Nanoha×MGS = The Rebrllion =   作:No.20_Blaz

4 / 6
ちょっと早いかなって思う第四話です。

かなりはしょった内容となってしまいましたが、これで前日談は一応ながら終了。
次回からいよいよ本編です。ええ。《本編》ですよ、ぐへへへへへへ(ゲスッチ顔)

ちなみにタグにあるとおりオリキャラも出ますが・・・多分そこまで登場回数は多くないと思います。ハイ。

それでは、なんだかんだでNanoha×MGS、スタートです!


第四話 「香りし臭いは」

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Teana

 

 

 

 

 

「~♪~~♪~~♪」

 

 

 

 

 

脳裏にこびり付いた記憶を、時折思い起こす事がある。

 

照りつける太陽。

清々とした青空と白い雲。

 

そして、その下で香る

 

 

 

 

 

 

 

死臭と火の臭い。

 

 

 

 

 

砂と廃材に混じり匂うそのクセのある臭いは、鼻から入ると脳を刺激する。

コンバット・ハイ(戦意高揚状態)とでも言うのだろうか。

どろりとした甘ったるい血の臭いと、それに混ざり合うかのように絶妙なアクセントを醸し出す火薬と火の臭い。

 

それを、私は日の光が当たる廃墟の中で鼻歌を歌いながら次の獲物を待っていた。

 

甘い血の臭いを吹き出してくれる、タダのデク人形を待つ為に――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

= 現在 =

 

曇りひとつもない青空の下。

廃墟群の中に聳え立つビルの屋上から、反対側に建つビルの中を少女は窺う。

焦る事も無く、動じる事も無く、ただ冷静に自分の視界から見えるビルの中を投影式のディスプレイから確認していた。

 

『――――ハウンド(猟犬)よりフォックス()。配置についた』

 

『同じくキャット()。配置についたわ』

 

「・・・了解。ヴォルフ()そっちは?」

 

ノイズ交じりの念話が頭に響くと、少女は応答し準備が着々と進んでいる事に感心する。

だが、ただ一人。まだ報告が来ていないと気づいた彼女は、最後の一人が何をしているのかと口で声を出しながら念話を行う。

 

 

 

『えっと・・・予定位置到着・・・完了。いつでも』

 

「遅い。実戦なら命取りよ」

 

『ウッ・・・』

 

最後の一人が今更準備が出来たと報告してきた事に、少女は当然のことのように冷淡に咎めた。言われた側は、そこまで傷ついてないが若干心に響いたのか、声を漏らしていた。

 

 

『ははは・・・相変わらず、アイツには厳しいな。お前は』

 

『当たり前でしょ。実戦は時間も大切。一秒の遅れで戦況が変わることがあるって聞いてなかったの?』

 

『聞いてた。けど、まるでこいつ等二人が犬と飼い主みたいだからさ・・・』

 

『い、犬ってアタシ!?』

 

『お前以外に誰が居る?忠犬ス―――』

 

「私語は慎め。二人共」

 

『ちょっ、どうして俺たちだけだよ!?』

 

『そうだよ!レミィだって・・・』

 

「黙っとけと言ってるのが分からないの。二人共?」

 

『『・・・・・・・ハイ』』

 

『・・・自業自得ね』

 

状況そっちのけで話していた二人に少女は冷たい物言いで黙らせる。

逆らえないと思ったのか。はたまた逆らえないと知っていたのか。二人は直ぐに彼女の言葉を受け入れ、低い声で返事を返した。

その中で早々に話すのを止めたもう一人の少女ことレミィは、小さく溜息を吐いて二人の馬鹿っぽさに呆れていた。

 

 

だがもう、そんな余裕も猶予もない。あと少しで始まる事に口に重りをつけたかのように黙り込む。

叱られていた二人もそうだ。気落ちした表情から直ぐに真剣なものに変わり、全身に力を込める。そうすることで自然と身体に緊張感を持たせ、気の緩みを無くさせているのだ。

三人が直ぐに切り替えたのを確認したのか少女は口元を釣り上げ、念話で全員に最終確認を行う。

 

「作戦開始までツーミニッツ(二分後)。用意できてる?」

 

『いつでも、お姫様』

 

『同じく』

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・いけるよ、ティア』

 

 

 

 

 

 

