ペルソナQ ~資質ゼロだったはずの少年の物語~   作:甲斐太郎

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今回の視点は湊⇒直人です。


幕間―⑥

『煌めく果実のパンナコッタ』を食べ終えた私たちは別れて思い思いの時間を過ごすことになったのだが、私は美鶴先輩につれられて保健室に来ていた。ちなみに私の他にもナビの風花と八高メンバーの千枝ちゃんと雪子ちゃんがいたりする。

 

美鶴先輩の目的はさきほど潜った迷宮内で風花が言っていたF.O.Eの放った矢を回収して武器として改造するという依頼を消化するためである。先ほど猪突猛進さが浮き彫りとなった真田先輩にばれない内に済ませてしまいたいようだ。しかし、保健室には先客がいた。

 

「む?鳴上と巽、クマだったか?」

 

「お疲れ様です、先輩方。どうかされたんですか?」

 

総司くんは今まで何かを書き記していたノートを本棚に直すと私たちに向き直った。ちなみにクマくんはエリザベスさんに踏みつけられて悦びの声を上げ、巽くんはそんな彼の様子を見て引いていた。

 

「私たちは依頼を片付けようときたのだが、お前たちはいったい何をしているんだ?」

 

「僕たちはエリザベスさんの依頼を片付けたので報告しに来たところですよ。実は迷宮内でシャドウを倒して手に入れた素材が丁度、依頼に必要な素材だったんです」

 

そう言うと総司くんはエリザベスさんの依頼ノートを手にとってページをめくった。確かに『幻の薬を調合したい』っていう項目がクリアになっていた。

 

「これが報酬の振興券です。テオドアさんのてづくりこーぼーで買い物をする時に1割引きになるそうです」

 

そう言って、総司くんは私に近づいてきて、“てづくりこーぼー振興券”と書かれたプレートを手渡してくれた。そして、保健室から出ようとしたのだが、私は彼の手を引っ掴んで依頼ノートが置かれてあった場所まで移動する。そして、本棚に手を伸ばした。

 

「うわっ、ちょっと待って」

 

するとどうでしょう。総司くんはその本棚の前に立って、私の行為を遮ったじゃないですか。今まで総司くんに興味を持っていなかった美鶴先輩も彼を怪しむような視線を向ける。

 

「千枝ちゃん、雪子ちゃん。やっちゃって!」

 

私は黄門さまのように指令を出す。すると千枝ちゃんと雪子ちゃんは面白がって、総司くんを羽交締めにした。後ろの方でクマくんが羨む声を上げたので、私は美鶴先輩にアイコンタクトする。彼女は大きく頷くと、クマくんの額に踵を振り下ろした。

 

私は羽交締めされた総司くんの反応を見ながら本棚に置かれたノートはどれなのかを探る。結果、真っ黒の背表紙のノートがそれだと分かった。

 

私は総司くんに奪い返されないように保健室内を迂回して移動した後、美鶴先輩の横でそのノートを開いた。ノートには男子メンバーの名前の一覧と第二の迷宮内での選択した言葉が書かれていた。

 

例えば、順平だと、

 

Q1.【愛があれば、年の差どころか性別も問題ない?】【NO】

 

Q2.【一緒に遊ぶなら?】【チドリンは絵を描くから……インドア派で!】

 

Q3.【疲れた心を癒すなら?】【旅館かホテルなら、旅館だろ!】

 

Q4.【あなたの武器って?】【テレッテッテー、俺っちの魅力は夢中にさせる話術っしょ!】

 

という風にノート1枚につき1人のことが男子全員分書かれてあった。

 

「ふむ、鳴上。ご苦労なことだが、これには意味はあるのか?」

 

「えっと、僕の推論なんですけれど、3階ではメンバーの入れ替えがあると思うんですよ。ヤソガミコウコウ内にいる人間で自由に動けるのは僕らとテオドアさんたちしかいないので、迷宮内の質問で決まる運命の相手って結局僕らの内で決まるはずです。Q1は性別を決め、Q2では外で体を動かすのが好きな人なのか、家の中で頭を使うことを得意とする人なのかに分ける。Q3からはその人を彷彿させるワードを選んだら、その後の質問はどう答えてもいいものに変わっている」

