISを動かしたんだって」
「世界的な大ニュースだったわね」
「彼、イケメンじゃない!」
「それよりあの窓際の男子は?」
一夏の噂は流れていて入学してくる女子達は知っていたが、翼に関してなんの情報もないので何でここにいるのと嫌悪感や不審者でも見るような目で見られる。
(やれやれここは動物園か何かか…)
翼は女子達の目線にイラついていた。
別にISを動かせたからどうなのだと思っているからである。
偶々この世界では女性しか動かない機械があるだけで、さらに技術が開発されれば、男性も操縦できる機械だって出てくるだろうに…。
「よお。まさか俺以外にもISを動かせる男子がいるとは思ってもいなかったよ」
一夏が翼の席に来て、話しかけてきた。
「別に動かす気はなかったんだがな」
「それでも男一人だったら、精神的にきつかったから助かったよ」
「まあ気の持ちようだ。それは徐々に慣れてくるさ」
「そうだといいんだが…。あ、俺は織斑一夏。一夏って呼んでくれ」
「俺は神守翼だ。好きなように呼んでくれ」
「じゃあ翼で。よろしくな」
一夏が握手を求めてくる。
それに応える翼。
外野はなんかキャーキャー騒いでいる。
「おい、一夏」
一夏を呼ぶのは、黒髪のポニーテールの女子。
「ちょっといいか?」
「箒、ここじゃダメなのか?」
「ああ」
「一夏行ってこいよ」
そう言うと箒はさっさと教室から出て行き、一夏も慌てて後に付いて行く。
(一夏も隅に置けないね~。あんな綺麗な彼女がいるとはね。それにしても俺以外にも誰か助かったやつはいるのかな)
翼は自分がいた世界の最後を思い出しながら、かつての仲間達に思いを馳せる…。
今でもこの世界で何をすればいいのかわからないし、これからどうなるかわからない。
それならば心を許した仲間達の下に行きたい。
しかしそれは今は叶わない…今はこの学園生活を享受しながら、どうすべきかを考えながら外を眺めているのであった。
そしてチャイムがなる。
次の授業に一夏と箒は間に合わず、千冬から出席簿アタックを決められ、席に戻る。
この授業は初歩的なことを教えるようで、真耶が教鞭を執っている。
「ではここまでで質問がある人はいますか?」
真耶が尋ねる。
(このアクティブなにやらとかってなんなんだ!?まさかと思うが全部覚えろとかないよな…)
一夏は焦っていた。
それもそのはず今までISの設定や、どうゆう仕組みで動いてるなんて勉強をしているわけがないから、はっきり言ってちんぷんかんぷんなのである。
「織斑君。何か質問とかありますか?」
真耶は一夏が何かわからない顔をしているのを見て、質問はあるかと尋ねる。
「あ、いやその…」
「気になることがあったら質問してくださいね。何せ私は先生ですから」
笑顔な真耶。
打ち明けたほうがいいのかと迷う一夏。
「はい…。先生…」
恐る恐る手を上げる一夏。
「はい!織斑君!」
質問をした一夏の名前を呼ぶ真耶。
「ほとんどってか全部わかりません!」
「ええ?全部ですか!?今の段階でわからないって方はどれくらいいますか?」
自分の教え方が悪かったのではと思い、わからない人がいないか聞いてみる。
しかし誰も手を上げない。
「織斑。入学前の参考書は読んだのか?」
千冬が一夏に参考書は読んだのか確認する。
「ええっと…。あ、あの分厚い本ですか?」
「そうだ。必読とかいてあっただろ」
「いやー古い電話帳と間違えて捨てました」
そう言うと千冬から出席簿で叩かれる。
「おぁぁ…」
叩いたときの音からして中々良い打撃音なことで。
「再発行してやるから、一週間以内に絶対に覚えろ。いいな」
「一週間であの厚さは無理だろ!」
「無駄口を言っている暇があるならやれ」
鋭い眼光で睨む千冬。
「てか、翼はついていけてるのかよ!」
一夏は翼を道連れにしようとしている。
「ハッハッハ。わかるわけなかろう!!」
腕を組みながら威張る翼。
千冬の出席簿が飛んでくる。
翼は[ひらめき]を使用した。
ものすごい勢いの出席簿も余裕の回避。
[ひらめき]を使ったことで翼の空腹度が上昇した。
「神守。お前も一週間以内に全部覚えてこい」
「善処はしてやろう」
千冬は翼の席に行き、逃げられないようヘッドロックをかける。
みしみしと嫌な音がでる。
「ちょ、マジ、嘘だって、やめて、痛い、胸があたってるぞ、俺のライフはゼロだ!」
千冬は胸と単語が出てきたときにヘッドロックを解除して拳骨をお見舞いする。
机に突っ伏して動かない翼…叩かれた場所からシュゥーと煙が立ち込めているのは気のせいだろうか…。
その後も真耶に色々質問しながら授業を受ける一夏と翼。
やっとこさ休み時間。
「一夏よくも俺を売りやがったな」
「わからないのに知らんフリしてるやつに言われたくないぞ」
