真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート)   作:ヘルム

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今回で過去編終了です。まあ、正直ちょっと詰め込みすぎたかなって思うんですけど…ちょっとグダグダかもしれないですが、では、どうぞ!




2002年7月5日

 

夜になり、両親にきづかれないように、大和は窓から外に出て山奥へと向かった。

 

さて、早速大和は力の制御のための修行を行おうとしたのだが、実際のところどうやれば、あの異常な力を制御が行えるのか大和は分からなかった。だから、研究所にいた時のように素振りから始めることにした。

 

1時間後

大和「ふっ、ふっ、!」

 

大和は未だに素振りを切り上げようとしなかった。疲れていないわけではない。実際息がかなり上がってきている。だが、やめられなかった。

 

やめた瞬間にどこかから悲鳴が聞こえてくるような気がしてならなかったのだ。

 

〜ぎゃあー!!〜

〜や、やめてくれー〜

〜いやあああ〜

 

自分が行った時には既に手遅れだったので、大和にはこんな悲鳴聞いたことがないはずだった。

 

だが、いざ剣を振ると思い出すのだ。あの血塗られた光景を…

 

大和「っ!!ぜあー!!」

 

大和は悲鳴をかき消すために振って振って振り続けた。いつの間にか自分で型らしき動きをして、更に激しく動き続けた。

最早、鍛錬というより拷問に近かった。心がすり減り、苦しみがつづくその鍛錬(ごうもん)を延々と続けていく。

 

もうやめたい、とも確かに考えた。けど、このままじゃいけない。やめたい…いけない…やめたい…いけない…

 

そんな風に考えながら、大和は鍛錬を続けていった。

 

2002年7月12日

鍛錬を始めてから、既に一週間経った。今日は六年生たちに仕返しをするための日である。

 

大和は件の五年生・川神百代を説得し連れて行くことに成功した。

条件付きで用心棒になってもいいということなので条件を飲んだのだが、その条件が色々アレなので少々不安ではある…

 

条件は舎弟になること、まあ、これはまだギリギリ理解できるのだが、この約束を破った場合、腕の中でなぐりこ〜ろすなどと言われたのである。

しかも、目が本気だった。小学四年生でそんなことが分かるのか?と言われれば確かにそうなのだが…

 

まあ、そんな訳で色々な不安が残っているがとりあえず、この用心棒を六年生を連れて行くことにした。

 

結果は圧勝だった。ただの蹂躙に近かった。主犯格に至っては最後の止めに建物の3階から突き落とすなんていうことをやっていたが、とりあえず生きている。

 

六年生「オレは本当のワルなんだ!猫も平気で殺せるんだ!お前も殺すぞこのアマ!」

 

などとふざけたことを言ってたので、危うく力が暴走するところだった。

…薄々感づいていたが、どうもこの力は自分の激しい感情に呼応して覚醒を果たすらしい。

つまり、激しい感情を思い返せばこの力のコントロールの近道になるのでは?

 

百代が高笑いしながら一緒に帰る帰り道そんなことを考えた。

 

この百代はこの後もうおさらばになるかと思ったのだが、予想以上にこの風間ファミリーが気に入ってしまい、結果風間ファミリーに入ることになったのは、また別の話である。

 

2002年7月15日

 

今夜も今夜とて、修行を続ける。激しい感情を思い返し、半ば無理矢理覚醒することもできるようになってきた。

 

わずか10日でここまでの成長ができた自分に内心驚いたが、それでもまだ自分の力に振り回されてるような感覚があった。

 

大和「まだだな…まだオレは力をコントロールしきれてない…」

 

そう言って大和は修行を続けるのだった。

 

2002年9月12日

 

修行を続けて、3ヶ月が経つ。両親にも仲間にも自分がこんな修行をしているなどということは知られなかった。それもこれもこの目のおかげであると言えよう。

 

この目を自分で封印、解除できるまでに至った大和。既に、本来の目的である目のコントロールは行えるようになっていた。

 

話を戻すと、この目、ある一定以上の筋力を目を封印すると同時に封印することができるようなのだ。だからどれだけ修行して、自分の力が上がったり、体型がわずかに変化しても、風船のように元の体型に縮む。

このおかげで大和はうまく雲隠れができるようになった。

 

自分の成長、そして本来の目的である目のコントロールも行えるようになった大和。だが、その心中は焦りに満ちていた。

なぜか?

