真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート)   作:ヘルム

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二騎の英雄

青森 高速道路

 

軍用ヘリコプター、戦車…その他様々な軍用機から一斉にミサイルが大和に向かっていく。

 

それを大和は巧みなハンドル捌きでかわしていく。

時にはスピン、時にはドリフト、などと言ったバイクの妙技の数々を披露している様は走っているというより、道路という氷を滑るスケーターを想起させた。

 

神羅兵 上官B「っ!ならば、これならどうだ!?」

 

神羅兵 上官は辺りを見渡せる軍用ヘリコプターから、一斉に通信機で指示を行き渡らせる。

 

軍用ヘリコプター、戦車から一斉にミサイルが発射される。それこそ、高速道路が寸断され、途切れる程の火力のミサイルをコンピューターでしかできないほど正確に列を描き、大和の方に向かっていく。

 

ドゴーン

 

直撃、今のは避けられない。現に着弾するまで自分たちは確かに敵の姿を確認できていた。

 

神羅兵 上官B「は、ははは!どうだ!神羅になめた真似をする奴はそうなるんだよ!」

 

勝利を確信し、ホッとしたと同時に神羅兵は顔を引きつらせながら笑顔を浮かべた。だが…

 

大和「ああ、今のはちょっと危なかったな。」

神羅兵 上官B「っ!?」

 

後ろから少年の声が聞こえてきた。恐る恐る後ろの方に顔を向ける。そこには後部座席にいた部下などいなく、確かに真っ黒な服とバイクで埋め尽くされている少年がいた。

 

神羅兵 上官B「な、なんで?」

大和「ん?ああ、一つ忠告だ。今度からミサイル撃つ時は敵の目の前の道路が瓦割りみたいに、反り上がらないぐらいの火力にした方がいいぜ。超加速ができる俺の相棒にとっては、加速して前に出るだけでミサイルは簡単に避けられるからな!」

 

言った瞬間、大和は後部座席の方で大剣型のブレードを取り出し、文字通り軍用ヘリコプターを一刀両断した。

そのまま、大和は軍用ヘリコプターから降りると、大和は思わずバイクのエンジンを止めてしまっていた。なぜか?

 

景色が一変していたのである。

 

大和「…参ったな。予想はしていたが、やっぱり飛空挺の方もこっちに回してきたか。」

 

見ると、雲の合間から続々と飛空挺が顔を出してきた。所々火の手が上がっているものが存在するが、おそらくそれは自分の姉の餌食になったものだろう。それを差し引いてもザッと見て、8隻はある。

 

大和(多分、ロッズが姉さんに勝ったことが強く影響しているんだろうな。ロッズが姉さんにこの前勝ってしまった以上、人類最強と呼べる姉さんをそこまで脅威と見なくて済む上に、始末はカダージュ、ロッズ、ヤズーがいるところの方がつけやすい、と…姉さんたちを先に神羅に行かせるっていうことは、カダージュたちは神羅の方に待機させているってこと。少なくとも、カダージュたちがこっちに合流することは全くないと言えないまでも、可能性は減った。だが…)

 

さて、どうする?そんなことを頭の中で考えていた瞬間、

 

飛空挺からレーザー兵器らしきものをこちらに撃ち込んできた。

 

慌てて、ハンドル操作してそれを避ける大和。

 

大和「うおっ、あぶね!」

フェンリル《しっかりしてくれ!マスター!狙われてるのはミサイルなど効かないマスターなどではなく、オレだろうから…》

大和「ああ、悪い。ちっ!仕方がねー!今はとりあえず、走り込んで、避けていくしかねーってか!」

 

そう言った後、大和は再度エンジンをかけ突進していく。

意地の悪いことに、飛空挺は高速道路を合計3隻で囲むような状態で攻撃を仕掛けてきた。

 

大和(上にも、右にも、左にも逃がしはしないってか?一人相手によくもまあここまで…)

 

絶えずミサイルや、レーザーなどの近代兵器で攻撃を仕掛けてくる飛空挺。なんとか避けていく大和。

 

大和(ちっ!迎撃したいもんだが、それにはどうしたってここで止まるしかない。ここで止まったらこの軍勢だとさすがにある程度時間が削られる。そんな時間はない!)

