真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート)   作:ヘルム

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発進

2009年11月20日 川神院

 

直江大和は部屋で着替えをしていた。

以前、学園へ入った時と同じように黒いベスト、黒いズボンを着て、黒い布を巻きつけ、そして、狼のバングルがあてがわれている肩当てを中心に剣をしまうベルトを左肩に装着し、左腕には異様に幅のある黒い布を着けた。

 

そして、

 

大和「……」

 

掌にある狼が型どられたピアスを見つめる大和。

 

エアリス(ザックスから餞別だって!)

 

大和(一緒に行こう。ザックス…)

 

狼のピアスを耳に着けた。わずかに痛みを感じたが、痛みなどこの数年間ずっと鍛錬で慣れきっていたため、すぐに慣れた。

最後に、黒い手袋をはめて

 

大和「よし、行くか!」

 

準備は終わった。直江大和は外に向かう。

 

川神院 正門前

 

大和「フェンリル!!」

声を張り上げて、相棒のバイクを呼ぶ。

しばらくして、ブオンとエンジンを鳴らしながら大型の黒いバイクが大和の前に到着した。

 

フェンリル《行くのか?マスター?》

大和「ああ、っていうか、俺が一番最後なのな。いつの間にか、玄関の方の履物がチラホラなくなってるから、みんなあっちに行ってるみたいだし…起こしてくれればいいのに。」

 

今日が大事な戦いだというのに踏ん切りがついたおかげなのか予想以上に快眠でき、仲間たちに置いてかれてしまった事実にちょっと凹む大和。

 

フェンリル《まあ、今回はマスターの決戦といっても違いないからな。皆、マスターを起こすのは体力上の問題から気が引けたんだろう。》

大和「別にそんな少し早く起きたくらいで体力が何か変わるわけでもない気がするが…まあ、いいや!じゃあ、頼むよ。フェンリル。」

フェンリル《了解した。場所は…九鬼ビルだったな?》

 

九鬼ビル

 

大和「ついたか…」

フェンリル《マスター。動体反応の位置からして彼らは既に九鬼自前の飛行場にいると思われるぞ。》

大和「そっか。んじゃ、直行するか!」

 

九鬼ビル 飛行場

 

この飛行場は普段から世界に進出し、ほとんどの場合家にいない九鬼家のために作られた飛行場であり、飛行場にはジャンボジェット以外にもヘリコプター、軍用ジェット機など様々な飛行機が存在する。

 

そんな九鬼専用の自家用機が立ち並ぶ中で一際異彩を放つ、特殊な形の飛行機が目に入った。

 

大和「…すごいな。これは…」

モロ「あ、大和〜!」

 

こちらに気がついたモロが大和に声をかけてきた。

外で荷物の整備の途中だったようだ。

 

モロ「すごいよね!この大型軍用機。定員が130名にも関わらずスピードを全くこじらせずに、さらにはミサイルなどの兵器も搭載しているんだって。ここまで来ると、もう、なんか九鬼にはタイムマシンがあるんですって言われても、なんだか驚かないよ!」

大和「さすがにそれについては驚くと思うが…」

 

なんだか、モロが妙に熱い。珍しく変なボケを言っているし…

もう一度、先の飛行機を見る。

その姿は全体的にボディは曲線を描いており、一言で表すと、ジェット機というより、戦艦と言った方が正しい見た目をしている印象を受けた。

 

大和「…で、もしかしてみんなこれに乗ってんのか?」

モロ「あ、うん!この

 

シエラ号にね!」

 

シエラ号内部

 

内部は軍用機というだけはあり、武骨な内装をしていたが、前に進み、最前部に到着すると、一気に開けた空間になった。

 

大和「おぉ、一気に内装が変わったな…」

揚羽「む、直江大和か?」

 

こちらに気づいた九鬼揚羽が飛行機のハンドル部分と思われる場所から、離れて近づいてくる。

 

大和「おはようございます。揚羽さん!っていうか、今のやつってこの飛行機というか、飛空挺?…のハンドルなんですか?」

揚羽「うむ。そうだ。なにか問題があるか?」

大和「いえ、特には…」

 

大和が飛行機を飛空挺と言い換えた訳がそこにあった。普通、ハンドルなんて現代の車のようなシンプルな柄で構わないのに、わざととしか思えないが、船のハンドルをそれは模しているのである。

 

大和(あれ、必要あったのかな?)

