真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート) 作:ヘルム
セフィロス「一体何の用だ?宝条…」
宝条「相変わらず、私を嫌ってるようだねえ?セフィロス。」
いかにも不健康そうな身体をしてる猫背と白衣が妙に似合う研究者・宝条は不気味に笑った。
宝条「まあ、そんなことは気にせず、今日はお願いがあって呼んだんだ。」
セフィロス「お願いだと?」
宝条「うむ…」
白衣の下にあった写真を一枚取り出し、それをセフィロスに見せる。
そこには、中性的な顔立ちをした東洋人の少年が写っていた。
宝条「彼の名前は直江大和。つい最近、この研究所に来て、すでに私たちの計画のための手術も受けてもらっている。」
セフィロス「ほう、それでこの子供に何か問題でもあるのか?」
宝条「この写真はね、手術を受けてもらった後に撮った写真なんだが…何か気づくことはないかね?」
セフィロス「?……!これは!?」
宝条「そう、この少年は他の子供たちとは違い、目の変色がない。普通なら、あの手術を受ければ誰でも、空色の目をもつはずだというのにだ。」
セフィロス「手術が失敗したのでは?」
宝条「いや、彼は完璧に細胞が馴染んでいる。不合格者とは違うよ。」
宝条が気持ちの悪い笑顔を浮かべながらそう言い放った横で、セフィロスは
セフィロス(不合格者…か)
苦虫を噛み潰したかのような顔で立っていた。
宝条「もっと、他のサンプルもいれば、研究が進んだかもしれないが…」
セフィロス「ぶさけるな!あれだけでも、異常な犠牲者の数を出したんだ。今度、あのようなことが起きれば、
俺がこの組織を潰す。大恩があるなし関わらずにな。」
宝条「そんな怖い顔をするな。私としても君のような人材を失うのは惜しいことだ。これ以上何もしないよ。君を怒らせないためにもね。」
セフィロス「ふん、で、この子供をどうしろというんだ?」
宝条「話が早くて助かる。彼の稽古相手をしてほしいんだよ。」
セフィロス「何?」
宝条「細胞は完璧に馴染んでいるのに、彼の外見は普通の人間のままだ。だから経過観察をじっくりするためにも、彼の稽古相手を頼みたいんだ。」
正直、セフィロスはこの提案に対して初めNOを出そうと思っていた。このような文字通りの児戯をして、得があるようにも思えなかったからである。
だが、宝条ならこの少年を調べるためにはどんな手も使うにちがいない。そう思いなおし、
セフィロス「…分かった。その案受けよう。」
そう告げた。
時は流れ、1999年6月20日 訓練場
直江大和は困惑していた。ここに誘拐されてから、多分ろくな目に合わないだろうということは予想していた。だが、さすがに今日初めて出会ったみんなの憧れの的に呼び出される、なんていうよくあるラブコメ的展開(同性だが)が繰り広げられるなどということは予想するというのが無理な話である。
セフィロス「準備はできたか?」
大和「え?あ、ああ!」
大和は自らの武器である双剣をセフィロスに構える。対して、セフィロスは
3メートルはある太刀を構えていた。
大和「な!?そんな刀扱いきれるのかよ!」
セフィロス「フッ、人の心配か?随分と余裕なんだな!」
セフィロスが突進してくる。慌てて、双剣を構えなおした時には、すでにセフィロスは目の前にいた。
大和「な!?」
次の瞬間セフィロスの容赦ない一撃が繰り出され、大和の体は綺麗に吹っ飛ぶ。
それを見たセフィロスは感心していた。なぜなら、
セフィロス(ほう、かなり手加減していたとはいえ今の一撃をなんとか防いだか。まあ、飛ばされていたが。)
大和「ぐ、あ」
見ると、倒れている大和は一撃を食らっていたものの直接的な刀によるダメージが一切なかった。
セフィロス「(だが、こうも飛ばされていては、稽古にならないな。)おい、そこの二人!」
『!!』
セフィロス「いい加減、出てきたらどうだ?今ちょうど、二人ほど人手が必要なんだ。」
その声の少し後に、草陰からザックスとエアリスがでてきた。
大和「ざ、ザックス!エアリス!どうしてここに?」
ザックス「いやあ、そりゃあやっぱり、なあ?」
