生徒会長・イッセー   作:超人類DX

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修行風景その2
とか思ってたら、何か変な方向に……


固い様で単純だった会長

 さて、めでたくライザー・フェニックスに挑戦する事となった。

 各々の事情が錯誤している様だが、俺がやることは一つしかないのだ。

 

 

「俺は今より更にステップアップしなければならない」

 

 

 一目で分からされた。

 たった一回で理解させられた。

 今のままでは絶対に俺はライザー・フェニックスに敗北する事を。

 だから俺は今のままを甘んじる訳にはいかない。

 勝たなければならない決闘でもなければ、死合いでもない。

 だけど俺は、奴に……ライザー・フェニックスに勝ちたい。

 勝って更に壁を乗り越え、アイツに……なじみに近づけるから。

 その為には――

 

 

「仕方無いわね、アンタは1度言い出したら聞かないし。

良いわ……とことん付き合ってやるわよ」

 

 

 信じた友達と共に昇華すること。

 己の弱さを知る仲間と高め合うこと。

 それが俺のやり方で、変わることの無い鍛練方法。

 

 

「戦うのは私が一番下手ですが、イッセーさんのお力になれるのであれば、レイナーレ様と同じくとことんお付き合いします」

 

 

 独りぼっちが嫌いな寂しがりやな子供……。

 それが俺……兵藤一誠なのだ。

 

 

「で、具体的にどうするの?

そのライザー・フェニックスって悪魔がアンタよりも上にいるのはよーく分かったけど、10日しか無いんでしょう?」

 

「あぁ、だから学園を10日程休み、全ての時間を鍛練に費やすことにしたのだ……『凶化合宿方式』でな」

 

 

 この街は、住宅街から少し離れた場所に大きなビルの鉄骨が立てられた巨大な空き地がある。

 この地は元々ビルが立てられる予定だったのだが、建設計画が途中で頓挫でもしたのか、今では骨組みのみを残した寂れた空間となっている。

 住民の者達はこの鉄骨が見ててみっともないからさっさとどうにかしろいう声を挙げているが、本日の俺達にとってはこの上ない修行場所となる。

 

 人避けの障壁を2重に張り込み、俺達以外の誰もが入る事が出来ないようにセッティングを施せば準備完了。

 後は来る10日後に備えて、レイナーレとアーシアと共に全力の鍛練が出来る。

 正直な所、この時点で精神の高揚を感じてしまう……ふふ。

 

 

「凶化合宿……ですか?」

 

 

 三人ともが同じデザインのジャージを身に纏う中、アーシアが不思議そうに首を傾げるのを俺は大きく頷く。

 

 

「うむ、なじみが『昔冗談半分で作った』という修行方法だ」

 

 

 凶と言われるだけあって、なじみが面白冗談半分で作ったとされるだけあって、基本的に滅茶苦茶にキツく、最悪死ぬとされる訓練プログラムというのを、初めて耳にしたレイナーレとアーシアに聞かせる。

 

 

「ふーん、あの女が……」

 

「なるほど、安心院さんが作ったのなら、かなりの効果が期待できそうですね」

 

「だろう?」

 

 

 アーシアはまあ当然として、基本的につっけんどんなレイナーレも、なじみの手腕は認めているので、なじみ考案という言葉に納得した様な表情を覗かせている。

 かつて黒神めだかが完徹させたとされるプログラム……それを俺も行うことで今の壁を乗り越え……なじみに内緒で造り上げた『切り札』を完璧に制御するのが俺自身に対する目的であり、レイナーレとアーシアは俺達の領域に踏み込んで貰うのだ。

 

 

「では早速始めるぞ……レイナーレ、アーシア」

 

「ええ、やってやるわよ」

 

「はい……!」

 

 

 

 己を知り、受け入れる事が、なじみの課す試練の第一段階である。

 基本に立ち返る事が何よりも大事であるのは、俺もレイナーレもアーシアも分かっている。

 最早此処からは言葉は不要……在るのは只、壁を乗り越えんとする人間と堕天使による……自己の高め合い。

 只認められる為に、何かを犠牲にしてきたレイナーレ。

 戦うことを知らず、只守られるだけだったアーシア。

 ひたすらに周囲から認められる為だけに、己を虐め抜いてきた俺。

 

