真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート)   作:ヘルム

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今回は最初、バハムートショボ目です。理由は後の方に書いてありますので、では、どうぞ!


風間ファミリーvsバハムート

神羅カンパニー 工場周辺

 

百代「はあああああ!!」

 

地面が近づいてきて、後少しで墜落というところで百代は下に投げつけるようにバハムートの角から手を離した。

 

バハムート【グギャァアアア】

 

それは悔しさからくるものなのか、はたまた自分の巨体を投げ飛ばした驚きからくるものなのかわからないが、バハムートは工場の土管や、柱を折り、砕きながら、叫び落ちていった。

 

地面に着いたあと、バハムートはすぐに体勢を立て直し、まっすぐに百代がいる方へと目を向ける。

百代もバハムートのそんな姿を見下ろしながら、下ろしていた腕を再び構えなおした。

 

百代(さてと、こいつの硬さはさっきの京たちの攻撃で分かっている。生半可な攻撃じゃ、傷一つつかないどころか、下手したら反撃の隙を与えることになる。

…分かっていたことだが、このドラゴン、一対一で相手をするとかなり消耗するな。)

 

先ほどの自分の投げ、本気を出していなかったわけではない。むしろ逆だ。戦いを楽しむため、意図的にスロースタートする百代にしては珍しく全身全霊の一撃と思い、叩きつけたのである。

結果、翼などが邪魔をしてかなり減速してしまい、本来の威力とは程遠い仕上がりになってしまったと自分自身分かっているが、あんなにすぐに立てるとは思いもしなかった。

 

百代「…これは、本当にまずいかもな。」

 

勝てないわけではない。恐らく、一人でもかなり時間をかければ、倒せるのだろう。

だが、ここは戦場、しかも自分が本当に戦うべき(・・・・)敵を百代は見定めている。

そうなると、どうしても今ここで消耗するわけにはいかなかった。だから、正直助かった。自分の真上(・・・・・)からくる感じ慣れた気の気配には…

 

キャップ「ほっ!」

百代「やはり、キャップか?ということは…」

キャップ「ああ、あとからみんな来るぜ!」

 

とキャップは百代のすぐ隣に着陸しながらそう言った。

言った後、数秒したのち続々とワン子たちが百代とキャップのとなりに着地した。

 

冬馬「…しかし、近くで見ると、ますます凄まじいですね。まさか、人生の中で喧嘩はからっきしの私がドラゴンと対することになるとは…」

百代「安心しろ。私も初めてだ。」

モロ「…なんでだろう?当たり前のことのはずなのに、モモ先輩が『初めて』っていうと、違和感を感じるんだけど…」

ガクト「ああ、俺様も」

百代「…何か言ったか?」

モロ、ガクト『いえ、なんでもありません!!』

ワン子「さて、どう攻めましょうか!」

クリス「そうだな。これほどの巨体だと小回りが利かないはず…ここは人数を活かし散開して、それぞれで攻めていく方式でやってみてはどうだろう?」

京「うん。いいと思うよ。実際、これだけの巨体に対して固まって動いてたら、一気に全滅なんていうことになりかねないし…」

まゆっち「はい。私もそれに賛成です。」

ユキ「じゃあ、そのやり方で…あ、冬馬とモロはどうするの?」

準「大丈夫だ。若には俺が、師岡には島津がつくことになってる。だから、安心して暴れてこい!」

ユキ「うん!分かった!」

キャップ「よし!んじゃ、行くぜ!」

 

そう言って、全員が散開していった。

 

ガクト「そんじゃ、最初の派手な一発くらいやがれ!」

 

そう言うと、ガクトは肩に担いでいたバズーカをバハムートの顔に向けてぶっ放した。

近いこともあり、見事に命中。

 

だが、

 

バハムート【グルルルルル】

 

バハムートはまるで軽く頭を打ったかのように、頭を振ると、

ガクトの方に顔を向ける。

 

ガクト「げっ!!」

 

そのまま、口を開け、ガクトの方に飛んでいく。

だが、その瞬間バハムートの横から跳んでくる一つの影があった。

 