 

一つは自分の修行の停滞感覚。

実は目のコントロールについては二ヶ月ほど前に既にできるようになっていた。だが、その二ヶ月前から目に見えるほど鍛錬が身に付かなくなっていたのである。

 

目のコントロールもできたのだし、もーいーだろ…とも考えた。

 

だが、二つ目の…これが主な理由だが、最近、妙な視線を大和は感じるようになってきた。

 

誰かが見ている気がする…普通に聞けばイタい話ではあるのだが、この視線について嫌な予感が猛烈にしてきた大和は、鍛錬を続けて行くことにきめたのだ。

 

だが、その結果はこのザマ。とても鍛錬をしているような感覚にはなれなかった。

 

そうこうしてる内に今日も夜が明けようかという時間になっていた。大和は納得がいってないものの帰ることにしたのだった。

 

2002年9月26日

 

キャップを除くファミリー全員で遊んでいた日、大和は休憩ということで少し遠くから眺めることにした。

 

大和「ふ、みんなこどもだな…いや、単純に俺が枯れすぎてるのか?もう少し子供っぽくならなきゃーな…」

 

そんなことを言いながら、大和は自分の後方をずっと気にかけていた。

 

今日こそは自分を見ている視線の主を探し出そうと意気込みを入れているのだ。

 

しばらく待っていると、

 

ザワッ

 

と視線を感じた。視線の元にすぐに駆け出す大和。

 

大和「確かこの辺りから…」

 

だが、既にそこには誰もいなかった。そこら一帯をしばらく散策していると、鋭く踏み込んだと思われる靴の跡がそこにはあった。

見ると、相当強く踏み込んだらしく乾いた地面には軽くヒビまでできている。

そして、大和は直感した。野生の勘とでも言うべきか…

 

誰だか知らないが、この足跡の主は少なくとも今の自分が手も足も出ないほどの力を持っている。と

 

大和「っ!!まさか、もう手が伸びたのか?」

 

一気に嫌な汗が流れ始める。これからどうすべきなのか、それについて考えるだけでも大和の頭は十分に混乱していた。

 

だが、そんなとき

 

大和「ん?だれかに見られている気がする!?」

 

そう言って、今度は向いている先の逆方向を見つめる。すると、

 

「ねーねー」

 

白い髪と白い綺麗な肌が特徴の女の子が出てきた。

 

女の子「遊ぶの見てたんだ。」

 

女の子「ぼくも仲間に入れて欲しいなー」

 

女の子「いーれーて。」

 

大和(なんだこいつ…なんだか変な奴だな。)

 

そう、後の榊原小雪が声をかけてきたのだった。だが、このとき小雪は圧倒的に間が悪かった。

 

だれかが一人になるのを待っており、ようやく一人になる人影を見かけたので、小雪は声をかけた。だが、その相手は今現在、大いに悩んでいる大和だった。

 

大和(いまは、キャップいないし、何よりそれどころじゃない!断ってしまえ!)

 

そう考え、断ろうと言葉を紡ごうとした。だが、その瞬間、大和は見た。小雪の震えている手を、怯えた目を。

 

だから…

 

大和「しょうがねーな。人数いっぱいでお前入るところねーかもだぞ!」

 

女の子「!ううん、いい!全然いいよ!」

 

大和「?おかしなやつだな?そんなに俺たちと遊びたかったのか?」

 

女の子「ありがとう!」

 

小雪は満面の笑顔でそう答えた。

その笑顔を見た大和は

 

大和(あぁ、そうだよな。そうだった…かつて、オレも強がってはいたものの遊んで欲しいときがあった。そんなところをザックスとエアリスに救われたんだ。)

 

大和(そんなおれが、間違ってもあんな(・・・)目をした女の子を断っていいわけないよな…)

 

その日、小雪と混じった遊びをした後振った大和の剣はほんの少しだが成長を感じさせるような素振りだった。

 

2003年7月16日

 

直江大和小学五年生。京をいじめから救いファミリーと一緒に遊んでいる夏、大和はまた悩んでいた。小雪や京を救った後、大和の剣は我流であるとは言え、メキメキと上達していると実感できた。

 

小雪と出会ってからというもの、嫌な視線を感じなくなり、とりあえず、自分の精神状態も安定してきた。

 

だが、悩んでいた。

 

何に?