 

「最初から全力だ!!」

 

「ふん、何時までもやられっぱなしの私では無いわよ!」

 

「私だって、只見ているだけではありません!」

 

 

 それでは駄目。

 それだけでは駄目。

 己の心に嘘を付かず、認め、受け入れる。

 その上で壁を登ること……。

 それがなじみの足下辺りに近付く最初のステップであり、強いも弱いも無い。

 異常だろうと過負荷も、必要なのは『心』であり、その結果であるスキルは、所詮は副産物。

 異常だからどうだとか、過負荷だからどうだとか等は関係無いんだ。

 

 

「なじみの教育プログラムその1! 己を知って受け入れる!」

 

 

 心の持ちようで、そんなものはどうとでもなるんだからな。

 

 

 

 

 生徒会三人が凶化合宿を執行したその頃、魔王である兄の意向を真正面からぶち壊してやろうと決心したリアスは、10日後という期間を使って眷属達のステップアップを図ろうと部室に集合させた。

 その中には当然、ライザーに文字通り手も足も出なかった誠八も居る。

 

 

「純粋に『挑戦』するというつもりで、私が彼とレーティングゲームをするというのは、分かってくれたわね?」

 

『……』

 

 

 備え付けのソファから立ち上がりながら話すリアスに、眷属達は無言で頷く中、誠八は内心悔しさで支配されていた。

 一誠の事もそうだが、何よりもライザーに子供扱いされたのが悔しかったのだ。

 だから誠八は一誠がこの場に居ない事もあってか、精神が落ち着いており、婚約なんて互いに無いのに何でわざわざ……という考えも消してリアスの言葉に頷いた。

 

 

「正直な所、彼の本当の実力だと私達は瞬殺されるのが関の山だし、10日間修行をしても届くかも分からない」

 

『…………』

 

 

 ハッキリと言い切るリアスに、眷属達は揃って顔を伏せる。

 今でも鮮明に覚えているライザーの気質を目の前にしたからこそ、誰もが異を唱えられなかった。

 しかし、だからといってリアスは諦めない。

 

 

「でも、圧倒的な力を前にして成長を諦めるなんて事はしないわ。

私達はまだ若いのよ? 可能性を捨てて白旗なんて嫌でしょう?」

 

 

 無限の可能性は、己を捨てずに前へと進んだ者が手に出来るチケットだ。

 嘗て一誠が入学式の新入生代表の挨拶の場で口にした言葉であり、一誠を知り、共に壁を越える仲間となった今日まで忘れること無く心にとどめていた。

 それ故に誰よりも一誠に影響され、己を早くに知り、受け入れたからこそ、なじみと一誠の領域に悪魔でありながら到達したのだ。

 そしてそれは眷属達も同じことであり、今はまだ其々が持つ『事情』があって己を知っても受け入れる事が出来ないのかもしれない。

 しかし、それも何時かな乗り越える事が出来るとリアスは信じており、その為なら身体を張ってでも皆を引っ張っていく覚悟もある。

 その気持ちがあるからこそ、眷属達はより王の期待に応える気になる。

 

 

「ふふ……やはり随分と変わりましたね。

彼の影響でしょうかねぇ?」

 

 

 リアスの女王であり右腕である姫島朱乃が、薄く微笑みながら、リアスを変えた学園生徒会長のを思い浮かべる。

 単なる人間とは思えない大きすぎる気質と存在感を持つ彼がリアスに与えた影響は絶大だった様で、現にリアスはここ一年で劇的な成長を遂げていた。

 だからこそ思うのだ……赤龍帝である誠八とはまた違う才能を持つ一誠が、実際にどれ程なのか。

 

 

「ええ、実際に己を自覚する事が出来たのは彼のお陰だし、彼のお陰で私は少しだけ変わることが出来たわ」

 

「そうですか……ふふ」

 

「…………」

 

 

