真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート) 作:ヘルム
百代「勝っ…たのか?」
動かない自分の弟を見ながら、呟く。
ワン子「そうよ…勝ったのよ!お姉さま!!」
鉄心『勝者・風間&葵ファミリー!!』
聞きなれた老人の声を聞いた後、彼らは顔を見合わせ
一同『よっしゃー!!』
同時に喜んでいた。
ユキ「やったー!やったー!」
まゆっち、松風「やりましたね!」『オラ達すげえ!』
キャップ「おうよ!なんたって、俺たち風間&葵ファミリーだしな!」
モロ「まあ、僕たちほとんど何もしなかったわけだけど…」
ガクト「モロ!てめえ、余計なこというんじゃねーよ!」
準「いやあ、疲れたぜ。まったく、若も人使いが荒い…」
冬馬「はは、すみません。ですが、おかげで勝てたでしょう?」
京「ふふ、立てなくなった大和の救護は任せて!!」
クリス「相変わらずだな…みや…こ?」
突如として、自分の力が抜けていくのをクリスは感じた。
ワン子「クリ!!あ…」
その次はワン子、京、ユキ、まゆっちと倒れていった。
百代「うぐっ!?」
そして、ついに百代まで倒れてしまった。
キャップ「ちょ、大丈夫かよ!モモ先輩まで!!」
大和「大丈夫だろう。今頃になって、すべてのダメージが全身に回っただけだよ。姉さん達は…」
一同『!!!』
男性陣が驚いて後ろを向くと、そこには立ち上がろうとする大和の姿があった。
大和「いつつ、まったくとんでもないのをくれたな。姉さんは」
モロ「ちょ、大丈夫なの!大和!!」
大和「ああ、まあさっきまで気を失ってたけどなんとかな…」
準「おいおい、さっきの食らってその程度かよ。まったく…」
大和「まだ、身体の節々が痛いからその程度というわけでもないが、いつまでも寝てるわけにもいかないからな」
百代「大和…」
なんとか意識を保ちながら大和に対し、言葉を投げかけた。
大和「まったく、敗者が見下ろして、勝者が倒れているとは、どっちが勝ったのかこれじゃわかんねえな…」
百代「!…ってことは、大和!」
大和「これで、覚悟なしだと判断したらブーイングの嵐だろうが!認めるよ…みんなには、覚悟があるみたいだ。」
百代「ふ…ふふふふ。ふははははは!」
百代はいきなり笑い出した。
大和「うお!なんだ?いきなり!」
百代「いや、三日前生意気なことを言ってた弟を屈服させることができたと思うと、楽しくてな!ふふ」
大和「…言っておくけど、総合的な能力はまだまだ俺の方が上だからね。姉さん…」
百代「負け惜しみにしか聞こえないなー♪」
大和「やかましい!ええい、なんか我慢ならん!」
そう言って、大和は百代を抱き上げた。
百代「うわ!こら!何するんだ!?」
大和「ふっ!なに、ずっと勝った気でいられるのもなんか気に入らないから、こうやって抱き上げて、お灸を据えてやろうかな、と」
百代「意味がわからないぞ!!なんで、お灸を据えること=抱き上げることなんだ!?」
大和「ほーら、恥ずかしいだろう?」
わーぎゃーとやっている後ろで男子勢は困惑していた。
ガクト「おい…これって言った方がいいのか?」
モロ「うーん…でも、あんなモモ先輩初めて見るから、もっと見ていたい気が…」
キャップ「決まりだな!黙っていようぜ!」
準「いやあ、恥ずかしいなあ!あの人たち…」
冬馬「そうですね…」
微笑ましい目で楽しそうな百代と大和を見ながら彼らは思った。
これ、他の人にも見られてるのに…と
2009年11月18日
大和は気が沈んでいた。今日は仲間たちに自分の過去を打ち明けるというのもあるが、もっとも強い原因はあの『お姫様だっこ』の映像が全校に流されてたことである。
おかげで彼らには非情なる冷やかしの雨が降り注いだ。だから、気が沈んでいるのだ。
大和(俺としたことがすっかり忘れていた…)
そんなことを考えながら、昨日の葵冬馬の提案を頭の中で反芻する。
冬馬(あなたの過去を聞くにあたり、私達だけではそれは不十分なのではないでしょうか?なぜ、そう思うかって?決闘まで持ち込むほど拒否していたんだ。もしかして、あなたの相手は社会的にも大きな力を持っているんじゃないですか?)
