生徒会長・イッセー   作:超人類DX

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少しだけ手直ししました。



king of phoenix

 つくづく自分は『王』には向いていない。

 リアスは己の器量の無さを悔いた。

 制御も出来てすら無いのに、当時は何も考えず目先の力に魅力を感じてホイホイと己の眷属にしたあの頃からまるで変わってない。

 強力な力を持つも、精神が不安定な兵士を上手く導く事すら出来ずに何が王だ。何が上級悪魔だ。

 自分が持つ眷属達は其々暗い事情があり、自分は恵まれた環境でヌクヌクと育つ……。

 その時点で自分にはこの子達に対して偉そうに上から物を語る資格なんてありはしない。

 

 

「ホント、私は王としては最低に無能ね……」

 

 

 今回にしてもそうだ。

 誠八が双子の弟の一誠を……リアスが己の道を切り開く切っ掛けになってくれた人間の少年と仲が崩壊し、殺意すら抱いているのを知っているのに、自分のやりたい事を優先したばかりに、相手方の王にまで迷惑を掛けてしまった。

 最もバレてはいけない相手……魔王の右腕であるグレイフィアに今の自分と今のライザーがバレてしまったら、自動的に魔王にその事が伝わってしまう。

 今の悪魔社会に何の関心も無く、ましてや命を張るつもりも無い二人にとって、本来の自分達を知られそれを利用されることを嫌っていたが故に、こんな遠回しの演技までしたのに……それが感情を爆発させた誠八によってバレてしまった。

 バラしてしまった誠八の王は自分だ。

 そしてその感情を爆発させてしまったのも自分だ。

 眷属のケアすら出来ずに、偉そうに物を言ってるだけだなど何が王だ。

 リアスは誠八を責める事は無く、ひたすらに己の不甲斐なさに気を落とす。

 

 

「はは……申し訳ありませんライザー殿。

完全に私のミスですわ」

 

 

 『女好きで節操なしのライザー』という仮面を着けていたという事実が、誠八の一言によって魔王の右腕たるグレイフィアにバレてしまったのは、彼の王であり御せる事が出来なかった自分のミスだと、リアスは痛々しい笑みを見せながら、鬱ぎ込むような声でライザーに謝罪する。

 

 

「いや、別にキミのせいじゃないし気にするなって。

だからそんなに鬱ぎ込むなよ」

 

 

 そんなリアスにライザーは軽く笑いながらアッサリと気にする必要無しと許してくれた。

 元々ライザーにとってのこの仮面は、煩わしい出来事を極力回避する為に作ってきたものだ。

 それがバレてしまった所で、それならそれで仕方なしとある程度は割りきってたし、バレた相手は確かにあの小うるさい魔王と同等に厄介そうな相手だが、一人だけにしかバレてない。

 

 現ルシファーの妻であるのが、厄介さに拍車を掛けるが、話の通じない相手ではないだろう。

 そう考えたライザーは、自分よりも年上なのに、何時まで経っても餓鬼みたいなとある魔王の一人を思い浮かべながら、彼女とは真逆に何処までも平淡な最強の女王を眺める。

 

 

「それで、兵藤様が口にした事は全て事実なのでしょうか?」

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 表情こそ変化は見られないが、『嘘偽りは許しません』的なオーラを放ちながら、天井を見上げているライザーと俯くリアスに問い掛けるグレイフィア。

 ちなみに、その兵藤様こと誠八はリアスの眷属達により押さえ付けられている。

 元々眷属達も精神が不安定な誠八の危うさを承知しており、下僕でありながら自分の王の不利益となる事をやらかした誠八に対して少しの怒りを向けており、朱乃・小猫・祐人の三人に睨まれてしまった誠八は、納得できないと言わんばかりな顔をしながらも部室の隅に追いやられていた。

 

 

「私を遣いに出したのも、私居ない間にお二人で話をしたのですね? 今の状態で」

 

「……。ええ」

 

「……。そうなりますね……ははは」

 

 

 観念したかのように、普段見るのとは真逆の雰囲気を纏っている二人の肯定する姿に、グレイフィアは小さくため息を吐く。

 リアスの場合は元からある程度近い位置に居たから急激な成長を僅かに察する事が出来てたが、問題はその隣でグレイフィアの視線に対しての居心地の悪そうに目を逸らしながら頬を掻いているライザーに内心驚いていた。

 

 

「今のライザー様が本来の……という事で宜しいのですか?」

 

「まぁ……一応……はい」

 

 

