真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート)   作:ヘルム

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すごい長くなりました。切ろう、切ろうと思っても切れなかったので、なんというかすみませんでしたー!


決戦前夜

2009年 11月20日

 

川神院

 

大和「ヘクシッ!」

 

大和は川神院の屋根の上で寝ていた。なぜ、寝ていたのか?ほとんどの者はお気づきかもしれんが、それは昨日の夜の出来事に遡る。

 

11月19日

ことがことだけに学長は川神学園の方をしばし休学にした。そのために、大和たちは稽古が終わった後、自主鍛錬をするか、遊ぶか、などそれぞれ自由な時間を楽しんでいた。

大和は当然というかなんというか、姉である百代に付き合い、自主鍛錬を行うことにした。…そして、京も…

 

大和「ふー、こんなところか?」

百代「ああ、今日はこんなところだろう。じゃあ、また明日よろしくな!大和!」

大和「はいはい。」

京「……」

 

その時、京は敵意に似た視線を百代に向けていた。

 

百代(あの感じ、気づかれたかな?さすがは京…宣戦布告と言ったところか?だが、私に喧嘩を売るとはどういうことかわかるな?)

 

そう考えながら、百代は挑発的な笑みを浮かべた。

 

京「あの表情…やっぱり!」

大和「?どうした?京?」

京「ううん、なんでもないよ!大和」

大和「?」

 

大和は気付くべきだった。大抵こういうことを言う時の京はなんでもなくない(・・・・・・・・)時だということを…

 

その後は地獄だった。

 

九鬼ビルの方で今日の作戦会議を終えた大和はそのまま川神院の方に帰っていった。

まず、風呂に入り上がった後、用意されていた部屋に敷いていた布団に入り、寝ようとした。

 

そして、ゴングが鳴った。

 

大和「…ふー。ったく…」

 

やれやれといった感じで、妙に盛り上がった布団の方に視線を向けた。そして、次の瞬間…

 

京が襲いかかってきた。

大和は後ろに避けた。

天井がひとりでに一部分だけぬけた。

なんと、百代が中から飛び出して来た。

百代〔やはり、来たか!京!〕百代

京〔モモ先輩こそ!〕

百代〔いい度胸だ!これはやはり宣戦布告ということでいいんだな!〕

京〔私にも譲れない者がある!そのために私は戦う!〕

百代の攻撃

【かわかみ波】

京は横に飛んでなんとか躱した。

流れ弾が大和にも飛ぶ!

大和は顔を横に向けて、それを躱そうした。しかし、気付いた。

 

ここは屋内だということに。

 

ということで、わざと受けることに…

 

ドカーン

京に当てるということもあり、最初から手加減はしてあったみたいである。大和に10のダメージ

 

自分の部屋を見る。

今度は2人が襲いかかって来た!

大和〔うお!〕

大和は横に避けた。

百代〔むー、なんで避けるんだよ?弟〜?〕

京〔そうだよ!私は(・・)別に大和を傷付けるつもりはないのに!〕

大和〔今さっき、襲いかかって来た人のセリフじゃないね!それは!〕

百代〔やはり、大和は2人でなんて嫌だよな〜。ということで、京どけ!〕

京〔冗談!大和の童貞は私の物!大和は私を選ぶよね!〕

大和〔え、えーと…〕

 

1.姉さん

2.京

3.姉さんと京

4.今のオレにどっちかなんて選べるか!逃げる!

 

そして、大和が選んだのは…

 

大和「うおおおおお!」

 

ただひたすら川神院中を走り回っていた。

そう。選んだのは4。そんなこんなで、この甲斐性なしは夜中ずっと走り続けていた。

 

しばらくして何事か思いついた大和は気を消して、あえて、隠れることもできるが目立ってしまう屋根の上に陣取っていた。

 

ここにいれば隠れることもできるし、何よりこんな下手したらどこよりも目立つ場所に人がいるとは思わないだろうと思った結果である。

 

しばらくして、川神院の方で何の物音もしなくなった。どうやら学長たちが何事かと起き上がってきたようだ。少々、遅すぎる気もするが…

安心した大和は、そのまま屋根の上で寝てしまったとさ…

 

というわけで、今につながる。

なんというか、本当に疲れる夜だった。

 

