運命は偶然か、必然か。   作:雪ノ桜

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幼少期です。
ゲームプレイしたことがある人は少し面白い(?)と思いますがわからないひと本当にごめんなさい!


Start's Fate -幼年期-
アスベルとヒューバートと謎の少女と


side:アスベル

 

 

よく晴れた昼下がり。俺とヒューバートは裏山へ来ていた。

行ってはいけないとしつこく言われていたけど、言われるほど行ってみたくなった。

だから皆の目を盗んで二人で来てみたってワケだ。

サク、と足音が聞こえ、後ろで止まる。

振り返ると、不安そうなヒューバートが立っていた。

 

「兄さん、本当に行くの?」

 

「ああ。一年中花が咲いているところだぞ。見てみたくないか?」

 

そう、俺たちの目的は一年中花が咲いていると言う花畑だ。色とりどりの花が一年中咲いているなんて、不思議だろ?

 

「今からそれを確かめに行くんだ。これは探険なんだぞ?」

 

「父さんにバレたらきっと凄く怒られるよ…。裏山へは危ないから行くなって、いつも言われているのに。」

 

裏山は魔物(モンスター)が一杯いるらしい。だから行くなって言われてるけど…

 

「親父の言う事なんて、信じるもんか。俺はもう十一才だ。行きたいところへ行くさ。」

 

もう一度裏山の中を見る。

これは探険だ。魔物と戦って、自分の行きたいところへ辿り着く。それでこそワクワクする冒険なんだ。

サクサクした草を踏みながら少し奥へと進む。

 

「あ、ねぇシェリアは?誘わなくていいの?」

 

「あいつは今回の探険からは外す。」

 

「えー、何で?」

 

「あいつの体じゃ、探険はしんどいだろ?」

 

あいつ…シェリアは体が弱い。ラントで遊ぶならまだしも、流石に探険となると何が起こるかわからない。

 

「それに、ヒューバートっていう足手まといがもういるからな!」

 

「なっ!!そんな言い方ひどいよ兄さん!」

 

「さあ早く出発しようぜ!ワクワクするなあ!」

 

おー!と右手を上げて出発の合図をする。

それからずんずんと進んでいった。少し戸惑いながらもヒューバートは開いた距離を埋めるために走って付いてきた。

 

進んで本当に少しのところで、魔物(モンスター)彷徨(うろつ)いているのが見えた。

少しの茂みから顔を出して周りの様子を見る。

 

「本当に魔物(モンスター)が一杯だな…」

 

「だから本当に危険なんだって…」

 

俺の後ろから顔を出していたヒューバートが呆れたように言う。

親父の言うことは信じられないし、自分の目で確かめないと気がすまない。

 

「本当にシェリアを連れてこなくて正解だったな。あいつがいたら危険な目に合わせることになってた。」

 

そうボソッと呟いたときだった。

 

「に、兄さん!襲ってくるよ!」

 

ヒューバートの声でハッと茂みの向こうを見る。

するとキツネの魔物(モンスター)が2体襲い掛かってきた。

 

「いつも剣の稽古はしてるんだ!俺の実力を見せてやる!」

 

「あ、兄さん!」

 

立ち上がって魔物(モンスター)に向かって親父から貰った剣(鞘つき)を振りかざす。

見事に頭にヒットして次の攻撃を繰り出す。

 

「れっくうざん!」

 

ぐるぐると縦に二回回り。でも大体これやると目が回るんだよなぁ…。

それでも魔物はまだ襲い掛かってくる。

後ろに下がってガードの姿勢をして魔物の攻撃を防いだ。

そしてカウンターを決める。

魔物(モンスター)は青い元素(エレス)へと還っていった。

ふう、と息をつく前にヒューバートの方を見た。

するとヒューバートの方も終わってたみたいでほっと息をついていた。

俺たちは…初めて魔物を倒したんだ。

 

「俺たちは無敵の兄弟だな!」

 

「危険なところなんて来なきゃいいのに…」

 

「それでも付いてくるって言ったのはヒューバートだろ?」

 

「そうだけど…」

 

「だったら文句はナシ!こうやってこの先も倒していこうぜ!」

 

こくりとヒューバートは頷く。

まだ探険は始まったばかりなんだ。もう来れないかもしれないんだから、楽しまないとな!

