生徒会長・イッセー   作:超人類DX

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…………。あれ、この人達って誰だっけ?

そんな感じのキャラばかり……。
すいません。

色々と修正とオマケの追加です。


若き王達のプチプチ反逆
旧校舎のフェニックス


 人生を歩む上でで絶対に立ちはだかる『壁』というものがある。

 どんな壁で、どういう理由で立ちはだかるのは各々の事情により異なるが、どんな人間でも一度はその壁にぶつかるように出来ているもんだと思うし、現に俺は毎回壁にぶつかってばっかりだった。

 その都度乗り越えて来たつもりだし、これからもそのつもりだ。

 

 

「と、いう訳でだ元浜同級生と松田同級生。

学園に在籍する女子生徒の声としては『今すぐ犯罪行為をやめろ』との事だ」

 

「「……」」

 

 

 どんなに高くとも、どんなに分厚かろうと、一歩一歩ゆっくりでも良いから登り越える……それが俺の生きる意味なのだから。

 

 

「思春期の男子諸君としては仕方ないのかもしれんが、こそこそと覗きだ盗撮は駄目だというか、普通に歳が歳なら檻の中にぶちこまれてしまうのだぞ?

それに、こんなものまで学園に持ち込むのもどうかと思うし……」

 

 

 生徒会に来た『変態二人組を何とかしてくださいby駒王学園女子一同』という依頼を完了させる為、こうして例の元浜・松田同級生に明くる日の生徒会室へと御足労を願い、こうして先ずは話し合いに持ち込んでみたのだが……。

 

 

「やっぱり生徒会長様は言うことが違いますなぁ!」

 

「まるで模範解答を思わせる常套句を真顔で言うだなんて、流石過ぎて感服致しますぜ!」

 

 

 うーむ、全く聞く耳持たないって所か。

 互いに座って話し合ってみても、彼等は一切の反省の色が無さそうだった。

 まあ、これで聞くようなら依頼が来るまでも無く終わってたと思えばどうも思わんが、一つ気になることが。

 どうもこの松田・元浜同級生は俺を嫌な奴を見る目をしてるというか……ふーむ。

 

 

「別に模範解答を叩き付けたつもりじゃ無いのだが……」

 

「ケッ! どちらにしても同じだぜ兵藤一誠」

 

「まったくだ、オメーみたいな完璧超人にモテない俺等の苦労が解られて堪るかよ」

 

 

 吐き捨てるかの様に言う二人の目は、やはり俺を嫌っていますと主張するソレであり、嫌われる真似をした覚えの無い身である俺としては疑問に思う他無い。

 いや、松田同級生の言葉通りだとするのなら、恐らく嫌ってる理由はそこにあるんだろうが……。

 

 

「完璧な人間なんて居やしない。

人間は弱味があってこその人間なのだ、だから俺は――」

 

「ほーら出た! 持つ者特有のむかつく常套句だぜおい!」

 

 

 最後まで言わせずに喚く二人。

 なるほどなるほど、要するに彼等は俺の言うことが一々嫌味にしか聞こえず、そんな奴の言うことなんざ聞きたかないって事か。

 フム、何と無く解らんでもない様な理由だが…………っと?

 

 

「話をすり替えないで頂戴。

今はアンタ達二人の女子に対する数々の犯罪行為についてよ。

分かってる訳? 今日だって学園にこんなモノまで持ってきて堂々と広げたわよね?」

 

「「ぅ……ゆ、夕麻ちゃん……」」

 

 

 それまで俺に対して威勢のよかった二人が、丁度俺の座る後ろでアーシアと共に立ってたレイナーレ……いや、学園在籍時は天野夕麻としての名である彼女が、完全に冷えた目をしながら元浜・松田が座るテーブルの上に、成人向けっぽいDVDのパッケージ数枚を乱雑に置く。

 あんまりにも軽蔑というか、怖いというか……まあとにかくそんな雰囲気を纏ってるレイナーレの姿にさしもの元浜・松田同級生も縮こまってしまっているが、俺等の中で一番に容赦の無いレイナーレに加減は無い。

