異端者も異世界へと呼び出されたようですよ?(一時凍結)   作:レール

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原作準拠だとストーリーは大まかに決まっているが、だからこそ原作が片手にないと上手く進められずに執筆する時間が限られるというジレンマ。
展開はできあがってますが昼間は執筆が進みまず、投稿するのが少し遅れました。

それではどうぞ‼︎


異端者、虎のゲームに挑む

耀が見事にギフトゲームをクリアしたことで、白夜叉に報酬としてギフト鑑定の依頼をお願いする黒ウサギ。白夜叉はギフト鑑定は専門外のようで困った様子だったが、それでも依頼ということで四人をじっくりと見つめて鑑定に入る。

 

「……うむ。四人ともに素養が高いのは分かるが、これだけでは何とも言えんの。おんしらはギフトをどの程度に把握している?」

 

白夜叉は真面目に鑑定を(こな)そうとして情報を聞き出そうとするが、

 

「企業秘密」

 

「右に同じ」

 

「以下同文」

 

「教える理由がない」

 

依頼をしに来た筈なのに全くと言っていいほど協力する気が見られなかった。

これには呆れ果てるしかなかった白夜叉だが、突如妙案が浮かんだとばかりにニヤリと笑った。

 

「ふむ。何にせよ“主催者”として、星霊の端くれとして、試練をクリアしたおんしらには“恩恵”を与えねばならん。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度よかろう」

 

白夜叉が柏手を打つと、四人の眼前に光り輝く四枚のカードが現れる。カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた。

 

 

コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム“正体不明(コード・アンノウン)

 

ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム“威光”

 

パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム“生命の目録(ゲノム・ツリー)”、 “ノーフォーマー”

 

 

それを見た黒ウサギが、驚きつつ興奮しながらカードの説明をしてくれた。

このカードは“ギフトカード”と呼ばれるもので、顕現しているギフトを収納・再顕現できるというかなり高価な代物であるらしい。本来ならコミュニティの名と旗印も記されるようだが、“ノーネーム”だからということで自分の名前とギフトしか書かれていない。

 

その説明を聞いて十六夜は持っていた水樹を収納して物珍しそうにしていたが、その隣では上哉が手の中にあるスチールグレーのギフトカードを見て内心で舌打ちしていた。

 

(これじゃあ、自分の手の内をわざわざ晒しているようなものじゃないか。はっきり言って今すぐにでも捨てたい)

 

そこに羅列されているギフトと判断された魔術道具や自らの持つ異能の名前を見て本気でそう思う上哉。

 

「不夜のギフトはどんなものなんだ?」

 

そう思っている時に十六夜が振り返りながら訊いてきたので、不自然にならないようにポケットにしまいつつ答える。

 

「あぁ、“空間支配者(スペース・ルーラー)”という名前のギフトだ。ある程度の推測は立てているとは思うから言うが、空間に作用して様々な効果を付加する能力だ。久遠を助けた時は空間に物理障壁効果を付加し、春日部に手を貸した時は周囲に気温不変効果を付加した」

 

訊かれた上哉は、名前も使用した効果も本当のことだが能力説明には()()()()()を含めて答えていく。それにギフトの数も一つしかないという雰囲気で話していた。

 

自らの手の内を全て明かすなど彼には考えられなかった。情報は時に予想以上の効果を発揮する。それを他人に知られて何かの拍子に敵対するような者にも伝われば、どんな窮地を招くことになるかを彼は実感したことがある。

ギフトカードは知らないうちに無くしたことにして捨てようとも考えたが、何にでも使い道はあると考え直して絶対に取られないように持っておくことにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

“サウザンドアイズ”支店からの帰り道。“ノーネーム”の居住区画に着いた四人は、目の前の光景を信じられないような表情で眺めていた。

 

整備されていたであろう街路は砂に埋もれ、木造の建築物は軒並み腐って倒れ落ちている。要所で使われていた鉄筋や針金は錆に蝕まれ、街路樹は石碑のように薄白く枯れており、土地そのものが死んでいる。

 

これらの風化しきった街並みが()()()()()()()()()()だと言うのだから、その異常さは計り知れない。

 

十六夜は心地よい冷や汗を流しながらも、この出鱈目な力を持った魔王に期待を膨らませていた。その隣では上哉がサバイバルポーチから取り出した試験管に土を確保している。

 

「ん?何やってるんだ?」

 