ユキ「残念ながら、ガクトだけじゃないんだよーん!バッコーン!」

 

そう言って、ユキはバハムートの目の前まで一気に飛ぶと、自分の体と同じくらいある顔に側頭蹴りを食らわせた。

 

バハムート【グルオ!!】

 

そうすると、バハムートは悶絶するかのような声を上げるとわずかに頭が横へと弾き飛んだ。その時、口元にためていたエネルギー弾は近くのビルらしき建物にぶつかり、瓦礫と化させていた。

 

ガクト「悪い。助かった。ユキ!」

ユキ「うん!っていうか、そのバズーカ一体どこから持ってきたの?」

ガクト「ああ、これか!」

 

待ってました。と言わんばかりにその質問に対して答えようと前に出て、

 

ガクト「これは、九鬼の従者部隊のお姉さんが俺様が心配だって言って、くれたんだ。やっと来たぜ!俺様のモテ期!」

ユキ「…ふーん。」

 

ユキは特に興味がないかのようにその言葉を受け流していると、ガクトと一緒にいたモロが捕捉説明するかのように、

 

モロ「…本当は、ガクトがみんなの足手纏いになって、他のみんなが大変なんじゃないかってことで渡されたバズーカなんだ。アレ…〔ボソッ〕」

ユキ「ああ…やっぱり。」

 

本人が楽しそうなので、この事実は隠そうと話を聞いたユキは誓った。

 

クリス「おい!よそ見をするな!!」

ユキ「へっ?」

 

見ると、自分の足元が陰っていた。それが何を意味するのか瞬時に理解したユキは

 

ユキ「跳んで!ガクト、モロ!!」

ガクト「はっ?ぬお!」

モロ「うわぁあ!?」

 

ガクトはなんとか間に合ったが、モロはユキが抱きかかえる形で跳んだ。

直後、バハムートのギロチンのような爪が足場にしていた土管を切り崩していった。バハムートは感触を感じなかったので、辺りを見回したが、

 

クリス「こっちだ!ドラゴン!!」

ワン子「私たちが相手よ!!」

まゆっち「行きます!!」

 

正々堂々を重んずる武士娘3人が自分に向かってきたので、捜索を一旦諦め目の前の相手に集中することに

 

ガクトはその近くの鉄骨に手を吊るし、その上にユキは乗っかっていた。

 

ガクト「あっぶねー!なんつー威力だよ!」

ユキ「予想以上に大振りだったから助かったけど、危なかった〜。」

モロ「…ごめん。ユキ…」

 

自分が文字通りのお荷物であることを理解しているモロは助けてくれたユキに申し訳なく思い、謝った。だが、ユキは…

 

ユキ「ううん。大丈夫だよ。行きの時、モロがパラシュートの展開方法を教えてくれなかったら、僕たちペシャンコだったかもしれなかったんだもん。モロが足手纏いな訳ないよ。」

モロ「あはは…スグルの軍オタがこんなところで役に立つとは思わなかったよ。」

 

大串スグル、2-Fきってのオタクであり、モロの親友だ。そのため、彼は何度かジェット機からの脱出方法としてパラシュートの知識を頭に入れられたことがあるのだ。

 

ユキ「うん。だから、モロが足手纏いな訳ないよ!大事なことだから二回言うね!」

モロ「…ありがとう。ユキ」

ガクト「…あのよう、なんでもいいから俺様を上げて欲しいんだけど。」

 

こんなところでも扱いが雑なガクトであった。

 

 

まゆっち「はああああ!!!」

 

神速の斬撃がバハムートに襲いかかってくる。キン、キキンという甲高い音はするものの斬れる様子が一向にない。

だが、それでいい。元々斬ることが目的ではない。

もしも、身体全体を鎧で鉄だけで覆ったのなら、それは硬いが体を動かせなくなる。

ならば、必ず()がある。そこを捜し出す目的もあり、黛由紀江は刃こぼれしないために気を濃く纏った刀を振り続けていった。

そして、一区切りした後、

 