 

「――――――Angriff(突撃)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティアナが陸戦魔導師の訓練校に入学してから三年の月日が経った。

 

 

様々な情勢の変化。朗報。ニュースなどが飛び交っていたが、ティアナはその大まかな事しか頭に入れず、本来受けるはずであった勉学に励んでいた。

元々、彼女は普通に行くはずであった学校を行かなかったので、筆記自体は入学当時はスバル以下。しかし彼女の励みと必死の甲斐もあってか、今では立場も含め逆転している。

 

 

同時に彼女の周りにも変化があった。

いわば同い年の友人。同級生が彼女にはできたのだ。

ルームメイトのスバルを始め、実践訓練時に組む他のルームペアたち。

そしてその中で最も関係を築いたのが、先ほどの少女レミィとパートナーのライ。

初めての女友達という未知の領域に四苦八苦していたが、現在では良き仲間である。

 

戦場では。MSFでは学ぶ事も出来なかっただろう多くのことを学び、知ったティアナは人としても戦士としても。そして魔導師としても飛躍的な成長を遂げたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

が。その成長の所為で色々とトラブル等が絶えないのも、また事実だったりする・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日のこと。学長室にティアナとレミィの二人は学長に呼ばれていた。

緊張した趣で学長と目を合わせる二人は背筋を伸ばし、唾を飲み込んでいた。普段ならそこまで緊張はしないが、今回ばかりはそうもいかなかった。

今回呼ばれたのは、彼女達にとって最も重要な事が彼から発表されるからで、学長も真剣な眼差しで口を開いた。

 

「・・・さて。ミラー、ブロウニング両訓練生」

 

「―――はい」

 

「はっ―――」

 

 

「昨日行われた最終実技試験の結果だが・・・」

 

「「・・・・・・。」」

 

 

 

「おめでとう。両ペアともに合格だ」

 

 

「・・・ふうっ」

 

「・・・・・・。」

 

試験通知の結果を聞き、合格であると分かった二人はホッと胸を撫で下ろした。

昨日、彼女達四人は陸戦魔導師としての最終試験を受けていた。これを合格すれば晴れて訓練生たちは陸戦魔導師となり、管理局の一員になることが出来るのだ。

内容は実践形式の実技試験で、ビル内に拘束された人質を救出。犯人グループを確保しろというものだった。

 

その結果用紙を見せられた二人は不安が取り除かれてホッとしていた。のだが・・・

 

「ただ・・・」

 

「・・・ただ?」

 

「・・・?」

 

「・・・ミラー君。君の所には私が少し書き足しているから、後で読んでくれたまえ」

 

「―――はぁ・・・」

 

なにやら別の何かを隠していたのか、学長は不安げな表情を見せてティアナに言った。

先ほどまでの真剣な眼差しから解けるように変化した表情は不安というよりも困っているといったほうが正しいのだろうか。

それでも彼女の合格通知には変わりは無かったのでその時はティアナは詮索は行わなかった。が、その表情と言葉の理由が、自分たちの合格用紙に書かれていることを、ティアナは退室直後に知ることになる・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を同じくして、訓練校にあるラウンジではティアナとレミィのパートナーであるスバルとライが、軽食を取りつつ今後の進路について語り合っていた。

まだ合格通知の合否を聞いても居ないのに早い事ではあるが、一応ながらあくまで合格したらという事で話を進めていた。

 

「ところでスバルよぉ」

 

「んお?」

 

「お前、卒業(合格)したら何処に入るんだ?」

 

「―――うっん。何処って・・・前に話したじゃん。私もティアも第七陸戦師団に入ってから108(父のところ)だって」

 

「・・・そういやそうだったな」

 

口に放り込んでいたベーコンドッグを喉の奥へと飲み込んだスバルは、口元にパンくずを残した顔でライの問いに答える。

過去に聞いたことをもう一度聞くのかと思っていたが、ライは彼女の口から語られるまで忘れていたようで、頭を掻いて面目なさそうにしていた。

 

「第七師団・・・本土(ミッド)防衛為に最近創設された錬度育成師団だっけか」

 

「うん。時々、他の師団の後方支援だったり兵員補充の為に駆り出されることもあるけど、期間付きが殆どだから心配ないだろうって。お父さんがね」

 

