新年明けましておめでとう御座います
今年もどうぞ、宜しくお願いs「いや、いつまで私走らせてんの?」…はい、すみませんでした…(ノ#´Д`)
いやあ、まあかれこれ気付けば年が明けていました。ほんとにすみません。まじめに幽霊になってました。
はい、まあ、忙しかったんです、はい´ω`)
ところでテイルズアニメ化するみたいですね( .. )
気が向けば見たいと思います( .. )
No side
フィオナは1人、魔道書を抱えラントの街を駆けていた。
相棒である梟--"シャナオウ"から煇石を通じて、彼の行動とその意味を理解している上で。
(恐らくあと数分で西ラント道関所から魔物が見える筈。見張りの方と足止めしても、持って15分。)
この時フィオナは何とも言えない悔しさを抱いていた。
この異様な力を持ちながら、1人で街を守ることが出来ないのだから。
いや、犠牲者を出すかもしれないという可能性に怯えているのかもしれない。
「疾く駆けよ、『
彼女は自身の前に魔道書を浮かせながら街を駆け、魔道書に記された煇術を掛ける。
詠唱を口にした途端、魔道書はひとりでに頁を捲りだしその煇術を実行した。
兎に角急がなくては。彼女はその顔に焦りを滲ませていた。
「跳ね除けろ、『
目的地に着いて早々、魔道書を広げ詠唱を済ませると西ラントの関所周辺ととそこから後ろの街道を蒼碧の結界が多い尽くしていく。
フィオナがいる位置は関所から凡そ10mしか離れていない。そう、このバリアは主にフィオナを中心に展開している。
「大変だお嬢さん!先遣隊の連中で怪我人が出たんだ!何とかならねぇか!?」
「完全な治療には今は取り掛かれません!けど治癒力の促進なら!」
そう言うと彼女は関所の中へ駆けてゆく。
中には小部屋が2つあり、その一室へ入る。中には背中を引き裂かれたらしい兵士が俯せで伏せっていた。
「止血はしておいたが治療できるものが無い。このままだと傷口から菌が入り込んじまう…」
「…御身に宿る光の精霊よ。どうか温かな加護を…『
怪我人に向けて魔道書を開いたまま人差し指を向ける。指の先から光り輝くものが放たれ、背中の怪我へと吸い込まれていく。
「後は清潔な布で背中を覆ってください。街に戻ったら真っ先に医者にかかるように。」
「すまねぇお嬢さん!恩に着る!」
「いえ…これから魔物との戦いです。動ける人は武器を取り私の防御圏内で戦ってください。」
それだけ言い残し、フィオナは足早に関所から出る。
彼女が関所の中に長く留まらなかったのには理由があった。
彼女が掛けた煇術…『その音は全てを護る蒼碧の壁』は術者が保持する原素の量や質によってその耐久力や持続時間が変化する。
煇石に比べフィオナはその二つが浮世離れしているくらいなので矢鱈と持つ。
然し範囲が広ければ広いほど、消費する原素の量が増加する。然も術者が中心ということもあって移動すれば防御範囲も術者とともに移動する。
この二つは決定的な弱点であった。
そして今、10mという距離は生死を分かつ長さ。少しでも早く元いた所に戻らなければ魔物の侵入を許す事となる。
全ては今、兵を招集しているであろうアストンに懸かっていた。
魔道書を持ち出した時点でフィオナに戦う力など無い。彼女にあるのは…魔道書を持つと特化する「味方への援護」する力だけだった。
*********
「動ける者は装備を整え次第、屋敷の外へ!一刻も早く支度を整えろ!」
屋敷の1階でアストンの声が響き渡る。その声にケリーも如何したのかと、2階の手摺から顔を覗かせているのが伺えた。
"西ラント道に魔物が押し寄せてくる"。フィオナの確証のないその言葉を、アストンは酷く信じていた。
それは彼女が"嘘"を吐かないからである。3年前に一度会い、たった数日共に過ごしただけなのに、だ。
抑フィオナは浮世離れし過ぎている。"天才"や"神童"等という言葉の枠組みに収まらない。言うのならば、"神"が最も形容するに相応しいだろう。
その神聖さ故、信頼は"信仰"に変わりつつあるのかもしれない。
(フィオナ殿は御強い。然し私に預けた魔道書を持っていかれたという事は…恐らく守りに徹するおつもりだろう。ならば、早く向かわなければ。)
