Nanoha×MGS = The Rebrllion =   作:No.20_Blaz

5 / 6
意外にもサクッと出来てしまった第五話です。

今回からSts編………と行きたかったんですが、その前にもう一つ前日談を今回は行います。
ズバリ、今回ははやてたちの視点で六課設立までの事が今回の内容です。
なので今回ティアナたちはお休み。登場は次回のSts本編になると思います。

ちなみに今回けっこーキャラ達の性格が変わっていたりしています。
特に若干一名は激しく……ええ。激しいです。

では、そんなこんなで(おい
Nanoha×MGSスタートです。



(実はSts本編が原作どおりに進むのかでさえ怪しいなんて言えない………)


第五話 「夢か真か」

 

 

 

= ミッドチルダ 首都グラナガン郊外 =

 

 

第零管理世界ミッドチルダ。

次元世界の中では最も技術と文明が発展していると称している世界で、法と秩序の守護者を名乗る、彼ら時空管理局の本拠地でもある。

中心部に管理局本局を象徴とし、絶対的権力と軍事力を見せ付ける彼ら。

 

しかし、灯台下暗しと言うべきか。そこには彼らの勢力が及んでいない場所というのは多くある。

いわば中立地帯と呼ばれる地域がミッドチルダの首都郊外に多数存在し、そこは文字通り陸戦・空戦の双方が利用する重要な場所で、情報収集や非公式の取り引き、更には表立っては禁止されている物の入手する経路もココには多く存在している。

例を挙げれば本局が禁止している質量兵器と呼ばれている銃がココではルート次第で簡単に入手が可能だ。

 

 

 

 

 

そんなミッド郊外にある中立地帯の町。ストリート街と呼べる場所にある一軒のパブで、そこでは何の変哲もない、将官ランクの局員達の四人が密談を始めていた。

 

 

「会員用ボックスまで使うたぁ・・・例の話か?」

 

「それ以外、今のウチらが話す事があると思いますか?」

 

「・・・ねぇな。改まって思うと」

 

 

会員専用のボックスはそのパブを何度も利用し、マスターに顔を覚えられて始めてなれるものらしく、会員数はミッド広しと言われても数える程度しかいない。

無論、理由としては来客数が少ないという事もあるのだろう。

しかし、何よりココに来るという事に戸惑う者も多く居るのがもう一つの理由だ。

名のある悪党。腕のあるベテラン。それを上回るプロ。

何時しか、そのパブは強者の巣窟となっていたのだ。

 

そんな危険地帯ともいえる場の中に、彼女ことはやても会員として数えられている。

どうやら顔を嫌でも覚えられるほどにここを利用しているらしく、マスターも影では溜息を吐くほどだ。

彼女が会員になってからというものの彼女からの注文が殆ど来なくなって、辛うじて注文があるとしてもそれは密談の時ぐらい。しかも軽いつまみ程度だ。

 

「マスターも滅入ってたぞ。たまにゃあ一人の客として来てやれよ」

 

「この案件が無事に通ったら・・・シグナムと二人で打ち上げしますわ」

 

「・・・ま。あの三人も好き好んでこんなところに来るとは思えませんし、そうなるでしょうね」

 

苦笑交じりに答えるシグナムは、豊満な体を見せ付けるかのように彼女の隣に座り、時折ゲンヤの隣に座るギンガとはやての目をチラつかせる。かなりスタイルのいい彼女の身体がまざまざと見せ付けられれば女として気になって仕方ないのだろう。

 

「で、改まって訊くが、俺に何のようだ。あの話は俺には無関係のはずだと思うが」

 

「またまた。話はギンガから聞いてるはずやと思いますけど?」

 

「・・・・・・。」

 

子供のようににやけるはやてはゲンヤにそう答えると、一枚の紙を彼の前に出す。ミッドの標準言語、英語で書かれた管理局の資料のようだ。

 

「ゲンヤさんだって話は聞いたはず。ウチが何をしようとしているか。何を考えているか」

 

「・・・。」

 

