ここから主人公&シェリア登場です。
side:シェリア
朝からずっとアスベルたちを捜しても見つからない。もう2時よ?お昼になったら帰ってくるかなーなんて思って待っててもずっと見つからない。
「もう、本当に何処に行っちゃったの……?」
もう一度街の中を隈無く捜す。
体が弱いせいで長い時間は捜せないけど、でもきっと帰ってくるよね?
(……あれ、どこの子かな?ラントで見たことない子……)
橋の上で川を見つめる私と同じくらいの女の子。白いマントで体を隠してフードを深く被ってて顔は見えないけど、薄水色の横髪が吹いた風で
(……あれ?)
少女を見ていると、段々川の方へ体が傾いていた。
辺りを見回すと少女の親らしき人はいない。皆少女の異変に気づくこともなくただ通り過ぎていた。
「…っ危ない!」
私は急いで走っていた。体に負担は凄くかかるけど、人一人の命に比べたらまだ軽いもの。
少女が完全に身を乗り出すその前に、私は少女の右手を強く引っ張った。
その力で勢いよく後ろへ倒れる。
私と少女は並んで尻餅をついた。
転んだ衝撃で少女の被っていたフードが脱げる。
リンゴの赤のような、吸い込まれるように澄んだ瞳。
整えられた綺麗な前髪は右眉の真上で左右に分かれていた。多めにとられた横髪。後ろ髪は横髪より短かった。
「あ、あなた、名前は?」
「名前…私はフィオナ。」
怒ることよりも先に、つい名前を訊いてしまった。
side:フィオナ
「貴女は何故私の手を引いたの?」
そう、私の手を引いた赤い髪の子に尋ねた。
「ききたいのは私の方よ!なんで危ないことしてるの!」
「危ない……?何処が?」
「どこが、って…」
私が訊き返したことに少女は意外だったようで、俯いて回答を考える。
決して変なことは訊いていない。何処から落ちても怪我なんてしない。
「落ちて川に飛び込んだりしたら…風邪引いちゃうし、泳げなかったら流されちゃうし…それに、もしかしたら死んじゃうかもしれないのよ?」
「死ぬ?何故?」
「なんでって…考えればわかることでしょう?」
言われたから考えてみる。
川から落ちたら
「…考えてもわからない。死ぬ要素はあるの?」
「もうっ!なんでわからないの!?常識だよ!……っごほっごほっ…」
怒ったかと思えば急に咳き込む。大したことないかと思って黙って見ていると、思った以上に酷いものだった。
彼女の肺
「……病気?苦しいの?」
「……っ気にしないで…平気、だから…」
そういう人に限って、平気じゃない。
私は彼女の両肩に両手を置いて、額と額をくっ付ける。
「あなた…何を…?」
「……ん。これでいい。」
額を離して私は立ち上がる。
転んだときについた埃を取り払い、服を正す。
「何をしたの?」
「…咳、苦しそうだったから少し病状を軽くした。」
何が起きたかわからない少女に手を差し伸べる。少女は私の手を取って立ち上がり、衣服の埃をほろう。
「あの…ありがとう。大分楽になったよ。」
「それならいい…」
それだけ言い残して私はその場を立ち去る…否、立ち去ろうとした。
「待って!」
今度は左手を掴まれる。
私は歩くのを止め、彼女に向き直った。
もうこの子は私に用事はないのに、何故?