 

総司くんは私の手からノートを受け取ると、一通り目を通した後に告げる。

 

「男子で相手を決めるワードを言ったのは真田さんと師匠、順平さんと完ちゃんの4人です。人によって質問もバラバラだったので聞き出すまで時間がかかったんですけれどね」

 

そう言って総司くんは悪意ある改造が施された保健室の奥にあったホワイトボードを引っ張ってきて、何かを書き始める。そして、書き終えた総司くんはホワイトボードをバンッと叩いて私たちの視線を集めた。

 

「まず真田さんが選んだのは異性で、籠るのは好かんということでアウトドア派、そして【好きな子に褒められた。どんな風に?】という質問の選択肢を聞いて「ブリリアントって美鶴か!?」と言われたらしいのでたぶん……」

 

「明彦は私を選んだと鳴上は言いたいのだな」

 

「僕の推論ですけれどね。相手が決まった人はたぶん別枠になるんじゃないかなって危惧しているんです。迷宮に挑むのに男女別パーティーになっただけでも大変なのに、もう一組出来上がるとナビがてんやわんやになると思って」

 

総司くんは風花の姿を見る。風花は総司くんの話を聞いて、眉を顰めて悩み始めてしまっている。

 

「となると、女子メンバーも一度、質問にどんな答えを出したのかを聞きださないと厄介かも」

 

私がそう言うと千枝ちゃんが元気いっぱいに手を上げていた。どうしたのかを尋ねると雪子ちゃんが選んでしまった選択肢はどうなのかを総司くんに尋ねる。雪子ちゃんが選んだワードって確か……。

 

「熱気立つ大浴場でぶつかり稽古、だっけ?」

 

「ゆっきーの相手は完ちゃんだね」

 

「俺っすかっ!?」

 

「でも完ちゃんは白鐘先輩を選んでいるから、この場合はどうなるんだろ?」

 

総司くんは私の言葉を聞いて保健室内で私たちの会話を聞く羽目になった巽くんに視線を向けた。そしてホワイトボードの巽くんの項目を見て、【好きになった人の意外な一面は?】という質問に対して【王子だと思ったら、実は女の子】という選択をしたらしいことが分かった。

 

なるほど、美少年だと思ったら、女の子だったって、巽くんたちも思っていたって事?

 

「シーフー、もしもクマを選ぶワードがあるとしたら、どんなのクマか?」

 

先ほどまでエリザベスさんと美鶴先輩に踏まれて悦びの声を上げていたクマくんが私たちの不意をついて総司くんにそんな質問をした。総司くんは私や千枝ちゃんたちの顔を一通り見てくる。どうやら、“それ”を言っていいのかを尋ねてくるような感じであったので、私と千枝ちゃんは顔を見合わせた後に力強く頷いた。

 

「たぶん、『語尾に“クマ”ってつく喋り方』とかじゃないかな」

 

「おぉー、なるほどクマ~」

 

クマくんは自分の特徴をそんな風に認識している総司くんに対して、嬉しそうに近づいて行っているが、その情報を得た私たちがどんなことをするかを彼は考えなかったのだろうか。私ならその選択肢は絶対に選ばないと思う。

 

「つか、総長。荒垣さんが選んだ【彼女のお茶目なところ?】っていう質問に対しての答えが【エスカレーターを真剣に逆走するって、餓鬼の頃のアキそのものじゃねぇか!】で、真田さんと喧嘩していたっすけど、これは誰になるんすかね」

 

「そういや、師匠。そんなことを言っていたね。いきなり喧嘩を始めたから何事かと思ったら、そんな会話があったのか。まぁ、普通の人じゃありえないっていう意味で、エリザベスさんかなぁ……」

 

「まぁ!」

 

総司くんの予想を聞いたエリザベスさんが両手を頬に当てて、驚きの声を上げた。ただ照れとか恥ずかしいといった感情は読み取れない。むしろ面白そうだと言わんばかりに頬がひくついているのが見える。

 

「荒垣さん、と言いますと学生らしからぬ風貌の男性であったと存じますが、まさか私に好意を持たれていたなど、微塵にも思っておりませんでした。こうしてはおられません、早速恋文というものを作成するとしましょう!」

 

どこからか紙とペンを取り出して、手紙を書き始めたエリザベスさんを見てほっこりしていると、総司くんが悲壮感たっぷりな様子で十字を切っていた。ちらりとエリザベスさんが書いた恋文の文面を見てみる。

 

「本日、校庭の時計台前にてお前を待つ」

 

って、それは恋文違う!果たし状だよ!!

