真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート)   作:ヘルム

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旅立ち

研究所

 

大和「っ!?こ、これは!?」

研究所に着いた大和は驚愕した。

どこを向いても赤、赤、赤の血だらけだった。もはや首しか無いもの、逆に体しかないもの、研究員と子供たちを含めてそんな死体しかなかった。

大和(ザックス!!)

心の中で叫ぶ大和、いつも予想だにしないことを言ってのけ、その度に自分の頭を悩ませた、だがこんな研究所 の中でも明るかった少年。

だからこそ大和は心の中でザックスなら無事なんだとそう心に言い聞かせることができた。そうすることで決壊しそうな心をなんとか保てた。

 

だが、そんな祈りに近い思いは脆くも崩れ去る。

 

セフィロスとザックスの顔が浮かんだ瞬間、自然いつもの訓練場に足が行った。

そして、その中央には

 

血だらけのザックスがいた。

 

大和「ザックス!!」

 

急いで駆け寄り、ザックスの上体を起 こした。

 

ザックス「うっ…うう…」

大和「よかった!まだ生きてた!」

ザックス「大和…か?馬鹿野郎…なん…で、こんな…ところ、来たんだよ…?」

大和「お前を見捨てることなんてできるわけねーだろ!」

ザックス「はあ、ったく、でも悪い…もうオレも長くない…」

大和「そんな…やめてくれ!エアリスはもう泣かない、怒らない、笑わない!お前までそうなっちまったら…俺は…どうすれば…」

 

泣きそうな顔で必死に懇願した。そんな大和を辛そうに見つめながら、ザックスは

 

ザックス「大丈夫…だ。大和…」

大和「はあ?」

 

そう言って、ザックスは微笑みながら大和の方を見つめた。

 

ザックス「俺の…分まで…」

大和「お前の…分まで?」

ザックス「お前が…

 

生きる。」

 

大和「!!」

 

そのまま大和の顔に手を進めて、胸に埋めさせると、

 

ザックス「お前が…俺の生きた証。」

 

大和「……」

 

大和は最早言葉が出なかった。もう、聞くしかなかった。

ザックスは自分の大剣を大和に持たせるような形で

 

ザックス「俺の誇りや夢…

 

全部やる…」

 

大和はそれを無言で受け取る。それを確認した後、ザックスは言いたいことが言えて安心したように微笑むと、ゆっくりと目を閉じた。

 

死んだとわかるのに偉く時間がかかったように感じた。

そして、理解した瞬間、大和の中で何かがバキンと壊れるような音がした。

 

大和「あ…あ…ああ

 

…あああああ!!」

 

ただ、泣き叫ぶしかなかった。

それはまるで、仲間との別れを惜しむ一匹の獣の鳴き声に近かった。

 

 

それから少し経ち、叫びが収まると大和は立ち上がった。

そして、大和はザックスの方に顔を向けると、

 

大和「ありがとう…忘れない。絶対に…」

 

今までのことを思い出しながら、

 

背を向け、

 

大和「ザックス…」

 

最後に名前を呟いた。そして、ザックスの大剣を引きずりながら持って行き、

 

大和「行ってくる」

 

大和が目指す先、それは

 

現在、大和とセフィロスしか知らない場所である。

 

研究所 地下奥深くの部屋

 

セフィロス「やっと会えたね…母さん」

 

狂気じみた笑いを浮かべながら、セフィロスは試験管の中にある女性型の銀像につぶやく。

 

セフィロス「ごめんね。こんな汚いところに母さんをずっと待たせちゃって…でも、もう大丈夫だよ。オレやりたいことがあるんだ。母さんがこの星にやってくるまでずっと昔からやってきたことだよ…」

 

セフィロス「ああ、でもそんな汚い物に身を包まれてたらオレが今からすることを満足に見れないよね…ちょっと待ってて。」

 

巨大試験管を壊し、セフィロスが銀像に手をかける。そして、

 

一気に引き抜いた。

 

すると、銀像の中から液体が吹き出す。その後ろから出てきた物は…

 

肌が青く、目は赤い、さらには背中には赤い翼のようなものがくっついている女性型の異質な生物だった。とても人間とは思えない…そう、それはまさしく

 

宇宙人

 

そう表現するのにぴったりな生物だった。

 

セフィロス「何の取り柄もないあいつらにこんなところに入れられて、かわいそうに…さあ、一緒に行こう!

