生徒会長・イッセー   作:超人類DX

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タイトルに深い意味は無いです……ってか、1話の時点でお気に入りが100越えたとか初めてですわ。

ビビりましたわ……いや、うん……でも何で?


生徒会長イッセーとシトリーさん

 結果から言わせて貰うと、目安箱システムは中々に好評だった。

 俺とレイナーレとアーシアの3人で日々投書される依頼をこなしていく。

 中々どうして遣り甲斐のある仕事で俺達の生活は潤っていた。

 

 

「くらうが良い! これが大リーグボール2号だ!!」

 

「なっ……!? ボールが消え……!?」

 

「ストライーク!! ゲームセット!!」

 

 

 本日俺に来た依頼……野球の練習試合の助っ人。

 ピッチャーを任されたので、昔努力して投げられる様になった大リーグボールを駆使したピッチングで見事完封してやれた。

 

 

「ありがとう兵藤くん! 人数が足りなくて練習試合に出られなかったと思ってたけど、キミのお陰で助かった!」

 

「おう、しかし今回は人数が足りなくてという理由があったから助っ人に参じたが……」

 

「分かってる。キミは生徒会長であって野球部員では無い。

試合に出るべきは俺達野球部だ……それは忘れてないよ」

 

「うむ……なら良い!」

 

 

 駒王学園には男子が少なく、野球部員も少ない。

 故にこういった助っ人系統の依頼も少なくない話であり、今もこうして他校との交流試合の助っ人を完了し、野球部員達にお礼を言われて実に気分よく生徒会室に戻ってきた。

 

 

「ありがとう……か。

ふふ……あの時あのまま腐ってたら言われなかっただろう言葉だな……フフフフ」

 

 

 兄貴と名乗る彼が現れたあの時から、兄貴を越えてやろうと努力を忘れずに生きて十数年。

 その努力はこうして生徒会長として忙しくやれているこの瞬間が実ったと実感出来る。

 だからこそ、これからも努力は止めない。

 別に他人からお礼を言われたいが為にやってるつもりは無いが、それでも俺は自分を虐め抜く事で高めていかなかければ生きられないという異常な感性を持っちまったからな。

 

 

「今日来た依頼は次で最後ですね」

 

「ふぅ、人間って小さな事で悩み過ぎで他力本願過ぎよ。

困った事を解決する手伝いをするだけだと言ってるのに『代わりにやってくれ』みたいな事ばっかり言うし。

ん、いっせーお茶入れて~」

 

「まあ、そのつど訂正してあげれば良いだろ……。

ほらレイナーレ、淹れたぞ」

 

 

 本日投書された依頼も後一つとなり、執行するその前に軽い小休憩を取りながら、ブツブツと依頼人に対しても不満を漏らすレイナーレを宥める。

 レイナーレの言いたいことも分からんでも無い。 

 確かに俺は様々な悩み等の相談を受け付けるとは言ったが、それはあくまで手助けをするというだけであって、依頼人の代わりに物事をするとは言ってない。

 第一それじゃあ依頼人自体がまるで成長せず、次また同じような壁にぶち当たったりでもすれば、また誰かに頼りきるような者になってしまう。

 

 困難という壁にぶち当たり、どうしても乗り越えられない場合、第三者である俺達生徒会が『こうすれば良いのでは?』とか『こうすれば頑張って登れる』みたいな感じで、壁の登りかたを教えるというだけであって、依頼人を背負って壁を登る訳では無い。

 まあ、本当に一人では無理な困難の場合はその限りでは無いがな……。

 

 

「さて、レイナーレがお茶を飲みおえたら最後の依頼を決行するとしよう。

あぁ、ちなみに最後は3人でやるからそのつもりで」

 

「わかりました、頑張ります!」

 

「はいはいっと……んー……まぁまぁね」

 

 

 これが終われば今日の生徒会は終わりであり、締めはやはり3人でやるべきだと思った俺の言葉に、アーシアは快く、レイナーレは若干怠そうに俺が淹れたお茶を評価しながら返事をしてくれる事には満足な気持ちになる。

 しかしながら一つが気になる点が。

 

 

「……」

 

「頑張りますよ~!」

 

「ズズッ……はぁ……」

 

 

 感じる……気配が一つ、この生徒会室の扉の向こうから一つだけ。

 それはお茶をのんでほんわかした表情になってるレイナーレと、表面上は気付いてないフリをして笑っているアーシアも気付いているのか、チラチラと扉に視線を送っている。

 レイナーレは当然として、アーシアも察知出来る様になってきたか。

 ふふん、ともなれば……。

 