 

 

「さっきから呼び出されてる理由を棚にあげてこのバ会長を責めてるけど、大体その理由も的が外れてるのよ。

どうせ、私とアーシアがコイツの付き従ってるのが、アンタ等の宣うハーレムか何かだと勘違いしてるんでしょう?」

 

「「え、違うの?」」

 

「違うかどうかなんて教えるつもりは無い。

けどね、コイツはそんな下劣な考えは無いとだけハッキリ言って置くわ」

 

「「そ、そんな嘘っぽ――」」

 

「だったら一生そう思って生きなさいな、私達は全く困らないから。

第一今はアンタ等のやって来た事に関しての話でしょう? 何話を逸らそうとしてるのよ?

理解してるかしら? 此処の女子達は皆心が強い子達ばかりだから深刻な被害は無かったけど、アンタ等がやって来た事がショックで不登校になる子が居たのかもしれない――それほどの事をアンタ等はやったの。

少なくとも、同じ女子としては許せない行為を何度とね」

 

「「…………」」

 

 

 うーむ、凄いな。

 あれだけ威勢の良かった二人が一気に圧されて俯いてしまってる。

 数秒で黙らせたレイナーレは、それ以上は何も言わずに『ふん』と腕を組ながらそっぽを向き、見ていた俺にくいっと顎で二人を差して『ほら、アンタの仕事よ』と合図を送ってくる。

 

 

「……。ま、なんだ……。

結局貴様等の考えがどうだったかにせよ、レ――いや、夕麻の言う通り、女子生徒達が総意で迷惑だと訴えているんだよ。

個人で迷惑にならない範囲でなら、俺等にもとやかく言えやしないが、現状は『迷惑』となっているんだよ……そこはわかっては貰えんか?」

 

「お、おぅ……」

 

「わ、わかった気がする……うん」

 

 

 うむ……真面目に凄いなレイナーレは。

 あれだけ聞いてくれなかったのに今は聞いてくれてるぞ……。

 かなりションボリとしちゃってるのが、何か逆に可哀想になってきた気もしないでもないし……あ、いや……今は依頼をこなさないとな、うん。

 

 

「……。クソ、やっぱりハーレムじゃねーか……」

 

「何だよあの『互いに解り合ってますよ』的な感じ……羨ましい」

 

 

 訂正。

 迷惑は理解してはくれたものの、基本的にはあんまり変わってなさそうだ。

 

 

「疑問なんだが、こそこそと隠れてまで覗きだの、その他だのをする意味はなんだ?

何か得でもあるのか?」

 

 

 ブツブツ言ってる二人にラチな開きそうに無いと判断し、今度は行為に至る理由を聞いてみることにする。

 もしかしたら、何か事情でもある――――とは何と無く思えんが、理由なしで此処まで曲げないのはある意味凄いからな。

 師匠の教えからか、女性の肌を無意味に見るのは駄目だろうという考えを持つ俺としては、この二人の行為に至る理由がイマイチ分からないので問うてみると、元浜・松田同級生は突然『ババッ!』なんて擬音が聞こえそうなまでの勢いで顔を上げる。

 その表情は、何というか妙に爽やかだった。

 

 

「「そこにエロスがあるからSA☆」」

 

「………おう」

 

「酷い……」

 

「ハァ……」

 

 

 キラキラした笑顔で、爽やかに言い切る二人に思わず頷いてしまってしまった俺と、そんな二人を見て怖がりながら自分の身を庇いつつ若干後退するアーシアと、完全に呆れてるレイナーレ。

 なるほどというか、まあ、それ以外に理由があるとは思えないので想定内な回答なので驚きはしないが、こうも堂々と言い切れるのはやはり凄いな。

 

 

「流石に兵藤にだってわかるだろ? 女子のあらぬ姿を想像したりさ!」

 

「いや、しては駄目って師匠に言われてるから……」

 

