G・E・C 2  時不知   作:GREATWHITE

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地獄で何が悪い

その日。

 

私は死んだ。

 

仄暗い地の底。光の見えない暗闇の中で最早痛みも感じない。私は心と体を切り離したままただその光景を他人事のように見つめていた。

自分の体がアラガミによって貪られている光景を。妙に意識だけはクリアだった。

 

誰よりも大事な家族を―

 

そして誰よりも大事なあの子の背を見送る事が出来た奇妙な安堵感、そして同時にほんの少しの悔恨が私の意識を現実から遠ざけてくれていた。

 

よかった。

 

そして

 

残念だな。

 

でも。

 

貴方は振り返らないで。

 

さぁ走って。

 

駆け抜けて。

 

生きのびて。

 

そしていつか―

 

この世界を覆して。貴方にはその力があるのだから。

 

 

 

 

…レンカ。愛してる。

 

 

 

 

深い暗闇の中で光り続ける貴方の最後の後ろ姿が目に焼き付いたまま私の意識は深い深い闇の中に飲まれていく。

 

もう二度と目覚める事は無いであろう漆黒の闇へ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―…?

 

 

 

 

 

ピッ… ピッ…

 

 

覆いかぶさるように重い瞼を鈍重に開けると同時に一定のリズムで響く電子音が私の中の「何か」に同調していく。

 

とくん…とくん…

 

―まぶ、……し、い。

 

ようやく僅かに開いた瞳が文字通り刺し込むように突き刺さってきたのは眩いほどの光。明る過ぎて逆に殆ど何も見えない程の。そんな苛烈過ぎる光の前に私は重い瞼を再びやや強めに閉じる。眉をしかめながら。

 

「うっっ……つぅっ…」

 

自然と喉元からそんな声が漏れる。不躾なほどのその光の強さにさっきまで光の届かない静かなまっ暗闇に居た私には流石に酷過ぎるよと悪態をつきたくなる。

 

 

 

一体どこなのだろうここは。

 

「見る事」を放棄したまま私はとりあえずそう考える。

自分が「最期」に居た場所とは異なる空間であると言う事ぐらいは解る。そもそもあの「場所」には最早「私」は存在していないだろう。跡形も残っていないはずだ。

 

ならここは…

 

 

「……天、国かな?」

 

 

私は目を閉じても尚瞼に突き刺さる光を右腕でさえぎる様に塞いで苦笑しながらそう呟いた。生前の母さんに散々言われたはずなのに。

 

「神様なんか居ない世界で祈らないで」って。

 

なのにこの期に及んで神様が居る世界に来てるんじゃないかって期待するなんて乙女チックにも程がある。

 

でも一応私も女の子なんだもん。少しぐらいは勘弁してねお母さん。

 

…解ってるよ。

 

私の役目は終わったんだから。あの日あの場所で。

汚泥のなかで生まれながらも空へ、そして未来へ向かって苗を伸ばしいつかは花を咲かせる為に旅立っていったあの子を見送ったあの時に―

 

 

 

 

「はずれ」

 

 

―……え?

 

 

「少なくとも『天国』では無いな。現実……いや、むしろ地獄よりか」

 

 

―…。

 

 

響く声の言葉の内容は理解できる。だけど今の私の朦朧とした意識の中じゃ中々染み込んでいってくれない。そんな私の状況を察したのか響く声の主は言葉を更に紡いだ。

解り易く諭すように。

 

 

「君は『生きてる』。…良かった。気がついて」

 

 

 

 

―私…「生きて…る」?

 

 

 

 

 

 

「……。……。…!!!はっ!!?」

 

 

ガバッ!

 

 

私は響いた声の言葉の意味をようやくちゃんと吟味し、噛み砕き、改めて自分の心の中で言葉にはっきりと出して初めてそれを実感し、反射的に上半身を起こした。

 

 

「……!?…!」

 

上体を起こした事によって拡がった視野から写る光景を必死で目線で紡いでいく。自分が今どういう状況に置かれているかを必死で理解しようと高速で私の脳と眼球はぐるぐる回る。

 

右腕には施された点滴、そこから延びた管、胸には心電図を映すためのチューブが装着されていることが感覚で解る。真っ白なシーツの敷かれたベッドに足元には薄い掛け布団、体はいつの間にか清潔で心地よい肌触りの真っ白な寝具に着せかえられていた。

 

「……!!!(ひゃああああ)」

 

そんな声にならない声が私の喉の奥で木霊する。

 

―ヤバイ。わ、私前何着てたっけ。っていうか着替えさせてくれた人誰!?そもそも私いつからパンツ履き替えてなかったっけ!?

 

いやあ~~~!恥ずかしい!

 

ぼんっ!