 

 

 

 

 

「外で盗み聞きしてる輩よ。遠慮せずに入ってくるが良い」

 

 

 扉の向こうに居るお客さんを招き入れるとしなければなぁ。

 

 

「!?」

 

 

 先程から生徒会長室の外から感じていた気配に向かって扉越しに声を掛ける。

 フッ、忍者に憧れて気配察知はどうすれば良いのかと勉強して会得し、アーシアにも教えた甲斐があったな。

 近い距離ならば簡単に気配が察知できるし、何よりも忍者っぽくてデビルカッケー……。

 なんて思いながら、ついつい挑発的な笑みになって扉の向こうに居るだろう誰かを見据えていると、観念でもしたのか、気配の主は生徒会室の扉を開けて姿を見せてくれた。

 そして俺達3人の目に映ったのは……割りと意外かもしれない人物だった。

 

 

「………」

 

「む、貴様は……」

 

 

 姿を目にし、俺は眉をぴくりと動かす。

 というのも、扉の向こうから盗み聞きしていた気配の主とやらは、生徒会長の座を巡って俺と戦った眼鏡がトレードマークの上級生……つまり二年である俺より上の学年であり、リアスと同じく実は悪魔な女の子。

 

 

「支取三年か。どうした?」

 

 

 支取蒼那……あ、いやソーナ・シトリーその人だったからだ。

 正直言ってリアスと比べたら全然話もしないし関わりも生徒会選挙の時くらいしか無くて薄いので、俺達の前にこうして姿を現した事にやはり意外と感じてしまう。

 ほら、アーシアはともかくとしてレイナーレが『げっ……また悪魔』って顔をしてるし……喧嘩とかしない様に気を付けさせなければな――――とか色々考えながら何用かと聞いてみると、支取三年は嫌そうな顔をしているレイナーレを一瞥してから小さく口を開く。

 

 

「ご活躍の程を耳にしますので、一度よくお話をしてみたいと思いまして。

申し訳ございません……盗み聞きする様な真似をして」

 

 

 依頼じゃなく、ただ単純に話をしたいから来た。

 支取蒼那は後輩でしか無い俺達に対して丁寧な口調で説明し、そして生徒会長の椅子に座ったままの俺に、盗み聞きしていた非礼をも詫びてくる。

 

 

「ふっ、気にする必要は無い。別に隠す様なやましい真似を俺達はしてないからな!」

 

 それに対して俺は気にする必要は無いと首を横に振り、

無駄に胸を張ってかつての好敵手に宣言してやりながら、取り敢えずに座りたまえと促し、実は誰かが来ることを密かに楽しみにしてたりするが故に用意していたお茶とお茶菓子を彼女に出す。

 

 

「こんなものしか無いが……」

 

「ありがとうございます。……あ、美味しい」

 

 

 自分が淹れたお茶を誰かに飲んで貰う。

 レイナーレによくせがまれて淹れる様になってから良くやるようになった訳だが、やはり誉められると素直に嬉しい。

 

 

「そうか……! ふふ……そっか……何か嬉しいな!」

 

 

 レイナーレからは大体『まぁまぁね』としか言われないので、何か普通に誉められてしまうと照れくさい。

 

 

「で、アナタは本当に一誠の様子を見に来ただけなのかしら?」

 

 

 そんなレイナーレはやはり相手が悪魔というせいなのか、何処か刺のある声を支取三年に向けている。

 

 

「どういう意味ですか?」

 

 

 しかしながら、支取三年は特に気にするでもなく首を傾げている。

 まあ、レイナーレには悪いが、彼女は別に何かを企んでいるという訳じゃないだろう。

 だってさっきも『お話がしてみたくて』と本人が言ってたしな。

 

 

「虚仮にされるレベルで殆どの支持率を一誠に持ってかれて大敗した、生徒会長最有力候補者だったアナタがただ様子を見に来たとは思えないだけよ。

アナタはどうか知らないけど、その眷属――特にあの匙という坊やは一誠に攻撃的だったしね」

 

「……………」

 

 

 フンと鼻を鳴らしながら見透かす様な目をしているレイナーレの言葉に支取三年は何も言わずに黙っている。

 そういや、生徒会選挙の時にレイナーレの言った通り、やたら威勢が良くて面白そうな男が居た。

 匙元士郎同学年……ソーナ・シトリーである彼女の眷属で兄貴と同じ兵士(ポーン)で――

 

