真剣で私に恋しなさい ACC (アドベントチルドレンコンプリート) 作:ヘルム
騒動があった後、大和は急いで島津寮に戻ると制服に着替え、すぐに学校に戻って行った。雨の中、正直うんざりするような気持ちもあったが、学校に着くと、更に居心地が悪くなった。
大和(まあ、当然っちゃ、当然か…)
今まで、弱いとは思わずとも普通の少年だと思っていたのが、実は強く、しかもそれが世界最強クラスだというんだから、皆が驚き、敬遠したがるのも分かる気がした。
学校が終わると、久しぶりに一人で帰ろうと大和は考え、いつの間にか一人で川原まで来ていた。
大和(そういえば、一人で帰るのって結構久しぶりだな…)
時々、一人で帰ることがなくも無いがこんな気分で帰路につくのは、本当に久しぶりだった。
その昔、風間翔一という男と出会ってから、一緒に風間ファミリーというものをつくって、いつも、誰かしら付いていた気がした。
大和(こんな風に一人で帰路についても、大抵その途中で誰かに声をかけられてたよな…「大和!!」そうそう、こんな風に…ん?)
呼ばれて後ろを振り向くと、川神百代とお馴染みの風間ファミリーと葵ファミリーの皆がいた。所々、濡れているところを見ると、かなり必死に走ってきたようだ。
大和「…どうした?みんな?」
百代「どうしたじゃない!!お前説明しろ!今朝の男共がなんだったのか?お前とどう関係してくるのか?全部だ!」
大和「…やっぱ、そうなるよな…」
はあ、とため息をつきながら大和は言う。
大和「他のみんなもそれが聞きたいということでいいのか?」
みんなが無言で頷く。
大和「そっか…」
そう言って、空を見上げた。相変わらず、雨が降り続いている。
大和「これに関しては、本当に自分の墓穴まで持って行こうと思っていたことなんだがな…」
冬馬「…それは、『10年前の誘拐』に関係があるのですか?」
その言葉に少し衝撃を覚えたが、
大和「そっか、キャップから聞いたのか…
10年前については、まあ、あれだけ言ってりゃ気付くよな。」
今度は、川原の方を向く。
大和「思い出すな。よくここで野球してたのを…」
一同『…』
大和「オレな、いつもみんなと遊ぶ度にこの過去だけは、絶対に言わないでおこうって決めてたんだ…だから、今も言うつもりは、毛頭無い。」
クリス「なっ!?」
大和「だけど、今回大きく巻き込んじまっちまったのもまた事実、だから、ここらしい方法で解決しようって思ったんだ。」
ガクト「?ここらしい方法だと?」
大和「ああ。」
そう言って、制服のポケットから川神マークのワッペンを取り出す。
ワン子「っ!まさか!」
大和「ああ!そのまさかだ!」
そして、思いっきり地面に叩きつけた。それは、川神学園の生徒なら誰でも知っている。
大和「決闘だ!オレとお前ら全員でな!もしも、俺の過去を聞きたいというなら、その覚悟を知りたい。それで見極めさせてもらう。」
一同『!!!』
大和「もしも、覚悟ありだと俺が判断できたなら、そのときは過去だろうと何だろうと洗いざらい吐いてやる!覚悟なしだと判断したら…そうだな。どうせ、隠しても意味が無いから言うが、俺がこれから出る戦いについて行くことを禁じる。」
準「はあっ!?」
あまりにも一方的な物言い、そんなの口から自分で判断できないと言ってしまえば、決闘もクソもあったものでは無い。
冬馬(ですが、他に方法もない。これ以外の方法を言おうとすれば、問答無用で彼は断るでしょう…)
だったら、
百代「…いいだろう受けてやる!その決闘!絶対にお前に認めさせてやろう!私たちの覚悟を嫌と言うほどにな!」
大和「時間はそうだな…3日後ということでどうだろう。場所はそっちが決めてもいい。」
百代「ああ!分かった!3日後だな!」
大和「ああ、それじゃあな。三日後…」
いい終わった後、空色の瞳を見せ、大和の姿が消えた。
秘密基地内部
珍しく、葵ファミリーを迎えて作戦会議に移っていた。
ガクト「で、どうすんだよ?実際。」
ワン子「正直なところどうなの?お姉様、大和の実力は?」
百代「正直に言うと、あいつの実力は私よりも上だ。まゆっちと私が組めば、勝てないわけではない程度の実力差というのが先程の戦いを見た私の感想だが、まだ底を見せてないような気がしさえした。」
キャップ「それほどかよ!?」
準「おいおい、勘弁してくれよー。そんなやつからの決闘を俺たち受けちまったのか?」
百代「安心しろ!お前たちの手は、全く考えてない。」
モロ「ですよねー…」
京「そう考えると、私、ワン子、クリス、まゆっち、ユキの6人で立ち向かうことになるけど…それでも、果たして勝てるかどうか…」