 

私の頭の中は沸騰。やや暴走気味な方向へ。正直言って今の私の体には過酷すぎる激務だったようだった。

 

ぐるん

 

―あ、あれ?

 

直ぐに私の目と頭は過負荷に耐えきれずひっくり返り、急激に起こした上体を支える事が困難になる。頭が重い。気分が悪いレベルの強烈な目眩がする。うう。気持ち悪い。

 

「わっと……!」

 

ぼすん

 

「わぷっ」

 

前のめりに突っ伏しそうになったそんな私の体をたくましい腕と、細身ながら締まった胸板が受け止めてくれた。

 

―な、なんか私前にもこんな経験をしたような?って...違う違う違う!離れないと!!

 

「そ、そそその……す、すすいませ…」

 

そう言って離れようとした私の耳元で

 

「落ち着いて」

 

「へ」

 

「とりあえずこのままで。そのまま目を閉じて。急激に動いちゃダメだ。体がびっくりする」

 

「え…その」

 

声の主は間違いなく私の目がまだ機能していない時に私に語りかけてくれた人と間違いなく同一人物の声だ。「あの子」よりかなり年上、私より少し上くらいの印象のホッとする優しい男の人の声だ。

 

「まずは目眩が納まるまでじっとしてて。そしてゆっくり目を光に慣らすこと。随分長く眠っていたんだから君は」

 

「は、はい」

 

む、難しそうだけどやってみます。と、取りあえず私の動悸。お願い。納まって。

 

私は頑張った。とりあえず数分後に目眩と頭痛は治まり、目の焦点も徐々に落ち着きだす。私を抱きとめてくれた人もそれに気付いたのかゆっくりと私の体を肩を持って支えつつ

 

「大丈夫?」

 

「ごめんね」

 

等気遣いの言葉を呟きながら段階をもって離れていく。

 

「!」

 

ドキリンコ。

 

ようやく私の目の焦点が合い、初めて声の主の表情が見えた時、動悸は再び高鳴る。

 

「...よし目の焦点がしっかりしてきたね。もう大丈夫だ」

 

私の目の前で掌を上下させ、私の瞳の焦点を確認したのちにっこりとその人は微笑んだ。

 

きゃ。

 

なんて優しそうな人だろう。

「あの子」はどちらかと言うとキリッとした男らしい顔つきだけどこの人の表情は柔和でどこかホッとするタイプの顔だ。ああ顔にじりじりと血が昇っていく。

 

「ん…?血色もよくなったね。よかった」

 

…違います。これ別の意味で紅くなってるんです。

 

今思いだした。数年前私が住んでいた集落にゴッドイーターの人―雨宮リンドウさんが来た時も私こうなってたな…。それで「あの子」膨れちゃったんだよね確か。

 

ううゴメン。節操なしの姉さんを許して。

 

ず~~ん。

 

「えっと…大丈夫?」

 

ふらついたり、紅くなったり、沈んだりと忙しい私の変容に男の人は戸惑い気味であった。

 

「あ。すいません」

 

「そう?ならいいけど...」

 

優しそうな男の人は私の返事に頷いたのち少し歯切れが悪そうに目を少しそらす。どうしたのだろう?

 

「...?」

 

 

 

 

「早速だけど…君は自分に起こった事をどこまで覚えてる?」

 

 

 

 

「!」

 

その人のその言葉に私の意識は現実に引き戻される。

 

「急かすような形になって悪いね。でも…目覚めた以上君にはその……君の「現状」を否が応にも知ってもらう事になるからさ」

 

「……。つっ!」

 

意識の覚醒と昏睡の狭間の混乱、そして目の前の男の人の雰囲気に対する安心感に覆い隠されていたとある異質な「感覚」が私の体の中を駆け巡る。

明らかな違和感。そしてその「感覚」をどこかで否定したい、認めたくない、目を逸らしたい自分が居る。

 

嫌だ。なにこれ怖い。怖い。怖い。イヤ。

 

やはりここは天国ではない。まごうことなき現実であるのだとその「感覚」は私に知らしめ続ける。お母さん、お父さん、そして多くの仲間達を喰らい、飲み込んだ不条理、理不尽過ぎる世界なのだ。今居る「ここ」も決して変わることなく。

 

どうやら私は生きて「は」いるらしい。しかし相も変わらずこの世界は私から何かを常に奪っていくみたいだ。

 

恐る恐る私は足元の掛け布団をめくる。そここそ今私が苛まれている違和感のまさしく出所。そして同時

 

「あ、あ、ああああああ…」

 

 

 

私には夢が在った。

 

現代はほぼ失われたかつて生息していた木々や花を取り戻し、そしてアラガミの居ない花や木で囲まれた世界を大好きな家族と一緒に笑いながら歩くこと。

 

でももう…

 