「あの場は何も言わずにいれば俺の空腹も進まなかったのに」
翼のお腹の虫が鳴る。
「ちょっとよろしくて?」
「んん?」
「腹空いたなー」
「まあ、なんですのそのお返事は!貴方に限っては返事ですらありませんし!」
高飛車なお嬢様が絡んできた。
「私に声をかけられるだけでも光栄ですのに!それ相応の態度というものがあるのではありませんか?」
「悪いな、俺は君が誰だか知らないし」
「私を知らない!?『セシリア・オルコット』を!?イギリスの代表候補生にして入試においては主席だった私を!?」
早口で次々と自分の自慢を言うセシリア。
一夏は手を出しセシリアを制止する。
「あのよ、質問良いか?」
セシリアに質問しようとする一夏。
「ふふ、下々の者の要求に応えるのも貴族の務めですものね。よろしくてよ」
勝ち誇った顔で質問に応えようとするセシリア。
「……代表候補生って何?」
その言葉を聞いたクラスの全員がずっこける。
翼はその光景を見て、良いこけっぷりだ!と感心する。
「あ…ぁ…あ」
「あ?」
「信じられませんわ!日本の男性というのはこれほど知識が欠落したものなのかしら。
代表候補生なんて常識問題ですわよ。常識!」
「で、代表候補生って?」
その言葉を聞くとセシリアの顔は生き生きとし目は輝いている。
「国家代表IS操縦者を選出するのが候補生ですわ!単語から考えればわかることでしょう」
「一夏、簡単に言うならその道のプロとか、さらに簡単に言えばエリートだ」
「そう私はエリートなのですわ!」
「なるほど!」
ぽんと手を叩き理解する一夏。
「本来ならば私のような選ばれた人間とクラスを共にすることが奇跡!幸運なのよ!!その現実をもう少し理解していただけるかしら」
セシリアはもっと喜びなさいと言っているようだ。
「そうか、それはラッキーだ」
「ラッキー。小吉ぐらいじゃね」
ラッキーだと実感していない一夏と絶対にバカにしている翼。
「貴方達。私を馬鹿にしていますわね」
「お前が幸運だって言ったんじゃないか」
「大体何も知りもしないで、よくこの学園に入学できましたわね。
偶々ISを操縦できると聞きましたけど、これは期待はずれでしたわね」
「俺に何か期待されても困るんだが」
(早くお昼にならないかなー)
「まあでも私は優秀ですから、貴方達のような人間にも優しくしてあげますわ。
わからないことがありましたら、そうですね、泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよろしくてよ。
何せ私、入試で唯一教官を倒しましたエリート中のエリートですから」
「あれ?俺も倒したぞ、教官」
「はぁ!?」
「倒したというか、いきなりこっちに突っ込んできて、それをかわしたら壁に激突して動かなくなったんだよ」
「私だけだとお聞きしましたけど?」
「女子ではってオチじゃないのか?」
「貴方!貴方も教官を倒したっていうの!?それで貴方もまさか教官を倒したとか言いませんよね!?」
「俺は負けたぞ。試験官は教官じゃないけど」
「え?じゃあ誰が試験官だったんだ?」
「生徒会長」
「はい?」
セシリアが固まる。
「流石に強かったぞ。それなりにやれたんだがな」
「あ、ありえませんわ…」
「どうした?オルコット?」
「どうしたではありませんわ!あな…」
キーンコーンカーンコーン。
丁度チャイムが鳴る。
「話の続きはまた改めて。よろしいですわね!」
セシリアは席に戻っていく。
「生徒会長が何なんだろうな?」
「さあな?」
一夏と翼は首を傾げるのであった。
***
授業も終わり放課後。
一夏と翼は寮への道を歩いていた。
先ほど二人を探し回った真耶から寮の鍵を渡されたのである。
「本当に女の子しかいないんだな」
「まあISは女性しか使えんみたいだしな」
「翼はきつくないのか?」
「このぐらいならきつくはないさ…俺がしてきたことに比べればな」
「何かいけないことでもしてきたのか?」
「そうだな一口では言えん」
「そういえば部屋番は何番だ?俺は1025号室みたいだ」
「俺は1039号室だな」
「後で遊びに行ってもいいか?」
「おう。何か食べるものよろしく!」
1025号室の前で別れ、翼は自分に宛がわれた部屋の前に着き、鍵を開け、ドアノブを開き部屋に入ろうとしたのだが…。
「おかえりなさいませ。ご飯にしますか?お風呂にしますか?それともあ・た・し?」
「………………………………………」
何故か知らないが裸エプロン姿の楯無が出迎えてくれる。
翼は関わると碌な事がないだろうと思い、無視して横を通り過ぎる。
「ちょ、ちょっと待ってよ!何で反応してくれないの!?」
「いや、何か碌な事が起きないと思ったからな」
「つめたい!なんてつめたいの!翼君はお姉さんのことが嫌いなのね…」