「・・・親父さん、確か元は・・・」

 

「そ。その事もあって、ちょっと過保護だと思うんだけどね・・・」

 

父の優しさには嬉しさを感じるスバルだが、もう少し自分が成長していると見て欲しいというのが彼女の本音だ。

彼女だってそれなりに力はつけているので前線行きでないにしろレスキュー隊だったりと興味のある部署などは多く存在した。だが、父というよりも経験者としてか「まだまだ実力不足だ」という事で彼女の技術に磨きをかける為にその師団を推薦したらしい。

最初こそスバルは推薦には反対していたが、実際師団の訓練の様子などを見ている内に、気が変わったのか、推薦ではなく自身の希望として師団行きを決めたのだ。

 

「けど、最終的にお前自身で決めたんだろ?推薦つっぱねて」

 

「うん。その時、お父さんの顔ったら・・・」

 

「・・・?」

 

「いや、灰になったような顔で呆然としてたからさ・・・くくくっ・・・」

 

その時の事を思い出し、笑いのツボに触ったのかスバルは一人でに笑い出していた。

どうやら父としては推薦は必要なくても受けて欲しかったのだろうと思ったライは、苦笑気味の顔でスバルの笑い顔を見ていた。

 

 

 

 

「あら、随分と楽しそうねスバル」

 

「―――ん」

 

「あ、ティア。レミィも」

 

「また二人で変な事でも話してたの?」

 

唐突に正面から声を掛けられたスバルは笑っていた顔を見上げて、声の主であるレミィとその隣に立っていたティアナの名前を呼ぶ。彼女が顔を上げたのに釣られてライも目線をスバルからレミィたちの方に向け、帰って来たという事はと思い、直ぐに話を其方に切り替える。

 

「まぁな。ところで、お前等が戻ってきたって事は・・・」

 

「ええ。合否は聞いてきたわよ」

 

「あ!どうだった!?」

 

「落ち着きなさいスバル。アンタの期待には答えられるわよ」

 

合格である事を遠まわしに告げたティアナはその証拠として通知の紙をスバルに渡す。レミィも同じくライに渡し、二人が合格できたという喜びの笑顔を再度確かめさせた。

 

「やった・・・!」

 

「ま。あれだけやったんだ。不合格なほうが可笑しいぜ」

 

「・・・かも、しれないわね、ティアナ?」

 

「・・・・・・うっさい」

 

「・・・?」

 

小さくガッツポーズをして合格に喜ぶスバルと、当然のように笑みを見せるライ。

しかしライの言葉にレミィは可笑しそうな笑い顔を見せてティアナへと投げかける。当のティアナはばつの悪い顔で頭を抱えて目線をズラしている。しかもどこか苛立ったような雰囲気にライは何があったのかと疑問に感じた。

 

 

「・・・あれ。なんか追加で・・・」

 

すると、用紙を眺めていたスバルが、最下部に二文ほど機械のとは違う、誰か人が書いたような文面を見つけ、その文章を目を凝らして流し読みする。

そこにティアナの表情の真実があったのだ。

それが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

“ 今後、無闇やたらと建物を倒壊(・・)させないように。(二人そろって)壊すのは簡単ですが、作るのには苦労するんです。師団に入ったら自重するように “

 

 

「・・・・・・ティア―――」

 

「アンタだって同罪なんだからね」

 

「あ、うん・・・」

 

 

ちなみに。これが原因で、二人は「ふたりはクラッシャーズ」という不名誉な異名をもった事になったという。

原因は、その名の通り。眼前の建物はバジリスクが乗った岩の如くになってしまうからだ。

 

「これ、大丈夫なのか?師団の話が無くなったりとか・・・」

 

「一応、向こうは「心配するな」って言ってるから大丈夫なんじゃない。私等は知らないけど」

 

「知らんってお前・・・一応お前等の行いが招いた事だぞ?」

 

「別に平気よ。人が救えるなら、建物の一つや二つ。倒壊しようが問題ないわ」

 

「それには同意するわ。慈悲は無い」

 

「に、ニンジャもびっくりの考えだよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうか。取りあえずは、ミッドに残れたんだな』

 

「はい。都合よく第七師団が創設されたので、幸いでした」

 