 

 

□□□

 

保健室から出た私たちは女子メンバーをフードコートに集めて事情を説明する。すると皆が協力してくれることになった。懸念であった優ちゃんも情報をまとめるのが総司くんだと分かると借りて来た猫のように大人しくしている。

 

「えっと、女子メンバーで運命の相手が決まったのはゆっきーと岳羽先輩とアイギスさんの3人ですね。それぞれの相手は『完ちゃん』、『花村先輩』、『岳羽先輩』ですね、たぶん」

 

そして、話を聞き終わって情報をまとめた総司くんがにこやかな笑みを浮かべて、予想結果を言うとゆかりが微妙な表情を浮かべ、すこし離れたところにいる花村くんと近くにいるアイギスを見て、机に項垂れた。

 

「岳羽先輩、あんまり気にすることないですよ。質問の順番にも問題があるんですから」

 

「うん、ありがと」

 

総司くんがゆかりを慰めるようにフォローを入れたのだが、ゆかりは机に項垂れたままだ。余程、内容に納得がいっていなさそうであるが、発言した言葉を消し去ることは出来ない。

 

「ていうか、アイギスが私を選ぶっていうのが信じられないんだけれど?」

 

「私も銃器を扱う者として極めるなら書道や華道よりも、弓道だと思っただけであります」

 

「うん。なんでそれで運命の相手が私になっちゃうのか甚だ疑問だよねー」

 

ゆかりは力なく呟くしか出来ないのであった。

 

「でも結局、今の所は兄さんの予想でしかないでしょ?希望を捨てるには早いんじゃない。運命の相手が“ガッカリ王子”って悲惨よ」

 

「うおい!相棒、それを月高の人たちにまで広げんじゃねぇーよ!!」

 

「やっぱり聞き耳立てていたわね」

 

優ちゃんがやれやれと肩を竦めると花村くんはばつが悪そうにするが、それでも引き下がれないと言わんばかりに彼は声を荒げる。

 

「大体な、俺のことをそうやってガッカリ王子扱いすんのはお前らだけだっつの!」

 

ビシッと月高メンバーを指差す花村くん。そんな彼を見て今まで机に項垂れていたゆかりが小さく呟く。

 

「それだけ本音で話せる友達がいないってこと?」

 

「ぐはぁっ!?」

 

花村くんが心臓付近を押さえて蹲った。そして、さめざめと涙を流す。

 

「ちくしょう……俺の何がダメだって言うんだよ。思っていた感じと違う?仕方ねぇじゃねーか、俺はこういう奴なんだから……」

 

彼の今までの苦労が背中からにじみ出るほど、卑屈な発言を繰り返しつつ落ち込んで暗くなっていく花村くん。そんな彼に手を差し伸ばしたのは意外な人物だった。

 

「見た目がイケメンな分、花村先輩は損していると思いますよ。他人は自分の理想だけを押し付けてきて、それに適わないとガッカリ王子と呼ぶ。そんなんじゃ、花村先輩も卑屈になっちゃうのは当然です」

 

先ほどまでノートに情報をまとめていた総司くんが花村くんの傍に膝立ちになりながら、彼の肩に手を置いてポンポンと優しく叩いた。花村くんはまるで総司くんを救世主を見るかのような目で見た後、天を仰いだ。

 

「なんで、こっちにお前がいないんだよっ!中3の時にこんななら、同い年ならマジで親友になれる気がするんだけど!!」

 

「うーん、高校は絶対に八十神高校を受けるって決めていたんだけれど、そうしなかったってことは料理の学校にでも行ったのかな?優に聞いても教えてくれなかったし」

 

「……と、当然でしょ。私の“兄さん”と、ここにいる“兄さん”は……“別人”……なんだし」

 