 

今止まったらまずい。止まるわけにはいかない。そんな思いがわずかな焦りを生み、隙を生む。

飛空挺だけがこの戦場の脅威ではない。直江大和は一瞬だけ飛空挺だけに気をとられすぎたせいでそこを失念していた。

 

そして、その一瞬を不幸にも相手は気取ったわけではなく、偶然とらえた。

後ろから、軍用ヘリコプターが大和に照準を定める。

 

大和は殺気の嵐とも呼べる兵器の豪雨と先ほどの焦りのせいで、後ろの殺気に気づくのが遅れた。

気付いた瞬間には、既にミサイルが発射されようという状態にまで至っていた。

 

大和(やば!!)

 

ミサイルがこちらに向かってくる。だが、気づくのが遅れたせいで避けるのが間に合わない。

 

大和(このままだと、フェンリルが…!!)

 

ドゴーン

 

ミサイルが着弾した音、確実に着弾した。その事実に今度こそ(・・・・)乗り手である神羅兵は歓喜した。自分があの化け物を倒した。先ほど、まるで無人の野を征くがごとく突き進んでいたあの黒い男を…

 

だが、着弾した場所をよく見て、彼の顔は見る見るうちに青くなっていった。一瞬あり得ないだろうと思った。だが、目をこすっても、頰をつねっても目の前の景色は変わらない。

 

高速道路の上空を陣取り、飛んでいた飛空挺が何かに突き落とされ、高速道路の上に身を乗り出し、その後尾部分にミサイルが着弾している。

 

こんな光景を見れば夢だろうと疑うのが普通だが…

 

大和「ゲホ、ゲホ!」

 

いきなりの出来事に驚き、高速道路から出てくる土煙に咳き込む大和。

 

大和「なんだ?一体誰がこんなこと…ん?こいつは…」

 

この戦いに役立ちそうだと考え、目の前にあるものを取った後、ゾクッと後ろの方からとてつもない気配がいることに気づき振り向く。

 

項羽「覇王見参!んは!無事か?大和!」

大和「は、葉桜先輩!?」

 

そこには馬鹿げたサイズのバイクを乗り回す西楚の覇王を名乗る女性がいた。この女性、覇王バージョンと文学少女バージョンの2つが存在し文学少女バージョンだと、男子人気が凄まじいのだが、この覇王バージョンだと丸っきり男っぽい口調になり、男子たちから恐れられる存在にたちまち早変わりする。

そして、現在は覇王バージョンである。

 

大和「ってことは、さっきあの飛空挺を突き落としたのは…」

項羽「ああ。オレの方天画戟だ!着陸しようという瞬間に思い切り振り回したら、勝手に吹っ飛んで行ったぞ!」

 

わはは、と豪快に笑い飛ばしながらそう告げてきた。

いや、まあ、正直助かったのだが…

 

大和「下手したら、俺たちも巻き込まれる確率があったってわかってんのかな?この先輩は…(ボソッ)」

フェンリル《多分、気づいてないだろう。確実にノリで飛空挺を突き落とした方がカッコいいとかそんなことを思った結果だと思うぞ。》

 

そう、高速道路に飛空挺を突き落とすという行為、これによって大和は確かに助かったのだが、下手したらその行為によって大和にも巻き添えが来る可能性は充分にあったのである。現に、避けてはいるが周りは瓦礫だらけになっている。

 

項羽「ん?何か言ったか?」

大和「いえ、別に何も…」

 

だが、助かってしまった以上、何か文句を言っても不毛だと判断し、大和は話をそこで打ち切った。

 

大和「ここにきたってことは、援軍ってことでいいんですか?」

項羽「ああ!こっちの方がオレとしてはトランプよりも面白いと思ったからな!特別に俺の力、貸してやる!」

 

尊大な口の利き方に大和は苦笑しながらも、心の中で感謝した。

 

大和「それじゃ、行きましょうか!覇王様!」

項羽「応!って、オレの前を走るな!騅行け!」

スイスイ号《はい!清楚》

 

飛空挺の瓦礫 外

 

神羅兵D《おい、一体どうなっている?》

神羅兵E「分からん!ただ、少なくとも飛空挺の上から何か落ちて来たということはたしかだ!」

 