 

母さん、一緒に人間どもに復讐しよう…」

 

愛する母を抱き上げようとセフィロスは手を掲げた。だが、次の瞬間、

ドッとセフィロスは何かが後ろから来たのを感じた。後ろを見ると、

 

大和が大剣で自分の体を突き刺していた。

 

大和「セフィロス!!なぜ研究所のみんなを殺した。目標だったのに…憧れていたのに!」

セフィロス「う、うう!」

 

ドサッと試験管の方にもたれかかるように倒れていったセフィロス、それを見た大和は止めを刺すために上で剣を振り被る。そして

 

大和「終わりだ!セフィロス!!」

 

振り下ろす。だが…

 

ガキーン

 

なんと、太刀で大和の一撃を受け止められた。

 

大和「なっ!?まだ、動けたのか?っぐあ!」

 

そのまま押し返される大和。吹き飛ばされると、3m上の管ばかりある壁に激突した。

 

大和「ゲホッ!」(そんな…腹に風穴空いてんだぞ?どうして…こんな…)

 

そのまま、落ちると大和はすぐに立ち上がろうとする。

 

セフィロス「くっ!お前ごときに!」

 

一方セフィロスもかなりのダメージを負っているためにだめ押しを大和にしようとしても、身体が動かなかった。だが、少しずつ少しずつ大和に近づいていった。

 

大和(そういえば、バスターソードは?…!あそこか!)

 

先ほど吹き飛ばされたとき、バスターソードを手から離してしまったので、どこにあるか探していると、ちょうど、自分の後方5mの位置にあった。

 

大和(でも、今こいつに背を向けるわけにはいかない。…慣れない武器は扱うもんじゃないな…仕方ない。)

 

そう考え、大和は腰の双剣に手を添え、それをセフィロスに構えた。

そして、一気に突進する。

 

双剣と太刀が衝突する。その後、大和はセフィロスに向かって、連撃を繰り出していく。

 

大和「うおおおおおお!!」

 

だが、その全てを完璧に防御するセフィロス。それでも疑問に思うことがあった。

 

セフィロス(なんだ?これほどのパワー、スピード明らかに今までとは段違いだ。なぜここまで?)

 

そして、ついにはセフィロスが風穴が空いている状態だとは言え、かするようになってきた。

 

大和(いける!!)

 

大和がそう思った瞬間、

 

セフィロス「っ!調子に…

 

乗るな!」

 

大和に太刀の突きが迫る。

 

その一撃を

 

大和はもろに食らう。

 

大和「ぐあ!」

 

そのまま、太刀で持ち上げられる。

 

まずい。このままじゃ…

 

そう頭によぎった瞬間、ザックスとエアリスの顔が走馬灯に浮かんだ。そして、

 

お前が俺の生きた証。

 

その言葉を思い出した瞬間、意図せず自分の手を太刀にかけて、

 

大和「ぬぐ…ああああ!!」

 

思いっきり力をかけた。自分の身体の中で力が何倍にもなっていくような感覚がした。

そして、ついには

 

セフィロスの身体の方が持ち上がっていた。

 

セフィロス「そんな…バカな…!!お前…その目は!!」

 

見ると、大和の目は青く怪しく光っていた。

 

大和「うらあ!」

 

大和はセフィロスを自分の後方に投げ飛ばした。

 

セフィロス「ぬぐあ…」

 

セフィロスは思い切り壁に叩きつけられ、ずり落ちて行く。その次にセフィロスが見た物は、

 

バスターソードを今度こそとばかりに横に振り被る大和の姿だった。

 

セフィロス「ま…!!」

 

待て、という前にそれは終わっていた。

 

ザン

 

横一文字にセフィロスを斬る大和。

そして、その傷口から勢い良く血を吹き出すセフィロス。

 

セフィロス「が、あ…」

 

最期に何かを言おうとしながらセフィロスはゆっくりと目を閉じていった。

 

大和「はあ、はあ、はあ、はあ…」

 

セフィロスを一瞥する大和、今度こそ完璧に止めを刺した。

 

大和「やった…ぞ。う…!」

 

倒れそうになる体をなんとか武器を使って立ち上がらせた。

ここで倒れるわけにはいかない。異変を感じたこの組織の仲間がいつやってくるかわからないのだ。

そして、後ろを振り向くとそこには青い肌と赤い目そして背中には赤い翼のような異形のものがくっついている女性型の生物がいた。

 