「そうで無くとも、ムラムラしたりする時だってあるだろ?」

 

「うぅむ……。

あるような……無いような……」

 

 

 同性の同意でも欲しいのか、しきりに聞いてくる二人に俺は返事に困ってしまう。

 というのも、多分だがそういう気持ちになっても鍛練から得られる結果に対しての快感で処理されてるからだ。

 つまり、この二人のいうムラムラは、俺で云う所の『壁登り』でる……気がするのだ。

 だから、二人の言うムラムラがあるといえばあるし、無いと言えば無いのだ。

 少なくとも、女性を見てムラムラは――――多分だが無い……と、思う。いや、ホントにわからん。

 

 

「無いって事はないだろ? お前だって男なんだし」

 

「うーむ……」

 

「無いか? 女の子を見て服の下を想像するとかさ!」

 

「いや、それは無い」

 

 

 そんな失礼な真似はせんし、したら師匠のさば折り刑かネックブリーカーが待ってるからそれは絶対にない。

 そう言ってるにも関わらず、どういう訳が元浜・松田同級生が俺を見る顔は胡散臭そうなものだった。

 

 

「そんなバカな事があるかよ? 何処の時代の考えだよ、今は平成だぜ?」

 

「そんな事言われてもな……師匠からの教えだし……」

 

「ん? さっきも師匠と言ってたな。何だそれは?」

 

 

 ついポロリと師匠と口にしてしまった俺に、松田同級生が眉を潜める。

 最初よりも、この二人と距離感が縮まってる気がするのは気のせいではないと思いつつ、教えても問題は無いだろうと判断して簡単に師匠について教えてみる。

 

 

「色々と教えてくれた師匠が俺には居るんだが、その師匠から『余程親しくない相手じゃ無い限り、見るもんじゃないよ』とな……」

 

「ふーん?」

 

「師匠ねぇ……? 随分と古い考えっつーか、どんな人なんだ?」

 

 

 どんな人……。

 人外? いや、これは流石に言っては駄目っぽいし……。

 あ、そういや少し前に撮った写真が財布の中に……あった!

 

 

「ほら、この人」

 

 

 俺も師匠も写真なんて滅多に撮ることが無い……てな話題から折角だしと撮った写真が一枚あり、別に深い意味も無しに財布に入れといたのを取り出し、二人に見せる。

 

 

「「どれど………れ……?」」

 

 

 まさかこんな所で役に立つとは思わなかったな……なんてのんびり考えながら二人に写真を見せ、ふと後ろに居るレイナーレとアーシアを見ると、何故だか視線が冷たく感じるソレで俺を見ていた。

 その視線が妙に居心地が悪く、咄嗟に元浜・松田同級生の方に視線を戻せば、何やら彼等もプルプル震えながら写真をテーブルに叩き付け――っておい!

 

 

「おい貴様等! 師匠の写真を乱暴にするなよ!!」

 

 

 叩きつけるだなんて思わなかっぜ、酷い事しやがる……。

 妙にモヤモヤした気分でブツブツとつい文句を言ってたその時だ。

 急に元浜・松田同級生が身を乗り出す勢いで迫ってきたのだ。

 

 

「おいお前! これ本当にお前の師匠か!?」

 

「嘘だろ、何かの冗談だろ!?」

 

「え、嘘じゃないが」

 

 

 嘘を言う理由が皆無というか、何だこの二人の信じられません的な顔は? 確かにこの師匠の姿的に何と無く信じられないかもしれん……とは思うが。

 

 

「紛れも無しの俺の師匠だよ。

何だ、見た目的に信じられんのか?」

 

「「……」」

 

 

 ハッキリと師匠と宣言すると、元浜・松田同級生は絶句してしまったという表情だ。

 

 

「も、もっとじーさんみたいな仙人姿想像してたのに、まさかこんな可愛い娘だったなんて……。

俺等とそんな変わらないだろ……歳とか」

 

「え? ……あー……まぁ……うん」

 

 

 歳か……。

 いや、写真の姿からは確かに俺等と同年代に見えなくもないけど、多分実年齢聞いたらもっと信じられないと思うぞ。

 だって師匠って聞けば宇宙が生まれるもっと前から存在してたらしいし。

 だから前に『その見た目だと詐欺みたいだな』って特に深い意味も無しに言ってしまったんだよ。

 結果、ニコニコし始めた師匠にさば折りされたけど。

 

 

「セーヤにもこんな師匠が居るだなんて聞いて無いのに……」

 

「セーヤとは、もしかして兄貴のことか?

