生徒会長・イッセー   作:超人類DX

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…………。もういいや、やけくそっす。

これで良い。
どうにでもなれ!


悪平等

 最高だ。

 こんな気分になったのは、覚醒したサイラオーグと殴り合う時以来だ。

 

 人間……俺達からすればそういう存在でしかない只の人間である彼が見せる可能性が宇宙の様に広く、その人間に引っ張り上げられたリアス嬢も同じく大きな器だ。

 久方振りだぜ……本当に心の底からワクワクしたのは。

 だから俺は魔王が呈示する意図が丸分かりのレーティングゲームに乗る。

 そうすることが、一番あの二人の可能性を近くで見れる方法だから。

 そして俺も……その可能性に応える為に、今日も自分を……いや自分達を鍛えるのだ。

 

 

 

 

 

「10日後に、グレモリー眷属と一人の人間と戦う事になった。

殺し合いでは勿論無いのだが、お遊びで臨むつもりもまるで無い」

 

 

 冥界の片隅にある、普段は誰もが全く立ち寄らない広場がある。

 理由は様々なのだが、本当は幼き頃から種としての突然変異体として超越者とも言える力を持つライザーが、その力に傲ること無く常に高める為に人避けの結界を張っていたからだったりする。

 そんな場所……本人とその眷属と友にしか立ち入る事が許されなくなった空間内では、王でたるライザーが自身の足下で膝付く眷属達に、昨日で得た情報と下した判断を告げていた。

 

 

『…………』

 

 

 棍使いの童顔少女であるミラ。

 チェーンソー双子で同じく少女であるイルとネル。

 獣人戦士の姉妹、ニィとリィ。

 他にもシュリヤー、マリオン、ビュレントの以上がライザー眷属の兵士。

 甲冑装備のカーラマインと、大剣使いで一撃で相手を叩き伏せる事に定評があるシーリスは騎士。

 顔の半分を仮面で覆った美女イザベラ、チャイナ服の雪蘭は戦車。

 十二単を着た美南風とライザーと同じ髪色と雰囲気を持つ実の妹のレイヴェル・フェニックスが僧侶。

 そして、本人はあんまり好きな渾名ではないが、爆弾王妃(ボム・クイーン)の異名を持つライザーの右腕であるユーベルーナ。

 

 

 以上、計15人……兄の下で鍛えたいという理由でこの場に居る妹であるレイヴェルを抜かせば14人が、ライザー・フェニックスが何よりも大切にする眷属達だ。

 元は生まれも育ちも皆違う。

 しかし、自分達が膝をつく先に堂々と君臨する絶対の忠誠と愛情を抱くライザーとの出会いがあって、今全員の心は一つである。

 

 

「つまりだ、今まで『普通に』戦ってきて、お前達に窮屈な思いをさせてきた訳だが、この度、彼女達との戦いは全力で……隠すこと無く臨むことにするつもりだ」

 

『………!』

 

 

 心地好さを覚えるアルトボイスで、静かに告げたライザーに、眷属達は少々ざわめいた。

 全力で戦う……それはつまり、今までライザーがひた隠しにしてきた事を公にする事に他ならぬ事であり、また、そうまでする必要が相手側にあるのか甚だ疑問だったりする訳で、女王であるユーベルーナは、自分と同じ疑問を抱く眷属達を代表してライザーに問い掛ける。

 

 

「ライザー様がそこまですると判断させる程の方々だったのですか? リアス・グレモリー様達は?」

 

 

 あの日、ライザーが一人でリアス達に会いに行くと行ってしまったせいで眷属達はリアスを……そして一誠を知らない。

 故に当然の事ながら、本来の王の気質を知っているからこそ、隠していた事を公にする覚悟で本気でやるという彼の言葉が疑問だった。

 

 

「うむ、強いぞ。

少なくとも、今まで付き合いでやって来たレーティングゲームの様にやると確実に足元が掬われちまう程にな」

 

 

 そんなユーベルーナの質問に、ライザーは穏やかな笑みを溢しながらハッキリと頷くと、ユーベルーナ達の表情が変化する。

 相手を油断せず叩き伏せ、勝利せんとする戦士の表情へ……。

 

 

「左様でございますか。

ならこのユーベルーナ……いえ、我等ライザー様の下僕は、リアス・グレモリー様とその眷属達との戦闘に一切の慢心を抱かず叩き伏せてご覧にいれましょう」

 

「うむ。お前達は立派な……そして俺の自慢の眷属だ。

気質と強さは彼女達に一切の引けを取らないとわかっている。

だから………頼むぜ?」

 

『はっ! 全ては王であるライザー様の為に!』

 

 

 眷属達は敬愛するライザーに誓い、そして歓喜する。

 王が……自分達の大好きな王が本当の……見てくれで勝手な判断をして勝手な邪推をする連中に最強の姿を見せてくれることに。

 元々の生まれも育ちも違う……けれど、皆の共通することは、ライザーの強さと気質……そして全てを包み込む優しき炎に惚れたのだ。

 慢心はしない、優しさに甘えるだけはしない……。

 眷属として下僕として……王の期待に応える。

 それが皆の生きる意味なのだ。

 

 

「よーし、んじゃあ堅苦しいのはやめやめ!