言葉に耳を傾けていないかのように資料を手に取るゲンヤは、何度も見ていた資料なので軽く読み流すと隣で前もって頼んでいたジュースを飲むギンガに渡した。

何度も見た資料だが、今回のはあまり気が乗らない。というよりも案が固まれば固まるほど、彼の眉が寄せられてしまう。

 

「わかってる。分かってるがな。これは流石に現状無理としかいえんな特に、今回見せられた”修正版”は」

 

「そんなん、作った私だって分かってます。これがどれだけ彼ら(上層部)には馬鹿馬鹿しいものであるのか。どれだけ子供の夢物語であるのか」

 

 

「うわ・・・」

 

思わず声を漏らしてしまったギンガは、彼女が気を悪くしてしまったのではないかと直後に気づき、目線を上げて様子を窺う。

しかし当の本人はその反応が当然のものだと分かっているので、何も言わずゲンヤと目を合わせていた。

 

「―――で。その夢物語を成就させる為に、ウチはあとちょっとだけ欲しいのがある」

 

「・・・(スタッフ)か?」

 

「ええ。ココ(資料)に書いてる通り、今現在の時点で殆ど重要なポストな埋めれました。けど、後はそれ以上に自由に動いてくれる人が必要。つまり、階級に縛られず任務を達成するフォワードメンバー」

 

「――新人どもか」

 

ゲンヤの読みに、はやては頷く。

 

「今年の卒業生のリストを拝見させてもらいました。今年は・・・えらい卵達が産み落とされましたな」

 

「・・・・・・。」

 

(卵・・・というよりもね・・・)

 

やはり見ていないからか、と思うギンガはある出来事を脳裏に思い浮かべていた。

 

「―――。」

 

違う。正確には思い出していたといった方が正しいだろう。

脳裏に酷く鮮明に刻まれた刺激的過ぎるあの出来事を。

 

 

 

 

数日前の事だ。

ゲンヤが訓練校に用事があると言い出し、二人で様子見も兼ねて向かう事になったのだ。

様子見が本音だと分かりきった言い訳をした彼に半ば呆れ気味だった彼女だが、それほど気にしている、どこまで成長したのか気になる、と子供のような興味があったのだろう。

 

ギンガも自分の妹がどれだけ成長しているのかを見たいと思ったのが理由で、同行することを決意。親が子供の授業風景を見に行くかのように彼らは向かった。

 

(二佐だって分かっているはず。彼らの実力を―――)

 

しかし現実は彼らの思っていた甘い考えを簡単に崩してしまった。

そこにあったのは生易しい魔導師の訓練でもダラダラとした子供遊びでもない。

本物の軍隊さながらの訓練と、それに平然とついていく訓練生が居たのだ。

 

(卵というより・・・)

 

「つーよりも、トンビが鷹の群れを生んだような感じだがな」

 

「・・・ええ。産み落とされた鷹の群れ―――」

 

ゲンヤたちの前に新たに二枚の資料が置かれる。

それを手に取らずに見た彼は眉間にしわを寄せて表情を曇らせ、本気なのかと見るだけ無駄な彼女の目を見た。

 

 

「ゲンヤさん。この二人。ウチに下さい」

 

「・・・・・・。」

 

 

二枚の資料。そこには彼が良く知る二人の人物の顔写真が張られていた。

スバル・ナカジマとティアナ・ミラー。

自分の娘とその友人を彼女は物の様にくれと言ってきたのだ。

 

「駄目だ」

 

だが答えは変わらない。変える気はない。

ゲンヤは断言して答えた。絶対にと。

 

「・・・そこをどうにか」

 

「駄目だ」

 

子供のようにせがむ彼女にゲンヤは変える意思がないと目を閉じて復唱する。

手を合わせてお願いしますと神に頼むように言う彼女だが、頼むものが悪かった。どんなに頼んだとしても絶対に首を縦に振らないであろう者を彼女は欲してしまったのだ。

その頑なな態度にはやては無駄と分かると表情を変え、冷たい目で彼に尋ねた。

 

「・・・娘だからですか?」

 

「それもある。だがな。それ以外に理由は幾つかある」

 

「・・・それは?」

 

「―――お前、この二人の配属先を知ってて訊いたのか?」

 