「いや、この土を解析すれば何かしら情報を掴めるかもしれないと思ってな。一応だが科学者をしていた」

 

上哉は一応と言っているが、彼は歴とした科学者だ。望んでそうなったわけではないが、彼には科学者にならざるを得ない理由があったのだ。わざわざその理由を打ち明けるつもりはないが。

 

その後は廃墟を抜けて、今は十六夜のギフトカードに収納されている水樹を貯水池へと設置しに行くこととなった。そこにはジンとコミュニティの子供達が水路を掃除している姿があり、黒ウサギに紹介されてお互いの顔合わせを済ませたのだった。

 

 

 

 

 

 

顔合わせを済ませた後に本拠となる屋敷へと案内され、女性陣は現在大浴場で仲良く疲れとともに身体の汚れを洗い流している。では男性陣はどうしているのかというと、十六夜は屋敷から出て子供達が住んでいる別館の前で仁王立ちしており、上哉は別館の中の入り口付近に待機していた。

 

二人は敷地内に侵入した何者かを察知し、十六夜は話し合い(迎撃)に向かい、上哉は子供達が別館から出ないように見張るという()()で中に待機することとなった。もちろん見張りが嘘というわけではないが、別の目的があってこの采配を受け入れたのも事実である。

そうして暫くもしないうちに外からズドガァン‼︎ という爆発音が響き渡り、別館の奥から慌てたジンが入り口へと走ってきた。

 

「か、上哉さん?何故別館に……いえ、それよりも今の音はいったい何ですか⁉︎」

 

「侵入者がいたから逆廻が対応に向かっている。今の音は恐らく逆廻の仕業だろう」

 

「侵入者?まさか“フォレス・ガロ”の……ちょ、ちょっと見てきます‼︎」

 

上哉の返事を聞いてジンは少しの間だけ考え込んだが、すぐに異変を確認するためにも外へと飛び出した。

彼の呟きを聞いていた上哉は、幼い割には頭の回転は速いようだと、昼間の鎌かけの対応から評価を少し上方修正しておいた。

 

「あ、あの……」

 

ジンに続いて現れたのは、狐耳に二本の尻尾が特徴的な少女だった。既に寝間着姿なのだが、一人で現れたところを見ると年長組でもリーダー的な位置に存在するのだろう。他の子供達があの爆発音で一人も起きなかったとは思えないので、ジンと同様に確認に来たのだと推測する。

 

「えっと、俺のことは分かるかな?別に怪しい者じゃないから安心してくれ」

 

上哉は感情の起伏が乏しく暗い性格に見られがちだが、どちらかと言えば子供は好きな方だ。大きな変化ではないが声のトーンを和らげて話し掛ける。ジンの場合はリーダーを名乗る以上、子供扱いする必要はないと普通に接している。

 

「だ、大丈夫です。貯水池での自己紹介の時に私もいましたから。不夜上哉様…ですよね?わ、私はリリと申します」

 

「そんなに緊張しなくていいよ。気楽に接してくれて構わないから」

 

狐耳と二尾をピンッと張って緊張を表しているリリに苦笑しつつ、訊きたいであろう質問に先回りして答えておく。

 

「心配するな、さっきの音はちょっと逆廻がはしゃいでいるだけだ。ジンが向かって落ち着かせているから今は静かだろ?」

 

聞きようによっては十六夜がただの腕白小僧のようだが、“侵入者が恐らく子供達を誘拐するためにすぐそこまで来ていたのを逆廻が撃退している”、なんて言って不安を煽る必要はない。

 

「えっと、リリは年長組でも年上の方なのか?」

 

「はい、そうです。それがどうかしたんですか?」

 

「ちょっとお願いがあるんだ。面倒だからできればみんなには秘密で……」

 

こうして上哉は習慣で身に付いてしまった生活を通すため、お願いを水面下で行うのだった。

 

 

 

 

 

 

翌朝、ガルドとのギフトゲームへと向けてしっかりと朝食を摂っていたある一人を除いた一同。その一人について、昨日の正装とは打って変わって真紅のドレススカートに身を包んだ飛鳥が問い掛ける。

 

「上哉君はどうしたのかしら?もしかして寝坊?」

 

そう、上哉一人だけが食卓に就いていなかった。黒ウサギに視線を向けるも、彼女も知らないようで首を横に振るだけだ。

そこに壁際で待機していた狐耳に二尾の少女、リリが疑問に答える。

 

