生徒会長・イッセー   作:超人類DX

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駆け足気味すかね……。


生徒会長と師匠と即バレ王様

 捩じ曲がらず、自分を見失わずに今まで生きていけた直接の原因は、今でこそ師匠であるアイツが『気まぐれ』で俺と会ったからだと思う。

 何でも知り、何でも出来て、何でも魅了する。

 それが俺の師匠の特長であり、人外と言わしめる理由。

 人だろうと悪魔だろうと堕天使だろうと天使だろうと妖怪だろうと神だろうと何だろうと、アイツの前では全てが平等に無力となる。

 

 そんな奴の弟子をやってれば少しは強くもなるし、大概の事では驚くこともなくなる。

 アイツの『バックアップ』を目指している身としてはね。

 

 そんなアイツが今は何処で何をして、何を考えているのか……それは俺でも分からない。

 リアスやレイナーレはよくアイツに突っ掛かかるから、まあ平和っちゃあ平和だけど、物足りなさを感じるのも正直な所である。

 

 

 ホント、アイツは今何処で何をしてるのやら――

 

 

 

 

 つくづく思う。

 何故自分では無いのか。

 何故振り向いてくれないのか。

 そんな感情ばかりが自分の心を貪っている。

 何処までも強く、何処までも遠く、何処までも魅力的な彼女だからこそ、たった一匹の小僧でしかない自分にまるで興味が無いのは最初から知っていた。

 けれどだったら、他の者にも同じ態度を貫いて欲しかった。

 『嫌だね。そんな暇ねーし』と誰にたいしても薄く笑いながら平等に言って欲しかったのに。

 

 何であの人はよりにもよって人間の子供と僕の妹を贔屓するんだ。

 どうしてあんなベタベタと人間の子供にひっついてるんだ。

 あんなこと他の誰にだって……僕にだってしないのに。

 

 何が魔王だ……。

 こんなもの、あの人の傍に居られる二人に比べたら何の価値にもなりはしないんだ。

 兄妹なのに、妹は良くて僕がダメだなんて嫌だ。

 人間なのにあそこまで彼女に色々として貰っていると聞かされるだけで血管が沸騰する思いだ。

 あぁ…………羨ましい。

 

 

 

 

 正直ね、僕にバックアップなんて必要ないんだよ。

 だってわざわざ他人にバックアップを任せずとも、自分にもしもの事があった場合の対処法なんて6000通りくらいあるんだからね。

 僕が求めたのは主人公であり、かつての『めだかちゃん』みたいな子が、もしも僕の隣に居て色々と助けをしてくれるのなら……というコンセプトの元でその資質が最も高かった彼とコンタクトを取ったんだ。

 

 まあ、僕の知らない間にイレギュラー1匹が紛れ込んでたみてーだが、彼にはその資質はあるようで無い。

 全く無いわけじゃ無いんだけど、ちょっとの挫折を教えてやって直ぐ折そうな軟弱者には用は無いのさ。

 だから僕が選んだのは、神滅具を持つイレギュラー兄では無く、イレギュラーの出現により本来の道筋から弾き出された弟の方だ。

 

 弾き出されたせいで周りの目は全てイレギュラーの兄へと向かい、全く見向きもされなくなってた弟を元の道筋以上の存在にさせる。

 それが僕が最初に考えた企画。

 旧フラスコ計画と真フラスコ計画を元手にした教育を施し、本来はあった筈の『スケベ心』が無く、代わりに持ってた『努力フェチ』という気質を刺激させてスキルを発現させた。

 

 結果……めだかちゃんの主人公力、人吉くんの愚行ともいえる判断力という、どちらの精神を受け継いだのが、僕の最初で最後に全てを与えた主人公の『一誠』だ。

 間抜けな面も多いし、まだまだ詰めの甘い所もあるが、それを補うだけの潜在能力がある。

 それはある意味で不知火君よりも僕の対になれる程にな。

 

 ふふ、こうなれば最早2度と同じ様な事を一誠以外に施す事もないかな。

 だって一誠ってば、まだ餓鬼も餓鬼な頃に言うんだもん……。

 

 

『なぁ、アンタと同じになれば……アンタの後ろに立てる様になれば友達になれるのかな?