「第七師団、でしょ?ウチかて知ってます」

 

「既に話はつけてるし、向こうでもその用意は完了している。今更配属先を変えますなんて簡単に出来ると思ってるのか」

 

「・・・・・・。」

 

「それにだ。お前のこの案の前提。明らかにこいつ等に合ったものじゃない。鶏に空を飛べって言ってるのと同じだ」

 

「ッ―――」

 

「何より」

 

「―――。」

 

 

「テメェの城でへーこらさせる為にウチ(地上)から出す局員は一人も居ない。仮に創設したとしてもテメェ等のキャリアを自慢させる為の舞台でしかねぇんだよ」

 

 

「・・・・・・。」

 

現実を次々と投げてくるゲンヤに、はやては悔しさを抑えて唇が切れそうなほど強くかみ締める。薄々は分かっていた事だが、ここまでの批判と反論の応酬となると彼女の精神も揺らいでしまう。自分が間違いだったのか。自分にはまだ早かったのかと、心の底から隅に置いていた不安さが湧き上がってくる。

 

だが。それでも今回だけは退けない。どんなに侮辱されようと。どれだけ馬鹿にされようと。今回だけは彼女にも退けない理由があった。

 

「分かっているだろ。この部隊の構想。人員。理念。ただの子供の妄想にすぎん。それを分かっていてお前は―――」

 

「子供でもいいんです」

 

足を踏ん張り、腰と腹に力を入れ、勇気を出して搾り出す。

何を言われようとも、何をされようとも決して倒れない自分の意志を示すかのように、はやては声を絞り出した。

 

「別に背伸びしているつもりでもないんです。他人に認めてもらいたいためでも、自分たちの事でお涙頂戴をさせる為でもない。自分がしたいからする、やりたいからやる。

 

 

 

成し遂げたいという理由があるから成し遂げたい」

 

「・・・・・・。」

 

「前に・・・ゲンヤさん言いましたよね?「自分のやりたい事があれば最後まで責任を持ってやれ」って」

 

「―――。」

 

「同時に「どんな事を言われても、どんなに馬鹿にされても。『やりたい』って思う事があれば突き通せ」って」

 

「それは―――」

 

自分が以前彼女に言った台詞。

現在でも曲げない自分の理念。その結果が目の前にある。その結果が、今の自分の居場所(108部隊)だ。

自分に自分の言葉を突きつけられ、ゲンヤは言葉を搾り出そうとするが肝心の言葉が思い浮かばなかった。

 

「ウチはそれに従います。やりたいからやる。やりたい事やからやり通す。決めたから曲げない」

 

「―――ッ」

 

「ゲンヤさん――――――この二人。貰います」

 

「・・・八神。テメェ―――」

 

頼みではない。要求ではない。願いではない。

もう決めた事だと、彼女は堂々と言い放った。

睨みを利かせようと。威圧感で圧しようとも。彼女の意思は変わらない。

彼女の目の色は、輝きを失わない。

 

 

「・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

 

息苦しい静寂が彼らの間を通っていく。

二人の接戦を見ていたシグナムとギンガはその息苦しさに窒息死してしまうそうで、汗をにじませると息を飲んだ。

その息でさえも重く、更に息苦しく思えてしまうほどの重圧。

気が狂ってしまいそうだと、ギンガは自分の意識を支える事に集中させる。

 

 

そして。やがてその静寂は一人の言葉でかき消される事になる。

 

 

「・・・・・・はぁ」

 

「・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

「――――どうなっても知らんぞ」

 

刹那。ゲンヤの言葉にはやては表情を明るくした。

思わず涙がこぼれ出そうなほどに喜びをかみ締めた彼女は、激しく身体を揺らし感謝の礼を言った。

 

「ッ・・・・・・!!ありがとう御座いますッ!!!」

 

 

「・・・・・・。」

 

「ふうっ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲンヤとはやての交渉はゲンヤが折れる形で終結した。

はやてはその結果スバルとティアナという二人の宝石を手に入れ、子供の様に喜びの笑顔を見せていた。

が。それで全部が終わりと言う訳ではない。

ゲンヤがそれに当たって提示する条件というのがあると言う事で二人きりにしてくれと、シグナムとギンガを一旦ボックスから退室させたのだ。

 

