真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート) 作:ヘルム
神羅 東方面 工場地帯
クリス「はあ、はあ、…なんてヤツだ。」
クリスは今現在の戦況を見て、それを分析した結果、目の前にいる敵は間違いなく化け物だと結論付けた。
クリス(本当に…モモ先輩の言った通り、こいつ…段々と強くなっていってる…私たちがローテーションで回し回しに戦っているというのに、息切れを起こしてしまうとは…)
現在、バハムートは百代と戦っている。
百代の気弾による攻撃をバハムートは時に避け、時に口から出す気弾によって弾き落としている。明らかにバハムートからは動きの無駄がなくなっていってる。
なんとか、互角の状況を作り出している。
それが、現在の状況というところである。
そんな様子を冬馬と準は陰ながら観察していた。
冬馬「マズイですね…素人目でも分かるほど、
せめて…後一手…後一手あれば、こちらの戦況も動くかもしれませんが…」
準「後一手って言ったって、それつまり、大和を待つってことだろう?時間稼ぎをするにしたって、今の状況で時間稼ぎなんていう悠長なこと言ってたら、どんどんあいつに強くなられちまうぞ。ローテーションはいい手かしれなかったけど、その実、あのドラゴンにどんどん学習させる隙を作っちまってるみたいだし…」
冬馬「ええ。そうですね。ですから…
そう言って、冬馬は手に持っている通信機を耳に当て、
冬馬《聞こえますか?皆さん。》
まゆっち「この声は葵先輩ですか?はい、聞こえてます。」
キャップ「こっちも聞こえてるぞ〜!」
ワン子「聞こえてるわ!」
ユキ「なに〜?冬馬〜」
準「ま、俺は言わずもがなだな。」
クリス「聞こえてるぞ!」
京「聞こえてる。」
モロ「うん。僕も聞こえてるよ。」
ガクト「おう、聞こえてるぜ!」
百代「何だ?手短に話せ!」
冬馬《これから、彼に対する相手をローテーションではなく、団体によるチームワークによって相手しようと考えてます。》
まゆっち「え?それって、つまり…」
冬馬《はい。一塊となり、彼に一斉攻撃を仕掛ける形で彼の動きを止めていこう、と考えています。》
クリス「なっ!?危険すぎる!さっき、自分が言った通り、そんなことをして一気に全滅、なんていうことになったら、笑い話にもならないんだぞ!」
冬馬《はい…ですが、気づいているんではないんですか?そうやって、ローテーション方式でやっているからこそ、彼に段々と動きを読まれやすくなっていってることに…》
皆『!?』
冬馬《武術の素人である私でも気づくということは相当です。ならば、彼に動きに慣れさせない意味合いも含めて、彼に対する攻撃を一斉砲火のような形にした方がいいと考えたんです。》
百代「なるほど…確かに一理ある。だが…賭けもいいところだ。」
百代はそう言いながらも、バハムートに対する攻め手を緩めなかった。
冬馬《賭けでもしない限り、彼の動きを大和君が来るまで…もしくは彼を倒すにはとてもじゃないが、成立しないと考えたんです。》
皆『……』
冬馬《ですが…飽くまで彼の相手をするのはあなた方です。これはあなた方で決断して欲しい。》
百代はバハムートの顔面を蹴る形で距離を取り、工場地帯にある一つの土管に足を止めると、
百代「…いいだろう。その賭け乗ってやる。文句ある奴はいるか?」
まゆっち「いえ、ありません。」
キャップ「オレもいいぜ!」
ワン子「文句なんて無いわ!お姉さま!!」
ユキ「異議無〜し」
準「同じく。」
クリス「了解した。」
モロ「分かったよ。と言ったって、僕もやること特にないかもだけど…」
ガクト「おう、分かったぜ!」
冬馬《…では、次に彼が動き始めた瞬間、私たちも動き始め、各々の力を最大限に活かした一斉攻撃を開始しましょう。》
皆『了解!!』
一方、バハムートはそんな彼らの様子を見て観察するでもなく、ただ、宙に浮きながらそっぽを向くかのようにどこか遠くを見つめながら、
バハムート【グルルルル…】
と唸っていた。だが、本能の所為だとでも言うべきか…彼はすぐに今、自分がすべきことを思い出したかのように下へと向き直り、
バハムート【ギャオオオオオ!!】
宙から大地へと一気に降下していった。
百代「…それじゃあ、まあ、行くぞ!!」
百代もそれと同時に土管から跳び、その下の方々でもそれぞれが動き出していった。
そして、バハムートの顔面目掛けて一気に拳を振り抜く。
ガキーンと、とても拳と顔面同士がぶつかったとは思えない鈍い音が鳴り響く。
百代「ふぅ…はあああ!!!」
気合いのこもった雄叫びと共に拳と蹴りによる連撃を飛ばす。それをバハムートは顔だけで受けるだけでなく、なんと巨腕を百代と同じ様に動かすことによりさばいていった。
百代「…ちっ!さっきの私との戦闘でもう十分に吸収できたというわけか。これは確かに賭けに移行してよかったかもな。」
ユキ「モモ先輩!!」
後ろからユキの声が聞こえてきた百代はそれに応えるかのように、バハムートの腕を振り払うように拳で弾き飛ばした。
すると、ちょうど後ろからユキが百代と同じ地点まで飛んできたところだった。
百代「行くぞ!!合わせろ!ユキ!」
ユキ「うん!!」
そう言うと、百代とユキはそれぞれ左足と右足をクロスさせるような形でバハムートの顔面に蹴りを入れた。
バハムート【グルオ!】
たまらず悶絶し、顔をかち上げられバハムートは腹を空に向けるような形で仰け反ってしまった。
さらにそれでは終わらず、百代とユキはバハムートの前両足を伝って走って行き、
百代、ユキ『はあああああ!!!』
顔面に向かって、思い切り2人合わせてカカト落としを繰り出した。
バハムートはそのミサイルの砲弾のような蹴りを受けた影響により、宙ににいられなくなり、フラフラと下へと落ちていく。
ガクト「オラァァァ!!ここでいっぱぁぁあつ!!」
京「当てる!