 

実はそれは自分にもわからなかった。ただ言い知れぬ不安感があり、その不安感が連鎖的に悩みを引き起こしているのだ。

 

百代「…まと、大和!」

大和「ん、あ、あぁ、何?姉さん?」

百代「聞いてなかったのか?大事な話だったんだぞ〜!」

大和「いたたた、ヘッドロックはやめて姉さん!」

百代「じゃあそれ以外ならいいんだな?」

大和「それ以外もよくないよ!」

 

邪悪な笑顔で邪悪なことを聞いてくる自分の姉に対して大和は全力の抗議をした。

 

大和「それで?何?」

百代「ふふ、大和!お前が気に入ったぞ!

 

一生、私について来い!」

 

手を自分に突き出しながら、百代は声高らかに叫んだ。

その言葉を聞いた瞬間、大和は自分に手を伸ばすエアリスの姿を思い浮かべた。

 

大和「……」

 

しばらく黙った後、大和は百代の手を握ろうとした。性格はまるで真逆な上に正直言っていつも振り回されてばかりだった。だが、大和はそんな百代にかつてのエアリスを見た。

 

だからこそ、

 

伸ばしかけた手を大和は途中で止めた。そして、

 

大和「嫌だね。」

 

百代「何?」

 

予想外の答えに百代は眉を潜める。

 

大和「一生ついて行くってことはそれはつまり、ずっと姉さんの後ろにいるってことだ。そんなの嫌だね。姉さんに並び立てる存在になる!(そうだ。そうして、かつて失敗したんだ。ザックスとエアリスを守れなかったんだ…)」

 

百代「だが、お前武術で私にかなわないだろう?」

 

大和「…わかんないぞ!」

 

百代「何?」

 

大和「確かにまだブラブラしてるけど…今のではっきりわかった。オレがどうして不安だったのか!」

 

百代「?何の話だ?」

 

大和「こっちの話だよ…とにかくオレは武でも、知でもいい!どちらか一方で必ず姉さんに並び立てる存在になってやる!」

 

百代「例えば?」

 

大和「そうだな…内閣総理大臣とか、

 

英雄とか!」

 

百代「内閣総理大臣に英雄か…また、大きく出たな。大和!」

 

大和「それぐらい頑張らないと姉さんに並び立てないだろう?」

 

百代「ああ、むしろ私が頑張らないとな!」

 

百代は本気で楽しみにしてるかのように笑った。

 

そんな脇で微笑みながら大和は考えた。

 

大和(そっか…さっきの自分の言葉…『英雄』でさらに明らかになったな。オレがなんで不安だったのか。

 

オレには何もなかったんだ。憧れ(・・)目標(・・)もあの時消えて、オレには本当に何もなかったんだ…だから、焦った…何もない自分に。何か付け足そうとしても何もなくて…それが気づかないうちに自分の不安感になっちまってたんだ。

ふ、姉さんには感謝しねーとな…お陰で忘れかけてた夢を思い出すことができた。)

 

天に手を掲げる。

 

大和(ザックス…言ったよな?オレに夢と誇りをやるって?正直、もう忘れかけたことだったんだが…

 

オレは…英雄になる!

 

馬鹿馬鹿しい夢だと笑われるのかもしれない。子供の約束だから、姉さんだってすぐに忘れるのかもしれない。

けど、それがオレのやるべき道だってわかったんだ。)

 

1年前に見かけた足跡、アレがどんな人物と足跡なのかわからなかったが、その人が襲ってきたとしても守れるくらい強くなる!何者がきてもはね返せるくらい強く!

 

大和(でも…)

 

一つだけ懸念点があった。それは自分のこの力をどう説明するかということである。

 

大和(今のままじゃ、英雄なんて名乗るのは遠い未来だ。けど…)

 

せっかく築いた絆が綻んでしまうかもしれない。そんな確率が0.0001%でもあると大和は説明をしようとは思えなかった。

 

大和(じゃあ、条件をつけよう。力と知はつける。いつだって英雄を名乗れるくらいに…だけど…)

 

大和が考え出した結論。それは…

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