 

「・・・一時はどうなるかと思いましたね・・・」

 

「ああ。さすがに心臓に悪かったが・・・よい形で安心したな」

 

カウンターで二人の話し合いが終わるのを待つことにした二人は先ほどの空気が抜け切った反動か気の抜けた様子で語り合っていた。

年齢からしてシグナムが上だが、本人が知人との会話ではあまりそう言うことを好まない為にギンガも少し年上に対しての話し方で言葉を交わしていた。

 

「あはははは・・・もうああいうのは勘弁してもらいたいですよ・・・」

 

「まったくだ。つき合わされている方の身も持たん」

 

肩に伸し掛かっていた重圧がやっと抜け切ったのか、シグナムは頼んだ酒を喉の奥へと流し込む。ロックアイスで冷え切った酒が喉を潤し疲れを抜けさせ、身体を火照らせる。

気分が落ち着き、張り詰めていた神経がふやけて解けるような感覚にシグナムはしばし入ろうと多めに飲んでいた。

 

「・・・・・・。」

 

「・・・ん?どうした?」

 

「・・・いえ。別に・・・」

 

もう少し酔っ払う酒ならチャンスがあるか、と思っていた彼女だが後が怖いと思い今は思いとどめていた。今は。

 

そんなギンガの視線を他所にシグナムは話を切り出す。

 

「・・・まぁ無理もないか」

 

「―――え?」

 

「主の案のことだ。今回の」

 

「・・・ああ・・・確かに・・・」

 

無理というよりも無茶すぎる案だと言い出しそうになるが、それは彼女だって同じ事だ。

現実、あんな考えを出すところも、そもそも考えようとするところもギンガからすれば無茶な事だ。

 

「そもそも、八神さんも草案の時点で分かっていたはずです。自分の考えたことがどれだけの事なのか。それが本局や地上本部からすればどれだけの愚行なのか」

 

「分かっていたいた。主も自分の考えがどれだけ無理難題であるのかは分かっていた。別に、新しい事の先駆けになりたいとかもそんな事を彼女は思っちゃ居ない」

 

「じゃあ、どうして・・・」

 

「・・・主曰く。「対立しているのは差別意識を持っているからだ」という事らしい」

 

「それって・・・殆どの局員に当てはまる考えだと思いますよ・・・特に今は」

 

「ああ。だから彼女はそれを崩す為に、自分の考えを証明したいが為に・・・もしかしたらこの考えを打ち出したのだろうな」

 

「・・・それって、総理念は建前って事になるんじゃ・・・」

 

「建前ではないはずだ。現に彼女も私も被害者の部類だ。一応はな」

 

「被害者だからって・・・これが成功する確率は・・・」

 

「それでもやるだろうな。主はこの部隊創設を」

 

「・・・・・・。」

 

そう言って俯いたギンガは、彼女も不安があると言う事を察した。

彼女の考えていること。やろうとしている事。作り上げようとしている部隊のことを。

 

「―――対ロストロギア対策部隊「機動六課」・・・」

 

はやてが始めようとしている部隊。それは今までの管理局ではまず絶対に出来る筈がないという物の塊。少数精鋭、陸空混合の部隊。空戦魔導師をメインとした管理局内では始めてのロストロギアを専門とした部隊。

その部隊の局員の顔ぶれをギンガがはじめてみた時は思わず声を失い、彼女の考えを疑った。

 

エース級の空戦魔導師を彼女を含め五人。

そこにサブと通常戦力として新人の陸戦魔導師を配置。

まるでひな壇のように上に行くほど豪勢になるというものだった。

 

「後ろ盾も十分すぎるほどに確保している。が、これが原因で恨みを買われるというのも当然のことだろう」

 

「それもありますけど・・・やっぱりスバルたちを部隊に引き入れるのは納得できません」

 

「・・・。」

 

「そもそも、陸戦のあの子達が空戦である皆さんの引き立て役になっているというか・・・」

 