優ちゃんはそう言って総司くんに背を向けた。総司くんは優ちゃんの言葉に一頻り納得した様子で、そのまま花村くんと話をしているようだが、私は彼らよりも優ちゃんの方が気になる。振り返った彼女は唇を噛みしめ、必死に涙をこらえる年相応の少女の顔だったからだ。

 

「……なんですか」

 

私の視線に気付いた優ちゃんは、何事もなかったような表情で無愛想な言葉をぶつけて来た。私は咄嗟に首を横に振って、何でもないことを伝える。すると、優ちゃんは総司くんと戯れる花村くんを一瞥するとフードコートから去って行ったのだった。

 

目的であった運命の相手予想まとめが済んだので、各々自由行動となったのだけれど、千枝ちゃんが未だ会話中の総司くんと花村くんのところに近づいて行った。私も気になったので、会話には参加しないで話だけを聞く態勢を取る。

 

「でも、総くん。八十神高校を受験するつもりって本当なの?」

 

「うん。だって、転勤族の両親のおかげで故郷と呼べる場所がないからね、僕と優には。叔父さんのところに毎年遊びに来るおかげもあって、僕はあの街が好きになったんだ。昔のような活気がなくなっていっているのは悲しいけど、見ていてよ!僕が、いや僕たちが変えてみせるよ、八十稲羽の街をね」

 

千枝ちゃんと花村くんが顔を見合わせ、「「僕たち?」」と呟いた。総司くんは困惑している様子の花村くんたちに向けて満面の笑みを受けべつつ説明を始める。

 

「まだ構想段階なんだけれど、八十稲羽商店街のあの道を歩行者天国にしてフェアを開催するんだよ。商店街だけじゃなくて、あの街の良い物を集めてさ。勿論、八十稲羽の農作物を使った料理も考えなきゃいけないけどね、僕はそこに携わりたい。肉料理は「まだバイトの身だけど頑張る」って美津雄も約束してくれたし、商店街の道路を歩行者天国にするって話は警視庁から来たばかりの足立さんに頼み込んだしね」

 

「ちょっと待った!美津雄って、もしかして……久保美津雄?」

 

「ん、花村先輩も知っているのなら話は早い。美津雄はゲームが得意でさ、僕が倒せなかったボスの攻略法をお店の前で聞いたのが交友のきっかけだったよ。根は暗いけれど、人の気持ちが分かる優しい奴なんだよ」

 

私は誰のことを話しているのか分からなかったけれど、花村くんをはじめとした八高のメンバーは一様に苦々しい表情を浮かべている。すると、少し離れた位置にいた白鐘さんが総司くんに聞こえないくらい小さな声で呟く。

 

「きっと、彼もどこかで道を歩み違えてしまっただけだったんですよ。きっと……」

 

「総長がそう言うんだ。あの野郎も街の為に何かをしようとしていたはずなのに、何で……あんなことを……」

 

白鐘さんの呟きに答えるように巽くんも呟いた。しかし、彼の手はぎゅっと握りしめられており、何かに耐えている様子であった。

 

「それにさ、国会議員の秘書を務めている生田目さんっているでしょ?八十稲羽の出身なんだけれどね、彼とも話す機会があってさ。実はメル友なんだ」

 

「総くんって、本当に顔が広いよね」

 

「まあね。で、さっきの歩行者天国の話にしても警察は足立さんに頼んだけれど、結局は役所も味方にしないと出来ないでしょ?だから、『国会議員の秘書は辞めて、市長に立候補しませんか』って持ちかけたんだよ。最初は『私の器ではない』って断っていた生田目さんだったけれど、僕が八十稲羽の街をこれだけ愛しているっていう話をしたら、『それだけは絶対に負けない』って反論してきたんだ。あと何回か、焚きつければきっと来年辺りには立候補してくれるんじゃないかな?」

 

将来のことを熱く語る総司くんがいる一方で、フードコートにいる八高メンバーは全員が何とも言えない表情を浮かべている。総司くんに何かを伝えようとして、言うのをやめている。そんな印象を受けた。

 

 

□□□

 

月高メンバーであり、この世界を攻略する上で僕たち八高メンバーも含めた20人以上の人間を率いる立場に立つこととなった結城さんが、フードコートから去って行ったのを見計らって僕たちは再度、鳴上総司くんから聞いた話を吟味していた。