そうなればもうアンタが独りっぼっちになることも無くなるかな? トモダチになれるのかな?』

 

 

 モノを知らない子供だった一誠に言われた時は、真面目にアホかと思ったもんだ。

 イレギュラーの出現のお陰で上手く囲い込めやすくなっただけの……言うなれば単なる実験要素と気分で彼に色々と施しただけなのに、大真面目な顔をして言ってくるんだぜ? 思わず腹を抱えて大笑いしそうになっちゃうよね。

 別に独りだろうと百人に囲まれてようと、僕にとってどちらも同じでしか無いのにさ、一誠はあくまでも僕と『友達』になることを望んでいる。

 その日からだったからかな……平等主義が薄れ、一誠に肩入れをし始めたのは。

 

 単なるバックアップじゃない、対となるじゃない。

 ただ、背中を預けるにたる男になってくれる事を望み始めた相手が一誠だということに。

 この世界には人間よりも遥かに力の強い存在がいる中を、人間でしかない一誠を選んだ理由は……ふっ、これこそ秘密って奴だよ。

 

 かつて、めだかちゃん達に少なからず影響されたように、一誠に影響されちゃったってだけだしな。

 

 

 

 

 

 

 一誠にとっての師とは、自分の作った道を歩くという概念を教えてくれた人だった。

 全てから逃げ、全てから目を背けそうになるのを引き留めてくれたお陰で、今の自分がある。

 それが喩え師の気紛れでだったとしても、一誠にとっては恩を感じるに十二分であり、人外だろうが師は師だった。

 だからこそ、元浜と松田に師の写真を見せた後、その関係を邪推された時は思わず怒ってしまった。

 師なら恐らく笑って『言わせておけば良いじゃん』で済ますかもしれないが、一誠は違う。

 本来なら親兄弟との思い出が多い筈の年代の頃の全てを師である『彼女』と過ごしてきたのだ。

 事情が事情で親兄弟との距離が離れてしまっていた一誠にとっての師とは、肉親以上に大事に思っている。

 

 それがどういう意味かは本人に自覚は無いし、よく解ってない。

 ただ、全てが変わってから初めて自分を認めてくれた人……それが一誠にとっての師であり――

 

 

「やっほー一誠。元気にしてた?」

 

 

 業務中の生徒会室の会長席に座って書類仕事をしていた一誠の背後に突然として現れた安心院なじみという、人外なのだ。

 

 

「む! 師匠か……」

 

 

 音も気配も無く、突然として背後に現れたというのに、一誠の反応に余り驚きという色は薄く、ペンを動かしていた手を止めて後ろを向けば、初めて出会った頃から一切変わらない容姿を持つ師匠が笑顔を浮かべている。

 

 

「暫くキミを見てたんだけど、そろそろこうして直接のやり取りがしたくなってね。

どうせ僕って24時間で暇だから会いに来たのさ」

 

「そっか……フッ、アンタらしいな」

 

 

 久々にこうして向かい合う師の言葉に、一誠は頬を緩めている。

 それは一誠にとっては最も親しい者に対して見せる態度の一つであり、その態度を見て面白く思わない庶務が一人後ろから不機嫌そうに見ているのにも気付いてない。

 

 

「暫く現れないと思ってチャンスだと思ったのに……」

 

「安心院さん!」

 

 

 庶務二人……レイナーレとアーシアが其々真逆な態度示しているのを、安心院なじみは然して気にしてない様子でニコリを微笑み、二人に向かって口を開く。

 

 

「やぁやぁ、レイナーレちゃんにアーシアちゃん。

キミ等も元気そうでなりよりだよ」

 

「はい!」

 

「ふん」

 

 

 元々神を信仰するシスターだったアーシアは、とある出来事で神が居ないことを知って絶望した。

 が、この目の前のセーラ服姿の女性があっけらかんとしながら……

 

 

『え、神? あぁ……そんな称号を引っ提げてる奴が居たなそういえば。

当時やることなくてフラフラしてたら戦闘になって、適当に相手してやったら勝手に自爆した奴だったっけ』

 

 

 事も無さげに言い切ったのを聞いた時は衝撃だった。

 神器(セイクリッド・ギア)の総数を遥かに越えた数の様々な力を持っていると知った時は更に衝撃を受けたのと同時に思った。

 あ、そうか……彼女こそが『主』なんだと。

 

 本人は苦笑いしながら『そんな存在じゃないよ僕は』と言ってたが、祈るだけでは状況は変えられないと教えられ、己で切り開くと言っていた一誠の師匠とのなれば『主』よりも主とアーシアは彼女を崇拝した。