訓練校の一角。人気の全くない場所にティアナは一人、通信用デバイスを持ちある人物と連絡を取り合っていた。

彼女のことを知る数少ない人物で恩師である彼は、その声を聞くだけでも安心できるほどで、彼の器の大きさもあってか信頼する人物は数多い。

 

『直接108という方法は矢張り無理だったのか』

 

「ええ・・・向こうも一応、受け入れる人数を決めていましたから・・・」

 

『・・・まぁ、何にせよ。無事に入れるという事だな』

 

「ええ。ありがとう御座います、ボス」

 

ビッグ・ボス。

またの名をスネークが、画面越しに「そんなことはない」と返す。

蛇のような鋭い目と右目の眼帯。そして、トレードマークであるバンダナを付けた彼は、その屈強な顔つきにも関わらず、威圧感のない表情。人間らしい笑みを見せて答えた。

 

『ここまで出来たのはお前の力だ。俺のお陰じゃないさ』

 

「・・・けど、貴方が技術を授けてくれたから、私は戦い方を知り。更に高める事ができた。もしそうじゃなかったら、私はずっと足踏みしていましたよ」

 

『・・・それは「もしも」の事だ。今のお前ではない。ありもしない自分と比べるなと言ってるだろ』

 

「―――。」

 

『お前はあの死線を潜り抜けて、一人の戦士になった。違うか?』

 

「そうですが・・・それを可能にしてくれたのは貴方です。私一人でどうにかなることじゃなかった」

 

『だが、最終的にはおまえ自身の力で生き抜いたんだ』

 

「・・・・・・。」

 

『もっと自分の力に自信を持て。いくら人にどうこうされようとも、最後に決めるのは他人じゃない。自分自身だ』

 

 

「・・・自分自身・・・か―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

= 約一年前 =

 

 

ティアナとスバルが卒業する前の事。ある日、スバルが二枚の用紙を持ってティアナに進路について、話を持ちかけたことがあった。

当の本人はまだ勉学に勤しんでいた時なので、聞いたときには専用の眼鏡を掛け、机に向き合っている最中だった。

 

 

「希望進路?」

 

「うん。訓練校卒業後に、何処に入るか決めておけってメリッサ先生が」

 

当時、ティアナは別にミッドに残れればそれで良いと考え、明確に進路は決めていなかった。彼女にとって、正直どこでも一緒だろうというのが本音だったのだ。

 

「・・・別にどこでもいいんじゃない?それに、直ぐに決めなきゃいけないって理由もないんだし・・・」

 

「駄目だよ、ティア。ちゃんと決めないと、コレ後々響いちゃうんだよ?特に、お給料とか」

 

「ぶっ―――なんでたかが進路で給料変わるのよ!?」

 

「さぁ?なんか、キャリア(経歴)実戦(結果)で変化あるみたい」

 

「はぁ・・・?」

 

しかし、スバルの話を聞き、堕落っぷりに呆れたティアナはどういう神経をしている、と頭を抱えた。

たかがそんな事だけで給料を上げ下げするなら、インチキ(改ざん)すれば楽な話なのだ。

それを分かっているのか、それとも分からずなのか。

正義の味方は気楽だな、と深く溜息を吐いていた。

 

「・・・どうしたの、ティア?」

 

「・・・いえ、世間の馬鹿っぷりに呆れただけよ」

 

「もしかして、インチキしたら上がるって思ってる?」

 

「―――。」

 

「大丈夫だよ。(陸戦)にも(制服)にも、中立立場の監査官がいるから、毎年そう言うのを徹底的に調査して決めてるって話だから」

 

一応は分かっているのかと思える措置を彼女の口から聞き、それでも軽く賄賂ぐらいはされてるのではないかと疑惑を持つ。

スバルの顔は大丈夫と言っているが、彼女にはどうにも信用ならなかったようだ。

 

「・・・都合のいい話ね」

 

「そうでもないよ?実際、去年退職に追い込まれた海の佐官さんが居たでしょ?」

 

「・・・確か、履歴の改ざんと組織資金の不正使用疑惑だったかしら」

 

「うん。それを暴いたのも監査官さんたち。全うな中立立場で、組織以来ほんの極少数の人しか構成員とか分からないんだって」

 

「授業じゃ大体、三十いるか居ないかだったはずだけど?」

 

「それは創設時。言ってたじゃん」

 