いや、兄貴は師匠の事は知らんぞ」

 

「てことはお前一人がこの美人師匠さんから『色々と』教えてもらったのか!? 手取り足取りナニ取りってよ!

なんて羨ましいんだ!」

 

 

 元浜・松田同級生共に、俺を羨ましがる。

 確かに、師に恵まれたからこそ今の俺がある訳だし、運が良いことには変わり無いので素直に頷いたら、今度は思いっきり……それこそ血涙流す勢いの形相で睨まれてしまう。

 

 

「こ、この、真顔で言いやがって……!」

 

「確かにこんな人が師匠なら他の女の子に興味なんて沸く訳が無いわな……グギギギ! どんな事教えて貰ったかぐらい教えろ!」

 

「どんなって言われてもな……。

効率の良い鍛練の方法とか、戦い方とか……」

 

 

 そんな羨ましいのか、師匠が俺に対して叩き込んだ内容を教えろとせがむので、取り敢えず勢いに圧される形で教えるも、何故かこの二人は信じてはくれず、揃って『嘘だ!』と叫ぶ。

 

 

「もっとあんだろ! こう……ムフフ的な!!」

 

「教師系のエロDVD的な!!」

 

「はぁ?」

 

 

 何を言ってるんだコイツ等は?

 もしかして、押収した如何わしいDVDの内容を期待してたのか?

 

 

「そんなものあるわけが無いだろ。

馬鹿馬鹿しい、貴様等の性格は大体把握して来たから何を考えているのか分かったが、俺とアイツの関係を汚す様な事は言わんでくれないか? 実に不愉快だ」

 

「「うっ……!?」」

 

 

 俺単品がどう言われても構わんが、アイツまであり得ない妄想に巻き込むは許さんと、ついついイライラしながら睨んでしまう。

 俺がアイツから教わったのは、とある主人公の生き様とか、自分を知って受け入れた上で見失わずに生きる方法とかそういったものだけだ。

 決してそんな下劣な事なぞありはしないし、今理解したが、どうやら俺は余程アイツから教わったり、貰った思い出を汚されるのが嫌な様だ。

 

 

「あ、すまん……」

 

 

 しかし、だからと言って俺と師匠の事を知らない――もっと言えばそういう考えを持つ傾向が強いこの二人なら仕方無いと考えると、少々言い過ぎた所が俺にもあると、再び縮まってしまった元浜・松田同級生に頭を下げるも、反応がない。

 ハァ……俺もまだまだ修行不足だな……。

 女子生徒から受けた依頼を解決する為にこの二人と話をしてたのに、話が逸れるばかりか威圧までしてまうなんて……。

 

 

「はいはい。横道な話しはそれまでにして、とっとと本題に戻りなさい」

 

「取り敢えずお茶をお出ししますので、落ち着いてお話を……」

 

 

 しかし、悪くなった空気を変えてくれたのは、他ならぬレイナーレとアーシアであった。

 微妙な空気を振り払うかの様に大袈裟に手を叩くレイナーレと、いつの間にか用意していたお茶を俺達に出すアーシアのお陰で、ある程度気まずい気分は晴れた気がした。

 

 

「……。ま……なんだ……取り敢えず俺達が貴様等に言いたいことは、女子に対する迷惑行為を止めてほしいという事だ」

 

「……。まあ、改めて指摘されると、確かにやり過ぎた感はあるし……」

 

「……。取り敢えず控える様にはするよ……うん」

 

 

 その結果、自重する方向に意識を向けさせる事に成功した。

 そもそもこの二人が女子生徒達から総スカンを喰らっても止めなかった理由は、どうにも『彼女』とやらを欲しても手に入れられなかったから、半ばヤケクソで行為に走っ結果、注目度が上がって止めるに止められなくなったらしい。

 つまり、女子生徒に迷惑を掛ける必要がない程に素敵な『恋人』に巡り会えば完全に足を洗うという訳で――

 

 

「恋人の作り方だと?