 

 その時のなじみは珍しくダルそうな顔だったが、なんやかんやで現在はそれなりに仲良くやっていた。

 

 

「……。何しに来たのよ?」

 

 

 しかしその反対に、レイナーレは彼女に対しての態度が悪い。

 別に心の底から毛嫌いしている訳では無いのだが、レイナーレ……そして今この場に居ないリアスはある出来事が絡むと彼女に対しての言動が攻撃的になる。

 それは、その中心というか原因となっているも拘わらず、暢気な態度で椅子に座る一誠が原因だったりする。

 例えば――

 

 

「相変わらずつっけんどな言い方だなぁ、ま、キミらしくて良いと思うけどね。

僕は来た理由は、さっき一誠に言った通りさ」

 

 

 不機嫌そうにするレイナーレに対しての別段気にした様子を見せないなじみが、薄く笑みを浮かべながら座ってる一誠を後ろから抱き締める。

 

 

「最初で最後……僕の持ちうる全部を注ぎ込んで来た愛する弟子にこうして触れて、成長の度合いを確かめる為さ」

 

 

 漫画でもラノベでもよくあるだろ? と意味深な事を言いながら一誠を優しく抱き締めるなじみの表情は、一切触れる事が出来ないレイナーレに対する若干の意地悪が混じっていた。

 女性に対して戦闘以外で気軽にふれるなと言われて来た為、友であるレイナーレとリアスとアーシアに触れようとも触れさせようともしない一誠が、あんまりにも呆気なくなじみには触れさせているのを間近で見せられるという、レイナーレにとっては鳩尾に一撃喰らうよりダメージの大きい所業だった。

 

 

「ん……少し背が伸びたね、それと身体付きも男らしくなってる」

 

「ん、そうか? へへ……」

 

「ぐっ……! こ、この……!」

 

「……。むぅ、やっぱり安心院さんだと全く抵抗しませんね」

 

 

 後ろから抱き締め、ペタペタと鍛え続けてきた証である身体に触れているなじみと、それを全く抵抗せず寧ろ褒められたと無邪気に喜ぶ一誠の両方を見て顔を歪ませるレイナーレと、ちょっとムッとするアーシア。

 邪念が無いので、一誠を責める訳にもいかず、ぐぬぬと悔しがるしかない。

 

 

「こういう時程贔屓を感じた事は無いわね……くっ」

 

「イッセーさんにとって最も親しい方が安心院さんですからね……。

隙なんて無いに等しいと言われてるのと同じですよ……」

 

 

 別に一誠からすれば贔屓とかは無いつもりなのだが、やはり本人たちからすればそう思ってしまう訳で……。

 レイナーレとアーシアは楽しそうにしてる二人を見ながらハァとため息を吐く。

 一誠が自分達……いや女性に対してのかなり引いた態度なのは十中八九、自分だけベタベタと触れてるこの人外で、恐らくちょっとした独占欲も入っている。

 が、しかしアーシアやレイナーレ……特にレイナーレと今は居ないリアスはよりにもよってそんな状況の一誠に惹かれているので、目の前の光景はかなり精神的に辛かったし――

 

 

「あ、そうだ。暫くは近くで見ていたいから一誠の今住んでる家の部屋を一つ貸して欲しいんだけど……」

 

「む? あぁ、それなら別に――」

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

 

 あんまりにも簡単にホイホイと言うことを聞く一誠に我慢ならずに待ったをするのも致し方ないのだ。

 

 

「む、何だレイナーレ。何か問題でもあるのか?」

 

 

 バン! と勢いよくテーブルを叩きながら立ち、何やら怒ってるレイナーレに、一誠はキョトンとしている。

 

 

「『何か問題でもあるのか?』じゃないわよ! 問題だらけよ!!」

 

「だから何が? 師匠が部屋を貸せって――「師匠呼びはNGだぞ一誠」――失礼、『なじみ』が頼むんだから貸すだろ普通」

 

 

 師匠と呼ぶのを抱き締めたまま訂正するなじみに言われた通りに、呆気なく訂正する一誠にレイナーレはますます面白くないと怒る。

 

 

「アンタの普通の基準が分からないわよ…!