大和「はー…」

 

ため息をつき、とりあえず屋根から降り、川神院の正門前に立った大和が見たものは…

 

百代「大和ー、お前も手伝えよ〜」

京「…(せっせっ。)」

 

当然ではあるが、川神院を荒らした主犯として川神院の荒らしたところを掃除している百代と京の姿があった。

百代は飽きてきたのか、大和の姿を見ると、責任を一緒に押し付けようとしていた。一方、京は何も言わずにただせっせと掃除をしていた。

 

京(ふふ、モモ先輩がダラけているのに対して私はちゃんと働いている!この光景を見たら、大和も私の方がいいと考えるに違いない!)

大和(…とか考えてそうだな。いや、まあ、正しいことには正しいんだけど、何故だろう?下心が透けて見えると、この光景が悲しく見えてしまうのは…)

 

そんなことを考えながら、京を見ていると百代はそれが面白くないと感じたらしく…

 

百代「大和ー!これが終わった後、2人で組手やろう!私の組手相手なんてお前しかいないように、お前も私しか(・・・)組手相手がいないもんな〜!」

 

などと、言ってきた。京はその言葉に対してムッときたが…

 

鉄心「これ!明日大事な戦いがあるじゃろう!その前にヘトヘトになってどうする!今日はゆっくり休むためにも稽古はなしじゃとさっき決めたと言っとろうが!」

 

と京と百代のことを横で監視していた鉄心は厳しく忠告した。

 

百代「うぐっ!だが、明日大事な戦いがあるからこそ今日は…」

鉄心「文句を言うな!大体モモ、お前今日は川神院を掃除するので手いっぱいで稽古などしとる暇ないじゃろう!」

百代「ぐぐっ!」

 

もう選べる言葉を失ったのか。百代はそのまま黙りこくってしまった。

そして、その横で京は小さくガッツポーズをとっていた。

 

大和「はは、まあ、でも今日はオレも個人的に稽古をする気が少なかったから、ちょうどよかったです。」

ルー「おや、どこか行くのかイ?」

 

鉄心と同じく百代たちを監視していたルーが質問してきた。

百代たちにも意外な答えだったのか一斉にそこにいる人たちの視線が大和に行く。

 

大和「ええ、まあ。今日の九鬼ビルでの作戦会議が終わった後、ちょっと寄りたいところがあるんで…」

百代「ふーん。どこに行くんだ?」

 

百代が尋ねると、

 

大和「うーん、そうだな…

 

内緒。」

 

一旦、百代の後ろの方に目をやった後、唇の上に人差し指を置いて大和はそう言って、川神院を出て外に向かった。

 

京「怪しい…」

百代「ああ、今更一人で行くということはないんだろうが、ちょっと変だったな。今の大和。お前たちもそう思うだろう?」

 

百代が後ろを振り向きながら言うと、少しして観念したのか、モロ除く風間ファミリーと小雪が陰から顔を覗かせた。

ちなみにこのメンバーも昨日は川神院で寝泊まりしている。

 

ワン子「い、いつからばれてたの?」

百代「最初からだ。ついでに言うと、大和も気づいていたぞ。」

キャップ「まじか?半端ねーな…大和のやつ。」

クリス「それはそれとして、大和は一体どこに?」

ワン子「うん、なんというかついて行きづらい空気放ってたわよね。」

ユキ「僕もそう思った。なんていうかただ、出かけるっていうにしては何か覚悟しているような…」

ガクト「さっき、モモ先輩は否定したけどよ!本当に一人で行く気なんじゃ…」

まゆっち、松風「そんな…」『まさかなんだぜ…』

 

もう後ろ姿も見えない大和のことを考えて、みんなが顔を曇らせる。やがて、

 

百代「そうだな。こんなところで悩むより行動すべし!」

 

百代が突然口を開いた。

 

ワン子「お姉さま?」

百代「今日、大和の後をつけてみよう。」

 

九鬼ビル前

 

今日の会議が終わり、もうすっかり夜になっていた。

大和は気分が浮かなかった…

薄々予感していたことをある人物(・・・・)に相談してみたところ、どうやら自分の勘が当たってしまうかもしれない、ということに大和自身、自分の運命を呪った。そのため、大和は明日が大事な…自分にとってどれだけ大事な戦いかということを理解していながら、明日が来るな!と心の一部分だけ叫んでいることに気づいていた。