「・・・・・・。」

 

「で。結局、ティアはどうするの?進路」

 

「・・・進路、ねぇ―――」

 

 

 

そんな話があった直後。スバルに第七師団推薦の話が滑り込み、それに乗ったティアナも彼女と共に希望を第七師団に決めたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

= 現在・同時刻 ミッドチルダ =

 

 

管理局の二大勢力。地上本部と本局。

その中で海と空の二つを護る、「法と秩序の守護者」を称する組織。

空戦魔導師の総本山。管理局本局。

 

そのオフィスの一室では一人の若い女性が、仕事疲れか。それとも、だらけているだけなのかデスクの上に倒れこんでいた。

 

 

「・・・・・・はぁ―――」

 

溜息を吐き、晴れることのない気分をどうやって晴らすべきかと、頬をデスクに擦りつけているその姿は、普段の彼女の態度と雰囲気からすれば到底考えられるものではない。

寧ろ、人前で見せているのはあくまで他人との付き合いの時のもの。本当の彼女はこれなのだろう。

 

「あ゛ーー・・・どないしよぉ・・・」

 

関西弁に似た口調でぼやく少女は、氷が解ける様に全身から力を抜いていき、椅子とデスクとの間に両腕をぶら下げる。辛うじて頭と腰に力を入れているので体勢は保たれているが、一歩間違えれば胴体からズレ落ちるのは明らかだ。

 

だがそうでもしない限り、彼女の悩みは解決しない。

体勢を変え、思考を変え。様々な見方と考え方で解決に導こうとする。

 

が。それを始めて早一時間。その結果がこの有様なのだ。

 

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーー・・・・・・あと・・・後、二人ぃぃぃ・・・」

 

 

 

 

「時間はまだあるのですから、しっかりして下さい。主」

 

オフィスの自動ドアから一人の女性が入り、見っとも無い姿の彼女に声をかける。

ピンクのロングヘアという風変わりな姿をする彼女は、スタイルは整っており。顔つきも凛としたもので、本局内でも容姿の評判はかなり高い。

しかし。彼女こと、シグナムは同時にかなり好戦的な性格で有名な人物でもある。

その所為あってか、彼女についた二つ名は「桃色バーサーカー」だとか。

 

「シーグーナームゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・」

 

「・・・しっかりして下さい。貴方がちゃんとせねば、計画は水の泡なのですよ?」

 

「分かってるねん・・・分かってんねんケドなぁ・・・」

 

「酒屋の酔っ払いみたいな事を言わないで下さい。人前ではその姿、出してはいけませんよ」

 

「ううう・・・・・・」

 

しかし実際、シグナムは割り切りのいい性格で、言えば気持ちの切り替えをしっかりと出来る人物だ。

好戦的になるのはあくまで戦闘などの時。普段はこうして彼女が主と称する女性の世話を焼いたりと至って真面目なのだ。

 

「それに。一応ながら、主の悩みを解決できるものを持ってきました」

 

「・・・解決できるもの?」

 

「はい。今年の陸戦魔導師訓練校の卒業生のリストです。先ほど、ゲンヤ三佐から受け取りました」

 

シグナムが脇に抱えていた資料を入れたファイルを渡すと、その中に入っている分厚い紙の束と一枚目に書かれている卒業生の数に、彼女の目は潤いを取り戻していた。

 

 

「―――へー・・・今年は結構な人数が卒業するんやなぁ」

 

「それでも今年は例年よりも下だといいます。最盛期はその倍はあったと、ゲンヤ三佐も言っておられました」

 

「この際、そういう欲は言わんて。ウチはこうして多くの後輩らが卒業してくれるだけでも嬉しいからなぁ・・・」

 

(・・・空戦の我等がそれを言えば、睨まれるのは目に見えているが・・・)

 

「ふーん・・・今年は結構個性的な子が多いなぁ・・・トラップ、爆破系を得意とした子・・・バトルアックスをメインとした突撃兵タイプ・・・・・・ん?」

 

「どうかしましたか?」

 

思わず手を止め、紙の束の中から二枚の用紙をデクスの上に並べ、他の束をファイルの上に置いた彼女は、何かが目に留まったのか呟くように読み始めた。

 

「スバル・ナカジマ・・・ナカジマってまさか―――」

 