左右の飛空挺の一角で神羅兵たちは通信機を介して言い合っていた。

 

神羅兵D《おいおい!まさか、それも人だとかいうんじゃないんだろうな!?》

神羅兵E「だから、分からないって言ってるだろう!けど、そんなホイホイ、人が落ちてくるなんていう非常識あるわけな…」

 

その瞬間、ズバンと何かが斬れた音がしたと共に、さっきまで飛空挺の形をなしていたものが音を立てて、瓦礫と化して、崩れていった。

 

そして、その後、

 

ブーン

 

バイクに乗った影が2つに増えて勢いよく出てきた。

 

そんな後ろ姿を飛空挺の一角で見ていた先ほどの神羅兵たちは、

 

神羅兵D《非常識があるわけ…なんだって?》

神羅兵E「…あったみたいだな。」

 

と呆然と見つめながら呟いた。

 

大和「まずは、周りの飛空挺を潰しましょう!そうすれば、後は消化するだけで良いですから。」

項羽「うむ!策は任せたぞ!軍師!!」

大和「はい!」

 

そんなことを言ってるうちに目前に飛空挺が一隻、陣取り、こちらに前頭部分を向け、そのまま、装着されたマシンガンなどの兵器をこちらに向け、打ち始めた。

 

それを、大和たちは左右にハンドルを捌くことにより巧みに避けていく。

 

項羽「んはっ!やはり、こちらの方が退屈しなさそうだ!」

大和「覇王様!アレは自分にやらせてもらえませんか?」

項羽「ああ。俺は今気分がいい!…だがいつまでも前を陣取られるのは不愉快だ!早々に退場させよ!」

大和「了解!」

 

大和は王様発言に苦笑しながらも、勢いよく頷いたと同時に、バイクの元を離れて、跳び飛空挺の真ん前・操縦室の目前にまで一気に至った。

 

そして…

 

ズバン

 

自分の身長並みの大剣で全長30メートルはあるだろう飛空挺を真っ二つにした。

 

その後、大和はフェンリルの上に着地し、またバイクの操縦に戻った。真っ二つになった飛空挺は高速道路を境にそれぞれ、反対側に墜落していった。

 

項羽「ほお!見事だな!あれほど巨大な飛空挺を真っ二つとは!」

大和「ありがとうございます。さて、残りは…6隻か?」

 

周りを見てそう言う大和は、何事か考え、

 

大和「覇王様!!」

項羽「ん?」

大和「時間もない!次で一気に決めましょう!」

項羽「おお!それは気持ちよさそうだな。で?何か策はあるのか?」

大和「ええ。多少強引ですけど、これを使って一気に決めます。」

 

そう言うと、先ほど瓦礫のなかで見つけた物…

 

舟をそのまま陸に留められるほどの大型の鎖を後ろから取り出した。

 

項羽「ほう。さっきから不恰好にずっと後ろで引きずられていた鎖か。よく見るとかなりの大きさ。引きずるにも相当の馬力が必要だろう。よく、お前のバイクが持てたな?」

大和「ええ。こう見えて、そちらのバイク並みのパワーがあるんですよ。うちのフェンリルは…」

項羽「ほお…」

 

項羽は感心したように呟いた。

 

項羽「で?これで一体何をするんだ?」

大和「ええ。これでですね。」

 

二人はバイクを進めながら、会話を進めていく。

 

神羅 飛空挺 内部

 

神羅兵D「上官!目標二人!捕捉しました!」

神羅兵 上官C「うむ!では、攻撃じゅ〔ガコン!!〕

…っ!?なんだ!?」

 

いきなり飛空挺内部が大きく揺れ、神羅兵たちは辺りを見回した。

 

神羅兵F「ほ、報告します!ただいま、何か刺突物が飛空挺に突き刺さった模様です。」

神羅兵 上官C「む!一体何が刺さったというのだ!?」

神羅兵F「…それがちょっと大きめ剣だという報告があります。」

神羅兵 上官C「…はぁ?」

 

思わず、そんな間抜けな声を出してしまった。

状況からして、まず間違いなく敵からの攻撃、だが、いくら敵が化け物と言えるくらいの戦闘能力を持っているからといって、そんなこと一つでは飛空挺は破れない。少なくとも、化け物級の一撃を食らわせなければこの舟はビクともしない。そう考えたからである。