「私もそこは分かっている。だから基本的にはフォワードメンバーが前線に立ち、アイツらや私達は基本前には立たん・・・という言い訳があるがな。確かにお前の言い分も尤もだ」

 

宥めるように言うシグナムは残った酒を喉の奥へと流すと、音を立ててテーブルの上に置く。彼女の意思と知ったギンガは気まずい顔で目を逸らした。

 

エース級の空戦魔導師五人と新人の陸戦魔導師四人。

誰の目から見ても釣り合いが取れていないのは明らかだ。

シグナムもそれは重々承知して、その為の言い訳(・・・)彼女の上官(はやて)が用意していることだって知っている。

だからなのだろうか。シグナムの表情は急に曇りを見せはじめていた。

 

 

「・・・私も、この部隊が無事に終わりました(ハッピーエンド)を言えるとは思っていない。特に・・・」

 

「・・・特に?」

 

「・・・若干一名、不安要素の塊が居るからな」

 

「まさか・・・」

 

「ああ・・・高町(・・)のヤツ、途中で暴走せねばいいが・・・」

 

 

六課メンバーの一人、隊長陣として名を連ねている女性。彼女は幼くして魔導師となり、数々の事件を解決したいわばアニメヒーローのような人物だ。

名を高町なのは。

現在ではエース・オブ・エースと呼ばれている空戦魔導師の要で、最も有名な魔導師だ。

 

そして。裏の二つ名は―――「神の代行者」。

管理局の意をそのまま表したかのような天の使い。

それを良い意味で捉えている人間など、恐らく彼女の身内も含めて誰一人として居ないだろう。

 

「・・・やっぱりなのはさんも?」

 

「当然。主が最初に声を掛けたヤツだからな。即答で返事をしたというし・・・はて、何をしでかすか・・・」

 

「・・・・・・。」

 

そう。アニメヒーローのような電撃的登場をした彼女は瞬く間にその実力と頭角を現し、今の地位にいる。

だが、その過程で彼女は多くのことを学ばなかった。

それがこの先どうなるのか。どう影響してしまうのか。考えるだけでも恐ろしく、そして果ての見えない結末だと、火照った身体にシグナムは感じていた。

 

「アイツは・・・今のアイツは昔以上に危険だ。なにが原因で着火するのかも分からない。何が理由で・・・暴走するかも―――」

 

「そ、そんなに・・・」

 

「あり得るんだ。特に今のこの世界では」

 

「・・・・・・。」

 

「もしかしたら、ギンガ。お前よりもアイツの方が劣るやもしれんからな」

 

「わ、私よりもですか!?」

 

「・・・そうだ。今のアイツとお前。比べれば、違いははっきりと分かる」

 

まるで彼女を危険な動物か火薬庫と見るかのようにシグナムは目を細めていた。

愉悦や苛立ちではない。焦りに満ちた顔。

思うだけでも背筋に汗がにじみ出てしまうほどの危険な存在。

一体彼女は何を知っているのだろうか。何を思っているのだろうか。

 

不意に、彼女が飲んでいたグラスの中にあった氷が解けて落ちる音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

= グラナガン・某所 =

 

 

首都グラナガン。その都市部にある一つの建物。そこは主に管理局で使用するデバイスの研究や整備。メンテナンスなどを行ういわば技術科と呼ばれる場所だ。

 

その技術科の一室の個室では一人の女性が夜だというのに殆ど明かりをつけず僅かな小型の蛍光灯だけとモニターの光を頼りに投影式のディスプレイに映る映像とデータに釘付けになっていた。

 

 

「ふっ・・・ふふふ・・・ウフフフフフフフフふふふふふふふふふふ・・・・・・」

 

不敵な笑い声を延々と言い続けるのは、ブラウンのウェーブヘアーの女性。

丸い眼鏡が特徴的で、見るからに理系文系な雰囲気の彼女だが、その経歴を聞けばだれもが驚き、引いてしまうという。

 

 

「これは・・・なかなか・・・いやぁ・・・ふうっ・・・はああっ・・・あはっ♪」

 

