異端者も異世界へと呼び出されたようですよ?(一時凍結)   作:レール

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なんとか一ヶ月に一話の約束は守れました……これからもこんな調子になりますが見放さずによろしくお願いします。

それではどうぞ‼︎


異端者、想われる

“ペルセウス”に勝利した“ノーネーム”はレティシアの所有権を獲得し、“ペルセウス”から石化を解除するギフトをもらって帰路に着いた。まぁ実際にはレティシアは石化などしていないため、そんなギフトをもらってもギフトカードか“ノーネーム”の宝物庫へ御蔵入りしてしまうのだが。

 

“ペルセウス”とのギフトゲーム後、彼らは“ノーネーム”の本拠ではなくレティシアを迎えるために“サウザンドアイズ”の支店に向けて直行した。

 

 

 

「「「じゃあこれからよろしく、メイドさん」」」

 

 

 

その“サウザンドアイズ”に到着し、出迎えた白夜叉とレティシアを前に真っ先に問題児三人が口を揃えて言ったのがその一言だった。言われたレティシアや後ろにいる黒ウサギやジンは、ポカ〜ンという擬音が似合う表情をしている。

 

「……え?」

 

脳の処理が追いついていないのか、三人とも疑問符を頭に浮かべることしかできていない。残る上哉は事前に話をされていたため、突拍子のない言葉に呆れることもなく特に反応はしなかった。

 

「え?じゃないわよ。だって今回のゲームで活躍したのって私達だけじゃない?貴方達はホントにくっ付きてきただけだったもの」

 

「うん。私なんて力いっぱい殴られたし。石になったし」

 

「つーか挑戦権を持ってきたのは俺と不夜だろ。所有権は不夜が辞退したから俺達三人で等分、三:三:四でもう話は付いた‼︎」

 

「何を言っちゃってんでございますかこの人達⁉︎」

 

ようやく機能し始めた黒ウサギのツッコミも、今の問題児三人の前では無力である。そこに白夜叉も加わってその場の空気が混沌と化していく。

 

「ほほぉ〜う?レティシアがメイド、か。ならば私の衣装コレクションを駆使して完璧な金髪美少女ロリメイドを爆誕させるしかあるまい‼︎」

 

「白夜叉様も自重して下さい‼︎」

 

「そうよ。私ずっと金髪の使用人に憧れていたんだから、コーディネートも私達の手で納得がいくものに仕上げてみせるわ」

 

「飛鳥さんまでレティシア様を着せ替え人形にする気満々ですか⁉︎ レティシア様‼︎ 今のうちに抗議しておかないと大変なことになりますよ⁉︎」

 

飛鳥と白夜叉がレティシアのコーディネートの議論に花を咲かせ始めたのを見て、自分ではなくレティシア本人に否定してもらおうと話を向けた黒ウサギだったのだが、

 

「ん、まぁ…そうだな。見た目だけに捉われて機能性を考慮しないコーディネートでは本末転倒だ。メイドをやるからにはその辺りも加味しなければ後々仕事が大変になる」

 

レティシアは否定どころか完全に受け入れており、さらにその先にまで視野を広げていた。

 

「え⁉︎ いやいやいや、そういう意味での大変ではなくてですね‼︎」

 

「それに、私は皆が助けてくれたことに恩義を感じている。彼らが家政婦をしろというのなら、喜んで家政婦をやろうじゃないか」

 

“あ、これはもう何を言っても駄目なパターンですね……”と、レティシアの言葉を聞いて独り心の中で諦める黒ウサギなのであった。

 

 

 

 

 

 

“ペルセウス”との決闘から三日後の夜。

 

「えーそれでは‼︎ 新たな同士を迎えた“ノーネーム”の歓迎会を始めます‼︎」

 

ワッと子供達の歓声が上がり、異世界から来た四人の歓迎会が始まった。周囲には運んできた長机の上にささやかながら料理が並んでいる。しかし、

 

「……上哉君は何処に行ったのかしら?」

 