大体、その女だってアンタのいう女性でしょうが!」

 

「? そりゃそうだろ」

 

「キィィィッ!!」

 

 

 全然話の内容を理解してない一誠に、段々とレイナーレは涙目になってテーブルをバンバンとぶっ叩く。

 それを横で見ていたアーシアが、若干ため息を交えながらレイナーレの言いたいことを詳しく補足し始める。

 

 

「レイナーレ様が言いたいのは、あれだけ女性に対してイッセーさんは何歩も引いた考えを持ってるのに、同じ女性である安心院さんには一切適応させてないって事ですよ」

 

「ん? …………。あ、その事か」

 

 

 一周回ってお馬鹿ですね……と然り気無く毒を吐くアーシアに、やっと怒ってる意味を理解した一誠。

 しかしながら、やはりというか……一誠はあっけらかんとしていた。

 

 

「まあ、なじみは女性とかいう前に師匠だし、そもそもなじみから教えられたのは『友であろうとも女性には気軽に触れない方が良いよ、ただし僕は別に良いけど』……と言ってたし」

 

「やっぱりアンタが原因じゃないの! どうしてくれるのよ!!」

 

「どうしてくれるのよと言われてもなぁ。

僕の対になってくれる男がそこら辺の女にホイホイ釣られても困るだろ?」

 

「釣られ無さすぎて困るんですけど」

 

「そうする様に教育をしたからね。

ま、君達なら別に釣っても構わんよ……………出来ればだけど」

 

 

 うがー! と怒るレイナーレと、困り顔のアーシアに飄々としながら挑発するなじみ。

 その中心に位置する一誠は、『あ、また始まってしまった……』と暢気に考えながら――――

 

 

 

 

 

 

(リアスの近くに強い何かを感じる……)

 

 

 旧校舎にあるオカルト研究部の部室から感じ取れる強い力に関心を向けていた。

 

 

(なじみは気付いているだろうが、特に何にも言わない。

危険と感じる感覚も無いが……何者なのだろうか……)

 

 

 

 

 

 

 

 正直、グレイフィアは内心リアスを応援していた。

 望まぬ結婚なんて、絶体に苦痛でしかない事を。

 何故それを知っているのかは……色々とあって今は省くが、とにかくグレイフィアは知っていた。

 だからこそ、中立の立場となっている自分が席を外してる間に何かあってはと心配になり、命じられた通りに買う筈だったコーヒーゼリーが無く、他の店へ飛び回り、やっと戻って来たのだが、案の定席を外す前は無視を決め込んでいたリアスが、感情的になってライザーと言い合いをしていた。

 

 

「嫌よ、家は潰さないし婿は受け入れる。

けどそれはアナタでは無いわ、決してね!」

 

「強情だな。

だが、この話しはもう双家で進んでしまってるし、サーゼクス様も了承してるんだぜ?」

 

「だから何よ! とにかく嫌!」

 

「………………」

 

 

 完全な拒絶を見せているのに、引き下がろうとしないライザーというジリコン状態。

 やはりと、内心ため息を吐いたグレイフィアは、買ってきたコーヒーゼリーを置きながらいつの間にか殺気立ち始める二人の間に音もなく立つ。

 

 

「そこまでにしてください、ライザー様、リアス様。

サーゼクス様から命を受けてます故、お二人の行動によっては止めなければなりません」

 

「む……最強の女王からそう言われたら黙るしか無いですね」

 

「グ、グレイフィア……」

 

 

 二人から滲み出る殺気を塗り潰すかの如く、グレイフィアは魔力と殺気を出すと、二人は引き下がる。

 双方の意見が合わない等は初めから知っていた。

 故に取り敢えず黙らせたグレイフィアは、意見の合わない二人にレーティングゲームでケリを着けろと告げる。

 

 

「別に構いませんよ俺は……ククッ」

 

「良いわよ、受けて立つわ!」

 

 

 結果、両者共にやる気となった。

 結婚……しかも片方の了承がないのに、それをレーティングゲームで決めるなんてどうかとグレイフィアは内心思うが、己の主である魔王がそう言ったのだから従うしか無い。

 

 妹を大事にしてた癖に、何故か最近はそうでも無い態度になってるその理由を知ってる身としては本当にリアスに罪悪感を感じてしまう。

 

 

「どうするんだ? キミの所の下僕はフルメンバーじゃないようだが?」

 

「……。だったら一人臨時で加えさせてくれるとでも?」

 