「アストン殿、こんなに慌ただしくして如何なされたのです?」
「…ビアス殿か。」
リチャードの従者である騎士、ビアス。フィオナが気配で危険と判断した男。
ビアスはいつもの糸目でどこか愉快そうにアストンに近づいて行く。
「いえ、少々魔物の退治に出掛けるだけです。貴方はリチャード様のお傍に「その必要はありませんよ。」…は?」
アストンは思わず素っ頓狂な声を上げた。それもそうだ。リチャードの護衛でラントに居るはずなのに彼は今「その必要は無い」と言ったのだから。
「な、何故…」
「ああいえ、リチャード様の護衛は他の騎士が就いてますので。ああ、その魔物退治とやら、私も付いて行っても?」
彼は断ろうと思った。ビアスの事を、彼自身余り良くは思っていなかったからだ。
しかし今は少しでも戦力が欲しいところ。先の負傷者は少なくとも、陰ながら魔物と戦い負傷した兵士は少なくはない。今回連れていける兵は10人を下回るくらいだ。
それにビアスには"騎士"という称号がある。此処は私情を挟まない方が良い、と彼は判断した。
それが後に、大きな事件を生むとは知らずに。
「…ええ、では直ぐに準備を済ませてください。我々は先に向かいますので。」
「はい、わかりました。」
ビアスはそのまま騎士達の部屋へと戻って行く。
アストンが懐中時計を確かめる。フィオナが出て行って凡そ5分。
彼は更に、兵に支度を急がせた。
****************
フィオナが西ラント関所に到着してから数分が経った頃だろうか。
小さな振動が地を介して体に伝わって来る。魔物達が関所の近くまで迫って来ているのだ。
フィオナは右手を開いて突き出しながら、顔付きを強ばらせる。
右手の先には宙に浮いた魔道書。ある頁を開き、薄緑の輝きを放っている。
(関所の人にはこれからの手筈は伝えてある…兎に角アストンさん達が此処に来るまで持ちこたえなきゃ意味が無い。)
持って15分。先にも言ったこの僅かな時間は生命線に値する。
魔物が結界を攻撃すると結界自体の耐久性は現時点だとあまり高くない所為で、結界が薄くなったら原素を随時注ぎ込み結界を維持する…これを繰り返して15分持たせるというのだ。原素の消耗はとてつもなく激しいだろう。
(ラントにはこの役を担えるのは私しかいない…アストンさんから受けた恩は、ここで返す!)
フィオナは声に出さず、心の底でそう決心する。そしてじっとゆっくりと迫る魔物達を見据えた。
そしてふと、ある疑問が過った。
--何故、此のラントの地に魔物達が迫っているのか?
しかし、その問に対する彼女の考えは張り巡らされることは無かった。
少なくとも、今は。
***********
ソフィは違和感を感じていた。
違和感もあるが、それ以上に胸騒ぎがしていたのだ。なにか良くないものが、いや良くないことが起こる…そんなありきたりなものだったが、ソフィの違和感を拭えるようなものでは無かった。
「ねえソフィ、さっきからどうしたの?ずっとそわそわしてるけど…」
「…フィオナ、遅い。すぐ戻るって言ってたのに。」
「んー…確かにそうね。」
「おれもフィオナの剣預かってるからどこにも行けないし…もしかしてフィオナ、ワザとか?」
乾坤剣を抱えながら至って真面目にフィオナが自分が何処にも行けないようにしたのではないか、と疑い始めるアスベル。
そんな事考えてしまうのも仕方が無い。何せフィオナがアストンに呼ばれ部屋を出て行ってから早2時間。一向に帰ってくる気配がない。
ソフィはそっと窓から外を眺めた。
(あれは…アスベルの、お父さん?それにたくさんの人…たしか、「兵士」って言うんだっけ)
ソフィの視線の先には丁度屋敷から急いで出ていくアストン達。そしてふと過ぎるいつだか言っていたフィオナの言葉。
『もし彼らが出て行くのをを見たなら、アスベルには絶対に知らせないこと。知らせたら飛び出して行ってしまうからね。』
こうも言っていた。『又は、目に入らないように隠すか気を逸らせることね』と。
気を逸らせるという意味はソフィにはまだ理解出来なかったため、取り敢えず窓のカーテンを閉めた。
「ん?ソフィ、なんでカーテン閉めたんだ?」
「光、眩しかったから。」