ガクト「異議あり!せめて俺様もくわえろ!」
ユキ「そうだねー。あんな真剣(マジ)なやまとそうそう見かけないもん。決闘の時は、手加減なしだと思うよー。多分…」
ガクト「無視か!おい」
クリス「しかも、自分のレイピア以上のスピードであんな大剣振るってるんだ。一回当たったら、モモ先輩ならともかく確実にダウンだな…」
ガクト「おーい…」
百代「まあ、でもさすがにあの大きさのことを鑑みても、どう考えたってまゆまゆよりかは遅かった。なあ、まゆまゆ?」
まゆっち、松風「はい…」『あんな大剣をまゆっちの神速以上で振ってたら、それこそ悪夢だからねー。』
ガクト「おーい!!!【グキッ】ギャアー!」
百代「うるさい。で、さっきからだんまり決め込んでる。お前はどうなんだ?」
冬馬「私ですか?そうですね。いくらか、策を考えましたが、果たして通じるかどうか。ただ、
最低最悪の作戦だけは皮肉にもすぐに思いついてしまいましたがね。」
百代「最低最悪の作戦?」
一斉に眼が葵冬馬の方へと向かって行く。
冬馬「ええ、説明すると…」
葵冬馬の口からとんでもない作戦が口走られた。それを聞いた皆は、
百代「何だ?その作戦は…」
ワン子「ふざけないでよ!」
京「全く、同感…」
クリス「そんなのは、作戦とは言わん。友情をダシにしているだけだ!」
まゆっち、松風「……」『やべーよ。それは…』
モロ「さすがにそれは…」
ガクト「俺様も断固反対だ!」
キャップ「ああ、そいつは大和を精神的に傷つけかねねー。」
準「若…さすがにそれは俺も…」
ユキ「トーマー…」
冬馬「ええ、分かっています。ですから、言ったでしょう?最低最悪の作戦だと、私も使いたくありません。こんな作戦…ですが、もしも本当にどうしようもなくなった時、誇りよりも彼の過去を聞くことを優先したいというのなら、使わざるをえない作戦でしょう。」
百代「…なんで、その作戦を先に話した?」
冬馬「決まっています。考える時間を皆さんに与えるためです。さっきも言った通り、これは最低最悪の作戦だ。あなた方武士娘の誇りを捨てさせる程の…十分に考えた後に答えを出すのが得策だと思っただけです。」
『…』
それ以降、黙りこくってしまった。そして、百代は決断する。
百代「考えた方がいいかもな…」
ワン子「お姉様!!」
百代「確かに武闘家にとって、誇りは命と同じくらい大切な物…だがな、お前たちも見ただろう、さっきの去り際の大和のとても哀しそうな目を…私は誇りよりもあいつをあんな目にした敵の正体を知りたい!誇りならば後でいくらでも取り返す!」
『!!!』
その言葉に、皆は驚愕が隠せないでいた。あの百代が誇りを捨てると言いだしたのだ。それは、誰もが驚く言葉であった。
その言葉をうけ、皆も最低最悪の作戦について考えようと想い出したのだ。
そんな時、大和は寮で星空を眺めながら座り込んでいた。
公孫勝「おーい、大和!このゲーム飽きたぞ。他のゲームやらせろー」
と呑気に公孫勝はゲームなどをやっており、本当にこいつ帰る気あるのか?と少し疑問に思うことがある。
そんな中、大和は星空を眺めながら、昔を思い出していた。
10年前
「あー、またここにいた。」
「ほんとここ好きだね。お前!」
大和「エアリス、ザックス…」
大和は、研究所を抜け出して来てはいつも敷地のギリギリまで外に行き、星を眺めていた。
エアリス「わあ、いつもながらここから見る星空は綺麗だねー!」
大和「うん…」
ザックス「?どうした?大和?」
大和「いや、アレから3カ月は経つけど、外はどうなってるのかなーって、母さんたち心配してないかなーって思ってさ…」
エアリス「……外のことはわからないけど、少なくとも、この3カ月で憧れと目標が出来たってあなた言ってたじゃない。いくら考えても分からないなら、とりあえず、それを追いかけようよ!」
ザックス「そうだぜ!目標があるっていうのは何事でもいいことだと思うぜ。俺は!」
大和「ザックス、エアリス…うん…ありがとう!」
そんなことを話してると、前から銀色の髪をした男が近づいてきた。
ザックス「お!帰ってきたみたいだぜ!お前の目標!」
大和「ああ!」
大和「おかえり!セフィロス!」
大和は目を輝かせながら、銀髪の男に向かってそう言った。
アレから10年、自分はおそらくかつて目標だと慕っていた男よりも強くなったんだと思う。だが、実際はどうなんだろう?自分は望みの物になれたのだろうか?と大和は自問自答していた。
セフィロスは、今回最初仲が良かったという設定にしました。微妙だと思う人は遠慮なく意見を!