 さっきまでの雰囲気とはまるで違う。

 静かながら洗練されたオーラと、あれだけ周りに見せていたふざけた態度が幻想だとすら思える意思の強そうな瞳。

 下劣で女好きというライザー・フェニックスと、今の膝づきたくなる程の王気質を緩やかに醸し出しているライザー・フェニックスがどうにも一致しないが……彼は紛れもなくライザー・フェニックスであった。

 

 

「女好きで、馬鹿で、節操なしという所は変わらずに、まあ……色々な被害妄想をしながらコソコソしてたのは間違いないです」

 

「そうですか」

 

 

 困った様な笑みで肯定するライザーに、グレイフィアは納得した。

 なるほど、今でこそまだこの状態だが、本気になれば彼はそれこそ今の魔王達と渡り合える程の力があるのだろう。

 それなら隠してきたのも理解できるし納得もする。

 もしも本来の気質を隠すことなく存分に発揮してたら、次期魔王候補に選ばれていたに違いない。

 しかし、隠してきたということはライザーにそんな気等更々無く権力にも興味も無いのだろう。

 見ればわかる……彼は同族で純血でありながら、過去の頃から変わったとはいえ、やはりそれでも本質は変わってない今の悪魔社会を見限っていることに。

 そしてそれは…………もしかすればリアスも――

 

 

 

 

 

 

 

「失礼する。駒王学園生徒会長の兵藤一誠というのだが、今さっき此処の部活の部長であるリアス・グレモリーに呼び出されて……………む?」

 

 

 本来のライザーとリアスを知り、どうするべきかと思案していたグレイフィアの耳に、先程リアスに感情を剥き出していた少年と少しだけ似ている声が聞こえ、自然と二人に向けていた視線を声の聞こえた方向……この部屋の出入口の扉へと向ける。

 グレイフィアだけでは無く、ライザーやリアス――更にはリアスの眷属達も同じく扉を開けて入ってきた少年に視線を向けた訳だが、赤龍帝の少年とそっくりな顔立ちの少年は然して気にした様子も無さげに……。

 

 

「強い気配が二つ……なるほど、貴様等がそうだったのか」

 

 

 グレイフィアとライザーを其々見ながら、楽しげな笑みへと変貌させるのであった。

 

 

 

 

 まず最初に見た正直な感想は『驚いた』だ。

 リアス嬢の急激な成長の理由がこの少年にあるのは、会話から探ることが出来たが、まさか人間の彼が此処まで強い気質を持っているとは……いやはや、やはり人の可能性も素晴らしい。

 

 それに、この少年は何処と無くサイラオーグに似てなくもない……。

 サイラオーグ・バアル。

 俺が本当に尊敬する男の一人。

 才を努力で補い、登り詰めた男に……。

 

 

 

 赤龍帝の少年のお陰で……というのはアレかもしれないが、ライザー様とリアス様が互いにご結婚をするつもりが無いことが分かった。

 正直、ライザー様の本質が此処までなのは予想外であったが、私のやることは変わらない。

 リアス様には、私みたいな失敗した人生を歩んでほしくない……。

 人質としてグレモリー家に連れていかれ、好きでもない……いや寧ろ相手にもされてない女性に対して何時まで経っても執着している男との子を産む人生など、産んだ子供以外は全て失敗だ。

 だからリアス様には、自由になってほしい……そう思ってたが、もしかしたらそれは叶うなのかもしれません。

 

 

「来てくれたのねイッセー……。

で、あの……彼女が来てるって本当?」

 

「彼女……あぁ、なじみの事か? おう、今は生徒会室でレイナーレとアーシアと一緒だぞ」

 

「そう……」

 

 

 此処一年近くでリアス様が劇的に変わられたその理由が、根元が、原因が、目の前の少年にあるのだと私には分かった。

 そして気のせいでは無かった……なじみという名前とイッセーという名前。

 その名前を私は知っている……特になじみという名前は……。

 

 

『で、弟子ですか? 安心院さんの?』

 

『うん。僕のバックアップになって貰おうと思ってね』

 

 

 どの種族でも無いし、神でも無い……言うなれば只の人外。

 安心院なじみ……。

 あの男がずっと執着している女性と、彼女が最後に姿を見せた際口にした『弟子』という言葉。

 数年程前の話だが、今でも覚えている。

 まるで相手にされていないあの男の絶望溢れる間抜け顔を見ても全く気にせず、彼女がまるでお気に入りの玩具を自慢するかの様に弟子の話をしていたことを。

 

 

『何れは僕の背中を任せるまでに成長する』

 

『な、何で……何て言われたから弟子にしたのですか?