そう言ってガクトと京は空へバズーカと弓を向け、勢い良く放った。
京のフォローもあり、二つとも同箇所に命中。火薬の爆音が響く。
だが…バハムートは効いているかどうか微妙な感じである。
それでも、一瞬でも彼はガクトと京の方へと注意を向けてしまった。その一瞬の内に…
まゆっち「行きます!!やあああぁぁあ!!」
黛由紀江が跳び、バハムートの上を陣取り、神速の斬撃を放つ。
まゆっち「阿頼耶!!」
バハムート【グギギャアアア!!】
集中させた気による神速の斬撃が容赦なく、バハムートの背中を抉る…かに見えた、が…
まゆっち「くっ!やはり硬い!」
奇しくもと言うべきか、やはりと言うべきか彼女の斬撃はバハムートの表面を削るような形で終わってしまった。
…まあそれでも、血を出せただけ大金星だとは思うのだが…
そして、己に血を出させた相手を龍の王は決して許さない。
射殺さんばかりの殺気を放ちながら、黛の方へと睨みを利かせその巨腕で引き裂こうと黛の方へと爪を立てようとした時、
クリス「どこを見ている!」
ワン子「あなたの相手は
今度はクリスとワン子が横合いから飛んで突進してきた。
攻撃の所為もあり、いつの間にかバハムートは工場のすぐそこまで落ちてしまっていた。
そして、ここでようやくバハムートは気付いた。彼らが戦闘法を変えてきていることに、だが、遅い。
容赦なくクリスとワン子の突きが鎧が削られたところへと突き刺さっていく。
そして、その間に黛は早々とその場を離れていった。
バハムート【グ…オオオオオ!!】
削られた部分に容赦なく突き刺さる刃物。それはいくら巨体を誇っているバハムートとは言え、深々と突き刺さられてしまっては致命傷とは行かずとも重傷である。
だが、そんなことを気にしている余裕はバハムートには無かった。次の攻撃に警戒しての行動ではない。
目覚め始めた王のプライドとでも言うべきか、彼はこのような者たちに総出で落とされるなどという恥ずべき姿を彼自身我慢ならなかった。
だから、彼はまず飛ぼうとした。
ここで問題である。意地になって周りも見えず、焦っている瞬間に蜘蛛の巣や、羽虫などが自分の前に出てきたら我々人間はどう思うか?答えは簡単…苛立つ。
ババムートが飛ぼうとした瞬間、2人の影がババムートの後頭部へと飛び移り、
準「おいおい、空もいいが、偶には大地もいいもんだぜ?ドラゴンさん!」
キャップ「そうそう、地面じゃ、空では感じれない風もある。ってことで…」
準、キャップ『オラァァァ!!』
ババムートの後頭部に両方の拳が叩き込まれる。
準の方は強いことには強く、実際、ユキと肩が張れるくらいには強い。彼のスタイルはボクシングな訳で…突き技は特に強い…のだが、彼自身気付いているとは思うが、比較的なんでもこなせるオールマイティ、だからと言うべきなのか取り立てて、彼の拳が強い…というわけでは無かった。精々、突きに関してはそこらのプロボクサーより上、程度である。
そして、風間の方は強いと言うより速いと言った方が正しく、彼の拳は確かに速いのだが…重さが足りない。
よって、こんな2人の出した拳が効くかといえば、答えはノーである。だが、今に限って言えばその限りでは無かった。
ババムート【グルルル…!!】
彼は飛ぼうとしていた…そんな時に彼の後ろからスーパーボールが頭に打ち込まれた、と、人間が感じる感覚としてはババムートの感じた衝撃などこんなものである。
そんなことをされて、面白いと思うはずがない。特に彼は前述したように意地になり、焦りもしていた。だから、余計にこの2人が許せなかった。
羽虫の分際で王の進撃を邪魔したこの2人を…
そして、そんなことを考えてしまっているから、つい先ほど確認した事実を忘れるなどという愚行を犯した。
そう、彼らの戦闘法が変わっているという事実を…