バハムート【グガアアア!!】

まゆっち「きゃっ!!」

 

バハムートが目障りな虫を払うかのように、顔を横に振る形で黛に攻撃した。それを防いだ黛は弾かれるようにとんでいった。

 

まゆっち「はあ、はあ…」

 

息を切らした目の前の相手を見て、バハムートはそれを蹴散らすために口を開け、気を一気に貯めていった。

 

だが、

 

ワン子「そこ!!」

クリス「はあ!!」

 

今まで、黛に相手を任せていたクリスとワン子が見つけた顔と頭にある節に向かって、持っている薙刀とレイピアの刃を突き出す。

 

バハムート【ギ、グギャアアア!!】

 

効果はてき面!バハムートは苦しそうに頭を揺らしながら、その刃物を抜こうとした。それに対し、クリスやワン子は離すまいと必死にしがみついた。

 

すると、バハムートは一つの鉄柱に向かって突進し始めた。

 

ワン子「まず!」

クリス「くっ!」

 

突然、方向転換したせいもありクリスとワン子は反応が遅れた。

 

ズガーンという強烈な衝撃音とともにバハムートの頭突きで鉄柱は盛大に折れた。

その鉄柱に支えられていた土管や鉄骨などがガラガラと崩れていく。

 

キャップ「ヒュー、あっぶねー!」

準「まったくだ。お前ら後ちょっとで、あの瓦礫の二の舞だったぞ。」

クリス「すまない。井上、キャップ。」

ワン子「おかげで助かったわ。」

 

クリスはキャップに、ワン子は準にそれぞれ片手で抱きかかえられながら助けられる形となった。

 

ちなみにどうやって助けたかというと、バハムートが突進して来る途中の頭上の土管にそれぞれ身を伏せそこからダイブする形でクリスとワン子を助けたのである。

 

高低差のある工場だからこそできる戦法である。

 

バハムートは刃物が取れたのを確認すると、自分に刃を向けた愚か者を確実に潰そうとまた、クリスとワン子の方へと向き直ろうとした。…かに見えた。

 

百代「川神流 星殺しー!!」

 

次の瞬間、横合いから百代の凄まじい気弾が放たれた。

その攻撃をバハムートはまるで事前に予知してたかのようにそちらに顔を向け、ブレスを放った。

 

それに対し、驚愕する百代。だが、驚いている暇はなかった。

 

二つの大きな力の衝突、当然、近くにあった工場だった瓦礫たちがその影響を受けないはずもなく、次の瞬間、

 

莫大な閃光と共に巨大な爆発が起こった。

 

女子勢『きゃあああ!』

男子勢『うわあああああ!』

 

風間ファミリーたちはその巨大な爆風に対して、瓦礫がこちらに飛んでくるのかと思わず目を瞑る。

だが、瓦礫は来なかった。気になって目を開けてみると、

 

百代「川神流 畳返し!」

 

一体いつの間に全員が集まったのか、辺りを見回すと風間ファミリー全員がそこにはおり、それをかばうかのように拳で瓦礫を畳返しの要領で反り返らせ、それを壁に自分たちを守っている百代がいた。

 

ワン子「お姉様!!」

百代「黙っていろ!ワン子!この爆発まだ続くぞ!」

 

瓦礫の壁を境に爆炎が辺りを満たしていた。

それからしばらくして、爆炎が鎮まると瓦礫の壁は音を立てて崩れていく。

 

辺りは先ほどまではわずかにあった工場の面影はなく、瓦礫一色になっていた。

 

冬馬「凄まじいですね。…というか、モモ先輩、なぜ私たちが近くにいると知っていながらあんな威力の攻撃をしたんですか?」

 

まず最初に葵冬馬が百代を責め立てるように、問い詰めていく。それに対し、百代はウッと言葉は詰まらせながらも…

 

百代「悪かったよ。…ただ、言い訳させてもらうと避けられるとは思わなかったんだ。」

 