僕の時は呆気なく断ったのに……』

 

『何処まで成長するか解りきってるキミよりも、無限に進化をする可能性がある一誠君の方が、僕にとっては魅力だからな。

それに何も言われてないよ。だって僕の方からアプローチを仕掛けたんだから』

 

『なっ……!? そ、そんな……ず、ずるい……!』

 

 

 彼女曰く、あの男……サーゼクス・グレモリーは色々とめんどくさいとの事だが私も彼女に同意する。

 しかも質の悪いのが、この男……完璧に一度フラれてるにも関わらず、こんな調子なのだ。

 

 

『さてと、そろそろ戻って一誠にマッサージでもして貰おうかな』

 

『あ、安心院さんをマッサージ!?

だ、だだだ、だったら僕が――』

 

『いや、馬鹿かお前?

キミは奥さんにしてあげればいいだろう?』

 

『そ、そんなのどうだって良い! そもそもこの現状だって周りが無理矢理――』

 

『押し付けられた……と言いたいのか?

そういう所が、変わらずにうぜー小僧だな……。

ま、どうしようと僕がキミにどうこうする事もされることも無いけどな……じゃあね』

 

 

 彼女の言っていた一誠が、お嬢様のいうイッセーなのは最早間違いない。

 今の彼を見ればそれが分かってしまう……。

 

 

「それにしても……なるほど、二人とも恐ろしく強いな……ふふふ」

 

 

 恐ろしい程に……彼女の弟子は底が見えない。

 それこそ、人間という種族のあり方を根底から覆すまでに……彼は――

 

 

 

 

 

 電話で呼ばれて馳せ参じた俺は、入るなり目立つ姿を其々していた二人の悪魔に思わずニヤけてしまった。

 強い……初めて見て思った感想がそれなのだ。

 特にこの金髪の男など……勝てる気すらしない程に強いし、銀髪の女もやっぱり強い。

 リアスも何れはこうなるんだなと思うと、ふふ……ゾクゾクしてしまう。

 

 そんな事を 思いながら二人からリアスを見ると……あれ、何やら元気が無い。

 

 

「どうしたリアスよ?」

 

 

 らしく無いなとか思いながら、ついつい二人と兄貴と姫島三年と塔城一年と木場同級生にロクな挨拶もせず、リアスのもとへと近付く。

 

 

「どうした、一体何が?」

 

「いえ、ちょっとね……」

 

 

 ちょっとね……と言いつつも落ち込んでますオーラが出てるし、これはちょっとじゃ無いだろうと思い、近くに座る金髪の男と二人の前に立っていた銀髪の女に視線を向ける。

 すると、金髪の男が薄く笑いながら俺と、何故か部屋のの片隅で姫島三年と塔城一年と木場同級生に押さえ付けられたまま、殺意丸出しの目で俺を睨む兄貴とを交互に見ながら、ビックリするほどの通る声を発する。

 

 

「そこの隅でキミにさっきから殺気を向けている子はご兄弟かな?」

 

「え? まあ、双子の兄だが……」

 

 

 一応……戸籍上なそうなので、小さく頷いて肯定する。

 顔も似てるしな……うんうん。

 

 

「そっか双子か……。

そっくりだからそうなんだろうと思ってたけど……アレかな、キミ等ってひょっとして仲悪い?」

 

 

 なんだ藪から棒に……と言いたい所だが、そんな質問をされる時点で大体の察しがついてしまうのが実に悲しいというか何というか……。

 

 

「つまり、俺と兄貴の仲の悪さのせいで何かしらのトラブルが発生したと……?」

 

「うん……まーそんなところだ」

 

 

 よく通るアルトボイスを聞かせながら頷く金髪の男に、俺は微妙な気まずさを感じて目を泳がせる。

 つまり、リアスの元気の無さは俺が原因という訳なのだから……。

 

 

「えっと、済まぬリアス……?」

 

「何でアナタが謝るのよ。セーヤの感情を上手くコントロールできない私が悪いだけよ」

 

 

 恐らく、恐らく先程受けた電話の際、リアスの近くに居た兄貴は、電話相手が俺だと知り、何かしらのトラブルを招いてしまった。

 そう思えば、三人に押さえつけられながら俺を思いきり睨み付けている兄貴の姿も合点がいく。

 つくづく俺と兄貴は水と油だな……。

 

 

「俺はキミとそこの赤龍帝クンの事情は知らないし、これは俺個人の勝手な物言いだが――」

 