 彼=一誠だと直ぐに察知して顔を曇らせた誠八が、珍しく黙ってる横で笑うリアスと朱乃。

 そうまで言わせる一誠という少年が如何程なのか……朱乃は気になっており、黙っていた木場祐人も塔城小猫も同じくであった。

 実際に眷属達は一誠をソーナ・シトリーを完璧に出し抜いて就任した只の生徒会長で彼の事になると異様な反応を見せる誠八の弟という程度の認識しかなく、現に先日部室に現れた時も特に会話も無かった。

 

 理由は簡単で、全員が一誠の事をよく知らないからである。

 リアスと仲が良い誠八の弟で、とても言い表せないナニかを感じる少年という程度しか知らない。

 だからこそ蛇蝎の如く嫌う誠八には悪いが、どうやってリアスに急激な成長を促したのか……気になるというのが本音であった。

 

 

「聞けば彼も一時的に私達サイドに加わって戦うとの事ですが……」

 

「……。(ピクッ)」

 

 

 そんな一誠少年が、何の因果か自分達と共にレーティングゲームに馳せ参じて戦うと聞いていた朱乃の質問に、リアスは無言のまま目付きを変えて反応した誠八を一瞥しながら、敢えて頷く。

 

 

「ええ、そうよ。ライザー・フェニックス殿がイッセーの可能性を見たいという理由でね」

 

「なるほど……」

 

 

 改めて聞かされると凄い話である。

 只の人間が、実は見えないほどの高い次元に座していたライザーに認められ、更には手合わせを願われるだなど……。

 正直、そこまで期待されている一誠の持つ気質を直接確認したい位である。

 が、それを口にするのは朱乃も小猫も祐人も躊躇った。

 それは当然、何故か一誠の事になると異常とも謂うべき不安定な精神となる誠八が居るからであり、現に話題に出ただけで目付きに殺意を感じるのだ。

 三人の誰もが『一誠の今の動向は?』とは言えなかったのだ。

 

 が、意外にも誠八は目付きこそ殺意を感じさせるものがあったが、何時もの様に『奴は関係無い』と喚くこと無く、寧ろ目付きとは裏腹な冷静さでこう言った。

 

 

「…………。どうせアイツが参加するのなら、連帯を強めなきゃならない。

だったら……10日後に備えて合流すれば良いのではないですか?」

 

「「「え?」」」

 

「………………」

 

 

 忌々しげに吐き捨てる様な口調だったものの、初めて妥協した物言いに三人は『あれだけ嫌ってたのに……』と失礼ながら変なものを目の前にした顔になり、リアスは目を細めながら誠八を見て口を開いた。

 

 

「セーヤはイッセーが嫌いだったわね?」

 

「ええ、大嫌いですよ」

 

 

 静かに問うリアスに間髪入れずに答える誠八からは、殺気が滲み出ていた。

 同等の才能を持つ双子でありながら、その仲は壊滅的だと誰もが解る言い方だ。

 

 

「言ったってどうせ聞き入れちゃくれないでしょう? なら何も言いませんよ俺は」

 

「セーヤくん。そんな言い方は――」

 

「朱乃」

 

 

 棘のある言い方をする誠八に、朱乃が叱ろうと口を開きかけるのをリアスが手で制止する。

 

 

「そうね、アナタにとっては気に入らないことでしょうが、アナタを含めた皆を連れてイッセーの下へ行くつもりだわ」

 

「ほら、やっぱりそうだ……」

 

 

 互いが一誠に対して抱く気持ちが真逆だからこそ、毎度こうして意見がぶつかってしまう。

 何時もなら此処で誠八をソッとしとくのだが、今回は事情が事情であるが故に、最も10日間の成長率を考えて全員に一誠を見せる必要がある。

 だから……。

 

 

「一応聞くけど……一緒に来る気は?」

 

「無いですよ。アイツの近くに居るぐらいなら独りの方がマシです」

 

「そう……そうなのね。

だったら――」

 

 

 

 

 

 

 

 

「セーヤ。貴方は今回のレーティングゲームに参加しないで良いわ」

 

 

 非情になる覚悟を決めた。

 

 

「…………」

 

「別に私の命令に絶対服従しろだなんて言わない。

けど、アナタはこれまでも多くの事で独断専行が多かった。

だから、こんな言い方は身も蓋も無いかもしれないけど、今の私ではアナタを制御出来る程の器があるという自信が無い」

 

 

 ある意味で予想される展開に、朱乃と祐人と小猫は黙って二人を見ており、無表情となっていた誠八も無言で立ち上がる。

 

 

「そうですか、わかりました。

なら俺は悠々自適に過ごしますよ……では」

 

 

 強烈な皮肉を残しながら部室を去る誠八。

 そんな誠八を無言で見送るリアス達。

 

 

「良いのですか?