百代は目の前のドラゴンを睨みつけながら、つぶやく。

見ると、バハムートは攻撃を仕切った余韻に浸っているのか…

 

バハムート【グオオオオオ!!】

 

と雄叫びを上げていた。

 

冬馬「というと?」

 

葵が質問を続ける。

 

百代「私はさっきからお前たちが戦っているのを見て、どのタイミングなら攻撃が確実に当たるか計算していたんだ。そして、先ほどのタイミング…確実に当たるはずのタイミングだった。」

モロ「だけど、避けられた…」

百代「ああ、考えられるのは二つ、そもそも本気を出していなかったか…それとも、

 

この短い間に戦いを学び、吸収したか」

 

一同『なっ!?』

 

百代「それほど驚くことじゃあないだろう?まゆまゆも気づいているだろう。さっき戦っていた時、わずかだが動きに無駄がなくなっていくように感じられたんじゃないのか?」

まゆっち「…確かにわずかに感じました。」

ガクト「って、じゃあ、まさか時間かけるともっと強くなるっていうことか!?」

百代「言いにくいことだが、後者ならそういうことだろうな…」

 

その耳を覆いたくなるような事実に誰もが絶句してしまった。

 

冬馬「…ですが、解せませんね。」

ユキ「え?何が?」

冬馬「相手の動きに慣れるというのならばともかく、戦いを学び吸収しているということは、言い換えれば、あのドラゴンには実戦経験というものが少なかったから、吸収しているということ…そんな、悪く言えば不完全な存在を神羅はなぜ使おうと思ったのでしょうか?」

京「あ…」

準「そういや、そうだな。一体どうしてなんだ?」

 

神羅ビル内部

 

ルーファウス「Summoned Monster Materia 通称S.M.M…それがこの生物兵器の名前…この透明の玉・マテリアにジェノバの有する異能《顕現》をフルに活用することで、人ならざる生物を兵器として扱う…それがこのプロジェクトだ。プロジェクトは成功。その結果が今目の前にいるバハムート。」

 

透明な中に何か力らしきものが漂っている玉・マテリアを空に掲げながら、ルーファウスはつぶやく。その後ろには2人の男女(・・)が控えていた。

 

ルーファウス「バハムート以外にも我々はモンスター…いや、召喚獣…とでも言うか?召喚獣を複数を生産することができた。だが、軍事面で技術力が高すぎるというのも問題だな。《顕現》の力は彼らに魂を持たせることにも成功してしまった。ゆえに、彼らはさながら卵から出てきたひな鳥のように最初は右も左もわからなかった…だから、バハムート以外の彼らには戦いの経験を積ませることにより、完璧な生物兵器とすることを決定した。

 

なぜ、バハムートだけは経験が積ませられなかったか…それは簡単だ。バハムートはスペック上、スピード以外をいうのならば、他の召喚獣を圧倒していた。他の召喚獣をバズーカとするならば、ヤツはロケット砲並みだった。だが、この二つには違いがあった。

 

例えば、バズーカならば、試し撃ちもできるだろう。だが、ロケット砲を試し撃ちなどしてみろ。一瞬で街を焦土と化させるほどの大火力、そんなもの世間の目に映らないわけがない。もみ消して映らなかったとしても、確実に九鬼には勘付かれる。

 

だから、バハムートだけは経験を積ませることができなかった。積ませた瞬間に我らが破滅することなど目に見えているからな。

 

だが…その類稀なるスペックは瞬時に戦いを吸収することにも活用できる。

 

だから、我らはバハムートを使うことー決定した。

 

さて、川神百代…いや、風間ファミリーと言ったか?その最高傑作でありながら、失敗作(・・・)でもある。我らの生物兵器を果たして倒せるかな?」

 

神羅 工場付近

 

バハムート【グルルルル…】

 

雄叫びを終えた後、バハムートはゆっくりとこちらに首を向けた。

 

百代「 …ふぅ…別に言葉にはしてなかったが、前言撤回しよう。これは、

 

私一人では倒せなかったかもしれない…」

 

静かに百代は頰に汗したらせながらつぶやいた。

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