 

 どうしたものかと、リアスと一緒になってちょっと鬱気味になってしまっていた時だった。

 金髪の男が、そう言いながら俺と赤龍帝くん……つまり兄貴に対して視線を交互に向けながら口を開く。

 

 

「赤龍帝クンはリアス嬢に何を求めてるのかは知らないが、少し彼女の優しさに甘え過ぎだ」

 

「……っ!?」

 

 

 スッと見透かされてるとすら錯覚する蒼い瞳で、三人に押さえ付けられて動けない兄貴を見ながら、金髪の男は更に続ける。

 

 

「もし俺が冷酷無比な殺人狂だったら、リアス嬢に優しさが無ければ、さっきの時点でキミの首は即座に跳ねられていた。

 そうだろ? 王の決めることに、弟が絡んでるって個人的な感情で下僕の位置でしかないのに吠え、あまつさえ俺達の秘密さえ暴露して不利益ばかりを引き起こしているんだ」

 

 

 いくら赤龍帝だろうと、眷属である以上、ある程度は弁えて王の意向を優先しなくちゃならない時だってあるだろう?

 金髪の男の、静かながら何処か強い意思を感じる声に、兄貴は――

 

 

「ま、また……一誠にばかりに味方が……!」

 

 

 震えた声を発しながら、怒気を膨らませていた。

 

 

「ぐっ……!? お、落ち着いてくださいセーヤくん!」

 

 

 そして、押さえていた三人の声を無視しながら無理矢理引き剥がし、姫島三年の制止も撥ね飛ばす勢いで、明らかに『あの時』よりも重苦しい殺気を放ちながらヨロヨロと立ち上がる。

 

 

「兄貴……」

 

「っ……また始まった……」

 

 

 何故だかなんてわからない。

 毎回毎回、俺と兄貴は近くに居るだけでこうなる。

 俺の成功を目にするだけで殺気を膨らませ……今回もやはりそうだった。

 

 

「おいおい、別にキミの敵に回ったつもりなんて無いんだが……」

 

「黙れよ焼き鳥野郎……!」

 

「や、焼き鳥? ………あ、フェニックスだから焼き鳥ね。

はは、あはははは……意外と的を射てるな……ちょっと傷付いたかも」

 

 

 リアス曰く、いつの間にか強くなっているらしい兄貴の殺気からして、あの時よりも更に強くなっているのが分かるのだが、やはり俺が近いせいか精神の拮抗が崩れて金髪の男にまで何やら訳の分からない……悪口みたいな何かを吐きながら右腕に赤い籠手を――っておい!!

 

 

「やめなさいセーヤ!」

 

「そうだ、やめろ兄貴!!

俺がこの場から消えればそれでいいはずだ!!

だから関係の無い者まで巻き込むのは――」

 

 

 微妙に落ち込んでる金髪の男を横に、殺意丸出しとなってる兄貴の前にリアスと並んで立ち、落ち着けと叫ぶ。

 しかし兄貴は殺意に満ちた歪んだ表情で俺を睨みながら、ただ一言――

 

 

「じゃあ、お前がこの世から消えろ!! そうすれば全てが丸く収まるんだよぉ!!!」

 

『Boost!』

 

 

 使い手の力を時間と共に倍加させる神器……赤龍帝の籠手(ブースデッド・ギア)の掛け声と共に兄貴の威圧感が増す。

 

 

「くっ……! 何時もこうなってしまう……」

 

「言ってる場合じゃ無いわイッセー! 止めるわよ!」

 

「あぁ……わかってる!」

 

 

 この瞬間にも力を増してる兄貴を止めなければならないと判断した俺とリアスが、並んで構える。

 くそ、こんな狭い空間でその力を使ったら旧校舎が……!

 なんて考えながらも、今にも飛び掛かりそうな兄貴を見据えながら体内のリミッターを外そうとしたその時だった。

 

 

「本当に今日は予想を越えた出来事ばっかりだ。

リアス嬢といい……キミといい、赤龍帝くんの危うさといい……」

 

「「え?」」

 

 

 小さく、それでいて耳に入りやすい声を発した金髪の男がゆっくりと、構える俺とリアスの前に立ち、思わず二人して変な声を出してしまった。

 

 

「怒らせたのはどうやら俺みたいだし、赤龍帝がどんなものかも知りたいしな――此処はお兄さんに任せなさい」

 

「っ……ああああぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

 

