女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!! 作:エマーコール
流石に話を見てる人はもういないだろうけど、どうにかこぎ着けたいと思います。
「ははっ。だから僕が呼ばれたってことなんだね」
「……まぁ、そういうことですね」
軽自動車に乗った俺とジョウト。そろそろ渋谷につくかな? という辺りで再度ナガレさんに説明する。ナガレさんは普通に笑っていた。本音を言うと呆れられるかなと思ってたけど、ちょっと意外だった。
「キリノに頼まれて、何事かなと思ったけど……『出来る限り戦闘は避ける』『但しドラゴンは例外として退治する』。この2点を護るよう二人に指示したから念のため僕にも見てほしいってことだね」
その通り。というように俺は無言でうなずく。それを見てナガレさんも微かに頷き返してくれる。ナガレさんは納得したかのように続ける。
「それでもしマモノと戦う必要がある場合、僕が戦闘を行う。君たち同様に僕もS級能力を持っているからね。……そういうことで大丈夫?」
「はい。それでお願いします」
「確かに、そういうことは下手にヒカイさんにばれたら都庁の真ん中で反省会されそうだ」
そりゃそうだけど冗談じゃねぇ! つか過去の事出さないでくれ! あれ地味に心にもダメージ入るんだよ!!
……あ。そういえばナガレさんの戦う姿をしっかり見たことはほとんどないな俺たち。……いや、俺だけなのか?
唯一はっきりとした機会があったとすれば池袋のジゴワットぐらいだけど……それでも、その時に関しては帝竜の事で手一杯だったからよくは見ていない。
もしかしたらジョウトやヒカイさんは渋谷の時に共闘してたから見てたのかもだけど、俺はその時いなかった。
……こうして振り返ってみると、俺ってあんまり身内のことに関しては全然知らないことだらけだな……。それらも含めて、今回の休暇はある意味いい機会なのかもしれない。
「さて、準備はいいかい? もうすぐつくよ」
ナガレさんの声かけに、俺とジョウトは頷いた。
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「さて目的の肉……じゃなくてマモノは確かこの辺に……」
自然と渋谷が一体化した道路を歩きながら、俺はチェロンに持たされたメモと今の場所を照らし合わせる。
ふと足を止める。目標の敵が遠くでのっそりと動いていた。デカい熊だ。……熊肉でカレー、とかアリなのだろうか。うん、まぁ大丈夫だろう。
ハンドガンを2丁を取り出し、隣にいたジョウトに声をかける。
「ジョウト、いける?」
「あ? オレも手伝わなきゃいけねーのかよ」
うん。まぁそりゃそうだよな。知ってた。聞いて俺は提案する。
「代わりに探し物手伝うし、それでOK?」
「NO」
おい待てジョウト。冗談なのか本気なのかの答えに俺は頭をかかえる。
「何でダメなんだよお前。1人で勝てるような相手だと見極めてるならそれは節穴だぞ?」
「……え、ちげぇのかよ」
「今思いついたように言うなよ」
……はぁ。いつものやりとりとはいえ、本当にもうこいつは……。
あぁもう、近くにいたナガレさんも吹き出しちゃったじゃないか。目で見てた俺に反応したのか笑顔のままナガレさんは俺に頭を軽く下げた。
「ごめんごめん。本当に二人とも信頼してるんだなって」
「え?」
ちょっと意外な捉え方に俺はちょっと驚いた。……確かに俺はジョウトのこと信用はしてるけど、あんなやりとりでそんなこと言うかな普通?
「ったく。勝手なこと言うなっての。こいつビビりだしオレがしっかり緊張ほぐしてやってるだけだ」
おいこら何でジョウトが俺の保護者なんだよ。
「なるほどね。……それも信頼の形か」
そういってナガレさんは俺とジョウトを交互に見ると、一つ提案を出してきた。
「2人であのマモノを倒せるか、見させてほしいな。君たちの実力がどれぐらいなのかも見ておきたいし」
……ナガレさんの言うことも一理ある。俺はそのままコクリとうなずいた。
「なるほど……わかりました。……ジョウト、今度こそ行けるな?」
もう一度ジョウトに確認を促す。ジョウトは黙ったまま手の平を見せて振る。OK、ということだな。
だったら先手必勝だ。ヒカイさんがいない以上、俺が前出るしかないけど、俺はヒカイさんほど頑丈ではない。なら気づかれてこちらに来る前に出来るだけ削る方がいい。
「……行くぞ!!」
合図と共に俺は飛び出し、連射。その間にジョウトが背後から『アタックゲイン』を掛けてくる。不意を撃たれたクマは最初こそ怯んだがすぐに狙いをこちらに定めてくる。
すぐに足でブレーキを掛けて横殴りの攻撃を潜り込むように避ける。掠ったマントの上からでも圧力がかかるのを感じた。
「ジョウト!」
「おうよ」
右手の銃を離し、クマの顔面に向けて手をかざす。その直前にジョウトが『ファイア:TROY』を仕掛ける。タイミングばっちりだ。
「
ゼロ距離で『フレイム』を浴びせる。よし、上手く入っ……!?