意味不明で支離滅裂な言葉を間に挟み、映像に釘付けになっているのはそこに彼女が心撃たれたものが収められているから。そして何度も撒き戻して再生したいと思う程、彼女が好むものが映っていたのだ。

 

 

 

「おーい、いるか―――」

 

「ぐふっ・・・うぷぷぷぷぷ・・・にひゃあ・・・うほほほほ・・・ああ・・・♪」

 

「・・・・・・。」

 

「・・・えっと・・・シャーリー?」

 

後ろから二人の男女が入室してきた事に気づかず、画面に釘付けになっている女性ことシャーリー。口からヨダレをだしてみっともない姿を見てしまった二人は思わず声を失い、呆然としていた。

いつもと様子が違う。いや、まるで別人のような姿がまざまざと映っていたのだ。

が、それでも用事があると言う事で女性は何故か勇気を振り絞って声を掛けた。

 

「ぐへへへへへへ・・・」

 

 

「シャーリーさーん?」

 

「・・・・・・おーい、シャーリー」

 

「今ちょっと別件なんで後にして」

 

「・・・・・・。」

 

「・・・何してんだよ」

 

しかし本人は声は聞こえても誰とまではわからなかった様で、適当に答えると再び画面に夢中になる。

あまりの夢中さに思わず目を合わせた二人は、どうするべきかと考えるがだからと言って力でどうこうするというのもと思い気が引けてしまう。

 

なので。

 

「・・・仕方ない。ちょっと無理矢理だけど・・・」

 

半ば脅かして気を引かせようと考え、女性は三角型のデバイスを取り出した。

 

「バルディッシュ」

 

《Yes.ma`am》(※実は女性にsirは使わないとか)

 

それが本当に脅かす程度なのか。彼女の手には大鎌が手に持たれたのを見てもう一人の男はその鎌の大きさに思わず半歩後ろに下がってしまう。

 

「おおい、あんまり大事にしないで下さいよ・・・」

 

「大丈夫。向けるだけだから―――うん」

 

「いや、その「うん」ってなんですか!?まさか最悪首バッサリとかじゃないでしょうね!?」

 

「だ、大丈夫だよ!多分作者さんがギャグ補正でどうにかしてくれる筈だし!!」

 

いえ、今回はわりとシリアス方面も入れているので首バッサリはアウトですよ?

By 作者

 

「だ、大丈夫だよ!!そこは作者さんががががががが」

 

「おーい大丈夫なんですかー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ああもう!誰ですか!!人が折角フリータイムを楽しんでいるって時に―――」

 

 

 

「「・・・・・・。」」

 

 

 

「・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

十分後。部屋の明かりをつけ夢中になっていたディスプレイを閉じたシャーリーは面目のない顔で二人と向き合っている。

だがあの自分の性格がまざまざと見られた後だ。面目のなさよりも、彼女にはそれ以上の恥ずかしさがあり頬を赤くして俯いていた。

 

「ええっと・・・その・・・ゴメンね、フリータイムの時に無断でお邪魔しちゃって・・・」

 

「い、いえ良いんです。仮にも職場ですし、フリータイムと言っても勤務時間内のことですから、素の状態だった私が悪いんです」

 

(あれ、素だったのかよ・・・)

 

「で、改めてなんですけど・・・どうしたんですか、フェイトさん」

 

金色のロングヘアーを腰まで伸ばした髪と整ったスタイル。

その見た目と性格から影ではかなりの人気を誇る人物ことフェイト=T=ハラオウンはエースランクの空戦魔導師だ。

その彼女も苦笑いを浮かべて頬を掻き、自分の目的を忘れかけていたとなると彼女の場合まだ可愛げのあるものだ。

 

「時々来るのは分かりますけど、今日はその・・・ヴァイス陸曹と一緒で・・・」

 

「り、陸曹は今日は付き添いというか、単に偶然さっきあっただけというか・・・」

 

「お前んところに用事があってそれでばったりと会っただけだ」

 

呆れた目で語る男、ヴァイスは小さく溜息を吐いて彼女に他意はないと断言する。

彼はとある人物からの使い代わりに今回来ただけで本当にフェイトとは偶然技術科の中で出会っただけだ。

 