魔物(モンスター)がまだ近くにいないか確認して、また歩き出した。

近くにある湧き水をまずは目指した。

 

「ヒューバート。そこの湧き水飲んでいいぞ。」

 

「ぼく、喉なんて乾いてないよ。」

 

「いいからいいから。この湧き水はな、すっごく元気になるって有名なんだ。さあ飲んだ飲んだ!」

 

「う、うん…」

 

ヒューバートは両手で湧き水を掬って飲んだ。

話が本当なら凄いことだけど…

 

「わあ!兄さんの言った通りだ!………あれ?でも裏山に来るのって兄さんも初めてじゃ…?」

 

「へえ、フレデリックが言ってたのって本当だったのか。それじゃ俺も…」

 

ヒューバートと同じように湧き水を飲む。すると本当にさっきまでの疲れが吹っ飛んだようだった。

 

「もー!!僕で実験したな!」

 

へへへっと俺は笑った。

 

(もしかしたら、シェリアに飲ませたら病気も治るかな?)

 

本当に元気になったし、もしかしたらシェリアの病気も治るかもしれない。

そう考えると、あいつを連れてくるのも悪くはなかったのかもな。

 

「さて、先に進もうぜ!」

 

 

それから少し魔物(モンスター)を倒して進んでいると、割りと近くに花畑への上り坂が見えた。

 

「なんだ、案外簡単に行けるんじゃないか。」

 

「兄さん、油断しちゃダメだよ?」

 

「わかってるって!」

 

周りを警戒しながら坂を上る。

坂だから襲われたら凄く危険だ。大怪我で済むと良いな…と思いながら登っていく。

やがて道が開けて、鬱蒼と樹が生い茂っていた裏山を抜け出した。

急に射す陽に目を瞑る。

やがて目が慣れた頃、ゆっくりと瞼を開けていく。そこに映ったのは…

 

本当に、沢山の花が咲いていた。

 

「うわぁ…すげぇ…!」

 

俺とヒューバートは声を漏らした。

 

「凄いね…!羅針帯(フォスリトス)がうっすら見えるよ!」

 

こんなに綺麗な景色を見たのは初めてだ。

やっぱり、シェリアも連れてきたら良かったな…

 

「ひゃあ!!」

 

「どうした!?」

 

ヒューバートを見ると口元に手を当てていた。

すっとヒューバートは一点を指差す。

 

「ひ、人が……」

 

指差した方を見ると、確かに人が倒れていた。

 

「あ……」

 

「……女の子?」

 

「お、おい!どうしてこんなところで寝てるんだよ!?」

 

少し身を乗り出して女の子に声を掛ける。

すると少女は目を閉じたまま体を起こした。

 

「「わあっ!?」」

 

少女は顔を上げて俺たちを見た。

心地よい風が通り抜けた。

少女のところへ近寄っていく。

 

「…声がした。」

 

「声?」

 

「私、この場所とひとつになって眠っていた。そしたらあなたの声がして目が覚めたの。何故あなたは私を起こしたの。」

 

「こ、こんなところで寝てたら危ないと思って…。」

 

少し照れ臭くなって明後日の方を見た。

……照れ臭い、のかな?よくわかんねえや。

 

「兎に角、寝るなら家に帰ってからの方が……」

 

俺の話を聞く様子もなく、周りを飛んでいた黄色い蝶に目線を変える。立ち上がって、蝶を追っていた。

 

「兄さん、あの先は崖だよ!」

 

ヒューバートの言葉を聞きながら俺は走って少女を追いかける。

崖に落ちる寸前で、俺は少女の左手を掴んで先に進むのを止めた。

 

「危ない!何やってるんだよ!」

 

そう言うと少女はゆっくりと振り返った。

紫色の綺麗な髪が揺れる。

 

「危ない……?」

 

「そうだよ!崖から落ちたらどうなると思ってるんだ。」

 

「どうなるの?」

 

「どうって……えーと…。」

 

まさかそう返されると思っていなくて説明に困った。

俺だって崖から落ちたことはない。崖は危険だと知っているから近寄らないようにしてる。

 

「うわあ……。」

 

崖の下を少し覗きこんだヒューバートが怯えた声をあげる。

 

「下まで結構あるよ。落ちたら怪我じゃすまないかも…。」

 

波の音が十分に聞こえてくる。本当に落ちたらすぐ海なんだとわかった。

 

「ほらわかっただろ?もし落ちたら……。」

 

はっとして急いで手を離して、少女に背を向けて腕を組む。

 

「と、とにかく崖には近づいちゃダメなんだ!わかったか?」

 

ちらと少女を見ると浅く頷いていた。

これでもう崖に近づくことはないと思うけど……

 

「この子、どこの子かな。見たことない子だよね。」

 

確かにラントで見たことない。

 

「お前、名前は?」

 

振り返って名前を尋ねる。けど、少女はキョトンとして無反応だった。

何が悪かったんだ?