そう言われた時、渋い顔をしていたことが自分でも明確に分かったが、見せる相手を絞ることで仕方なく了承した。
大和(まあ、実際そうなんだしな。最低でも九鬼が味方についてくれなきゃ、あいつらはとれねえ。だがな…)
それでも、やはり自分一人でやりたかった。そういう思いが大和の中で渦巻いていた。
だが、それでも約束は約束。こうなった以上全部話して、皆の意見を聞いた方がまだスッキリする。
そう考え直して、フェンリルに乗り込む。
フェンリル《行き先はどこだ?マスター》
大和「ああ、行き先は…」
公孫勝「ちょっと待て〜!」
そう言って、公孫勝がいきなり大和に突進した。
大和「うおっ!何だ公孫勝、ついてくんのかよ?ゲームは?」
公孫勝「そんなのもう、全部やり尽くした!!おまえ、この天才たる私との約束を蔑ろにして、今度はどこ行く気だ!?」
大和「約束って…あ!」
決闘などですっかり忘れていたが、梁山泊に帰れる手段を探してやる約束をしていたのだ。
大和「と言ったってな、これから大事な用だし…ん?あ、そうか!」
公孫勝「?」
大和「公孫勝!これから九鬼のビルに行くから、そこに一緒に行くぞ!」
公孫勝「はあ、なんでそうなるの?」
大和「九鬼はお前らの以前の雇い主だろう?なら、お前が帰る手段もうまく手配してくれるんじゃねーか?」
公孫勝「ん?あ、そっか!」
大和「よし!んじゃ、行くぞ!頼む。フェンリル」
フェンリル《了解した。》
九鬼ビル
大和「着いたぞ。ここが九鬼ビルだ!」
公孫勝「おお、さすが、世界の九鬼だね。こんなに立派なビルそうそう見ないよ。」
H形のビルを見ながら、公孫勝は呟く。その瞬間、とてつもない速さで何かが近づいてきたかと思うと、大和の前で停止した。そして、
準「あなたのお名前は何ですか?マドモアゼル。」
大和「お前…一体なにをしてんだよ?」
ロリコンこと井上準がいきなり、公孫勝に向かって名前を尋ね出した。
冬馬「いやー、いきなり準が飛び出して行ったので何かと思ったのですが…大和くん一体、彼女とはどういった関係で?」
言っている間に準を追いかけて冬馬がそして、おそらく自分の気を感じて来た百代が近づいてきた。
大和「イヤな聴き方をするな!俺がバイクを発進させたら、なぜか足にひっついていたただのガキだ!」
百代「ただのガキ…か。それにしては妙な力を感じるが…」
公孫勝「さすが武神、このバカとは違い私の天才ぶりがわかるようだ。」
大和「ただ、ちょっと人に乗り移って少し操れるだけだろうが。調子乗んな!」
公孫勝「なんだと〜!そんなに言うなら見せてやる!私の天才ぶりを!」
大和「いらん!お前の能力を見せるためにここに来たわけじゃねーんだよ!」
首根っこを掴まれる公孫勝、そしてそのまま九鬼ビルに大和は入っていくのだった。
九鬼ビル とある一室
大和「なんだ?これは?」
電気椅子のような仕様の近未来型の装置を見ながら大和は疑問に思う。
揚羽「フハハハ、これこそ九鬼の叡智を結集させて作った。人の記憶をを他の人間に共有させる機械『人憶経験装置オッケー』だ!!」
言いながら、揚羽は後ろから颯爽と登場した。
大和「(オッケーって、クッキーに続いて名前が安直だな…)また、随分と都合のいいものだな。もしかして、この7日で作り上げたんですか?」
揚羽「フハハハ、いくら九鬼といえども、さすがにそんなに都合よく作れるわけがなかろう!直江大和!これは元々犯罪摘発のために、記憶の奥を覗きこむことを目的とした機械だ!まあ、まだ試作段階だということもあり、世には出回ってないが…」
大和「また危なかっしいものを…悪用されたらとんでもないですよ!」
揚羽「ああ、だから今現在そのことも含めて、再調整しているところだ。だが、今回は他の者にもこれと同様の装置に座ってもらい、お前の身に起こったことを追体験してもらう。」
大和「!そんなこともできるんですか?ますます、とんでもねーな…そういえば、ここに寄越したメンバーっていうのは葵・風間ファミリーを除くとどんな人たちなんですか?」
揚羽「学生ならば、最低でも壁越えかそれに近しい実力者ということだったので随分なハードルだったが、松永燕、那須与一、武蔵坊弁慶、源義経、葉桜清楚あとは我、その他は従者部隊の精鋭、川神院の総代、師範代と言った顔ぶれだ。」
大和「随分な顔ぶれだ。」
揚羽「それほど、お前の過去に注目する人間が多かったということだ。直江大和」
大和「そんなに見せられた過去でもないと思うんだがな…まあ、いいか。ここまで来たなら仕方ない。
そんじゃ、座るか…」
そう言って、大和は装置に座っていった。