真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート) 作:ヘルム
大和「何やってんだ?お前、こんなところで…」
直江大和は、身の丈程もある大剣を肩に置きながら目の前の銀髪の男を睨みつけながら、聞いた。
ヤズー「ほう、メインディッシュが来たか。ま、これで狙い通りだね。こんにちは兄さん。2日振りだね。」
大和「オレは何やってんだって、聞いてんだがな?」
ヤズー「見て分からない?蹂躙だよ。」
ちっ、と舌打ちしながら、周囲を見渡してみる。すると、林冲などを含めたわずかに意識があるもの達が、何が起こっているのか理解できないといったような顔でこちらを見ていたのが、理解できた。
林冲「お前は直江大和…」
大和「ん?ああ、たしかこの前のクーデターの時にいた…」
クーデターと聞いた瞬間五人全員の表情が強張る。それを見た大和は、
大和「安心しろ。今回は味方だ。」
と五人に言い聞かせた。
そう言って、銀髪の男に向き直り、大剣を肩から前へ構えなおした。
大和「とりあえず、ここから出て行ってくれないか?」
ヤズー「さっきも、そこの娘に同じようなこと言われたけど、無理だね。ここ梁山泊は、世界最強の傭兵集団として名が通っている。つまり、ここを潰せるかどうかは、今後の俺たちの計画が成功するか、否か?にも直結する。」
大和「つまり、追い出すには、力づくじゃないといけないってわけか…」
ハア、とため息した後、もう一度ヤズーのほうに目を向ける。ヤズーもそれで察したのか。銃を構えなおした。
そして、
ガキーン
一気に衝突した。
楊志「うわぁ…」
林冲「なんという戦いだ。」
突然、やってきた以前敵であった来訪者に舌を巻く。林冲と楊志。
ヤツの持っている大剣は、本来スピードには、適さないパワー重視の剣のはず、だが、目の前のこの男はその大剣をナイフと同じほどの長さしかない銃と互角のスピードで操ってたたかっているのだ。
だが、やはり、敵も並ではない。
そんな大剣、振りかぶられたら、確実に銃が切られているだろう。だから、振りかぶられる前に、銃を前に突き出して勢いを殺しているのだ。
と梁山泊の戦士達は瞬時にそこまで理解できた。
大和「ハア!」
長く二人で切り返した後、大和は押し切った。かのように見えたが、ヤズーはそれを受け流し、バク転するような形で蹴りを食らわせた。
大和「ぐおっ!?」
思わず悶絶している間に、
ヤズー「はっ!」
ヤズーの蹴りが入ろうとした。直前になんとか、大剣で防いだが、蹴りの衝撃が自分の身体を吹き飛ばす。
だが、吹き飛ばされてもただでは帰らない。大剣を地面に突き刺し、そのまま剣を中心に腕一本で鉄棒のように回りはじめると、
大和「ぜあっ!」
そのまま、身体をヤズーの方に向けて射出した。もちろん、大剣は地面に刺さったままであるが、大和には、もう二本予備の剣が腰にあるのだ。
その剣の一つを取り出し、気をまとわせ、
「ブレイバー」大和
そうつぶやいて、思い切り突いた。
ヤズー「なっ?」
ヤズーは驚いた。なんせ、蹴り飛ばした相手がその反動を利用して、さらに加速して戻ってきたのだから。
銃を構えようとするが、間に合わない。そのため、
銃と剣が思い切りぶつかりあった。
当然その衝撃を全て銃一つで受け切れるわけもなく、今度は、ヤズーが吹っ飛ばされた。
公孫勝「やったの?」
武松「いや、まだだろう。」
吹っ飛ばされ、家屋に突っ込んだヤズーは、次の瞬間すぐに起き上がった。
ヤズー「やれやれ、さすがに強いな…」
史進「おいおい、今の食らって普通に立ちやがったよ。あいつ!」
大和「……」
ヤズー「まあ、いいか…本来の目的は果たしたし…」
ボソッと、ヤズーは誰にも聞こえないくらいの声でつぶやいた。だが、
大和(…?本来の目的だと?)
大和には聞こえていた。
ヤズー「今日はこれ以上戦っても仕方ないね。オレはもう帰るよ。兄さん」
大和「……」
ヤズー「黙秘か…まあ、いいさ。じゃあね。兄さん」
そう言って、ヤズーは消えていった。
しばらく考え込んでいると、足音が二人分聞こえて来て、そちらをむくと、
林冲「その…直江大和…ありがとう。おかげで助かった。」
大和「ああ、気にするな。元々、ドイツから日本に帰るための通り道として、中国を通っていた時、偶然、大きな力の衝突を感じたから…!?」
とそこで、大和は気付いた。
大和(待てよ?偶然…通り道…よく考えてみたら、ちょっと出来すぎじやないか?)
考えを整理する。
大和(やつらは、俺たちがドイツにバイク一つで行っていたと確認していて、もしも、その通り道のために中国を横切ることを、確認していたとしたら?
っ!!まずい。これは!)
「フェンリール!!!」
突然、声を張り上げて、相棒のバイクを呼んだ。それに梁山泊の女戦士達は驚いている間に、フェンリルは来た。
フェンリル《どうした?マスター》
大和「今すぐ、全速力で日本まで走る!
問答は後にしてくれ!」
フェンリル《!了解した。》
そう言って、フェンリルは自分の主人を乗せて走っていった。
史進「なんだったんよ?今の?」
林冲「さあ?」
そこで武松があることに気づく。
武松「あれ?公孫勝は?」
フェンリル《何?囮だと!》
大和「ああ、まんまと嵌められた。」
海を走行中に話し始めた。
大和「おそらく、ヤツら三人を従えてる上は、こう考えたんだ。ヤツら三人が放つ特有の気が何か大きな力とぶつかったら、俺ならば必ず気付きそこに近づくはずだと。」
フェンリル《その際、通り道となるこの中国にある世界最強の傭兵集団を絶好の火種にしたと?バカな!いくら何でもリスキー過ぎる。》
大和「いや、おそらく、あのヤズーってヤツは、潰すこと自体も本気だったろう!失敗に終わったが、九鬼財閥のあのクーデターは梁山泊の三人の猛者によって確かに成功に近づいたと言っていい。そんなのが、108も集ってるって言うんだ。潰した方がいいと考えるのが自然だろう。」
フェンリル《だが、それにしたって…》
大和「いいか?フェンリル、策なんて言うのはな『そんなバカな』と思わせれば、それで勝ちなんだよ!」
フェンリル《っ!!?》
大和「我ながら、情けない。何が軍師だ。こんな初歩的な作戦読み切れたろうが!クソ!!とにかく急ごう!川神が危ない。」
フェンリル《了解した。マスター!……ところで一つさっきから、聞きたいことがあったんだが…》
大和「うん?なんだよ!?」
フェンリル《いや、その足にひっついている小娘は何なんだ?》
大和「はっ!?」
公孫勝「ぶぺらぱぶるぷるぴぶるぴ…」
大和「ウオッ!」
大和は、急いで、フェンリルを止めた。そして、とりあえず足にひっついている女の子を持ち上げると、
大和「えっと…おーい大丈夫かー?生きてるかー?」
公孫勝「こ…」
大和「こ?」
公孫勝「殺す気かー!!!!」
大和「グハァ!?」
今回初のクリティカルヒットを公孫勝からもらった。
大和であった。