「つ、しま……!」
「危ない!!」
俺が慌てて回避するよりも前、ナガレさんが割って入りクマに強烈な一太刀を浴びせる。クマは今度こそ動かなくなった。
つい直前の事をゆっくり振り返る。確かに俺は炎撃を浴びせてトドメを刺した……と思ったけど、思った以上に敵の耐久力が高かったらしく、危うく反撃を貰うところだった。そこに気づいたナガレさんが咄嗟に割って入って、そして今ということ……だ。
「あ、あっぶねぇ……。すいませんナガレさん。助かりました」
「いいよ大丈夫。……無事ならそれでいいんだ」
ナガレさんは表情を曇らせつつも俺の無事に安堵してくれた。
その表情で俺は察した。……そっか、そうだよな。ナガレさんは……『
「……さ! お互い無事だったんだし、ロナの次はジョウト、君の探し物を探す手伝いをしなくちゃね」
「おう。その間、護衛任せるわ」
気持ちを切り替えて、次はジョウトの番と言うようにジョウトの方を見るナガレさん。俺は、多分ジョウトはあえていつもの調子だったと思うけど、かける言葉がなくて言わずじまいだった。
俺の探し物を見つけ終え、それを荷物にしながら今度はジョウトの探し物を行う。俺の時とは違い、難航した。店は閉まってる場所ばかりだったり、中が荒れているものがあって捜索は困難なところもあった。
……けど、なんでだろ? 俺はこの辺に詳しくないはずなのに、妙な共通点を感じていた。
「なぁジョウト」
「なんだよ?」
「……お前さっきから電化製品探してね? 言っちゃあなんだけど……真面目にどう使うんだ?」
本当に何でだろうな……。ジョウトが手当たり次第に探している場所は、多分元は電化製品とか売ってる場所だと思われるところだと思う。いや、正確にはブック〇フとかそういう中古品店にも寄っていたんだけど、いずれも目的のものではなかったみたいだ。
言われて、ジョウトは少しムッとした顔になった。
「なんだよオメー。電化製品探して悪いかよ」
「あ……ううん。ごめん」
「……はぁ」
ガチで申し訳ないように謝る俺に対し、ジョウトは息をつく。
「……次探してもなかったら帰っぞ」
「え? でもいいのか?」
「前にも言ったかもしれねーけど、あってもなくても影響はねーよ。……それに、オレは本命は最後まで取っておく主義なんでな」
そう言ってジョウトは再び、森林と建物が一体化した渋谷を歩き始める。その足取りは、ちょっとだけ楽しそうだった。
「……気を遣われてるね」
ナガレさんは小声で俺にそう囁く。
「……ホント、なんだかんだで優しいんだよね。彼は」
俺はそう返した。
ジョウトの『本命』の場所へとたどり着く。シャッターは閉まっていたが、ドラゴンの襲撃で脆くなっていたのか、3人がかりであっさりと開いてしまった。……あきらかに不法侵入だけどいいのか、これ?
「別に『空いてた』って言えばなんたって言い訳つくし、そもそもここ、そんなこと気にするような店じゃねーよ」
「なんだその言い草……一度来たことあるのか?」
「……あー。まぁな。能力者用の店だって聞いたことある」
へぇ、この世界にそんな
「……お。あったぜ。こいつだ」
「こいつ……って」
嬉々として見せつけてきたジョウトに、俺は絶句した。いや、それ、だって……
「どう見てもゲーム機です! 本当にありがとうございました!! てかゲーム機ならさっき寄ったとことかにもあっただろ!?」
「ふ、まだまだ甘ぇなロナ。こいつはただのゲーム機なんかじゃねぇ。未来を先走りすぎた結果、封印することになったハイテク機……!」
なんか、いつになく明らかにハイテンションなジョウトはそのゲーム機を天に掲げる。
「セガサターン……シロだ!!」
「……お前、大丈夫、か?」
流石についていけないぞ……。俺は助けを求めるかのようにナガレさんの方を振り返る。
「……! そうか、そういうこと……だったのか!」
え?
「へっ、分かってんじゃねぇかナガレさんよ。何と言ってもシロモデルだからな。きっとこいつはとんでもないことになるぜ……!」
な、なんかこの人たち急に意気投合したぞ!!? え待ってどういうこと!!? 俺がおかしいのこれ!!?
「ま、目的のものは見つけた。後は帰るだけだ」
「そうだね。……そうだ、ついでにジョウトとも少し話したいんだけど、ゲームについてさ」
「おぅ。今の俺は上機嫌だし、色々話せるかもな」
……というわけで。2人の熱いゲーム談義をBGMに、俺たちは帰ることにした。
「……セガサターンって、なんだよ……」
そんな俺の空しい一言は、渋谷に風となって消えたのだった。
補足事項
・投稿は2025年ですが、ロナの年齢は2014年の高校生辺りなのでセガサターンを知りません。もう1年したら普通に会話参加してた。