適当に用意した嘘はアスベルに見破られることもなくあっさり通じた。
これでアスベルから外の様子を遠ざけることに成功しる。
(フィオナ、どこに行ったんだろう。)
アスベルから外の様子を隠したからと言ってソフィのこの気持ちは収まるわけがない。フィオナはソフィにとって姉のような存在だ。
尤も、当の本人は自覚していないが。
兎に角ソフィはドアノブに手を掛けた。
「ソフィ、トイレ?」
「…うん」
そういうことにしておこう、とシェリアの言葉に適当に頷く。
そこから振り向くことなく部屋を出て行った。
そこからはこっそりと動いた。
フレデリックもケリーも、メイドたちですらエントランスにいなかった。そのせいか、小さな足音ですら大きく聞こえる。
辺りを見回し、誰もいないことを確認する。そしてそのまま、外への扉へと手を掛けた。
「おやおやお嬢さん。これからどちらへ?」
はっとして振り返る。掛けられた声があまりにも不気味でソフィは思わず身構えた。
「そんなに構えないでくださいよ。何にもしませんから。」
その顔には見覚えがあった。特徴的な糸目、そして何よりフィオナがやけに気にしていたからだ。
ソフィはフィオナが言っていたことをふと思い出す。
「ビアスは危険な奴だ」と。
「ああでも、今は外に行かない方が賢明ですよ。なんせ、危ないですからねぇ。」
「……わかった。」
ソフィがそんなことを思い出している事などわかるはずもなく、ビアスは胡散臭い笑顔で外に出ないよう促す。
ソフィは敢えてそれに従った。どの道誰かに見つかった時点で1度はある程度引き返さなければいけなかったのだから。
大人しくアスベル達の部屋へ足を向ける。ビアスはソフィが大人しく戻ると思ったのかその背中を目で追う。
ソフィもアスベル達の部屋のある方へ歩いて行くが、部屋に戻る気など毛頭ない。だからソフィは適当な部屋に入って行った。
閉じた扉にそっと耳を当てる。ガチャリ、玄関のドアが開いて閉じる音までしっかりと聞き遂げた。
普通なら部屋を出てビアスに気付かれないようにアストンの後を追う。だがしかし、ソフィはふと部屋を見回した。
何がある、とかそういった予感がしたからではない。ただ何となく、ふと見ただけだ。
ソフィの入った一室は偶然にも、フィオナが翡翠のドレスに着替えた部屋だった。
衣装掛けにはフィオナのフード付きのマント、後ろに短い尾のついたベスト、白いYシャツに翡翠色のハーフパンツ、焦げ茶のブーツ…全てが一箇所に纏まっていた。
(フィオナ、着替えたのかな…)
置いていかれた服を見てふと思う。しかしソフィには何故着替えたのか、というところまでは考えられない。
しかしこうは直感した。
フィオナは屋敷の中にはいない、と。
この時もただ何となくと言うだけで、特に意味はなかった。意味は無いが、ソフィはフィオナのベストの裾をそっと持ち上げた。
その刹那、カラン、と金属質な音が足元で響いた。
なんだろう、とソフィが目を移し、しゃがんみこんでそれを拾う。
それはネックレスだった。琥珀色の澄んだ宝石の埋め込まれたネックレス。宝石が埋め込まれた金属の裏には文字が書いてあったが、ソフィが読める筈もなく、読むことは叶わなかった。
見た覚えがあった。
ソフィがフィオナと共に寝た、あの一夜の時だ。
ソフィの着替えが終え、ベッドに潜り込んだ時。うつらうつらとしていた意識の中で、フィオナが項辺りに手を伸ばし、何かを外したのを見た。
その外していた物がこのネックレスだった。
(いつもつけてるみたいだし、届けなきゃ。たぶん、困ってるはず。)
ソフィはネックレスを手に持って部屋を後にした。
アスベル達に見つからないか心配しながら、そんなにない玄関へと走る。
そして誰も見ていないことを確認してからソフィはドアを開けて出て行った。
「あれ、あの子…」
いや、正確には1人に見られていた。
アスベル達以外の、子どもに1人。
そうしてソフィはフィオナを見つける為アストン達の後をこっそり付いて行った。
“胸騒ぎ”という影を抱えたまま。
追記:フィオナの武器名を変更しました
随時修正していきます
過去の説明イラストは変更いたしません、ご了承ください( .. )