その……こう言っては何ですが、彼を失ったらかなりの戦力が……」

 

「そうね。でもだからといって、私もアナタ達も一々セーヤの顔色を伺わなければならない理由にはならないわ。

元々私は初めて見たときから感じたあの子の不安定さを監視する目的と、あの子自身が自ら願い出てきたからという理由で眷属に加えたのよ。

いくら強くても、あの子一人によってアナタ達にまで迷惑が掛かるなら、言い方が悪いかもしれないけど外した方が良いわ」

 

「「「……」」」

 

 

 ため息混じりで説明するリアスに対して、誰もが異を唱える事は無かった。

 確かに1度でも精神のバランスが崩れると危険だったのを知っていたし、現に特に何をした訳でもない上級悪魔に周りが見えないほどの怒りで赤龍帝の力を使用たのだ。

 主の意向を無視した挙げ句、立場まで危うくさせた時点でも擁護のしようもない。

 相手側がリアスと一誠の可能性を手合わせすることで確認し、婚約話も無くなるとなれば、誠八を外すのは仕方無いと同意した眷属達は、そのままリアスに付いて行く形で、関わりが薄く、どうやら生徒会のメンバーで修行をしているらしい一誠の下へと行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 そんなリアス達のやり取りを知らない一誠はといえば、修行フェチが極まってテンションが凄いことになっていた。

 

 

「良いぞ二人とも!

フハハハハ、楽しいなぁ!!」

 

「また始まった……本当に訳のわからない所がヘンタイね」

 

「あ……また上半身裸に……」

 

 

 レイナーレとアーシアとの鍛練と修行フェチにより、精神が高ぶっており、例によって途中から上半身のジャージを脱ぎ捨てながらの修行を行っていた。

 毎度毎度の一誠のこの奇行に、レイナーレとアーシアは慣れてしまったのか、最早何もいうまいと呆れ返っており、馬鹿に高笑いしながら空き地のど真ん中で高笑いしている一誠を眺めていた。

 

 

「何とかならないのかしらね……このおバカは」

 

「慣れてしまった自分が居るのに驚いてしまいます……」

 

「仕方無いわよ……平気な顔して頻繁に脱いでるんだから、あのバ会長は」

 

 

 脱ぎはする癖に、異性に対してはバカみたいに固い考えを持つ一誠に何度も歯痒い思いをした。

 何やら出し抜いてる悪魔が一人に居たようだが、それすらも効果無しで、唯一このヘラヘラと酔っ払った様に笑ってる彼の師匠相手だと取り乱すらしいのが、腹が立つ。

 それはつまり、異性としての認識はあるけど、異性としての意識がほぼ無いという意味であり……。

 

 

「この変態! さっさと服を着なさい!」

 

 

 ケタケタとトリップにも似た笑い声を発する一誠の背中にわざとらしく飛び付いて、胸とか当ててもあんまり効果が期待できないのだ。

 

 

「む……? あ、すまんすまん」

 

 

 レイナーレに後ろから飛び付かれて正気に戻ったのにも拘わらず、胸も当たってるというのにこの反応だ。

 分かってたとはいえ、ちょっとくらいは何かリアクションしろよと思う訳で、あっても精々……

 

 

「うむ、分かったからもうくっつく無くても良いぞ。

何というか、お前のその動き辛そうなデカイ乳房が当たってるし、男にそんな真似はするべきでは無いと個人的に思う……いてっ!?」

 

 

 自分は散々異性の前だろうと何だろうとお構いなしに裸になる癖に、逆の場合は触れただけでどうのこうのと昭和の頑固親父より堅物な事とデリカシーがまるで無い事を堂々と抜かすのだ。

 イラッとして頭をひっぱたいてしまうレイナーレは正直妥当な行動とも言えるし、アーシアも呆れ顔だった。

 

 

「あの女のせいで無駄な耐久性を……!