 

大和「…そんなこと思ってても仕方ないのにな…」

 

予想外…いや、予想はしていてもできることなら当たって欲しくないことがあった。でも明日は外せない…どんなことがあっても…

 

大和「…ああ、そうだな。行くか!」

 

そう言って、フェンリルの元に向かい跨がろうとする。

 

大和「……」

 

だが、途中で大和は跨がろうとする足を止めた。

 

大和(この気…キャップたちか?姉さんの方はうまく気配を消せているが…さて…)

 

どうしようか悩む大和。…別に聞かれて恥ずかしいことは…なくはないか。

 

大和「ったく、仕方ない。フェンリル」

フェンリル《なんだ?マスター?》

 

フェンリルから自分愛用の剣を取り出すと…

 

大和「悪いけど、先に川神院に帰ってくれ。ちょい行きたいところあるから。」

フェンリル《?そこまでオレが送ればいいんじゃ…いや、なんでもない。了解した。》

 

何事か察したフェンリルは大和の言う通りに川神院に向け走っていった。

 

大和「さてと…

 

撒くか!」

 

言った瞬間大和は虚空へと姿を消した。

 

ガクト「!?大和のやつどこ行きやがった?急にいなくなったぞ!」

百代「落ち着け!ただ、普通よりちょっと速く動いた分、消えたように見えただけだ!」

モロ「さらっと言ってるけど、普通に人智を超えてるよね?それ」

 

後をつけるということで、百代たちはモロと冬馬、準たちと合流することにした。

現在、百代たちがいるのは九鬼ビルのちょうど死角部分…より正確には九鬼ビル右手側の横部分だった。

 

冬馬「完璧に死角でしたが、やはりというかなんというか気付かれてしまいましたか。」

準「んで、どうすんだ?見失っちまったけど…」

ワン子「うーん、どうしようかしら?」

 

うーんと皆が考え込む。

 

百代「実際のところ、何も考えてなかったんだよなー。さて、どうしたものか?」

ユキ「どこか思い出の場所にでも行ったのかな?」

クリス「思い出の場所…キャップ、一番付き合いが古いだろう?何か知らないか?」

キャップ「いやー、わかんねーな。何せ、思い出って言っても多すぎるし…」

百代「思い出…!そうか。分かったかもしれない。まゆまゆ!」

まゆっち「は、はい!」

百代「確か3キロまで索敵範囲広げられたよな?ちょっと、どっち方面行ってるかおしえてくれ!」

まゆっち「わ、わかりました!」

 

単純な索敵能力なら、百代を凌駕するまゆっちが索敵をしてみる。

 

まゆっち「現在、大和さんは…あちらに向かっています!」

 

まゆっちが指を向けた方向を見て、百代はやはり、という顔になり、

 

百代「行き先は分かった。後でお前たちもついてこい!」

ガクト「は?」

 

そう言って、今度は百代が虚空に消えていった。

 

大和が向かった先、それはいつも稽古し、汗を流したあの鍛錬場であり、悩みを打ち明けた山奥でもある。

周りの岩や木は斬られ、とても人がここで何かしていたとは思えないような惨状と化していた。

 

大和「久しぶり…ってわけでもないのに、

なんだか来たのが随分昔のように思えるな…ま、色々あったし、当然なのかな?」

 

そう言った後、大和は稽古場の真ん中に大剣を突き刺し、その前に座り込む。

 

大和「…ほんと、色々あったよな。誓いをしてから…あれは確か五年生の頃だったからもう6年になるのか…なあ、ザックスあれは一応お前に向かっても誓ったと思うんだが、覚えてるかな?あの日の俺の誓い…」

 

大和(じゃあ、条件をつけよう!オレは…

 

まだ、あいつらに過去を語る気はない。けど、いつかあいつらに危険が降りかかる時が来たら、オレは迷いなく力を使う!そして、その後過去を語ってあいつらがもしもオレを受け入れてくれたのなら…オレはもう一度…お前の夢とともに歩むことを誓うよ!)