揚羽「…もちろん!デザインは凝ってこそだからな。」

大和(!読まれた!…ってあんなこと聞けばそりゃ予想できるよな)

 

ちょっと、凹んだが、すぐに立ち直るかのようにそう思いなおした。

 

大和「…なんか、前も似たようなこと揚羽さんに聞いてたような気がするんですが、今回これに乗っているメンバーって誰なんですか?」

揚羽「ふむ。まあ、今回の作戦。少数精鋭による殴り込みのようなものだからな。量より質という分配のメンバーだ。

まず、ゾズマ、クラウディオ、あずみ、李、ステイシーなどによる九鬼家従者部隊精鋭100名、ただし、ヒュームやマープルなどの一部の者たちは残る。

次に義経、弁慶、与一、葉桜、松永燕などの学生、九鬼家代表としては我、九鬼揚羽。

さらに林冲率いる梁山泊。

そして、最後に…」

 

『大和!!』

 

突然後ろから、声を掛けられ振り向いてみると

 

キャップ「遅いじゃねーか!大和!」

ワン子「まったくだわー!この寝坊助!」

京「寝顔をすごく可愛かったよ!大和!ククク」

クリス「ふふ、おそかったなあ〜!大和」←いつも起きれないことでいじられてるから嬉しい。

まゆっち、松風「おはようございます。大和さん!」『寝坊助さんやな〜、大和坊!』

ユキ「やーまと!おっはよーん!」

冬馬「大和くん。おはようございます。」

準「ブツブツ…」

 

大和「あ、ああ、おはよう。」

 

圧倒され、遅い遅い言われた大和。ちょっと凹む。…なんだか、今日こんなことが多いような気がする。

だが、そんなことより気になることがあった。

 

大和「なにしてんの?あいつ?」

 

なぜだか、挨拶をしてくれず、最後までブツブツと何事かつぶやいている準を見て、質問する。

 

冬馬「ああ、アレは…」

 

準「キョウ、アウノハロリノテキ、ゼッタイ二ユルサン!ゼッタイニダ!!」

 

不覚にもその迫力に気圧されそうになったが、驚く程度で済んだ。

 

大和「えっと、何あれホントに?」

冬馬「実は10年前の大和くんの過去を今更になって思い出して、そこで幼女たちが蹂躙されている様への怒りがこみ上げてきており、今現在、準は普段の3倍の戦闘能力を発揮できるようになっているんです。」

大和「何その無駄に高性能な能力。つーか、何?まさか、このまま連れてく気?」

冬馬「はい。これから戦いに行くんですし、こちらの方が何かと都合が良いかと」

大和「いや、怖いんだけど、少なくとも半径3メートル以内には入りたくなくなるんだけど。」

 

なんとかしてくれ。という視線を送ってみる。

すると…

 

冬馬「私たちもおなじ理由で近づきたくないので説得するのは諦めました」

 

と言われた。

 

揚羽「…そして、最後にお前たち風間&葵ファミリー。これで全員だ。」

大和「あ、すみません。話の途中だったのに。」

揚羽「なに、気にするな!友と会えた時の喜びとは何物にも変えがたい物だからな!」

 

話の腰を折ってしまったことに遅ればせながら気付き、謝る大和。揚羽本人は気にしていないが…なんというか周りの従者の目が痛い。

 

大和「そういえば、姉さんは…って、もう来てるのかよ。」

 

と言いながら後ろを振り向く。すると、手を怪しく掲げた百代が立っていた。

 

百代「ちっ、またばれたか!」

大和「…あのさ、いい加減後ろから近づくのやめてくんない?姉さん。その内、攻撃しかねないから。」

百代「いいや、私は後ろを狙い続けるぞ!なんか、負けた気がするし!」

大和「どんな理由だよ…」

 

言った後、百代は後ろに回り、一回転すると、

 

百代「…ふーん。なんだか、昨日あの場所に行った時最初に見た顔とは大違いだな。なにがあったか知らないけど。」

大和「ああ…(お陰さんでな)」

 

百代「準備…できてるみたいだな。」

大和「ああ!!」

 

「揚羽様ー!!!」

 

結構張り上げたはずの大和の声をかき消すほどの大声が聞こえた。

 

揚羽「なんだ?小十郎?」

小十郎「はっ!シエラ号発進準備滞りなく完了した次第でございます!」

揚羽「うむ!直江大和!!」

大和「はい?」

揚羽「今回の戦い、お前の戦いと言っても過言ではない!何か激励の言葉を言え!」

大和「え?」

 

突然の振りに大和は驚いたが…周りの者たちはまあ、そうだろう。という感じの反応を抱いていた。

 

大和「えーと。じゃあ、何だ?そうだな。今回の戦い、正直最初は俺一人の問題だから。俺一人で片付けようと思っていた。」

『……』

 

周りの者たちは黙ってその言葉を聞いていく。

 

大和「けど、みんなに事情を話した後、皆だれも俺のことを奇異の目で見ることはなかった。更には一緒に戦ってくれるとも言ってくれた。まあ、川神だからという理由もあるんだろうけど。それでも俺は、より強くここを守りたい、とそう思うようになった。」

 

大和「もちろん、皆が皆俺と同じような理由でここに来てるわけではないだろう。けど、あいつらから、世界を守りたいという共通意識は持っているはずだ。だから…」

 

手を掲げ、宣言する。

 

大和「行くぞ!俺たちの世界は俺たちで守るんだ!」

 

『おおお!!!』

 

揚羽「シエラ号発進!!!」

 

揚羽の号令と共に船が浮上する。目指すは神羅カンパニー本拠地・北海道方館(はこだて)!!




次でようやく、戦闘です。いや、今回戦闘入れようと思ってたんですけど、予想いじょ長くなってしまいました。

あ、ちなみに函館の字が違うのは、方舟から文字をとったためです。
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