 

「良いこと? リアス・グレモリーにそんなつもりは最初(ハナ)っから無いって知ってたから言わなかったけど、一誠を支配下に置くなんて考えは持たないことね。

どうせアナタ程度の技量では一誠を下僕なんて出来やしないけど」

 

「おいレイナーレ、別に彼女はそんなつもりじゃ……」

 

「アンタは黙ってなさい。

他人の言うことを直ぐに信じてしまうのは分かってるけど、相手はこの前まで生徒会長の座を賭けて戦ってた相手よ? アンタの代わりに私が警戒したっておかしくはないでしょう?」

 

 

 流石に言いすぎだと、敵意バンバンなレイナーレを宥めようとするが、ピシャリと言われて思わず押し黙ってしまう。

 

 

「随分と彼女に慕われてますね……イッセー君は」

 

 

 しかし支取三年はまったく怒らず、寧ろ噛み付いてくるレイナーレが俺の為にやってるんだと理解して微笑んでいた…………あ? 今彼女がイッセーって……

 

 

「へ、へぇ? 随分とポジティブで愉快な解釈をしてくれたあげく一誠を馴れ馴れしく名前呼びですって……?」

 

 

 あ、レイナーレも気付いて突っ込んでる。

 ……。何でか頬をヒクヒク痙攣させながら。

 

 

「あれ、違うのですか? それに名前呼びについてはリアスがイッセーと常に呼ぶのを真似してみただけで……あ、そうだイッセー君、出来れば『事情を知るものだけ』がこうして集まってる時はソーナと呼んで欲しいのですが……」

 

「む」

 

「なっ!?」

 

 

 急にニコッと笑いながら言ってきた支取三年に、レイナーレの顔が露骨に歪み、それまで静観していたアーシアも微妙に顔を曇らせている。

 しかし彼女はまるで気にも止めず、俺に笑顔を向けている。

 

 

「ダメ、でしょうか? リアスと仲良くされているのなら私とも仲良くして欲しいのですが……」

 

「仲良く……?(ピクッ)」

 

 

 確かにリアスとは俺自身が気に入ってるから何気に友となったが、支取三年とは全く関わりが無かった。

 その為、仲良くして欲しいという言葉は実に魅力的であった―――――――俺って友達がそんな居ないので。

 

 

「仲良し……仲良く……一緒に鍛練……」

 

「一誠!」

 

「っ!? な、なんだよ?」

 

 

 正直かなり嬉しい申し出で即答で頷こうとした瞬間、レイナーレの怒声にびっくりして頷くのを止めて彼女を見ると、案の定怒っていた。

 

 

「相手をよく知りもしない癖に、すぐそうやって頷こうとするのは止めなさいと前から言ってるでしょうが!

何時かそれで騙されて辛い思いをするかもしれないのよ!?」

 

「む……だから騙そうなんて考えて無いのですがね……」

 

「ほら、支取三年はこう言ってるぞ?」

 

 

 レイナーレが俺を心配して言ってくれてるのはよく分かる。

 分かるけど……ぐぅ、師匠とお前ら二人とリアス……そして最近はあんまり連絡取ってない『アイツ』以外に友が居ない俺には一人でも多く親しくなれる者が増えるチャンスなのだよ。

 

 

「っ~~!! もう勝手になさい!!」

 

 

 故に『だめか?』的な顔をしながらレイナーレをジーっと見つめていると、折れてくれたのかぷいっと顔を逸らしながらも良いと言ってくれた。

 アーシアも『ハァ……今は違うでしょうけど、この方もその内……』とため息を吐いていた。

 むぅ、そんな悪い奴にはどうしても見えんのだが、何をそんな気に入らんのか――む?

 

 

「ふふ、本当に慕われてますね。

ソーナ・シトリー……シトリー眷属(キング)です。よろしくお願いしますわイッセー君」

 

 

 不貞腐れてしまったレイナーレのご機嫌をどう回復させましょうかと考えていた時に、笑みを浮かべる支取三年から差し出された手。

 それは紛れもなく『握手』を求める行為の他無く、俺は喜んでその手を握った。

 

 

「うむ、よろしく」

 

 

 わーい、もしかしたら鍛練仲間がまた一人増えたぜ……と思うとレイナーレとアーシアには悪いがテンションがあがってしまう。

 

 

「チッ……何時まで握ってんのよ。ほら、そろそろ最後の依頼を消化するわよバ会長!」

 