飛鳥が辺りを見渡しながら十六夜達に問い掛ける。目に入るのは百人以上の子供達に十六夜、耀、黒ウサギ、ジン、レティシアだけで上哉の姿は見当たらない。

 

「ま、さっきまではいたんだ。その辺にいるだろ」

 

「うん。そのうちひょっこり戻ってくるよ」

 

「そう…よね」

 

十六夜と耀の言葉に、飛鳥も上哉のことを気にしつつ歓迎会を楽しむことにする。そうして色々と話したり料理を食べたりし、その後の大イベントとなる流星群を観賞している間も、上哉は姿を現さなかった。

 

 

 

そんな歓迎会の喧騒から離れた雑木林の中、少し開けた場所で上哉は独り佇んでいた。

 

(……“神依の力”を使ってから三日。枷なしで使ったのは久しぶりだが、あの程度の憑依ならば副作用の心配はないか)

 

上哉はこの三日間、何事もなく日常を過ごしながら自分の体調を確認していた。初めてこの異能が顕現した()()()、さらに研究と実験と実戦を重ねる段階で憑依させる霊によって幾つもの副作用が確認されていたが、特に身体の異常は見られない。精々が使用後の疲労程度だった。

 

「ーーー何の用だ?こんな所に」

 

ふと背後へと話し掛ける上哉。姿は未だに雑木林に隠れて見えないが、しっかりと気配を感じ取り、“空間支配者”でその人物を確認していた。

 

「貴方を探しに来た以外に何か考えられるのかしら?」

 

その人物ーーー飛鳥は呆れたような表情で上哉の問い掛けに返してきた。手には何やら大きな手提げのバスケットを持っている。

 

上哉がいる場所は飛鳥が単独で見つけられるほど分かりやすい場所ではないので、恐らく耀の力を借りたのだろう。というか少し離れた背後で耀と十六夜が後を付けていた。覗く気満々である。

 

「上哉君、歓迎会の間中ずっと此処にいたの?」

 

「あぁ。少し気になることがあったからな。あの場でやることもなかったし」

 

「……やっぱり、食べられそうにない?」

 

“やることがなかった”という上哉に、複雑な表情で上哉の顔色を窺う飛鳥。以前に“毒を盛られた”という過去を聞いてから今まで、一緒に食事をすることはあっても一緒の食事を摂ることはなかった。

 

「……食べられないことはないが、食べようとは思えないな。すまない」

 

「私に謝ることじゃないわよ。作っているのは子供達なんだから」

 

そう言いながら飛鳥は手に持ったバスケットを開けて中身を取り出した。その中身は少量で数種類の料理であり、歓迎会の料理であると思われる。

 

「わざわざ持ってきたのか?」

 

「えぇ。こういう日くらいは何時もの簡素なものじゃない料理を上哉君にも食べてもらおうと思って」

 

食べてもらおうと言いながらも上哉へは渡さず、飛鳥は箸を持って自ら食べ始めた。上哉は飛鳥が何をしたいのか分からず訝し気に眺めていると、全ての料理を一口食べてから箸ごと差し出してきた。

 

「はい、毒味してあげたわよ。これなら気持ち的にも食べやすいでしょ?」

 

「お前……」

 

上哉が他人の料理を食べようと思えないのは服毒を回避する習慣が付いてしまったからだし、視界から離れなければ問題なく他人の料理も食べられるとは以前に言ったことだ。それならと飛鳥が考えたのは、目の前で毒味をしてから食器ごと料理を渡すというものだった。確かにこれならば上哉も抵抗なく食べられるのだが……

 

「これ、食べてもいいのか?」

 

「いいも何も、そのために持ってきたんだから遠慮なく食べなさいよ」

 

上哉が言いたいのはそういうことではなかったのだが、飛鳥は特に意識していないーーーいや、気付いていないと言った方が正しいだろう。上哉は特に気にしていないのだが、飛鳥のために一応訊いてみることにした。

 