「あ、あの……上哉様でしたら、先に御食事を済ませて御部屋にいらっしゃいます」

 

「……何でわざわざ時間をずらしてるの?」

 

耀は純粋に疑問に思って訊いたのだが、それにリリは目を逸らしながら答える。

 

「え、えっと…上哉様は起きられるのが早いので、それで先に御食事を済まされました。御部屋の方で今日の準備をしているから出発前に呼んでくれ、と」

 

「ったく、不夜の奴。集団行動ってものを知らないのか?」

 

「昨日、“世界の果て”へと勝手に行かれた十六夜さんがそれを言いますか……」

 

上哉の行動に十六夜が突っ込みつつ、その突っ込みに突っ込む黒ウサギ。今のところ最も集団行動と無縁なのは十六夜であると思う彼女である。

 

「それなら待たせるのもアレだし、そろそろ食べ終わるから呼んできてくれるかしら?」

 

「は、はい‼︎ 分かりました‼︎」

 

二尾をパタパタと忙しなく動かして上哉を呼びに行ったリリを見つつ、一番食事のスピードが遅かった飛鳥が最後の一口を食べてから本拠の前へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

リリが呼びに行ってすぐに来た上哉と合流し、全員で揃って“フォレス・ガロ”のコミュニティへと向かっていた。上哉に準備とは何をしていたのかを訊くと、黒ウサギに使用した暗器の補充や仕込みの確認と言われ、一匹の兎の顔色が青ざめていたのはここだけの話である。

雑談しつつ、昨日のカフェテラスでウェイトレスに応援されつつギフトゲームの会場である居住区を目指していると、黒ウサギが声を上げる。

 

「あ、皆さん‼︎ 見えてきました……けど、」

 

彼女が言い淀んだのも無理はない。ツタの絡む門に鬱蒼と生い茂る木々。“フォレス・ガロ”の居住区が完全に森のように豹変していた。しかも生えているのはただの木ではなく、生き物のように脈を打ち胎動のようなものを感じさせる木だった。

 

「この木は……“鬼化”してる?いや、まさか」

 

「ジン君。ここに“契約書類”が貼ってあるわよ」

 

ジンが何やらブツブツと考え事をしていたが、飛鳥の声につられて門柱に貼られている羊皮紙へと目を向ける。

 

 

【ギフトゲーム名 “ハンティング”

・プレイヤー一覧:久遠飛鳥、春日部耀、不夜上哉、ジン=ラッセル

 

・クリア条件:ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。

 

・クリア方法:ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は“契約”によってガルド=ガスパーを傷つける事は不可能。

 

・敗北条件:降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

・指定武具:ゲームテリトリーにて配置。

 

宣誓:上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

“フォレス・ガロ”印】

 

 

これは面倒な事になったと溜息を吐きたくなる上哉。準備していた道具の数々がほとんど無駄となってしまうかもしれない。

飛鳥は今一つ理解しきれていないようで黒ウサギに問うていたが、指定武具での打倒ということは自分達のギフトが通用しないという説明を聞くと表情を厳しくさせている。もしかしたら自分が挑んだゲームに責任を感じているのかもしれない。

ゲーム前に気持ちを落とされては勝てるものも勝てないので、上哉は念のためにフォローを入れておく。

 

「問題ない。俺は元々白兵戦を想定していたんだからな。仕留めるための武器が絞られただけだ。虎程度なら過去に何回も仕留めている」

 

「……貴方、科学者だけじゃなくて兵士に狩人もやっていたの?」

 

飛鳥は内心を見抜かれてフォローされたことが恥ずかしかったのか茶化すように言うが、それでも表情は和らいでいた。

 

「想像に任せる。とにかく気負う必要はないということだ」

 

「私も頑張る。飛鳥だけが気負う必要はないよ」

 

「僕も小さいながらお力添えします。……それにこのゲームは絶対に負けられません」

 

耀とジンも安心させるように声を掛ける。ジンの後半の呟きは決意表明のようなもので飛鳥には聞こえない小声だったが、全員やる気は十分なようだ。

 

参加者四人は門を開けて突入した途端、生い茂る森が門を絡めるように退路を塞がれ、それがギフトゲーム開始の合図となった。




次はいよいよ初の戦闘回‼︎
色々と手練手管を駆使して上哉君が頑張るお話にできればなぁと思います。
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