ふむ……取り敢えず今まで散々迷惑掛けてしまった女子生徒達に、ごめんなさいをして誠意を見せ続けながら自分を磨いていくべきだな。(多分)」

 

 

 平行して彼等の自分磨きのお手伝いを『依頼』として引き受ける事になった――てな具合で取り敢えず女子生徒達に対する迷惑行為をストップさせる事に成功するのであった。

 

 

 

 

 

 俺にとって新たに立ちはだかる強大な壁が迫ってくる事に、この時はまだ気付かずに。

 

 

 

 

 

 この日、旧校舎に敷設されているオカルト研究部の部室内は異様な空気に支配されていた。

 部室の主とも言えるリアスは無表情のままソファに座り、彼女の下僕悪魔達は達も、顔をしかめている。

 その中には当然、一誠の双子の兄とされ『赤龍帝』である兵藤誠八が、他の眷属達と同様に、顰めっ面を見せていた。

 

 女王(クイーン)・姫島朱乃。

 騎士(ナイト)・木場祐人。

 戦車(ルーク)・塔城小猫。

 兵士(ポーン)・兵藤誠八。

 

 リアス・グレモリーの持つ眷属は、今はこの場に居ない残りの一人を除いてこの4名で形成されている。

 そんな4人が揃って顰めっ面をしているその理由(ワケ)……。

 それは、無表情の無言でソファに座っている主のリアスの隣に座る一人の男性が原因だった。

 

 

「うーん、流石リアスの女王が入れたお茶だ。

実に美味だぜ」

 

 

 赤色のスーツを着ている一人の男。

 スーツも中に着ているYシャツのどちらも着崩し、まるで繁華街でたちんぼをしてそうなホストを思わせ、顔立ちは整っており、だらしないともワイルドとも見える風貌のその男は、空気を読んでないのか暢気に朱乃が入れたお茶を口にしながら誉めていた。

 

 

「光栄ですわ」

 

 

 男の称賛に、にこやかな笑みを浮かべる朱乃。

 しかし、親しい者から見れば、朱乃が見せているこの笑みが心の底からの笑みでは無いと直ぐに見抜けるが、スーツの男はそれを見抜いているのかそうでないのか……ヘラヘラと笑いながら隣に座ってずっと無言のままのリアスを口説く作業をさっきから続けている。

 

 

「はっはっはっ! 暫く見ない内に随分とクールになったじゃあないか!」

 

「……………」

 

「うんうん、色々と成長してるみたいで何よりだぜ」

 

「………………」

 

 

 スーツの男の口説き文句…………なのかちょっと微妙な台詞を眉一つ動かさず無視を決め込むリアスに、まるで堪えちゃ居ないといった様子のスーツの男……この度リアスの婚約者としてこの場に馳せ参じたライザー・フェニックスに、リアスの眷属達の表情は歓迎したものでは無かった。

 

 というのも、ライザー・フェニックスという男がどんなものなのかを事前に知っており、唯一聞いてない誠八も、さっきから不遜な態度である彼の姿を見て、同じく歓迎はしてないという態度だ。

 無言で無視で無関心といった様子のリアスを見て察する事無くベタベタと気安い態度のライザー……。

 完全な平行線状態で時間だけが過ぎていくのだが、此処に来てずっと口を閉じていたリアスが、中立の立場として実はこの場に居た、銀髪でメイド服を着た女性に対してこう告げる。

 

 

「グレイフィア」

 

「は、何でしょうか?」

 

「……。駅前のデザートショップでコーヒーゼリーを人数分買ってきて欲しいのだけど……」

 

「は?」

 

 

 突然。

 余りにも唐突過ぎる指令に、さしものグレモリー家のメイド長であるグレイフィアも一瞬だけキョトンとした表情を浮かべる。

 それは、リアスの眷属達も同じであり、隣でマイペースに口説き文句を吐きまくってたライザーもであった。

 

 

「なんだ、コーヒーゼリーが食べたいのか?