「あの…よかったら、まだお話しできないかな?その…」
「…私と、話す?何故?」
この子は、分からない。何故急に私を引き止めるのか、何を考えているのか。私と言葉を交わしたいだなんて、故郷にいた時は殆ど居ないのに。
…例外はいるけれど。
「あなた、私と歳が近そうだし、それに…何で旅してるのかも聞きたいし、旅先の話も聞きたいの。」
そんな、他愛ない理由で良いの?そう訊こうと思った。けれど少女の目を見ていたらそう訊く気も失せていく。
「面白い話なんてない。けど、それでも構わないなら…」
それを聞いた少女は、とても喜んでいた。
少しだけ、自分の言った言葉を後悔した。
それから街の広場のベンチで、アップルグミやピーチグミを食べながら色々な話をした。
少女はシェリアと言う名前で、歳は十一才。私は彼女より誕生日が遅いから、ほんの少しの年上だった。
先天的な病気で体が生まれたときより弱いとのこと。だからあまり、激しい運動は控えなければならない。
「何故シェリアは私を止めようと走ったの?辛くなることなんて目に見えてわかっていたのに。」
「悪くなるのは考えたけど…でも、人の命の方が大切だから。」
「そう…」
「あ、でもまた旅に出て川に飛び込もうとしたらダメだよ?」
「…努力はする。」
シェリアは満足そうに笑った。
そしてアップルグミをつまんで美味しそうに食べる。
…里の誰かが言ってたな。「他人の美味しそうな顔を見たら不思議と嬉しい」って。まだ、私にはわからない。
「あ、ごめんなさい…アップルグミ無くなっちゃった。」
「良いよ。また買ってくる。シェリア、まだ食べたい?」
「え、でもあなたの旅のお金じゃ…?」
「お金は大丈夫。世界中回ってるから人助けとか宿屋の依頼こなしてお金稼いでるから平気。」
「そういえば、何で旅してるの?」
「修行だよ。
「
こくりと頷く。
ピーチグミを口に放り込んで説明することをまとめる。
「私はね、
右の掌を上にして精神を集中させる。
空気中に漂う水の
次第に水の
「凄い…!水の球が、浮いてる!」
「っ!!」
一定の大きさまで達した水球を空高く放り上げる。
放り上げた水球は5メートルくらいまで達して、結合が解けて空を水の
「わぁ…綺麗!」
「水の
「フィオナ凄い!これ、きっと神様からの贈り物だよ。」
「神様からの…贈り物?」
贈り物だなんて捉えたことなかった。
私にしかわからない孤独の世界で一人生きるのかと思ってた。
そんな世界を…神様が私に贈った?
「…要らないよ、こんな
「…え?」
「皆と違う
「でも、
守れる…もの?
「そうだよ。私は体が弱いから守られてるけど…いつか病気が治ったら、皆を守りたいな。」
守る。
誰を?
「守るもの、か…私の課題ね。」
ボソリ、とひとり呟く。むぐむぐをグミを噛みながらだからもしかしたら呟きにもならなかったかもしれないが。
「…ああー!!」
アップルグミを食べながら北ラント道への門を見るなり、シェリアは大声を上げた。
つられて見てみると、茶色い髪の男の子と青い髪の男の子、そして紫色の長い髪の女の子。
話で聞いた「何処かに行った幼馴染み」だろう。
走っていくシェリアを、私は追い掛けるべきなのだろうか。
「フィオナも行こうよ!皆、紹介してあげる!」
振り返ってシェリアは私を誘った。
友人を紹介される、か。それ程大切に思って、自慢できるのだろうか。解りそうにない。
けれど、ここにいればきっと
人間味の欠けた私には理解ができないモノ。後々人を纏めあげる為にはきっと必要になってくる。
理解する為にも、あの約束を果たしても少しここに居るのも悪くは無い、と思った。
幼少期書き終えるまではハイペースでいきたいと思う今日この頃。
この話は完全オリジナルです。シェリア×フィオナ(主人公)の話ですね。
では、約束のキャラ紹介を…
フィオナ(主人公・幼少)
その
能力の制御や己の輝術を磨くために修行の旅に出た。
シェリア・バーンズ(幼少)
アスベルたちの幼馴染み。先天的な病気のせいで体が弱いが、気が強くおてんばな性格。密かにアスベルを想っている。
ですね。
次話はアスベルたちとフィオナの初対面です!どんな化学反応が起こるのでしょうか?
それではまた次話!
2018/10/01
追記
最新話から主人公の話し方、性格等などから内容を修正致しました。
大幅な話の跳躍や変化はありません。