「別に構わんぞ? まあ、居ればの話だがな……。

そこの所はどうなのですかグレイフィア様?」

 

「非公式ですので、プレイヤーであるライザー様がご了承するのなら恐らく大丈夫かと……」

 

 

 レーティングゲームでケリを着けさせる時点で、既にリアスが不利な状況になってるのもサーゼクスは知ってる筈。

 だというのに彼は関係ないとばかりに命じてきたが、非公式だし何よりリアスには個人的に勝って欲しいのもあると、内心思いながら問題無しと告げる。

 だが、臨時でも何でもこのゲームに勝てる程の強力な存在の宛がリアスにあるのかも疑問だったりするグレイフィア。

 雷の巫女だったり赤龍帝だったりと、何気に強力な下僕を持ってるものの、やはり全体の数としては大きくライザーに負けているのは事実であり、そこら辺の者を取り入れて数を増やしても無駄なのが今の現実だ。

 

 

(……。どうするのですか、お嬢様)

 

 

 自分を慕う義理の妹には自分のような失敗はして欲しくないと願うグレイフィアは、内心呟くのに気付いているのか居ないのか、リアスは携帯を取り出して何処かに電話をし始める。

 

 

「もしもしイッセー?

少しだけ協力して欲しい事があるのだけど――え、なじみ? ってまさかあの女が近くにいるの!?

くっ、暫く出てこないと思ってたのに……まぁ良いわ、取り敢えず今から部室に来れないかしら? うん……あ、それは気のせいじゃ無いわね……うん、確かに二人程アナタが会ったことの無い人物が……」

 

「イッセー?(それだな、彼女を引き上げたって奴は……ふふ)」

 

(イッセー……なじみ……? いえ、まさかね)

 

 

 電話の相手の名前……どうやらイッセーという名前の人物にライザーは首を傾けているが内心はニヤリと笑った。

 十中八九そのイッセーというのが、今のリアスに仕立てたら本人だろうと思ってだ。

 そして同じくイッセーとなじみという名前に聞き覚えがあり、一瞬だけ表情が揺らぐグレイフィアだったが、直ぐに違うだろうと判断する。

 

 

「……。(やっぱりアイツかよ……! 必要なんてないのに……!)」

 

 

 リアスの兵士である兵藤誠八が、あからさまに顔を歪ませている事に気付かず、電話を切った瞬間、誠八がリアスに食って掛かる。

 

 

「どうしてアイツを? 必要なんて無いでしょう?」

 

「必要あるか無いか私が決めることよ。

……。アナタにとっては気に入らないのかもしれないけど、ライザーに勝つにはこの手が一番なの」

 

 

 突如として態度を豹変させ、リアスに反対だと感情的に訴える誠八だが、リアスは取り合わずに呼ぶと突っぱねる。

 それが益々誠八の嫉妬心を刺激する訳で――

 

 

「そもそも部長もライザー・フェニックスもレーティングゲームなんてする気も無く、今の態度ですら演技じゃないですか!

双方に結婚の意志が無ければそれで終わりでしょう!」

 

「セーヤ!!」

 

「ゲッ……ば、バラしたし……」

 

 

 完全に頭に血が上った誠八が、大きな声で二人の企みを、魔王との繋がりが一番あるグレイフィアの目の前でバラしてしまった。

 一誠を嫌っているのは知ってたが、だからといって自分達の企みをバラすまでに取り乱すのは想定外だったリアスは誠八を無理矢理押さえ付けるが全てが遅く、ライザーも同じく手で顔を覆う。

 

 

「…………………。どういう事ですか? リアス様、それにライザー様……お互いに結婚の意志が無いとは?」

 

 

 誠八の言った事が本当なら、何故こんな手の込んだ演技をしていたのか等々、どうやら自分の知ってるリアスとライザーとは違うらしいと瞬時に判断し、半ば脅しのつもりで二人に若干鋭い視線を送るグレイフィアに、二人はどうしようかと珍しく焦るも、何と無く誤魔化しが効かないという気がし、ライザーもリアスも互いに顔を合わせながら大きくため息を吐くのであった。

 




補足

正直、バレたらバレたで仕方ないと思ってますが、その後の周りからの反応が実に嫌だったりするライザーさんなのだった。

つまり、リアル『この戦いが終わったら結婚するんだ』的な意味で遠くの地を求めて旅立つフラグが……
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