「猿芝居はいいんで、出て行ってくれ」
「本当にお姉さん泣いちゃうぞ」
扇子を出し、そこに『優しくして♪』と書いてある。
「めんどいので断る」
「うわーん!翼君のイジワル!」
「はいはい。イジワルで結構。てかなんで会長さんがこの部屋にいるんだ?」
「それはもちろん翼君の同室だからよ」
「ここ一年棟じゃないのか?」
「どうでしょう?」
「まあいいや、勝手にしてくれ。俺は奥側半分を使わせてもらうぞ」
そう言って翼は荷物置く。
といっても鞄しかないのだが、奥のベッドに横になる。
「うふふ。翼君、お姉さんが添い寝してあげようか?」
「できるもんならしてみろ会長さん」
今日の夕飯は何を食べようか考える翼。
楯無はベッドに腰掛ける。
「ねえ、翼君」
「なんだ?」
「貴方、生徒会に入ってみない?」
「パス」
「そ、即答ね。そう言わず今度顔だけでも出してくれないかしら?」
「理由は?」
「それは来たときに教えてあげる」
「気が向いたら行ってやるさ」
「それじゃあ指きりしましょう」
「そんなことしなくても、ちゃんと行ってやるよ」
「まあまあいいじゃない」
楯無は強引に指きりさせる。
嘘ついた時の約束事は卑怯だと翼は思った。
その約束事はまたの機会に。
その頃一夏はラッキースケベを発動して酷い目に遭っていたのだった。
***
次の日の朝。
食堂で朝御飯を食べている一夏を見つけ、近くの席に行く翼。
「おいっす一夏」
「おはよう翼」
「おはようさんポニ子」
「私はポニ子ではない!」
「いんやー自己紹介しとらんし、一夏から名前も聞いてないからな」
「そうだったな。私は篠ノ之箒だ。よろしく頼む」
「よろしくな。篠」
「まあポニ子よりましか」
「てかお前ら喧嘩でもしたのか?あんまり騒がないほうがいいぞ。
それにしても一夏も大変だね、千冬のお蔭もあってか周りは強いのかとか言ってるしよ」
「俺と千冬姉を比べられても困るんだがな」
一夏はぐったりする。
「ねえ織斑君。隣良いかな?」
「え?ああ、別にいいけど」
「「よし!」」
周りがそれを見て、羨ましがる声が聞こえてくる。
「うわー、織斑君ってすっごい食べるんだー」
「さすが男の子だね」
「っていうか女子はそれだけしか食べなくて平気なのか?」
三人の朝御飯は育ち盛りが食べるには明らかに量が足りてない。
「わ、私達は…ねぇ」
「う、うん…平気かな」
「お菓子とかよく食べるからね!」
「織斑君も食べるほうだけど…神守君の量はおかしいよね?」
「うん、多分?」
「神守君、お相撲さんみたい!」
翼の朝御飯のメニュー。
ご飯山盛り(茶碗3杯分)、味噌汁、焼き鮭が二切れ、ハムエッグが二つ、ウインナーが10本、サラダに冷奴、デザートにリンゴとバナナ。
明らかに朝食べる量ではない。
「そうか?これでも抑えてるほうだぞ」
「これで!?太らないの?」
「太らんな。しっかり食べて、しっかり身体を動かせば、自ずと身体はできるんだぞ。
特に若いうちにしっかりした食生活にしとかないと、後々自分に返ってくるぞ」
それだけ言って、もりもり食べ始める翼。
「私は先に行くぞ」
「ああ、また後でな」
箒は席を立ち上がり、さっさと行ってしまう。
「織斑君って、篠ノ之さんと仲良いの?」
「お、同じ部屋って聞いたけど?」
「まあ、幼馴染だし」
「「「ええ!幼馴染!?」」」
「ああ、小学一年のときに通ってた剣道場で知り合ってな、小学四年まで同じクラスだったんだ」
昔のことはあんまり覚えていないんだよな、と聞こえないぐらいの声量で呟く一夏。
すると手を叩く音がする。
「いつまで食べている。食事は迅速に効率よく摂れ」
その言葉に一斉に早食いを始める生徒達。
「私は一年の寮長だ。遅刻したら罰としてグラウンドを10週してもらうぞ」
(そうなんだ。それで滅多に帰って来ないわけだ)
ここで一夏の疑問が一つ解けるのであった。
「横暴だー飯ぐらいゆっくり食べさせろー」
翼は千冬に文句を言うが、飯を取り上げられたいかと脅され、ありえぬ早さで完食するのであった。
***
「これより再来週行われる、クラス対抗戦に出てもらう代表者を決めるぞ。
クラス代表者とは対抗戦だけではなく、生徒会の会議や委員会の出席にも出てもらう。まあクラス長と考えてくれて構わない。
自薦、他薦は問わない、誰かいないか」
「はい!織斑君がいいと思います」
「私も織斑君を推薦します」
「お、俺?」
「他にはいないのか?いないのなら無投票当選だぞ」
「はい!俺は翼を推薦します!!」
「ふざけるなよ一夏。そんな役はお前がやれば済むことだろうが」
「いいや、お前がやるべきだと思うぞ」
「一夏、譲ってやる優しさを受け入れろ」
「翼こそ俺の推薦を受けてくれよ」
バン!!