「あ・・・そうですかー」

 

「おーいなに棒読みしてんだよおめぇは」

 

「・・・・・・。」

 

「・・・それで。お二人は今日はどうしたんですか?聞くからにそれぞれ目的が違っていると思うんですが・・・」

 

「・・・。」

 

「お先にどうぞ、フェイトさん」

 

一度目を合わせた二人は先にどちらが話しを切り出すかと思っていたが、そこはレディファーストだと言って、ヴァイスが先を譲った。

それじゃあ、と答えたフェイトは持ってきていた一つの紙束をシャーリーに手渡した。

 

「・・・これは?」

 

「前にはやてが話していた部隊のこと、覚えてる?」

 

「―――確か、六課・・・でしたっけ」

 

「うん。機動六課。あれの案件がもう殆ど固まって、話もつけられそうなの」

 

「あの案がよく通りましたね」

 

「俺もそこはびっくりだ。まぁバックがバックだからか・・・っと」

 

さすがに悪かったかと思い、フェイトの方を見るが本人も分かっていたのだろうか、気なしないでと苦笑して答えていた。

 

「その部隊。六課の技術スタッフとしての出向は・・・できるよね?」

 

「ええ。話もつけてますし、後は荷物とかを纏めれば」

 

「――よかった。大丈夫かなって思ってたから」

 

「・・・話、ズレてますよ」

 

「あ、そうだった・・・――話は六課の設立後。そこに書かれているのは部隊に参加する予定の二人の資料だよ」

 

「二人?なのはさんとフェイトさんとかじゃなくて?」

 

「うん。その新人が二人。あともう二人の計四人がね」

 

フェイトの話を耳に入れつつ、資料を捲り始めるシャーリーは確かに、と小さく呟く。

そこに書かれている資料と貼り付けられている顔写真は若い二人の少女のもので、シャーリーは最近どこかで見たなと思う人物たちだった。

 

「―――スバル・ナカジマと・・・ティアナ・ミラー・・・ミラー?」

 

「・・・?シャーリー、知ってるの?」

 

「・・・ティアナ・・・ミラー・・・・・・・・・」

 

「・・・その二人の資料を元に専用デバイスの設計を頼みたいんだけど―――シャーリー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ・・・ふふふふふ・・・ふふふふふふふふふ・・・・・・」

 

 

「あ、あれ・・・シャーリー?」

 

 

 

「ティアナ―――ティアナ・ミラー・・・そう、あの子が・・・あの美しい私のジャンヌが・・・ぐふふふふふ・・・」

 

「・・・フェイトさん、まさか・・・」

 

「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が世の春がきたぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」(テラ子安)

 

 

 

「――ッ!?」

 

 

 

「ヒャッハー!!!!これはこれは最高ですねぇ!!!まさか!!あの子が!!!私のところに来るなんてぇ!!!!」(ヒャッハー中村)

 

 

 

 

 

「・・・シャーリー?」

 

「銃バカ大爆発か・・・」

 

頭を抱えるヴァイスは、自分が原因なのではないかと戸惑うフェイトに対し気にしないで、と呟き、シャーリーの発狂が冷めるであろう事を願っていた。

腕と実力は確かな彼女だが、その経歴は管理局内でも異色と言えるものだ。

 

しかしその発狂が何時終わるのだろうかと、二人は無視して暴走する彼女をその後しばらく眺めるほかなかったという・・・

 

 

 

 




オマケ。キャラクター設定。

スバル・ナカジマ

Old : 15
Like / Don't Like : 食べること 格闘技の鍛錬 ローラーブーツでの外出 / 火災 身内や友人を傷つける人 嘘(冗談などは問題なし)
Affiliation : 陸戦魔導師訓練生(第四話時点) 第七師団(中止)→機動六課
Staff Rank : 実戦・A 開発・D 糧食・D 医療・D 諜報・C
Skill : 囮 声優 プロレスマニア 熱血漢


