真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート) 作:ヘルム
1999年10月5日 訓練場
セフィロスに出会ってから、三ヶ月が経とうとしていた。まだ、10月だというのに冬のように寒くなってるのを感じた大和は、
大和(今更ながら思うけど、この研究所結構北の方にあるのかもな…)
とそんなことを考えていた。
こういう場合、訓練は室内で行われる手筈だったが相手がセフィロスということで、逆に室内でやらせたら危険だという判断になった。
そんな訳で大和とザックスとエアリスはセフィロスと初めて稽古した場所に今日もいるのだった。
しばらくすると、
セフィロス「待たせたな…」
と後ろから声がし、振り向くとセフィロスがそこにいた。
セフィロス「さあ、稽古を始めよう!」
そう聞いた瞬間、嬉々として三人は笑顔で
三人『はい!』
と答えて立ち向かった。
二時間後
セフィロス「今日の稽古はこれまでだな…」
ボロ雑巾のように横になった三人がいた。
ザックス「いててて、相変わらずデタラメな強さだな。」
エアリス「まったくとんでもないわ。ね、ヤマト!…ヤマト?」
見ると、大和は横になったまま、動かなくなっていた。
セフィロス「……これは気絶してるな。さっき俺が『稽古をこれまで』といった瞬間気が緩んだか…仕方ない。持って行ってやるか。」
直江大和は夢の中にいた。そこには昔なら、いつもどおりの日常だった空間があった。
いつもどおり父さんはドSで、
いつもどおり家は暖かくて、
そしていつもどおり母さんが乱暴だけど頭を撫でてくれた。
そんな日常を見た瞬間に、ああ、これは夢なんだとすぐに理解できてしまうあたり、もはや重症なのかもと大和は考えていた。
けど、夢であっても目の前の母親に思わずつぶやいてしまった。
大和「母さん…」
エアリス「こーら、私はあなたのお母さんじゃありません。」
大和「!」
聞いた瞬間、大和は目を開いた。見ると、目の前にエアリスの顔があった。どういう状況なのかわからずにいて、しばらく考えているとようやく理解できた。
つまり、大和がエアリスに膝枕されている状況だということだ。
大和「うお!」
エアリス「きゃっ!」
驚いて飛び起きてしまった。
エアリス「も〜危ないでしょ!」
大和「わ、悪い。ちょっと驚いて…なんで俺はエアリスにその…なんていうか…えーと」
ザックス「膝枕されてたかってか?」
大和「!」
すぐ横にザックスもいた。
すると、見る見るうちに自分の顔が赤くなっていくのが分かった。
エアリス「な〜に赤くなってるのかな?ヤマト〜?」
大和「う、うるせえ!あんな恥ずかしいことされて、平常心でいられるかってんだよ!」
ザックス「なんだ?少し前まで自閉症の気があったのに、意外と純情なのな?」
エアリス「ヤマト、かーわいい」
大和「だ、黙れ!」
セフィロス「なんだ?起きたのか?大和」
エアリス「あ、セフィロス!聞いてよ!ヤマトさっき私のこと母さんって「わー、わー!」」
セフィロス「はは、楽しそうだな。」
大和「そ、そういえば、セフィロスの親ってどんな人なんだ?」
苦し紛れに話題を変えようと思い、必死に出した言葉だった、だがいった瞬間、シンとなってしまった。少しして、セフィロスが
セフィロス「母の名は
ジェノバ
父の名は…ははは、何を話してるんだ。俺は」
セフィロスは背を向けた。
大和「あ…セフィロス」
セフィロス「さっきも言った通り、今日の稽古はこれまで!次はかなり早いが、二日後ほどにまた来る。」
そういって、スタスタと立ち去って行った。
三人で一緒に帰路に着くと、
エアリス「ねえ、ヤマト…」
大和「うん?」
エアリス「ヤマトはやっぱり家に帰りたいと思う?」
大和「え?えーと、それはまあやっぱりそうかな?」
エアリス「そう…」
少し悲しそうな顔した後、エアリスは自分の部屋がある女子寮に戻って行った。
大和「?なんだったんだ?」
ザックス「大和…さっきお前がセフィロスに親のことを聞いた瞬間、シンってなったよな?」