「ええ。ゲンヤ三佐の所の次女のようです」

 

彼女もゲンヤからしつこく娘の話を聞かされており、特に長女のギンガが立派に育ったお陰か、今度は次女のスバルに愛を集中投与し始め、傍から見ればストーカー紛いのことも平然と行っていたそうな。

ちなみに、その全ては自分の権限でもみ消すという公務員にあるまじき行為を過去百単位以上行っている模様。

これには彼女も呆れる他反応が出来なかったという。

 

それを思い出したのだが、それともう一つ。ある事も思いだしていた。

スバル・ナカジマといえば。第一印象として彼女の記憶の鮮明に残っていた記憶を脳裏によみがえらせていたのだ。

 

「それに、この子あの時の・・・」

 

「総合成績は一位。学力も申し分なく、何より格闘戦重視の戦闘スタイルを持つという異例の訓練生のようですね」

 

「うーん・・・けど、格闘技だけでそんな・・・えっ!?柔道、空手、八極拳経験・・・極めつけには軍用格闘術!?」

 

「クロース・クォーターズ・コンバット。CQCですね。ですが、見た限り恐らくかじった程度ではないかと」

 

「かじった程度でも軍人さんの格闘術身に付けてるって・・・どんな子に育ててんねんあの人・・・」

 

彼女たちは知らないが、ゲンヤの教育理念は「基本本人の自由」がモットーで責任をもてるなら、という条件付でゲンヤは彼女が望む事を叶えてあげていた。

当然、賛否をいう事もあったが、本人の根気強さに親として負けたというのが履歴に色濃く出ているのだ。

 

「はぁ・・・最初のインパクトが強すぎて、後の子に響くようで怖いわ・・・」

 

「二人目は・・・彼女のルームペアみたいですね」

 

「らしいな。名前は・・・ティアナ・ミラー・・・変わった名前やなぁ」

 

「それを言うなら、我等もですよ・・・」

 

「それは言わんといて、シグナム・・・ウチ薄々と後悔してるんやから・・・」

 

候補として挙げられたもう一人、ティアナのデータが書かれた紙を自分の目の前に置き、流し読みで見始める二人。何か光るものがあったという勘だけを頼りに取り上げたのだが、二人はその一部始終を見終えると表情を変えていた。

 

「・・・・・・。」

 

「――――なんやこれ・・・」

 

「・・・ナカジマも大概ですが、こちらも別の意味でなかなか・・・」

 

始めは心配気味だった表情がここまで一変したのは、彼女の学業などの成績が余りにも現実的でなかったからだ。

自分が知る中でもココまで飛躍的に能力を伸ばした人間が過去にいただろうか、と自身に問いかけたが、直ぐ様「無い」と断言できた。

 

「学業成績、一年はビリ手前やったのが・・・今年の総合で三位て・・・」

 

「実戦成績はほぼパーフェクト・・・空戦は兎も角、陸戦でもここまでの逸材はそうは居ないはずです・・・」

 

「使用デバイスはアームドの銃タイプ。実践訓練?ではダントツトップ・・・ポジションはキャプテン(隊長)兼スナイパー・・・なるほど。彼女(スバル)の真逆ってことやな」

 

「ええ。前衛のジンクスを彼女が見事なまでにフォローしているのでしょう。そうでもなければこの成績に理由は付けられない」

 

流しであるので詳細は細かく確認していないが、軽く見ただけでも主と呼ばれた彼女に冷や汗がにじみ出るほどの能力と成績を持つ卒業生が資料の中にはゴマンと居た。

恐らくもっとよく確認すれば、彼女たちに近い成績や能力を持つ者がごろごろ出てくるだろう。

 

「・・・今年の卒業生はナニモンや・・・流しで見てたけど、かなりバケモン揃いやで・・・」

 

「逸材の宝庫と他の者は言うと思いますが・・・これは中々に面白いものですね。いかがしますか?」

 

「・・・・・・。」

 

 

改めてシグナムに問われ、思考の海に落ちていく。

 

確かに、今年の卒業生は逸材が揃っている。はっきり言えば異常だ。

例年の成績と比べれば、その差も歴然ではあるし、何より自分の時とは比べる事すらも出来ない程にランクが違っていた。

当時の自分と今の彼らを比べれば間違いなく彼らが優秀だ。

その中で、彼女の頭の中に強く印象を残した者達。

自分が引き上げた雫の涙ほどの金の卵―――否。

 

「・・・まさにダイヤモンドやな―――」

 

「・・・・・・。」

 

今更なにを考えている。答えは決まっているのだろ?