「俺が言いたいのは他の箸はないのかということなんだが……久遠がいいのなら俺は構わないんだが、お前くらいの年頃だと気にする奴は多いだろう?」

 

「お箸?…………………………あ」

 

飛鳥も言われて気付いたようだ。今上哉が持っている箸が自分の使った箸であり、さらに言うならば全ての料理が毒味とはいえ食い止しであることを。

それを自覚した途端に飛鳥は顔を赤く染めて俯き、何やら考え込んでしまった。

 

「……恥ずかしいなら黒ウサギ達の所に戻って新しい食器を使うか、食べないことにするがーーー」

 

「だ、大丈夫よ‼︎ 女に二言はないわ‼︎ 戻るのも面倒だし早く食べてしまいなさい‼︎」

 

上哉にフォローされそうになって飛鳥も吹っ切れたのか、顔を紅潮させながらも上哉に料理を食べるよう促した。上哉もこれ以上この話題を引っ張っても悪循環に陥るだけだと判断して料理に口を付ける。

 

「……美味い」

 

それは何の飾り気もなく、上哉の本心から出た言葉だった。元の世界で自炊するようになってからは他人が作る料理など食べる機会は激減し、片手で数えられる程度しか思い出すこともできない。そんな中で久しぶりに食べた料理は、自分の作る簡素な料理と違ってすごく温かい気持ちにさせられると素直に思えた。

 

「ーーーそう。その言葉は子供達に言ってあげなさい」

 

飛鳥もそんな上哉の飾らない表情を見せられて、羞恥心よりも温かい感情に満たされて柔和に微笑む。

穏やかな雰囲気が雑木林の中にいる二人を包み込み、未だに流れ続けている流星群を見上げながら、飛鳥はこの先の未来が上哉にとって明るく楽しいものになることを星に願うのだった。

 

 

 

 

 

 

科学と異能、その両方が高度に発展した世界の中でもさらに発達した先進国である“ヘルトレ”という国にて。

 

「ーーー不夜上哉、捕捉完了」

 

「ーーー座標確認、この世界とは別次元・別位相に存在する模様」

 

「ーーー計算終了、現時点で確立されている技術による転送は不可能。転送異能者の統計学的座標移動数値から推測すると、高位の転送異能者によって若干名の転送が可能と判断」

 

上哉が世界から消失して数日。科学者達は()()()()()()()()上哉よりもまず、異能無効果空間で上哉を消した力に興味をもった。技術・異能・魔術師・知恵を駆使して解析を行ったが、力の痕跡があるだけで現存する力とは別種であることしか分からなかった。

そこで上哉が送られたであろう、別種の力が存在する場所を特定するため()()()()()()()()()()()()()()()()を先ほど異能者に辿らせた。異空間を行き来できる上哉を捕捉するために科学者が仕込んだ特別製の発信機だ。そして何よりも上哉に流れる力の研究が終わっていないため、何時までも放っておくつもりはなかった。

 

「直ちに高位の転送異能者と()()を呼べ。準備が出来次第、示された座標へと送り込む」

 

その科学者達の中でも、上司の位置にいる科学者が周囲の者へと指令を飛ばしていく。それから少しして、セミロングの薄い金髪を靡かせて颯爽と歩く若い女性が現れた。

 

「君にわざわざこれからの事を説明をする必要はないだろう。許可するので()()()()()()()()()()()()()()

 

「………」

 

言われた女性は何も返事をせず、それでも言われた事をきちんと(こな)して命令内容を理解した彼女は、憮然とした表情で科学者を見返している。

 

「これも君に言う必要はないと思うが、多少の自由は見逃すとしても変な気は起こすなよ?」

 

「分かっています」

 

此処に来て初めて彼女が発した声は素っ気ないながらも了承であった。

それを聞いた科学者も確認は済んだとばかりに踵を返し、去り際に彼女へと声を掛ける。

 

 

 

「では任せたぞ、神依伊里菜」




これにて第一巻の分は終了‼︎ 第二巻の分からはオリジナルをさらに盛り込んで進めていきたいと思います‼︎
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