大和「え、あ、ああ。」
ザックス「忘れたのか?ここは身売りされたり、誘拐されたりと、みんなどこかしら親に対して闇を抱えた人間が集まっているってことを?」
大和「あ!!」
そこまで来て、ようやくさっきの自分の失言に気づいた。
大和「…そうか。だから…」
ザックス「ああ、別に謝らなくていいと思うし、さっきのは俺たちにも原因があると思うけど、気をつけろよ!」
大和「ああ…ごめん…ん?」
ふと気づくと足元にロケット入りのネックレスがあった。
大和「これは…」
ロケットの中を覗くと、エアリスによく似た女性がその中には写っていた。
1時間後
大和は黒髪ロングのカツラを被った女装姿で女子寮の中に入っていた。
なんで、こんなことになっているかというと、
30分前
大和「やっぱり、このロケットってエアリスのだよな。」
ザックス「たぶんな、明日返せばいいって。」
大和「…」
ザックス「…どうしたんだ?」
大和「いや、さっきのこともあるし、きっと探してるんじゃないかなって。」
ザックス「…おい、やめとけよ。お前が今なにを考えてるのか、わかってるつもりだけどそんなことしても叩き出されたら、その後何されるか分かったもんじゃないぞ!」
大和「…」
ザックス「…仕方ないな。よし!ではこのザックス兄さんが君に妙技を授けよう!」
大和「妙技?」
そういって、どこから出したのか長髪の黒髪のカツラを取り出した。
大和「おい、なんだそれ?」
ザックス「いやー、研究所をうろついてたらさ、なんか道端にあったんだよ」
大和「道端にあるもんなのか?そんなものが…」
ザックス「知らね。どっかの研究者がパーティでもやったんじゃね?というわけで、これ被って行ってこい!」
大和「は!?なんでそうなる?」
ザックス「だって、女子寮に入りたいんだろうお前?だったら、最低限これぐらいの変装はしないと!」
大和「ニヤニヤしながら、そんなこと言っても説得力皆無なんだよ!ふざけんな!だったら、明日行くよ!」
ザックス「おいおい、さっきエアリスに負い目を感じてたのはどこの誰だったかな?」
大和「ぐっ!」
ザックス「さあさあ、いってこい!」
大和「ちくしょう!覚えてろよ!」
というわけで、現在黒髪ロングのカツラをつけた少年、直江大和はエアリスの部屋を探しに女子寮の中をうろついていた。
そして、うろついている途中に早速難題が降りかかってきた。
「あら、あなた何をしてるの?」
ギクッとして、後ろを振り向くと女研究員がそこには立っていた。
大和(まずい!これは非常にまずい!他の奴ならどうか知らないけど、俺は決定的に他と違うところが一つある!)
そう、それは自分の目が他の人とは違い、青くないということ。だが、ばれたくないという一心の思いが奇跡を引き起こす。
そう、自らの目が澄んだ空のように青くなったのである。
大和(え、嘘だろ!でも、これなら行ける!!)
大和「こ、こんにちは〜」←全力の女声
女研究員「あら、あなた見ない顔ね?」
大和「はい、最近来たもので…あの、エアリスさんがどこにいらっしゃるかご存知ですか?」
女研究員「?あなた知らないの?あとちょっとで時間切れよ!ほら早く!」
ガシッと掴まれて、そのまま抱えて持っていかれる大和
大和「え?」
この後、直江大和は思うのであった。人は誰かを騙すときそれ相応の覚悟が必要なのだと。
女子寮 シャワールーム
女研究員「ほら、早く入っちゃいなさい!」
大和「え?いや!あの!!」
バタンとシャワールームの唯一の出入り口が閉じられてしまう。
大和「(しまったー。そういえばこの時間帯俺たちも男子寮でシャワーを浴びてたんだった。)いえ、いいんで!私そういうシャワーとか気にしないんで!出してください!お願いいたします!!」
女研究員【そんなこと言わないの!あなただって立派な女の子なんだからシャワーを浴びてちゃんと汗流してきなさい!!】
大和(いやいやいやいや、無理だって!もし今入ったら、シャワーどころか自らの血の雨を浴びかねないんだって!