お母さんも。

 

お父さんも。

 

そして私には

 

唯一残された大事な家族―レンカの隣に立って歩む為の―

 

「嘘。そんな。イヤ」

 

私の夢はもう決して叶わない。こうして生き残った所で。

 

 

「あ、ああああああ!!うあああぁあぁあああああん!!!!」

 

 

 

 

 

 

少女の両足は付け根から下ほぼ全部位があの時、アラガミに喰い尽されていた。

 

 

 

 

 

時間は遡る。

 

少女が少年に自分を見捨てさせ、一人あの暗い廃墟の中で一人取り残され、彼女の腐った左足の腐臭を嗅ぎつけたアラガミ達が少女を取り囲んだあの時間より―

 

約五分後のあの日あの場所へ。

 

 

 

「ふーーーっ!!!!ふーーーっ!!ふーーーっ!!」

 

 

「リグ…落ち着け」

 

まるで獣のように怒り狂い、荒い息を吐く少年―リグを青年―エノハは背後より組みついて取り押さえ、なだめていた。

彼等の周りには既にズタズタに引き裂かれ、喰い裂かれ、銃殺、爆殺された原形を留めていないオウガテイルが転がり、その体液が四方八方に四散している地獄の如き光景であった。

 

直前―

 

最早動くことも出来ず、意識と瞳の光、痛覚さえも失ってアラガミの成すがままに生きたまま下半身を喰いちぎられていた少女の光景はかつて幼いリグの目の前で敢え無くアラガミに喰い散らかされたリグの最愛の姉の光景と完全にシンクロしていた。

 

猛烈なトラウマのフラッシュバックに激昂し、完全にタガの外れたリグは瞬く間にオウガテイルの群れを塵殺。全個体が事切れた後も執拗にその死体を攻撃、ぐちゃぐちゃに損壊させるほどの興奮状態に陥っていた。それをどうにかエノハが取り押さえたのが今の現状である。

 

「レイス!アナン!」

 

「うん!」

 

「はいよ!」

 

動けないエノハに替わり、「レイス」、アナンの二人が壁にもたれかかり、座った姿勢のままオウガに喰われていた少女に駆けよる。

 

「…ひどい」

 

「うう…こりゃひどいね」

 

あてもなく虚空をさ迷う視線、光の宿らない瞳、血の気の失せた蒼白い顔、ほぼ大半が喰われた足、首元から滴り落ちる赤黒い血が少女のむき出しの綺麗な線をした肩をどす黒く変色させている。同じ女の子として痛々しくてしょうがない。

 

「...」

 

『レイス』は少女の胸の中心に耳をあて目を閉じる。そしてすぐに確信めいた輝きの瞳を強く見開いた。

 

「...生きてる!でも出血性ショックがひどい…。とりあえず止血しないと。アナン、アンタは首のキズの止血をお願い」

 

「了解。でもこれはさすがにねーーー」

 

アナンは携行した止血剤を直接患部、そしてガーゼに含ませ首元に押し当てる。すると―

 

「ん?」

 

―見た目より出血量が少ない…それにこの傷……。

 

「これ…アラガミによってつけられた傷じゃないね。何か鋭利な刃物で切ったみたいな痕だよこれ……」

 

「…どうやらこれだな」

 

リグを落ち着かせ、座らせたエノハが少女の右手の周辺にあるナイフを拾い上げ、先端にこびりついた血を確認する。色、粘り気と全くオウガの体液とは異なる。人間の血液であることは疑いようがない。そもそもこんなナイフではアラガミ相手に傷一つつける事すら叶わないが。

 

「……アラガミに囲まれて逃げきれないと観念して自殺を図ったってとこかな~~?」

 

「そう考えるのが自然だな…だが動脈を切り損ねた。どこかにためらいもあったんだろう」

 

「…可哀そうに」

 

「レイス」は唇を噛みしめて尚も手際良く応急処置を行う。相手がGEであれば彼女の血の力を使えただろうが一般人は流石にダメだ。激痛と負荷でショック状態になって一気にあの世行きだろう。

 

「リグ!!」

 

少し落ち着き、一行から少し離れた所に座るリグにエノハは応急処置を手伝いながら指示を出す。

 

「…なんだよ」

 

「ノエルとナルのとこまで今すぐ戻って車回してもらえ。君はその護衛。一刻も早く連れてこい。予め輸血パックと強心剤用意。対象は民間人一名、年齢約十代後半くらいの女の子。それとこの子の血液のサンプルを持っていってくれ」

 

「…」

 

「死なせたくねぇだろ?ならさっさとやれ!!」

 

「解ったよ!!」

 

リグは少女から採取した血液のサンプルをしゃくる様にエノハから受け取り、直ぐに走り出す。

 

自ら解放し、リグが走り出した直後、

 

―ん?