あ、だから黙ってたんだな!? なーんだ、言ってくれたら用意させたのに……。

この照れ屋さんめ!」

 

「部長?」

 

 

 わっはっはっ! と訳の分からない事を笑いながら喋るライザーと、ずっと無言のままという意図から解らずに思わず口を開くセーヤこと誠八と、取り敢えず命じられた指令には従わない訳にはいかない。

 

 

「……。畏まりました、それでは少し席を外させて頂きます……」

 

 

 故に、一礼をしながら言われた通りコーヒーゼリーを買いにその場から消えるグレイフィア。

 どうにも今日のリアスは何を考えているのか、親しい存在である眷属達も解らずに、少し狼狽えてしまうのだが、彼女が何を考えていたのか……。

 

 

「さて……グレイフィアには悪いけど、これでやっと『まともな』会話が出来るわね……」

 

「? 何だよ?」

 

 

 それは、グレイフィアを部室から外に出した後、ふぅ……と一つ深呼吸をしながら隣でアホ面晒してるライザーに対して鋭い目付きを向けるのが、本当の始まりだった。

 

 

「お? お?? なんだよリアス? そんなに見詰めんなって、照れるぜ」

 

 

 ヘラヘラとした笑みで、飄々とした物言いをするライザー

 しかしリアスはその言葉を丸無視し、じーっとひたすらに視線を外さないまま、静かな口調でこう切り出す。

 

 

「……。貴方にとってバレて困る相手……魔王様の右腕であるグレイフィアは居なくなったわ。

駅前のデザートショップにコーヒーゼリーは売ってないから、恐らく10分程度は時間を稼げる筈。

だから――――」

 

 

 

 

 お互いに戯れは此処までにしましょう、ライザー・フェニックス殿。

 

 静だが、覇気を感じる強いオーラを感じさせる何かを発しながら、ピタリと笑顔のまま固まるライザーに堂々と告げる。

 

 

「………………」

 

 

 笑顔の表情のまま引き続き固まるライザーに、リアスの後ろに控えていた眷属達の誰しもが『どういうことだ?』といった表情を浮かべて二人を見る。

 此処一年程で劇的な成長を見せるリアスが、女好き節操なしと言われているライザーにそんな事を言う……。

 それ即ち、朱乃も祐人も小猫も誠八の誰一人として見抜けず、見たままのイメージしか持てなかったこのライザー・フェニックスという男が……………。

 

 

 

 

 

 

 

「良い意味で予想外……。

取り敢えず俺が第一に思った事はそれだな」

 

 

 それまで見せていたヘラヘラした態度が一瞬の内に引っ込み、それこそ今までのが全て嘘だったと認識させられる程に表情を引き締めたライザーが、同じくふざけたトーンだった声が、嘘の様に心地良さすら感じるアルトボイスに変え、リアスを真っ向から見返す。

 

 

「恐らく去年までなら『素』の貴方に気付くことは無かったでしょうね……」

 

「ほほぅ? やはりその急激な成長はここ一年以内なのか。

なるほど、見くびってたのはどうやら俺の方だった様だ。

そうだろ、リアス・グレモリーさん?」

 

「「「「!?」」」」

 

 

 どいう事だ? 完全に蚊帳の外となってしまった眷属達は困惑した。

 先程までとはまるで違いすぎるライザーの態度と、膝を折りたくなる程に圧倒的な気質に。

 

 

「いえ、見くびってたのは此方とて同じこと。

……。先程までのご無礼をお許しくださいライザー殿」

 

