プロローグ
これは、嘘なんかじゃない。
ありのままの真実を語りましょう。
私は故郷が嫌になって、
『長』の役目を放棄して。
何故なら其の先に私の「死」が見えていたから。
どうにしろ、行く宛もなく途方に暮れて死ぬのが落ち。なら、嫌いな里を抜けたって変わりはしない。
私は20歳で死んでしまうだろうから。
何故かって?
長になったものは20歳前後で「死んだ」と皆に告げられるからだ。
敬われ、同時に尊敬され、また同時に憎まれる長は子供から選ばれる。
長に選ばれた。ということは私も
お陰で役に立てた。
そのせいで長に選ばれた。
私も寿命の仕組みは知らない。
けれど、なってから気づいた。
だから
森の中を必死に駆ける。
薄水色の私の髪が森を走る。
長の証の冠を森に捨てた。
マントも捨てた。邪魔で重たいだけだもの。
長い長い森。
ただひたすらに走った。
出来るだけ遠くに行けるように。
アンマルチア族が古代に作った遺跡の入り口の転送装置に乗る。
もう追手もいないのに、何でこんなに走っているんだろう。
肺が焼けそうな位必死に遺跡内を走って、出口を探して。
迷宮のような遺跡。
地下にあるから陽が届かない。
本当にひたすら走った。
やがて見える出口の転移装置。
やっとの思いで、外に出た。
そしてまた、走り出す。
外に友人や知り合いなどいない。
誰でもいい。助けてほしい。
そう願って走る。
走る、走る、走る。
水辺で休んで、また走る。
食料などない。
空腹で倒れそうなくらい。
ふと、考えた。
「私は一体、何に追われているのだろう」と。
「死」か、「責任」か、はたまた「恐怖」か。
何もわからない得体の知れない
怖い、怖い、誰も来ないで。でも、助けて。
もうわからない。
私は何?
私は誰?
何に追われているの?
私の…存在は?
頭が真っ白になる。
子供の時に旅したときの感覚を便りに道を走る。
爽やかな風の薫り、風の清々しさ。
そう、此処は「ウィンドル王国」。
風の
走る速度を段々と緩める。
もう、疲れた。
此処は…ラント領か。何日走ったのかな?
もう、どうでもいい。
そうだ、あの水の中で暫く眠ろう。
水中で寝ても死なないから大丈夫。
確かこの水路は…ラント領主邸の近くの水路を通っているのだったか。
あの子は、元気かな…
雨が降る前の冷たい水。
これなら、ゆっくり眠れる。
体を浮かせて、水の中へ沈む。
短時間でも体の傷は癒せる。
また何時か走り出すであろう時間まで、ゆっくりと瞼を閉じた。
そして、私は夢を見た。
幼いあの頃の記憶を…
これから本編は気ままに書いていきます。
追記
ミス修正いたしました
2018/10/1 追記
脱字、若干修正いたしました。