「そうですね、なんて言ったって『私達3人は』生徒会ですもの」

 

「お、おぅ……」

 

「…………」

 

 

 しかし、レイナーレとアーシアの機嫌はよろしくなく、嫌に刺々した感じの言葉を支取三年に向けながら俺の腕を取って立たせると、そのまま彼女に……。

 

 

「「それでは、生徒会を執行しなければならないので、お帰りくださいませ支取センパイ?」」

 

 

 にこーっと、これこそ嘘臭い笑顔を惜しみ無く向けるのだった。

 そして向けられた支取三年はといえば、そんな二人に怯む事なく……。

 

 

「良いでしょう、フフ……」

 

 

 やっぱり笑顔でそう言ってからどうすりゃ良いのか分からずに居る俺に視線を一度だけ向け、そのまま帰るのだった。

 あー……よくわからんけど怖かった。

 

 

 

 

 

 近くで直接対面し、話をしていてわかった。

 突き詰めれば人間というのはあそこまで成長するのかを。

 挙動・声・姿……近くで見れば見るほど『屈伏してしまいそうなナニか』が彼にはあった。

 彼の双子の兄であり、リアスの眷属である兵藤誠八も確かに天才なのかもしれない。

 しかし……彼は、兵藤一誠はそれを遥かに越えた何かがある。

 私を遥かに凌いだ支持率で生徒会長へと就任し、役員も3人しか居ないのに全く問題なしに生徒会を運営している。

 リアスはそんな彼を対等に見て気に入っている様だが……フフ。

 

 

「あ、支取先輩! 何処に行ってたんですか?」

 

「匙ですか……。少し新しく生徒会長になった彼とお話をしに行っただけですよ」

 

 

 我が眷属の兵士である匙元士郎。

 私を探していたいたらしく、居なくなった理由を話た瞬間、匙は顔を曇らせていた。

 

 

「兵藤一誠ですか? 何で奴の所なんか……」

 

「単純に言えば好奇心でした……」

 

「でした?」

 

 

 そういえば匙は彼を嫌ってましたね。

 化け物じみた……王者の様な雰囲気が嫌だとか。

 

 

「まさか眷属にするつもりじゃ……」

 

 

 先程レイナーレという堕天使が言ってた通りの反応を見せる匙に、私は首を横に振ると、あからさまにホッとした顔をしている。

 

 

「そ、そっすよね! あんな気迫だけで弱そうな奴を眷属だなんてねぇ!」

 

 

 分かりやすい上に何か勘違いしてる匙に、自然と出てしまうため息と共に訂正をさせる。

 

 

「何か勘違いをしてるようだけど、彼が弱いから眷属にしないとかじゃなく、彼が強すぎるから私の技量的に眷属にするのが不可能なのよ」

 

「はぁ!? んな馬鹿な――」

 

「嘘じゃ無いわ。

彼がもし悪魔で眷属を持てる立場なら逆に私が下僕になっても良いほどに……イッセー君は強い」

 

 

 人間を侮ったつもりは無い。

 しかしそれでも、今まで出会った様々な人間を遥かに凌駕している性質を持つのはイッセー君だけだ。

 あの二人が彼に付き添っているのも納得が出来るし、何やら最近はやたら強くなってるリアスが気に入っているのもわかる。

 だから露骨に顔を歪めている匙には悪いけど――

 

 

「彼は私にとってはある意味理想的なのよ」

 

「!?」

 

 

 彼を気に入った。

 

 

 

 

「ヘッキシ!! ……? なんだ、鼻がむずむずする……」

 

「風邪ですか?」

 

「ふん、脱ぎ癖のせいよ。ほら、そんな事より依頼の確認よ。

アーシア、読んでちょうだい」

 

「はい。

『変態ブラザーズの所業を何とかしてください。駒王学園女子一同』…………です」

 

 

 何か色々気に入られてるとは知らずに、ソーナが消えてから直ぐに機嫌を直したレイナーレ、アーシアと共に本日最後の依頼を執行しようとするのだが、その最後の依頼が中々アレだった。

 

 

「変態ブラザーズ? ……あぁ、元浜同級生と松田同級生だな」

 

 

 そういえばと思い出したかの様な表情で、自分の所属するクラスにそんな渾名をつけられてる二人組の事を思い出す一誠は、彼等がクラスメート――特に男子に支持されているのが前々からちょっと羨ましく思っていたりする。