 雄叫びをあげ、真っ直ぐ俺等に向かって突っ込んで来る兄貴を見ずに、俺とリアスに笑い掛けた金髪の男はそう言うと、兄貴の方へと視線を向け、突如として重苦しい重圧感と共に目付きを鋭くさせて右手を挙げながら一言――。

 

 

「ま、とはいえ……今の赤龍帝クンにはこれで充分そうだがな」

 

 

 あくまでも冷静にそれだけを言った金髪の男は、特攻してきた兄貴の頭を、挙げていた右手を使い、まるで飛んでいる虫を追っ払うかの様な感覚で、軽く……本当に軽く子供を叱るかのような感覚としか思えない力加減で叩いた……少なくとも俺達にはそう見えた。

 

 

「ぐはっ!?」

 

 

 パシンと軽いビンタの様な音が部室内に響き渡るのだが、やはりその音とは裏腹に、叩かれた兄貴は勢い良く顔から床に激突した。

 

 

「今キミに興味は無い。少しだけ静かにしてもらおうか」

 

「ぐ……が……!?」

 

 

 興味の無い玩具を見る様な目をしながら、即座に起き上がろうとする兄貴を見下ろした金髪の男は、言うか早いか素早く首の後ろに手刀を一発入れ、そのまま意識を刈り取られた兄貴は床に転がったまま意識を失う。

 

 

「さてと、こう言ってはなんだが厄介な子はこれで静かになった……。

これで漸くキミと話が出来るぜ……リアス嬢を引っ張りあげたのは君だろう、弟くん――いや、兵藤一誠くん?」

 

 

 やはりというか、この男の気質はこの中の誰よりも……兄貴に吹き飛ばされた姫島三年と塔城一年と木場同級生を介抱していた銀髪の女より更に上に居る。

 強い気配だとは思っていたが……。

 

 

「すまん、迷惑を掛けた」

 

「私が至らないばかりに……申し訳ございません」

 

「なぁに、子供の癇癪を宥める程度で迷惑だとは思わんよ。だからキミもリアス嬢も気にするな」

 

 

 やばい……強すぎて口の端が歪むのを抑えきれない。

 なじみとまでいかないが、それでも俺にとっては強大な壁が目の前に現れてくれたこの歓喜する気持ちが抑えられない。

 

 

「さてと、猫被るのも止めて、さっさと話を進めようぜリアス嬢、グレイフィア様?」

 

 

 この男は……俺の遥か格上だ。

 

 

 

 

終わり

 

 

 

オマケ

お留守番の生徒会役員とお師匠さん

 

 

 リアスに呼び出され、生徒会室から出ていった後、残ったアーシアとレイナーレ……そしてなじみは、色々とオカルト研究部の部室で巻き起こってるのも気にせず、呑気で割かし和気藹々トークを広げていた。

 

 

「一誠は女に興味が無いわけじゃないのさ。

だから、試しに色仕掛けの一つでもしてごらん……結構取り乱すから」

 

「……。やってみたことならあるわ。

逆に『男に裸体を見せるなこの戯けが!!!』って怒られたけどね」

 

「私も怒られました……」

 

「そうなの? あれ、おっかしいな……高校入学のお祝いと託つけて『昔みたいに一緒に寝る? ついでに大人の男にしてやろーか?』って言ったらかなり取り乱したんだけどなぁ……」

 

 

 

『ば、馬鹿言うなよ! あんただって女だろうが!! そんなもんダメだ!』

 

 

「って言ってたっけ。

珍しい反応だったから、面白がって色々と悪戯してやったっけか……はっはっはっ」

 

「「……」」

 

 

終わり

 




補足

ちなみに、イッセーとリアスがツーマンセルで最初から全力全開で1分程、其々単独なら5分程で何とか出来ます。

故に、擬音にして『ぺちん』で黙らせらるライザーさんとそのライバルは単純に隠しボスでヤバイんです。

その2

ぶっちゃけ、今の兄貴って実は禁手化までしてます。
ただ、原作イッセーくんとは違って、色々とかなり禍々しくなってますが。


その3
兄貴と一誠の関係は殆ど破綻してます。
今回後手だったのは、単純にお客人の前でソックリな顔した男と殴り合うのは無いと判断したからです。
普段は割りと即座に黒神ファントムで迎撃してます。

リアスさんが兄貴に対して遠慮がしがちなのは、どうであれ互いの了承で下僕にしたからなのと、一誠さえ絡まなければ真面目に普通に大人しいからです。

といっても今回で結構覚悟入りはじめてますが…
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