 

完二くんは苛立った様子で机を叩いたり、パイプ椅子を蹴ったりしてイライラを発散しようとしている。千枝先輩と雪子先輩は悲しげな様子で沈黙しており、りせさんに至っては涙目で僕たちの話を聞いている。

 

「僕たちをテレビに押し込めた人間が、総司さんの夢に協力を約束していた人物だったなんて、思いもよらなかったですね」

 

「つか、久保のことも驚きだけどよ。あの冴えない足立が、警視庁からエリートってどういうことなんだ。お前らは知っていたのか?」

 

花村先輩の問いには皆が首を横に振る。僕自身も警察の1人としか思っていなかった。

 

「一般的に考えて八十稲羽に来たのは左遷だと思いますが、2年前はまだやる気に満ちていたということでしょう。少なくとも総司くんの夢を手伝うようなことを言っていたのであるならばですが……」

 

僕は最近になって八十稲羽の街に来たので過去のことは知りようがない。かと言って千枝先輩や雪子先輩、完二くんは総司くんに関係が近すぎるのもあって、客観的なことが分からない。

 

「よくよく考えれば、商店街のお店の人たちとは凄く仲が良かったんだよね、総くんって」

 

「千枝、それは総司くんがお店の人の悩みをひとつひとつ解決していったからよ。八百屋さんと魚屋さんでも商品を売るだけじゃなくて、晩ご飯のメニューを提案するようにしたのって総司くんのアドバイスがきっかけだったみたいだし」

 

「あ、お祖母ちゃんから聞いたことある。確か『豆腐は一丁ずつ売るもの』っていう概念を壊してくれた子がいるって」

 

千枝先輩たちの何気ない会話が聞こえてくる。僕の隣に立つ完二くんも呟いた。「以前母親の方にホームページを開設したらどうか」って言ってくれたことがあったらしい。

 

「千枝先輩、商店街の方々と仲が“良かった”と過去形ですが、総司さんはいつ頃から八十稲羽に来られなくなったのですか?」

 

「えっとね、確か……中3に上がる春休みには一緒に遊んだ記憶があるよ。その年の秋くらいに優が八十稲羽に越してきたんだけど、総くんは一緒じゃなかった。その直後くらいだったじゃなかったかな、奈々ちゃんのお母さんが亡くなったのって」

 

「私も覚えてる、あの時の奈々子ちゃんも優も見ていられないほど酷かったし」

 

僕も以前、命を軽んじる発言をした久保に対し苛烈の勢いで怒鳴る優さんを見て不思議に思い、どういうことなのかを尋ねたことがある。けど、お世話になった叔母が死んだだけで、言い方は悪いけれどそんな風に変わるだろうか?それこそ……。

 

「なぁ、八十稲羽の街が好きだっていった総司がこんな風に街の皆が変わってしまうのを見過ごすと思うか?例え料理の学校に通っているとしても、何か行動を起こすはずだよな?それをしていない、かつ相棒の異常なまでの“死”への恐れってつまり……」

 

「それ以上はダメです、花村先輩!」

 

僕はそれ以上言わせないために言葉を張り上げた。自分を止めた人物が僕であったことに花村先輩は驚いた様子だった。けれど仕方がないことなのかもしれない。総司さんと仲が良かった千枝先輩も雪子先輩も、脳裏に浮かんでしまったのだろう。優さんがあんなにも変わってしまった原因が何なのかを。

 

「直人の言う通りっすよ、他にも海外に留学してしまって連絡が取れなくなったっていう線もあるんすから!姉御のアレも、義憤に駆られてのものなんすよ、きっと!!」

 

「そ、そうだよな!わ、わりーわりー。あんな風に何の気兼ねもなく、楽しいと思える会話したの久しぶりだったからさ。……いや、同年代の男子って括りでだぞ」

 

そうやって、花村先輩たちは想像できる最悪の考えを無かったことにしようと、バカ騒ぎをし始めた。僕らが何を考えようが、僕たちの世界に総司さんがいない以上どうすることもできないのだから……。




総司くんのオリジナルペルソナ案を募集しています。詳しくは活動報告をご覧ください。意見まってまーす。
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