お願い!出して!このままじゃオレ、何もやってないのに…白(しろ)なのに死路(しろ)に行ってしまうのです!いや、厳密には全く白という訳ではないけど!結構なグレーゾーンだけども!!つーか、なんで気づかないんだ!そりゃあ騙すためにやった変装だもの、気づかないことは本来喜ばしいことなんだろうけども!!さっき、奇跡的に目が青くなったことを鑑みたって、気付くだろう!普通!!…ってあれ?そうだ!目!!)
大和は即座に近くの洗面所にある鏡を見た。だが、
大和「あれ?もう青くない?」
すでに目はいつも通りの焦げ茶色に戻っていた。少し落胆したが、同時に安心もした。なぜなら、
大和(女装がバレないために青い目に覚醒したなんて恥ずかしすぎる!)
気を取り直してどうやってここから出るか考えることにした。
今の大和に残された選択肢は
1、諦めて、自白する。
2、限界まで隠れてみる。
そして、3、目の前にどこにつながっているか分からないダストシュートがある。そこに一か八か突入して脱出を試みる。
である。もちろん、1は確実に処刑が待っているし、2にしたって見つかれば同じこと、3はもしも行き着く先がいきなり焼却枦なんてことになったら、一貫の終わりだ。
大和(どうする?どれ選んだって、地獄行きな気がするが…)
そうこう考えていると、シャワールームの方から女子たちの声が聞こえてくる。
「わー、エアリスの肌きれいだねー!」「うん、本当だよね!なんであんなに特訓してるのに傷の跡もないのかな?」「くう、羨ましい!触らせてー!」「きゃ!」
一応言っておくと、ここでの最高年齢の女子は12歳ほどである。そして、エアリスは7歳だが…
エアリス「ちょ、ラテさん、ルーイさんどこ触ってるの?」
ラテ「くう、若いって羨ましい!」
ルーイ「はあはあ、本当よね!」
大和(おっさんか!!)
大和は心の中でそう叫んだ。幾ら何でも、会話が年相応じゃ無さすぎる。ませているというより、もはや、おっさんだ。
だが、そんなことに思考を移していると、
エアリス「も、もう、私先に出る!!」
大和(!!!)
なんと、エアリスがシャワールームから出ようとしている。
大和(やべえ!迷っている暇はねー!今すぐに脱出しなければ!)
と考え、ダストシュートに目掛けて突進した。途中で、
大和(おっとっと、これを忘れるところだった。)
と、本来の目的であるロケットを床に置き、
ガコン
と今度こそダストシュートに突入していった。
その後、エアリスは風呂から出てきた。
エアリス「あれ?今人がいた気がしたんだけど…ん?あれって、もしかして?」
エアリスは急いで、床に落ちているものに向かっていった。
エアリス「やっぱりそうだ!私のロケット!でも、なんでこんなところに?」
一方、大和は
大和「ウワアアアア!!」
絶賛、ダストシュートを滑り台よろしく滑っていた。ずいぶんと、奥深くまで突きすすんでいるそして、たどり着いたさきは、
大和「ぐ!ゲホゲホ!よかった…いきなり焼却枦なんていうことはなかったみたいだ。ウッ!」
だが、それでも一面ゴミだらけひどい悪臭が立ち込めている。
大和「早くここから出ないと…ん?」
見ると、一つだけ入り口らしきものが目の前にあった。大和はその扉に迷いなく手をかけた。
中に入ると、
大和「なんだここ?」
中は青白い光に包まれていた。何本もの何に使うか分からない管がそこにはあり、そしてその先には、
銀色の女姿の彫像が巨大な試験管の中によくわからない液体の中に浸されて保管されていた。
試験管に近づき、大和はその試験管に刻まれている名前を順々に読み上げた。
大和「J…E…N…O…V…A」
繋げて読むと、
大和「ジェノバ?」
大和は呟いた。途端に思い出す。
ー母の名前は、ジェノバー
時が狂い始める。
いやー、やっぱりff7とまじこいって言ったら女装は捨てがたいものだと思いますね!