前からおもってたけど、アンタ性欲無しの不能なんじゃないの!?」

 

「む、普通にあるぞ。

俺はサイボーグでは無くて人間だし……」

 

「ごめんなさいイッセーさん。

ずっと見ててもそんな気配をまるで感じないのですが……」

 

「当たり前だ、異性を目の前にしてそんな事を表に出すわけ無いだろ」

 

「じゃあ偶には出しなさいよ!

アンタの無反応さで自信なくすのよコッチは!」

 

「そ、そんなに脱いだのが駄目だったのか? 何時ものことじゃないか……」

 

 

 怒るレイナーレにちょっとタジタジな一誠が、的外れな事を口にすると、アーシアが疲れた様に口を開く。

 

 

「それもありますけど、イッセーさんは私達から見て異性の方に対する認識がよくわからないのですよ。

今にしたってそうだし……」

 

 

 安心院なじみには前に異性としての反応を見せたと聞かされた事もあるせいで、単なる異性に対して無駄にお堅いという訳ではないと知ったレイナーレとアーシアだが、なじみ以外には本当に無反応というか、何か逃げられてる気がしてならないのがちょっとだけ不満に思えてしまう。

 彼をちょっとだけ誘惑してみようとすると、『男の前でそんな真似をすな!!』と無駄に怒る事を考えると尚更だ。

 

 以前までは、異性に対する認識が子供のそれと思ってたから見逃してたが、この前なじみから『全く無いわけではない』と聞かされてしまえば話は別だ。

 今のところなじみ相手になら純情チェリーボーイ的反応を見せる事を考慮すれば、自分達だってそれなりの反応は欲しいと思ってしまう。

 

 レイナーレもアーシアも、彼のアホな所があるけど惹かれてしまったのだから……。

 

 

「異性に対する? うむ、レイナーレもアーシアも美人……もしくは可愛い大事で大好きな友だ。

正直な所、お前達二人が誰かに嫁ぐと聞かされたら大泣きする自信がある程にな!!」

 

「「…………」」

 

 

 そんな気持ちを察してるのかそうでないのか……。

 無駄に胸を張って言い切る一誠に、今度こそ閉口してしまう。

 なじみの教育のせいなのか、一誠が認識している異性に対する思いはかなりズレており、遠回しで伝えようとするとまるで効果がない。

 確かにそれなりに取り乱すのかもしれないが、やはり何かが違うとしか思えない。

 どうしようもない壁を感じてしまうレイナーレとアーシアはふと『なじみが何を言ったから取り乱したのか』というのを思い出す。

 そして、殆どヤケクソ気味にレイナーレが妙に達成感溢れる顔になってる一誠の前に立ち、少しだけ上目遣いになりながら口を開く。

 

 

「じゃあ仮にアンタのお嫁さんにしてって私達が言ったらどうするのかしら?」

 

「は?」

 

 

 若干上目遣い気味になって言うレイナーレにポカーンとした顔をした一誠を見て……やっぱりこんなんじゃ駄目だわねと内心ため息を吐くレイナーレと横で見ていたアーシアだったが……。

 

 

「 ………………。え? ちょっと待て。

じょ、冗談だろ?」

 

 

 そんな事を言われると思っても無かったのか、目をあちこちに泳がせながら、急に挙動不審となって後退する一誠。

 これこそ正になじみの言う取り乱しに他ならず、難しそうで案外単純だった事に内心ビックリしながらも……。

 

 

「「さぁ?」」

 

 

 攻める道を自力で得たという意味を込めた笑顔を見せるのであった。

 

 

「……。修行を再開する!!」

 

 

 色仕掛けは一切通用しないが、親しい者から真正面からこうして好意をぶつければ反応はしてくれる。

 それが一誠のあらゆる意味での弱点の一つであった。

 

 




補足。

一誠が慕う……親しい友のみに有効のアレです。
初対面とか只の顔見知り程度なら真顔で断ります。
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