エアリス「うん、みんなの憧れの的でもあるセフィロスが友達のヤマトを連れ出して何かしようとしてるって分かれば、気になるじゃない!」
セフィロス「ほう、お前たちは友なのか?」
ザックス「そうそう!だから、いつも一緒だよな!ヤマト!」
ザックスは言いながら肩を組み始めた。
大和「ちょ、いきなり肩を組むな!馴れ馴れしいぞ!」
ザックス「ええー?いいじゃねえかよ?」
エアリス「わたしも入れてー!」
そんな光景を眩しいように見ながら、セフィロスは微笑んでいた。
ザックス「?どうしたんだ?セフィロス?」
セフィロス「いや、私には友というのがいないからな…一体どんな感じがするのか、少し興味があるというだけだ…」
ザックス「え、セフィロスって友達いないのか?」
セフィロスは頷く。
ザックス「ふーん、じゃあさ、
俺らが友達になってやるよ!」
ザックスがそんなことを言い出した瞬間、大和は驚いてザックスを一旦こちら側にぐいっと引っ張り出した。
ザックス「いたた、なんだよ?」
大和「なんだよ?じゃねえ!一体何を考えてんだ!」
ザックス「何って…だって、セフィロス友達いないっていうし、友達になろうかなー、って思っただけだぜ?」
大和「それが何を考えてんのか、って聞いてんだ!お前、相手あのセフィロスだぞ!俺は今日初めて会うけど、みんなの憧れみたいなもんだし、何より歳が全然違うし!」
ザックス「それが?そんなこと言うなら、エアリスと大和と俺、その中で一番の年下ってお前だろ?確か」
大和「うっ!確かにそうだが。」
ザックス「歳の差なんて考えてたら、友達なんて出来ないって!異論はねーよな!エアリス。」
エアリス「うん、ザックスがそれでいいのなら。」
ザックス「というわけで、後はお前一人だ。」
大和「うっ、わ、分かったよ!」
ザックス「よし!でさ、セフィロスは俺たちと友達になるの嫌か?」
本題であるセフィロスに尋ねる。セフィロスは少し考えた後、微笑を浮かべ、
セフィロス「フッ、随分と小さいお友達だ…」
ザックス「じゃあ!」
セフィロス「ああ、これからよろしく頼む。」
ザックス「よっしゃー」
大手を振って喜ぶザックス、それを微笑ましそうに見つめるセフィロスとエアリス、そして信じられないといった表情の大和、その時の気持ちを未だに大和は忘れていない。
あの、喜びと戸惑いが見事に混ざり合ったような気持ちを…
ザックス「さて、じゃあ何して遊ぶか?」
セフィロス「いや、その前に本来ここに大和を呼び出した目的の方を達成しないとな」
ザックス「あ、そうだった。やべ、忘れてた」
ハハ、と笑うザックス
エアリス「で、一体何が目的で大和を呼び出したの?」
セフィロス「簡単なことだ。稽古をするため、だ。だが、さっき見た通り俺の一撃を食らっただけであいつは吹っ飛んでいた。だから、お前たちも加えて稽古をしようと思う。その方がちょうどいい。」
ザックス「あ、なるほど了解、じゃあ俺も武器持ってくるな!」
エアリス「私も!」
そう言って二人が去った後、セフィロスは口を開け、
セフィロス「嫌だったか?」
大和「え?何が?」
セフィロス「私がお前たちと友になると言い出したことだ。」
大和「いや、別に…ただ、なんていうか意外で。てっきり断るものかと…」
セフィロス「ああ、まあ、俺も最初は驚いたし断ろうとも思ったが、ザックスといったか?あの子の目はなんというか、まっすぐな気がしてな。断れなかったんだ…俺に断らせないとはあの歳で大した子供だ。」
大和「…!?」
セフィロス「まあ、俺は時々しか顔を出せないし、出せたとしても会えるとは限らないが、よろしく頼む。」
大和「ああ、よろしく…」
そんなことを話している間に遠くから、ザックスとエアリスが駆け寄ってくるのが見えた。駆け寄ってきたザックスはバスターソードと呼ばれる大剣をエアリスは杖を持っていた。
セフィロス「よし、じゃあ稽古を始めるか?」
大和「うん!よろしくお願いします!」
そう言って、大和も自分の武器である双剣を構えた。
今回、大和は最初双剣を使っていたことにしました。とりあえず、二刀流の伏線のつもりです。