真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート) 作:ヘルム
はい…ではどうぞ…
2009年11月18日
大和は現在九鬼ビルの屋上にいた。
大和「ふう…」
後悔はしていない。これは自分も薄々望んでいた展開ではあったから…だが、あの電気椅子にずっと座り続けて仲間を待ち続けることは自分にはできなかった。
別に仲間を信用していないわけではない。それでも、不安なモノは不安で、待って感想を聞く、なんていう器用なことが大和にはできなかった。
大和「でも、まあ、もう言っちまったし…どの道、みんなの感想を聞かないと始まらないんだがな…」
星空を見る。すると、今日が晴天だったこともあり、満天には星が色とりどりな光で飾られていた。
大和「…俺の気分とは真逆で随分と綺麗な星空だな。今日はまったく…」
そんなことを言いながら、屋上の手すりに身を預けてじっと空を見続けていた。しばらくして、
「ここにいたのか?大和…」
来たか、という思いで声を下の方を向いてみると、そこには川神百代が立っていた。
百代「…よう。」
大和「…ああ。」
それだけ言った後に、百代は大和と同じように手すりに身を預けた。
『……』
沈黙が続く。どちらが先に声をかけるべきか迷っているような、そんな永劫にも感じられる時を感じた後、
大和「…わからないんだ。」
何の脈絡もなく、大和が口を開き始めた。その言葉を百代はちっともおかしいとは思わずに、
百代「何がだ?」
と聞き返した。
大和「俺が
百代「……」
大和「確かに皮肉にも、そのジェノバのことを伝えたからこそ、研究所でセフィロスが暴走して、俺が逃げる隙が出来上がった。でも、確かに
百代「……」
大和「言ってても仕方ないんだけどな。これがオレの望んだ
あの世界を本当に美しいと思っていたから…」
百代「……」
大和「ごめん。姉さん、勝手にバンバン話を進めちゃって…」
百代「…いや、構わないぞ。むしろ、何も言ってこないなら、私が殴りかかってでも話をさせようと思ってたところだ。」
大和「…はは。」
ひどいな。と言いながらも、大和は顔が引きつらなかった。百代の言葉が続く。
百代「…それだけか?」百代
大和「…?」
百代「お前、私たちになんで今まで、このことについて話さなかったのかを言ってないままだろう?」
大和「…ああ。そのことか…」
百代「ここまで来たんだ。ちゃんと最後まで話せ。」
大和「…そうだな。話したらどんな反応するのかということもこわかったけど、何よりも怖かったのは…」
空を見上げる。
大和「何も守れない気がしたんだ。どんなに力をつけてもな。」
百代「何?」
大和「だって、見殺しにしたんだぞ?オレなんかに気をかけなければ、あいつらはもしかしたら、生き延びてたのかもしれないの…」
バキ
に、と言う前にぶん殴られた。
百代「ズルズル…ズルズルとめんどくさい…お前、そんな意味もないことでずっと悩んでいたのか?」
大和「な…に?」
なぐられて、地面に突っ伏している大和は百代を思わず睨んでしまう。
百代「だってそうだろ?お前、一体どの面下げて『守る』なんていう勘違いをしてるんだ?この前のクーデターの時だって、そして今までだって、ずっとみんなと一緒に戦って来たろう?」
大和「…!」
百代「みんなだって、もちろん私だってずっと大和と一緒に戦って来たろう?たとえ、おまえがとてつもなく強くて、最強の名を冠せるようになってたとしても、それだけは変わらない。いい機会だ。はっきり言っておいてやる。」
まっすぐに向き合って
百代「お前がたとえ、宇宙人だろうが、なんだろうが、関係ない!お前はこの私、川神百代の舎弟であり、風間ファミリーの軍師だ!」
バンという効果音が出てきそうな調子で胸を張りながら告げる。大和はそれにしばらく面を食らった後、
大和「本当にいいのか?」
百代「ああ」
大和「化け物じみてるどころか、もう普通の人間とは違くてもか?」
百代「そんなことを言ってたら、この川神ではやってられないだろう?私なんて大気圏で決闘をしたしな。なあ、お前ら!」
そう言って、屋上の出入り口の方を見る百代。釣られてそちらを見ると、どうやら意識が散漫だったらしい。すでにそこにはおなじみの風間&葵ファミリーがずらりと並んでいた。皆、迷いなく頷いてくれた。
百代「だからな…大和。」
百代はそう言うと微笑みながら、大和の首の方に手を回し、優しく抱いた。
百代「もう、いいんだ。我慢しなくて、頑張らなくて…」
優しくささやかれて、大和はホッとしたような気がした。そして、今まで溜めてきた感情が一気に大和に流れ出し、
大和「ううう、うわあああ!」
実に10年振り、大和は百代の胸の中で、泣き叫んだ。