 

「あ、そうか。こういうときは自分から名乗るんだっけ。」

 

ポンと手を打ち閃く。

そして右手の親指を自分に向けた。

 

「俺はアスベル・ラント。こっちは弟のヒューバート。」

 

「よ、よろしく。」

 

ペコリと礼儀ただしくお辞儀をするヒューバート。

 

「で、お前の名前は?」

 

「名前……?私の、名前……名前……」

 

空を見て考える少女。まるで思いだすかのように。じっと考えていた。

 

「おい、まさか忘れたっていうのか?」

 

「じ、じゃあどこから来たの?」

 

「どこから……?」

 

また辺りを見回して考えた。

やがて地面に咲く一輪の花を見つめた。

 

「まさか……それも、忘れたっていうのか?」

 

「兄さん。この子もしかして記憶喪失なんじゃないかな?」

 

俺たちはつい顔を見合わせた。

 

「そういう人って、何も思い出せなくなるらしいよ。」

 

「記憶喪失……。」

 

初めて見た。記憶を失ってるなんて、想像もつかない。

 

「なあ……お前、本当に何もわからないのか?」

 

恐る恐る少女に訊いた。

少女はゆっくりと俺に振り返って見つめた。

 

「ヒューバートの言う通り……かもしれないな。」

 

俯いて腕を組んで考える。

これから先、どうしたら……

 

「ど、どうしよう兄さん。」

 

「街へ連れて帰ろう。」

 

「ええっ!?そんなことしちゃって大丈夫なの?」

 

「大丈夫じゃないかもだけど…このまま放っておけるもんか。それに、街へ連れて行けば何かわかるかもしれないし。」

 

「あ、そうか……そ、それもそうだね。」

 

「なあお前。俺たちと一緒に来いよ。一人で此処にいても、仕方ないだろ?」

 

少女は指に蝶を乗せていた。そして飛んでいく蝶を惜しむように手を伸ばす。

そして俺たちに向き直った少女は頷いた。

本当に口数の少ない奴だと思った。

 

「それじゃあ、街へ戻るとするか。」

 

ヒューバートを見て確認すると笑って頷いた。

少女に向き直るとまた足元の花を見ていた。

 

「……花が好きなのか?」

 

少女の足元に咲いてある花を一本、プツリと摘んだ。

 

「なら、一本持って帰ればいいさ。」

 

少女にあげようと摘んだ花を差し出す……前に、少女はしゃがんで近くの同じ花を一本摘んだ。

 

「…花がそんなに珍しいのか?お前、変わってるな…さ、行くぞ。」

 

俺と少女は立ち上がった。

それにしても、なんでこんなところで寝てたんだ?陽当たりが良いからか?

何にしてもまずは街に戻らないとな。親父、凄く怒るんだろうなぁ……

 

 

 

 

 




1話目はゲームと大して変わりません。自分なりの解釈と台詞を入れただけです。
ではキャラ紹介(私の偏見あり)を…




アスベル・ラント(幼少)

テイルズ・オブ・グレイセス/テイルズ・オブ・グレイセスfの主人公。ラント領主の息子。やんちゃで怒られることもしばしば。父親であるアストンが大嫌い。将来は王に支える騎士に成りたいと願っている。


ヒューバート・ラント(幼少)

ラント領主の息子でアスベルの弟。気弱で博識。いつもアスベルに振り回されている。密かに「ラント領主」という肩書きに憧れている。


謎の少女(後のソフィ)

花畑で眠っていた少女。その言動と見た目とは裏腹に戦闘に慣れている。記憶を失っているため、突拍子もない事を言ったり訊いたりする。



シェリアは今後出てきた話で紹介します。
にしてもこんなに書いたのは久々だ……
今回主人公は出てきてません!(笑)
ではまた次話!
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