机を思いっきり叩く音がすると思ったら。
「納得がいきませんわ!!」
セシリアが物申してきた。
「そのようなくだらない選出は認められません!男がこのクラス代表なんて、いい恥晒しですわ!!
このセシリア・オルコットにその様な屈辱を一年生の間、私に味わえとおっしゃるのですか!!
大体文化としても、イギリスよりも後進的な国に暮らさなくてはいけないこと自体、私にとって耐え難い苦痛ですのに!」
「イギリスだって、大したお国自慢なんてないだろ。世界一不味い料理で何年覇者だよ!」
「美味しい料理は数えられないほどたくさんありますわ!貴方!私の祖国を侮辱しますの!!」
売り言葉に買い言葉。
よくもまあこんなことで喧嘩できるなと席に座って眺めてた翼。
周りの日本国籍の生徒はセシリアを睨みつけている。
(あー、一年間一緒のクラスメイトに敵対心植えつけてどうすんだか。お嬢様はもう少し我慢を覚えるべきだな)
「翼も何か言ってやれよ!自分の祖国を馬鹿にされてるんだぞ!」
「俺に振るなよ。喧嘩をし始めたのは一夏とオルコットだろ。国の歴史とかなんて良い所悪い所なんて、挙げ始めたらキリがねえよ」
「貴方もなんでそう無関心なんですの!もう頭にきましたわ!!お二人とも決闘ですわ!!!」
「おういいぜ。四の五の言うよりわかりやすい」
「俺はパス」
「わざと負けたりしたら、私の小間使いですわ。いいえ奴隷にしますわよ!」
「当たり前だ!真剣勝負に手を抜く奴がいるもんか!」
「真剣勝負もお遊びもしないぞ」
「ハンデはどれくらいつける?」
「俺を無視するな」
「あら、強気なこと言っておきながら、早速お願いかしら?」
「いや、俺がどのくらいハンデつけたらいいのかなって思ったんだが」
「アハハハハハ」と突然周りが笑い始める。
「織斑君、それ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのってISができるまでの話じゃん」
「もし男と女が戦争をしたら三日持たないって言われてるんだよ」
(しまった…またやらかした)
一夏はどうしようと考えてるとき。
「そちら貴方にはハンデをつけて差し上げましょうか?」
セシリアは翼にハンデをあげようかと提案してくる。
「だから俺は決闘とかやらんぞ。お前ら二人でやってろよ。
それで勝ったほうがクラスの代表になればいいじゃねえか」
「もしかして貴方は私と戦うのが怖いのですか?
仕方ないですわね。何せ代表候補生と素人では圧倒的すぎて勝負になりませんもの」
セシリアは勝ち誇った顔で翼を見る。
「やってられん」
翼は相手の力量もはかろうとしないセシリアに飽き飽きしている。
「織斑君も今からでも遅くないよ。ハンデをつけてもらったら?」
「男が一度言ったことを覆せるかよ。ハンデはなくていい」
「えぇ…それは舐めすぎだと思うよ」
「話は決まったみたいだな。お前達三人で二戦ずつ戦って、勝利数が多いやつが代表になれ」
千冬が勝負の方式を決めてしまう。
「何で俺もやらなあかんのだ」
「お前も少しはやる気を出さんか」
「面倒なことはしたくない」
「やれ」
「はぁ、わかったよ」
「それからオルコット。神守と織斑をあまり見くびらないことだな。
それでは勝負は次の月曜、第三アリーナで行う。三人ともそれぞれ準備して臨むように」
翼はまた面倒なこと増やしやがってと深い溜め息を吐いているのだった。
To be continued
書いてるときお腹が空いて仕方なかったです。
仕事中の空腹とかが一番堪えます…。
次も早く投稿できるといいな。
ではまた!