 

 そしてリアスも此処から再び変化した。

 今のライザーに勝るとも劣らない、覚醒した気質を見せ、一上級悪魔の次期当主としての礼を見せる。

 それはライザーとて同じであり……。

 

 

「いや、此方こそ貴女には数々の無礼を働いてしまったからな……申し訳なかったぞリアス嬢」

 

 

 片や生まれながらの王。

 片や出会いと成長が覚醒を促した王。

 どちらも後の面倒事を考慮してその気質を隠していた、ある意味似た者同士の二人の王は、互いにニヤリとした笑みを見せ合いながら、本当の意味での邂逅を果たした。

 

 

「グレイフィア様に聞かれると、確かに厄介な事になりそうでしたからね……ご厚意に感謝する」

 

「いえいえ、それは此方も同じでしたから……。

それにどうやら私と貴方の意見は同じようですので……」

 

「うむ……フフ、話が早くて助かる」

 

 

 リアスの隣から移動し、反対側に座るライザーとリアスとが互いに頷いている。

 最早眷属達は、押し寄せてくる驚愕の現実に思考が半分止まってしまっている訳だが……。

 

 

 

 

 

「「今回勝手に決められたこの婚約話をぶち壊し、一言魔王に文句を言ってやる……!」」

 

「「「「……」」」」

 

 

 二人の言ってる事にも、ポカンとしながら耳に入れる他無かった。

 

 

(サイラオーグよ、ククッ……どうやらお前の従妹は予想外の成長を見せたようだぞ?

誰がそれを促したのか……ははっ、どうやら近くに俺と似た気質を持つ奴が居るっぽいし、初めてこの話に巻き込まれて良かったと感じるぜ)

 

(ライザー・フェニックス……姿を見た瞬間に理解した。

彼はお兄様と同じ気配と、イッセーと似た気質を感じる。

随分と猫を被ってたようだけど、これは強いわね……今の私じゃまるで勝てる気がしないわ)

 

 

 互いが互いを観察しながら、心中呟くその姿は、先程声に出していた言葉のせいで悪巧みするソレに見えて仕方なかったと、後に眷属達は語るのであった。

 

 

 戦闘校舎のフェニックス編――

 

 

 

 と、いう建前のプチプチ下克上編……慎ましくスタート。

 

 

 

 オマケ……ほんのついでに一言ライザーさん。

 

 

「そういえば、キミ達の他にも悪魔がいるよね?

ほら、レヴィアタン様の妹さんで……ええっと……」

 

「? ソーナ・シトリーの事ですか?

ええ、確かに居ますが……」

 

「居る!?

よかった……それなら帰りに挨拶がてら一言伝言を頼める……」

 

 

 安堵する様な表情になるライザーに、リアスは首をかしげる。

 一体ソーナに何を言うつもりなのかと。

 伝言というのだから、ソーナに近しい人物となるがと考えるが、ライザーは軽く苦笑いするだけで教えてくれそうも無さそうだと、リアスはこれ以上詮索するのも野暮と考えるのを止める。

 

 

(まあ、妹さんに伝言なんてして貰ってもも聞いちゃくれんだろうが……。

あー……もういっそ戦いを挑むって名目で近づいて記憶を弄くってしまえば早いのかもしれん……ハイリスクだが。

あーぁ、本当何でよりにもよって魔王の一人にバレてしまったんだろ……迂闊も良いところだぜ)

 

 

終わり

 




補足

兄貴の潜在パワーはかなり高い。
というか、チラホラあった通り『いつの間にかパワーアップしてしまう』という謎々特質があったりなかったり。

補足2
親兄弟との距離が微妙に空いてしまってるが故に、師匠さんが『好き』である一誠くん。

まあ、どのジャンルかはご想像にお任せしますが。

補足3
レーティングゲーム(プチプチ下剋上編)となります。

ちなみに、現状では覚醒リアスさんと一誠でも、マジになったライザーさんの方が格上です。
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