大和(…こいつが全てを…)

 

そう考えた瞬間、大和は剣を振りかぶり、

 

その生物の首に向かって、思い切り振り降ろした。

 

ザン

 

という音がしたと同時にその生物の首がボトッと床に落ちた。

 

大和(これで…いいんだ。)

 

心の中で大和はそう呟いた。

 

急いで研究所を出ようとする大和、すると気になるものが目に入った。

 

大和「なんだ?これは…」

 

床を見ると数枚のレポートらしき紙があった。研究所にいるのが長かった分、普通はただの紙だと思うようなものだが、大和はどうしてもそれから目が離せなかった。

 

状況からして、セフィロスが持ってきたものなのだろう。

 

だとすると、セフィロスがおかしくなった理由もここにあるのかもしれない。大和は本能的にそう考えた。

大和はそのレポートを手に持つと急いで地上に出た。

 

その時、ピクッとわずかに動いたセフィロスのことには全く気づかずに…

 

大和「うっ!!」

 

外に出て見ると、やはりひどいものだった。

 

どこを見ても、死体、死体、死体…一刻も早くこんな場所から出たいと、大和はそう考えた。

 

だが、できなかった。

 

別にここにいるやつらには仲良くしてもらったわけではない。俺の親友はザックスとエアリスだけだ。そう考えているにも関わらずである。

 

大和「……」

 

ふと、考えるそぶりをわずかにした後、大和は大剣を持ち上げながら別の場所に向かった。

 

大和「ここがいいな…」

 

呟いた後、大和は思い切り大剣を地面叩きつけた。

 

1999年11月6日

 

あの事件からすでに3日が経っている。

直江大和は自分の身体などお構いなしに3日間ぶっ続けで死体を土の中に入れては入れては土を盛り続けていた。

我ながら、よく動けていると思う。なにせ、出血は収まってきたとは言え胴には太刀による風穴がまだ空いたままなのである。いつの間にかそんなことも忘れて、土をいじり続けていた自分に若干の恐怖を抱きながら、

 

大和「よし!できた!!」

 

最後にザックスのバスターソードを突き刺した。

 

大和(これで完成間近だな…)

 

間近というのはまだ埋めてない、というか埋めるのが嫌だった死体が2人だけいたのだ。

 

それはもちろん、ザックスとエアリスの死体である。

 

大和「やっぱり…無理だな…オレにこいつらを埋めるのは…」

 

まるで今にも動き出しそう…いやそんなことあるわけないのだが、大和はどうしても、そう考えてしまう自分を否定できなかった。

だから、大和は2人の死体をバスターソードに寄りかからせるような形で、置いた。いつでも、起き上がれるように…

 

そうすると、エアリスの顔が自然とザックスの肩に寄り添う。

その姿に少し愛おしさを感じた大和、思わずエアリスの頬を撫でていた。

 

大和「エアリス…ありがとう。こんなオレを好きだと言ってくれて…友達としての言葉だっていうのは分かっているけど、嬉しかった…本当に。」

 

そう言うと、大和は今度はザックスの方を向き、

 

大和「ザックス…やっぱり、そのバスタソードはお前の背中にある方が似合ってる。お前の分まで生きる…お前の誇りや夢をもらったのは確かだけど…やっぱり、その大剣はお前が持っておくべきだ。…でも、安心してくれ!研究所の中に試作段階ではあったが、お前の大剣に似た武器が見つかったんだ。」

 

手に持った新しい武器を大和はザックスに見せるような形で掲げた。

 

大和「すごいぞ!この剣は6本の剣から成り立っている武器でな、俺は双剣扱うのが慣れているから、この武器、使いこなせると思うんだ!」

 

大和は本当に楽しそうに語った。そうでもしないと、心が決壊しそうで怖かったから…

 

少しして、大和は立ち上がる。

 

大和「そろそろ行くよ…ザックス、エアリス。正直いつここの関係者が来るかヒヤヒヤものだったけど…運が良くて良かった。」

 

そう言って、微笑むと

 

大和「それじゃ、ザックス、エアリス、

 

おやすみ…」

 

大和は新しい武器を持ちながら研究所の外の方へと歩き始めた。自分の帰るべき場所に帰るために。




本当はセフィロスと戦った後、一旦切ろうと思ったのですが、もうここまで行ったのなら書いてしまえ!という気持ちで書きました。では、感想お待ちしております。
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