 

足元に少女の血によって形作られた靴の足跡が点々とこの施設の外部に向けて続いている。靴底の形状、大きさがここに居る「ハイド」全員、そして保護した少女を含め明らかに違う事を訝しげに感じながらも振り切る様にリグは加速し、ノエルとナルの元へ急ぐ。

 

 

 

 

 

七分後

 

 

 

「エノハさん。とりあえず血はある程度止まった!でも私らがいまここで出来る事はこれで限界くさいよ~~!!」

 

「おっし…速攻でこの子運ぶぞ!!『レイス』!!」

 

「はい!!」

 

先の戦闘でオウガ達を喰らっていた「レイス」の受け渡し弾がエノハに着弾、異常な機動力を手に入れたエノハが少女を抱え、こちらに向かっているナルとノエルを乗せたGE運搬用の装甲車に向かう。

 

 

 

これより後、少女は三日三晩生死の境を彷徨い、

 

どうにか一命を取り留めた。

 

しかしアラガミに大部分既に喰い散らかされていた彼女の両足は切断するより他になかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両足を無くしたショックのあまり、しばらく泣き喚いていた少女が

 

「す、すいません。ずびっ!!」

 

気丈に泣き止もうとしていた。

律儀な子なのだろう。御礼を言いたいのだ。

 

「ぞのっ……折角命を助けて頂いたのにこんなに泣き喚いて、こんな良くして頂いてるのにっ……!!ホント…っその、う、うえぇえええん!うぁああああん!!」

 

「いいんだ。…こっちこそごめん?気の利いた事を言えなくてさ」

 

震える少女の肩に手を延ばす。ポンポンと優しく叩きながら

 

「生きていてくれてありがとう。皆にも知らせてくるよ。きっと君が目を覚ました事を聞いたら皆喜ぶ」

 

「う、あああぁん!!ご、ごめんなさい……いえ本当に、有難う、ございます....」

 

「…うん。今はゆっくり休んで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「おっとそう言えば…」

少女の病室を一旦後にする直前エノハは立ち止まった。

「はい……?」

少女は怪訝そうな顔をして首をかしげる。泣き腫らした眼はどうしようもないが一旦は泣き止んでくれてとりあえずエノハはホッとした。

「俺ら自己紹介してなかったね」

「あ、ああ!!本当に何から何まで気が回らなくて!!!」

「はいはい。そんなに興奮しない。またぶっ倒れるよ」

「あ、あははは…」

「じゃあ改めて...君のお名前は?」




「…空木…空木 イロハです」





「イロハか。いい名前だ。じゃあ今度は俺の番。俺の名は…」

―…おっと
この機会に「偽名」を使う練習をしておいた方がいいだろうか?イロハには少し悪いが…「ハイド」に所属する人間以外に公式で死んでいる男の名前を明かすのはまずいか。そもそもこっちの「都合」は元より下手をすれば彼女にも迷惑をかけかねないし。

「どうか…しましたか?」

「悪い」

「え」

「訳あって本名名乗れないんだよね俺。だから、その、すまない」

エノハは正直に打ち明けた。「本名を名乗れない」と言う事だけは。

「そう、なんで、すか…」

すこし残念そうにイロハは声を落とす。

「だから」

「はい?」

「とりあえず俺の事はこう呼んで欲しい。『サクラ』って」

「サクラさん…ですね…解りました!」

泣き腫らした瞳を目一杯緩ませて少女ーイロハはもう一度深く頭を下げる。そしてすぐに意識を失って深い眠りについた。何処かでやはり気を張っていたのだろう。

ー逆に気を遣わせたかな。

少女の掛け布団を肩までかけてやり、呼吸が安定していることを確かめて病室を後にする。















エノハ―



「サクラ」は病室を後にする。その病室のドアの傍らに佇む影に「サクラ」は声をかけた。

「名前は『空木 イロハ』だ、そうだ」

「…」

無言のまま、病室の外でエノハを待っていた女性―ナルが手元の端末を操作する。そして三十秒と経たないうちに少し憂いの含んだ目でエノハを見やると同時、ふるふると首を振った。

空木 イロハ。

採取した血液型。その他全てのデータにおいてフェンリル公式の住民データ内に該当者なし。

つまり彼女はこの時代、世界各地に存在している数多の難民の内の一人。
フェンリルによって「存在しない」と認定され、常日頃よりアラガミに命を脅かされ続け、愛する者を喪い、そして現在自分の両足で立ち、歩く事すらも奪われてしまった少女。


「...ぐすん。レンカぁ...」

地獄の底で尽きかけた命の灯火を。
今にも掻き消えそうな灯を僅かに、ようやく灯している危うい少女が一人「ハイド」に迷いこんできた。

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