ティアナのパートナーで準主人公兼ヒロイン(?)
原作よりも額の辺りの髪が少なく、より中性的。一人称は一貫して「アタシ」(時折「私」になったりもする)
明るく前向き。そして気配りが出来ると歳相応の落ち着きも見せるが、ティアナやレミィ曰く「アホの子」。また男勝りな所も多々あり、過去に数度ほど男風呂に平気で入ったことがある(しかも丁度男子訓練生が入っている時に)
当然その時はティアナやレミィ。更には教官たちからも呆れてしばらく入浴禁止を言い渡された。理由としては「別に慣れている」とのことで、後に原因が父である事が発覚。
またライと同じく子供好きで面倒見が良く、休日や孤児院のボランティアには積極的に参加。子供たちからも親しみやすいからか人気がある。
しかし、過去の経験などから嘘をつかれる事を嫌い、それが他人であったとしても注意するか反発をする。また自分が嘘をつくことも嫌っており、進んで平気で嘘はつかない。
冗談程度なら本人はまだ笑って済ますが、嘘の度合いが酷ければ怒りの片鱗を見せ、彼女の限度を超すものだと喉を省みずに怒声を上げるほど。

元々子供の頃は今とは違い内気で泣き虫だったが、ある時に母親が格闘技の鍛錬をしていた所を見たことが切っ掛けで格闘技に目覚める。母の死後もそれは変わらず、五歳前後の時に大人(局員)二人をケリ倒すほどの実力を持っていた。
その後、柔道・空手・八極拳と手当たり次第に習い、短期間のうちに習得。特に八極拳習得後には既に格闘能力は常人を軽く上回っていた。その為、将来は格闘家に成ろうかと思っていたが、余りに(本人の実力が)危険でやむなく断念。ギンガの勧めもあって、陸戦魔導師を志すことになった。尚、なのはの事は原作通り事件があったのだが、本人はその時気が気ではなかったので余り覚えていない。

戦闘スタイルは格闘技ではあるのだが、リーチが短いという欠点を持ち受け流されたり中遠距離からの攻撃には弱いため、ローラーブーツを履いて無理矢理間合いを詰めさせるという戦法を用いる。
相手が自分と同じ接近戦を得意としている場合は基本、足か腕を潰してから倒す。
しかしそれだけでは相手をほぼ無傷に倒すという事を出来ない為にCQCを習得。相手の無力化も可能としている。







ギンガ・ナカジマ

Old : 17
Like / Don't Like : スイーツめぐり デバイス等の整備 スバルとの戯れ(本人談) / 無益な殺傷 身内が傷つく所 ヌメヌメした奴
Affiliation : 108陸士部隊 捜査官
Staff Rank : 実戦・A 開発・C 糧食・B 医療・D 諜報・C
Skill : SWAT 声優 チャネラー 大和魂

スバルの姉で髪の色は彼女より濃く肌も少し焦げているのが特徴。これらはとある出来事でできたもので、それ以前は女性的な肌を保っていた。
過去の境遇などもあって妹であるスバルのことを大切に思い同時に愛情を持ち、時折には母親的な立場で物を言ったりする。それが原因で衝突する事もあるらしく、それでも彼女がそれだけ元気であると言う前向きな意味で受け取っている。
が。結果それが原因で現在ではスバルに対して並々ならぬ感情を持ってしまい、ゲンヤからは重度のシスコンと言われている。
またそれが切っ掛けとなったのか百合に目覚めてしまい、最近ではかつて自分を助けてくれた恩師に捕食者として目を向けることも多々ある。
ちなみに男に対しては好みでない限りは興味を持たない。
それでも姉としての事もあってかしっかり者でスバル同様に他人への気遣いを見せたりと基本いたってマトモな面を見せる。
数年前に起こった出来事が原因で、現在では「将来の目標」と「自分の行動理念」というものが分からない状態に陥っており、深く追求される事を嫌う。


戦闘スキルはスバルほどではないがシューティングアーツなどの格闘技をメインにしており、他にも足技も得意として、それを応用した戦闘スタイルも彼女の持ち味として活かされている。
また基本スキルの殆どはスバルと酷似(というよりスバルがギンガのを真似ている)ので相違を上げるなら中距離に対して一応ながら対応策を持っていると言う事。
ちなみに今作では利き手は両利き。
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