 

敵が一体何を狙っているのか知らないが、このまま、敵の思い通りになるわけにはいかないという考えから…

 

神羅兵 上官C「急いで、その剣をてっ…」

 

撤去せよと言おうとした瞬間、ガコンと舟がまた大きく揺れ始めた。しかも今度はその衝撃がゴゴゴとエンジン音と混じり響きながら持続していた。

 

神羅兵 上官C「今度はなんだ!?」

神羅兵F「ほ、報告します。今現在この舟は引っ張られています!」

神羅兵 上官C「なっ!?」

 

あまりの事態に上官や他の神羅兵たちはいきを詰まらせる。この舟は軍事専門の飛空挺ということで、並みの飛行機の数倍の馬力はある。

そんな舟が引っ張られているというのだ。驚かない方が無理である。誰によってかというと…

 

神羅兵F「直江大和によって!」

 

青森 高速道路

 

大和「おっと、こちらに銃口を向けてきた。引っ張られる前にぶっ殺すッていう算段か?まあ、間違ってないけど。」

 

と直江大和は6隻もの舟たち(・・)を引っ張りながら、呟いた。

ちなみにどうやって、引っ張っているかというと、先程見つけた飛空挺を地上に留めておくための鎖を剣で均等にぶつ切りにして、6本の鎖にした後、そこに自分の持っている合計6本の剣をくくりつけ、舟に向かって投げて突き刺し、そこから引っ張っているのである。

 

先程、大和は多少(・・)強引などと言ってたが、どう考えても、無茶苦茶強引である。

 

大和(…まあ、オレらしくもないが今はそんなこと言ってられないからな。)

 

そんなことを考えているうちに、足元などから銃弾が命中し、弾けていくコンクリートの音がしてきた。

どうも、早く敵を倒さなければということはわかっていても、6隻とも焦ってしまったり、舟が引っ張りの影響で揺れていることもあり、狙いが中々定まらないようである。

 

だが、銃弾はかすめていく。それでも、大和は余裕だった。

 

大和「間違ってるとは言わないけど、

 

忘れてないか?こっちにはもう一人いるということに?」

 

神羅 飛空挺

 

まるで舟同士が引っ張られてるかのように、ドンドンと舟同士が近づいて行っていき、あと5メートルというところまで来てしまった。

 

神羅兵 上官C「ぐっ!舟を近づけさせて相打ちを狙うつもりか!?そう思い通りに行くか!全エンジンを逆展開!敵の攻撃とは逆方向にエンジンを展開させていけ!」

?《おい…》

神羅兵 全員『っ!?』

 

とてつもない威圧感とともに繰り出される言葉に一瞬体を硬直させたのち、そちらを振り返ってみると、

 

項羽《覇王たるオレを無視して、先程から話を進めおって…それがどれほどの無礼か分かっているのか?》

 

操縦室には各エリアのモニターが写し出されている。その中で屋外エリアに位置するモニターに方天画戟を構えてる女性が立っていた。

 

項羽《もう、十分近い。よって、貴様ら全員に刑を執行する。》

 

自分たちがどうなるのか分かってはいても、誰一人逃げ出せずにいた。逃げたくなかったわけではない。ただ、体が動かなかった。

この覇王の意思に背くことができないという恐怖で…

 

項羽《判決!》

 

そう言うと、勢いよく飛空挺から飛び退き、

 

項羽「貴様らは当分、瓦礫の生き埋めの刑に処す!」

 

直後、方天画戟を乱暴に振り回し始めたかと思うと、その途端に飛空挺6隻全てが物言わぬスクラップと化していった。




大和が怪力すぎるんじゃないかって?いや、でも、百代より強いっていう設定だとこういう派手さも必要かな?ッて思ったんですよ。
決して、これしか思いつかなかったからだというお間抜けな理由ではありません。
他にも、ありえないぐらい多彩な感じで飛空挺落とそうという展開も想像したんですが、それだとどうあがいても二話目投稿すること目に見えてたんで、そろそろ生身の人間戦いを提供しないと、いい加減飽きてくるんじゃないかと…
まあ、次の戦いは人間vsドラゴンという予定ですけど…
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