百代「川神流…
流星のように落ちて来た百代の一撃がワン子たちがいるところとは違う翼と翼の間部分に叩き込まれる。
そして、今度こそ、ババムートは落ちていき、バッコーンと嵐のような土煙を上げながら、工場を叩きのめしていった。
百代「はあ、はあ、はあ、…ふう…」
百代は息を整えながらその土煙を睨みつける。
ワン子「だ、大丈夫?お姉さま?」
百代「ああ。大丈夫だ。ワン子。」
ガクト「やったか?」
準「おい、やめろ。大体そういう振りをする時は…」
という準の言葉の途中で土煙は晴れていった。そして、あちらこちらが傷だらけになりながらも、ババムートはそこにどっしりと立っていた。
準「ほら、見ろ!そういう振りをする時は大体、敵が全然大丈夫な時なんだよ!」
ユキ「ガクトのせいで、あのドラゴン起き上がっちゃったじゃーん!!」
ガクト「いや、俺様の所為じゃねえだろ!」
百代「おい、そんなこと言ってる場合か!?あいつが今すぐにでも来ー」
そう言おうとして、百代は止めた。
ババムートの口が光っている。そして、それが何を意味するのか彼女が一番分かっていた。
百代(まずい。さっきの土煙の間に貯めたのか!しかもあの大きさ、私が気弾で相殺しようにも、確実に後ろの奴らが巻き添えになる大きさだ。)
だから、百代は飛び、
百代「こっちだ!ドラゴン!!」
すると、ババムートは驚くほど単純にそちらを向き気弾を発射する。
百代は飛び上がる間に気を貯めることもできず、その攻撃をモロに食らってしまう。
百代「ぐ、ぐううう」
腕をクロスさせ、その攻撃をガードするがそれだけで勢いは止まらない。百代はその気弾に乗せられるような形でそのまま飛ばされていってしまっていた。
まゆっち「モモ先輩!!」
クリス「嘘だろ!飛ばされてしまったぞ!」
京「あのモモ先輩が…」
皆が絶望に伏せてしまっている中、
ババムート【……】
ババムート自身、彼女の実力は文字通り肌に染みて分かっている。だから、彼女がこんな程度で倒れるわけがない。
彼自身も分かっていた。
だが、時間稼ぎにはなるはず、そう…
ババムートは視線をまた大地へと向ける。
残りの者たちを倒す時間稼ぎには…
だが、一つ彼には誤算があった。それは仕方ないと言える誤算ではあるが、彼が攻撃で百代を飛ばした方向、それはつい先ほど向いていたある方角と同じ方角だった。
ババムート『【グルルル】』
そう、彼が
百代「く…こんのおおお!」
百代は焦っていた。今こうしている間にも、仲間たちが殺されているかもしれない。
特に自分の妹のことを考えると、胸が締め付けられる思いだった。
だが、この気弾よほど気が練りこまれていたのか、そう簡単に自分が気を貯める時をくれない。
百代(まずい!このままでは!!)
百代は急ぎ、気を貯めようと試みた。だが、次の瞬間そんな必要はなくなった。
なぜか?
その気弾と同じくらい気が練りこまれた大剣が後ろからブーメランのように飛んで百代の前の気弾を打ち消したのである。
一体何が、と一瞬百代は思ったが、すぐに心当たりが浮かんだ。こんな扱いづらい大剣を使い、なおかつこんな芸当ができるのは最近実力が知れた
そう、
黒い腕が百代の体を包み込む。
そして、
大和「遅くなってすまない。姉さん。」
笑顔で大和はそういった。それに対し、百代は
百代「…ああ。全くだ。大和」
皮肉げに、だが、満面の笑みで答えた。
いやあ、ようやく大和登場です。本当に長らくお待たせしました。
いや、ね、こんな他の人のことばっか書いていたせいなのか、なんか評価の方でもキツイコメントいただき、いや、本当、マジすみませんでしたー!という気持ちでいっぱいになりました。
あ、今更になりますけど、どうぞ、評価よろしくお願いします。
あ、キツイコメントなるべく勘弁の方向で…