お題「雷」

毎回思う どうしてこうなった

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雑書 7

モグラとして生きてはや一年。

その中でどれだけのトンネルを掘っただろうか。

仲間の多くは掘った道を戻ったりしたが、吾輩だけは一度も引き返さずに真っ直ぐ真横に掘り進んできた。

雨の日も風の日も、土が固くて自慢のツルハシが折れた日も吾輩は掘り進んできたのである。

 

しかし、ただトンネルを掘る作業というのも飽きてくる。

長らく同じモグラと会っていないし、飯もろくに食べていない。

そろそろ他の方法を探してみるのもいいかもしれない。

 

そうだ、ずっと真っ直ぐ真横に掘っていたが、今度は別の方向を掘ってみよう。

きっと真っ直ぐだから飽きたのだ。

引き返さないという自分のポリシーさえ背かなければ自由なのだ。

 

そう思った吾輩は真上に向かって掘り進んだ。

真横に掘っていた時とは違い、掘った土が上から落ちてくるし、自分も落ちそうになるから大変だ。

しかしその分、今までにはないやりがいと感じている。

モグラとしてこんなにも嬉しいことはない。

恋もしたことのないピュアーなモグラなのだ。

こんな小さいことでも喜びを噛みしめられる。

 

真上に掘って数日。

なんだか土の質が変わってきた。

今までは乾いた土だったのだが、だんだん湿った土になってきた。

掘り進んでいくと、どんどん土は湿ってきて、しまいには水が流れてきた。

 

どういうことだろう。

水脈にでも当たってしまったのだろうか。

そう思いながらも今日も吾輩はツルハシを振り上げる。

 

それから二日後。

何気なしに土を掘っていたら、今までとは違う感覚がツルハシ越しに感じた。

おかしいと思ってさらにツルハシを振るが、手ごたえは一切ない。

 

どういうことだろうか、掘るものがない?

そんなはずはない。だって私は今まで土を掘り進んできたではないか。

空洞にでも当たったんだろう、水はここから滴り落ちていたに違いない。

 

そう思った吾輩はその"空間"に頭を出した。

思ったよりも空間は広く、天井が見えないくらいだ。

上から滴る水もまるでミサイルのようで、一つ一つの粒が巨大だ。

 

こんな広い空間があったとは。

身を乗り出してあたりを見回す。

すると、吾輩と同じ姿の者がいるではないか。

 

「おーい、ここはどこなんだい? 」

 

少し遠くから話しかける。

すると吾輩を確認した同胞は驚いた顔をしていた。

そうしてこう言ったんだ。

 

「最後の一人が見つかった!

 早く救急車を呼んでくれ!! 」

 

吾輩がモグラとして生きてはや一年。

ようやく吾輩は自分の生まれた世界に戻ってこれたようだ。

 




雷→暗い→闇→土の中→モグラ←ココ

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