内心のもう一人の自分がそう告げるのが聞こえた彼女は小さく笑い、立ち込めていた煙の中を駆け抜けたかのように、晴れた顔でシグナムに目を合わせた。

 

 

 

 

 

「シグナム。今すぐ、ゲンヤさんに話つけてくれへん?この二人について・・・!」

 

 

「・・・ええ。直ちに」

 

 

この子たちなら、もしかしたら。

色々な希望。期待を胸に、膨らませ―――八神はやては、シグナムに命じた。

 

 

「この子ら・・・ウチが貰うで!!!」

 

 

 

 

 

 




キャラクター設定 (オリジナルキャラクター編)


レミィ・ブロウニング (イメージCV 辻あゆみ)

Old : 15
Like / Don't Like : 読書 トラップの構築と製作 そのトラップに引っかかる相手(馬鹿であるなら尚良し) / 自己中心的な人(無自覚も同様) 解けたアイス ぬめりのある食べ物
Affiliation : 陸戦魔導師訓練生(第四話時点) 108陸戦部隊(Sts本編)
Staff Rank : 実戦・B  開発・B 糧食・D 医療・D 諜報・D
Skill : 工作員 チャネラー SWAT

本作オリジナルキャラクター。
陸戦の訓練校でティアナが知り合った友人の一人で、ライ(後述)とペアを組む。
冷静な性格ではあるが、実際腹黒いところもあり、自分の嫌いな人間であれば容赦なくトラップの餌食にしてしまうクセが子供の頃(・・・・)からある。
しかし仲のいい友人であれば優しく、助言をしたりもするようで、ティアナも彼女から助言を受けることも多々あった。

容姿は一言で言うなら「大人びている」。黒いショートヘアと眼鏡がトレードマークでスタイルも整っている為、歳以上に見えるという人も少なくないらしい。
どうしてそんな容姿になったのかは、本人曰く「生活をきっちりする事」らしい。

ティアナとスバルとは四人一組(フォーマンセル)の実践訓練を多く行った仲で自然と友人となった。特にティアナとは気が合うようで、時折スバルに変わり勉強を教えていたりしていた。
陸戦魔導師になろうとした理由は不明。曰く「語るほどでもない」との事。
学業成績(最終)は一位。総合では三位。





ライ=クロガネ (イメージCV 森久保祥太郎)

Old : 16
Like / Don't Like : 運動系全般 森の中での食料探索(っていうかサバイバル) 子供の笑顔 / 独裁者 夢や理想を馬鹿にする奴 口やかましい母親(苦手意識)
Affiliation : 陸戦魔導師訓練生 → 108陸戦部隊
Staff Rank : 実戦・A  開発・D 糧食・B 医療・D 諜報・D
Skill : 囮 プロレスマニア 大和魂

本作オリジナルキャラクター。
レミィのパートナーでティアナの知り合いの一人。ただし、厳密にはスバルからの経由で知り合った仲。
明るく面倒見の良い性格で四人一組時は、スバルとならぶムードメーカーの一人。
しかし戦闘ではかなり好戦的で眼前の敵は粉砕するのを信条としている。その為、味方が巻き込まれる事も多々あるようで、その度にレミィに注意されるのがお約束。
また子供の面倒を見るのが好きで、父方の姉弟が孤児院をしているのでそこに山などで採れた山菜や魚などを定期的に送っている。その為、山の中でのサバイバルについては長けており、食料等についても詳しい。

ぼさぼさとした茶髪でアジア系に近い容姿をしている。また、体格はしっかりとしており一応歳相応の外見だが、服を脱げば大人顔負けの肉体を持つ。

元々スバルが知り合ったのが始まりで、其処から互いにパートナーを紹介して知り合ったわけでティアナはレミィのパートナーで顔見知り程度にしか思っていない。
魔導師になろうとしたのは、稼ぎで養えるから(誰とは言っていない)
学業成績は二十八位。総合はレミィと同じく三位。
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