 

大和「我ながら、言いたいのか言いたくないのか、分からないよな。なんだってあんな矛盾に満ちた誓いをしたのか分からない。結局、言う気もないまま言っちまったのにさ。」

 

星空を見上げながら大和は言った。

 

大和「なあ、そう思うだろう?姉さん。」

 

そう言うと後ろの方の木々がガサガサと揺れて奥から百代が出てきた。

 

百代「ちぇっ、気づいてたのか。面白くないな。」

大和「いくら何でも5メートルも近づかれれば気付くよ。にしても、よくここが分かったな?」

百代「私が戦う前もそうだが、そういう時は稽古場を見ると思考がクリアになっていたからな。だからここじゃないかと思ったんだ。」

大和「ああ、なるほど。」

 

百代は辺りを見回した後、大和の横に座った。

 

百代「ここがお前の稽古場か?」

大和「ああ。」

百代「すごい有様だな。川神院でもこんな様を見たことないぞ!」

大和「そうなのか?じゃあ、我ながらよく気づかれなかったと、自分を褒めるべきなのかな?」

 

はは、と冗談めかした笑いを大和はする。

 

大和「…なあ、姉さん。」

百代「ん?」

大和「直球で聞くんだけどさ、なんでオレなの?」

 

百代はその言葉に対してしばらく絶句したあと、

 

百代「…また、とんでもなく直球だな。大和」

大和「こういうのはごまかしても仕方がないと思うしさ。」

百代「そうだな!…まあ、嬉しかったからというのが理由だな。」

大和「嬉しかった?」

百代「お前が未だに夢を追っていたこと、にだ。」

 

大和は6年前に言ったことを思い出す。

 

大和(総理大臣とか、英雄とか!)

 

大和「それだけ?」

百代「ああ、それだけだ。」

 

なんだか、頭を抱えてきたくなってきた。色々理由を自分で考えていながら、ものすごく単純で斜め上の理由が出てきたのだから当然といえば当然だが。

 

大和「…それってそんなに大事なことだったのか?」

百代「ああ、正直、内心失望していたからな。ずっとお前を見てきて、いつから努力するんだろう…いつから見せてくれるんだろうと、思わせるだけ思わせておいて、結局努力する姿一つ私は見れなかったから…ああ、お前は諦めてしまったんだなぁと」

大和「子供が言った言葉だぜ?そんな真剣じゃないかもしれねーじゃねーか?」

百代「それでも、私は結構期待していたんだぞ?だから、本当に嬉しかったんだ。お前が夢を追うためにずっと力をつけ続けていたことに…」

大和「…まあ、あの時は本当にアレしかなかったからな。それ以外何も、何もなかった。だからオレは内心バカバカしいとは思ったけど…ザックスがくれたたった一つの夢を追いかけようって決めたんだ。」

百代「…そうか。」

 

百代はその言葉を笑顔で受け止めた。

そんなことを言いながら、大和はその時のことを鮮明に思い出していた。それだけでなく、今までずっと歩んできた百代との過去を…

 

大和(ああ、そうか。やっぱ、オレも…ったく、昨日の今日で心変わりとは…オレ、浮気性の気でもあるのかな?いや、でも、この気持ちはあの時、エアリスに抱いた気持ちと同じ…いや、それ以上だ!)

 

でも、と大和は思いながら、横の百代を見つめる。

 

大和(今は言う時じゃないな。全てに決着をつけて、全てを終わらせたら、ようやく言える…ああ、ようやく踏ん切りがついた。)

 

今度は大剣を見つめる。

 

大和(ザックス、あとエアリス。今回の戦い、もしかしたら、お前らに会うこと(・・・・)になるかもしれない…そんなことを考えていたから、ずっと踏ん切りがつかなかった。けど、ようやく…ようやく!オレは過去を乗り越えられるかもしれない。そう思うことができた!

だから、明日は戦うよ。たとえ、どんなことが起こり、どんなものが待ち受けていても…)

 

大和「…ありがとうな。姉さん」

百代「ん?何がだ?」

大和「いや、こっちの話。さてと、キャップたちも近づいてきてるし、帰るか!」

百代「…ああ、そうだな」

 

笑顔でお互いに言い合った。

 

この世のものとは思えない戦が始まる。

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