 無論、変態ブラザーズが何故そう呼ばれるのかとか、それだから男子達に支持されまくっているんだとかそこら辺の理由はよく分かってないからだが。

 

 

「遂に来たわね。

いっそ半殺しにしてしまえば良いと何度思ったか……!」

 

 

 そんな一誠の暢気で一周回って馬鹿な思考とは真逆に、レイナーレはといえば天野夕麻として力も正体も隠して学園に居る間に色々とされたこともあるせいか、今回の依頼をしてきた学園女子一同と同じ気持ちを持って、若干殺気だった。

 それは、殺気立ちはしないもののアーシアも同様であり――

 

 

「私も前に、スカートの中を覗かれた事がありました」

 

「……………。なんだと?」

 

 

 アーシアがちょっと恥ずかしそうに俯き、変態ブラザーズに受けた被害を口にする。

 すると、変態ブラザーズの変態の意味が此処で完全に理解した一誠のヤル気スイッチがONとなる。

 

 

「変態ブラザーズとはそういう意味だったのか……。

てっきり単にひょうきんもので人気だと思ってたが……」

 

「はぁ? アンタ今までまさかあの二人をそういう風に思ってたの?

ハァ……どうしてこう良いように捉えようとするのかしら……」

 

「ええっと、投書によると元浜さんと松田さんは運動部の女子更衣室を覗いたり、大きな声でセクハラ言動をしたり……取り敢えず女子の皆さんの殆どが辟易してます……。

さっきも言いましたけど、スカートの中身を見られたことが私もあります……………まあ、私がどんくさいので何とも言えないのですが……」

 

「私は直接は無いけど、よくそういう話は聞いてるわ」

 

「…………。許可なしに女性の肌を見るか……。

なるほど……年頃の男子としては良いのかもしれんが、それはやり過ぎだな」

 

 

 呆れ顔のレイナーレ。

 女子達の受けた被害の説明をするアーシア。

 二人の話を聞き、此処で放置すべき話では無いと完全に理解した一誠は、持っていた扇子をパチンと閉じ、椅子から立ち上がると、二人を見ながらほんのちょっとだけ、誰かに対して嫌そうな顔を浮かべる。

 

 

「何より……女性を軽く見過ぎるのは宜しくないし、何でか知らんがアーシアが被害を受けたと聞くと妙にイライラする」

 

「「…………」」

 

 

 自分でもよくわからない感情を抱く一誠の様子を見たレイナーレとアーシアはちょっとだけ意外と感じた。

 というのも、彼の師匠の教育のせいで思春期だというのにその手に興味を持たないというか、理解をして無いというか……とにかく一誠の考えは自分はすぐ脱ぐ癖に『女性の肌は余程親しく無いのなら見るべきじゃない』……という考え持ちで、アーシアとレイナーレとリアスから受けるスキンシップすらヒョイヒョイ避ける始末だ。

 

 それが今、元浜と松田にスカートの中を見られたと聞いた途端、妙なイライラを感じている。

 それがどんな感情なのかは本人には解らないが、少なくともそういった類いの精神年齢は一誠より高いこの二人の少女には察する事が出来た。

 

 

『あ、嫉妬してる』

 

 

 自分の中の沸いてくる新しい気分に首を傾げている一誠を見てアーシアとレイナーレは確信した……のと同時に少し嬉しいとも感じた。

 なるほど……完全に思春期が遅れてる訳ではないんだと。

 

 

「……。まあ良いや、とにかくその二人を説得して迷惑行為をやめさせれば良いんだろう? それなら……」

 

 

 

 モヤモヤした気分を切り替えた一誠が、妙に微笑ましそうな表情になってる二人にそう告げながらキリッとしか顔になる。

 先程までの暢気な態度は消えている。

 なんやかんやでこの二人が大事な一誠は、努力フェチのベクトル違いの変態で、性知識が保健体育レベルでかなり遅れてしまってたとしても、そもそも女性に対して気安く触れようとする二人に対して思うこともあってか、さっさと生徒会の扉を開けると……。

 

 

「行くぞ、生徒会を執行する!!」

 

 

 変態ブラザーズを何とかするため、アーシアはともかくレイナーレまで妙にニヨニヨしてるのを従えて走り出した。

 




補足

友の事になると、割りとなりふり構わなくなるのがたまに傷。
しかも、己を高める事にしか没頭してこなかったのと師匠がわざと教えなかったせいで、思春期が少しだけ遅れてる模様。
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