こっからは10日に備えて伸び伸びと修行だ!」

 

「それじゃあ、ライザー様に組み手をお願いしたいです!」

 

「あ!? 抜け駆けなんてずるいわよ!」

 

「私だってライザー様と一緒に……!」

 

「はは! 良かろう、全員で掛かって来な。

一撃与えられたら…………ええっと、お願い事を一つ聞いてやるぜ! あ、モラルに乗っ取ったお願い事でな!」

 

 

 七色に輝く炎を持つ……虹炎の王に。

 

 

 ライザー・フェニックス

 所属・フェニックス家三男および、ライザー眷属(キング)

 

 

 

 備考……風と七色の属性を孕む炎を操る『超越者』。

 

 

 

 そんな訳で、ライザー達は10日後に備えての修行に取り組んだ。

 苦笑いしているレイヴェルが見ている中、眷属達が一丸となって、お願い事をしてくれると言ったライザーに一撃を加えようと飛び掛かるのを、笑いながら避けて其々に動きの指摘をするという、一見すればお遊びにしか見えないやり方。

 しかしこのやり方が眷属達にとって一番楽しく、そして確実に強くなれるやり方だと知っているので誰も文句を言うことは無かった。

 

 

「そーら、どうしたカーラマイン! 動きが散漫だせぇ?」

 

「くっ……はは、やはり貴方という方は……!」

 

「よっと、ふふんユーベルーナはカーラマインを囮に俺の背後を爆破ってか? 甘いぜ!!」

 

「炎の推進すら使わずにその速さ……本当に恐れ入りますわ……!」

 

 

 ある時はフェイントを、ある時は連携をと……様々な戦法を駆使して自分に一撃を入れようとする眷属達の頑張りを間近で見られる事が、ライザーにとっては何よりも楽しく、このつまらなく、息苦しい悪魔人生からのストレスを発散できた。

 しかしながら、そのストレス発散もお邪魔が入ると宜しくないものに変化する訳であり…………。

 

 

「ライザーくーん!!」

 

「え? ………………………。げっ……!」

 

 

 ある意味で表のチャラチャラキャラでも、素のキャラのどちらとも苦手とする存在の出現は、ライザーの気分をぶち落とす結果となってしまう。

 

 

「や、ライザーくん! ライザー君に会うためにお仕事ぶっ飛ばして来ちゃった☆」

 

 

 自分以上に軽く、絶望的に自分より位の高い存在である……この訳の分からない格好で魔王やってる女性には。

 

 

「…………。これはこれは……レヴィアタン様。

若輩者である私と我が眷属達の密かな特訓場面にお越しいただけるとは……光栄でございます」

 

『…………………』

 

 

 ゴッテゴテの、それこそ大人のお友達が大喜びしそうな召し物を正装と真面目に宣う魔王……レヴィアタンの軽くて軽くてしょうもない挨拶に、ライザーは内心デカい舌打ちを噛ましつつ、表面は思いきり愛想の良い笑顔を向けながらその場に膝付く。

 その一歩後ろで、眷属達も同じくライザーに続いて無言で膝付いている。

 

 

「やーだ、ライザーくんってば!

そんなよそよそしい呼び方は止めてって前に言ったじゃん。

セラフォルーって呼び捨てで呼んで☆」

 

「無理です。勘弁してくださいお願いします」

 

『…………………………』

 

 

 ふざけた事を言ってくれる……。

 キャラ的に最も苦手とするセラフォルー・レヴィアタンがウィンクと共に告げるのを、ライザーは即答と真顔で切り捨てる。

 眷属と妹とサイラオーグにしか本当の自分を見せてなかったのに、ある事件でこの魔王が見てるとは気付かずに素を見せたのが……ライザーにとって人生一番の大失敗だった。

 素を知られてからというものの、事あるごとに絡んでくるわ、勝手に人の電話番号を控えて鬼電してくるわ。

 魔王じゃなければとっくに口封じしてかもしれないくらいに、ライザーはうんざりしてたのだ。

 

 

「なんでよー?」

 

「何故? 言いたかありませんが、貴女様はバカなんですか?

俺は只の貴族家の三男坊のドラ息子で、貴女様は魔王。

位が違うんですよ位が。それくらい理解してくださいよ」

 

「そんなの気にしないって私が言ってるんだから、良いじゃーん……ねーライザーくーん……」

 

「…………。(う、うぜぇ……)」

 

 

 良い年してその格好もだが、一々小僧一匹に魔王が駄々を捏ねんなよというしょっぱい気持ちと、ベタベタと膝付く自分の肩にもたれ掛かられるのが堪らなく鬱陶しいと思うライザーは、然り気無くもたれ掛かるセラフォルーから離れようとその場を立つ。

 ふと後ろを見ると、もたれ掛かるセラフォルーを射殺せんとばかりな目で睨む眷属達と、生温い目で自分達を見守る実妹。

 

 

『…………………』

 

「あの……ちょっとくっつくの止めて貰えません? 鬱陶しいんでね。

で、何のようですか? 遊びに来たのなら後日にして貰えます? 俺達は10日に控えるレーティングゲームに向けてトレーニングの最中なんで」

 

 

 先日会った魔王の妹であるソーナ・シトリーと何もかも違う事に奇跡を感じつつ、セラフォルーからサッと離れたライザーが『もう帰れ』と、最早魔王に対する態度とは思えない悪態で用件を聞く。

 登場様に遊びに来たと言うのが本当なら、こうして眷属達とのコミュニケーション兼修行の邪魔にしかならないので、追い出すつもりだと……眷属共々態度に示しながら。

 真面目な話、いくら強かろうと、彼女を相手にするよりも一誠とリアスの可能性を見る方のが有意義だと思ってる程だ。

 

 そんなライザーの態度の悪さを、セラフォルーは特に気にも止めず、今思い出したかの様な表情を浮かべながら時間経過と共に嫌そうな顔が露骨になっていくライザーに笑い掛ける。

 

 

「あ、それ聞いたよ! リアスちゃんとレーティングゲームをするんだよね?」

 

「ええ、そっすよ。

その為に大事な大事な眷属達と修行するんで、レヴィアタン様はこんな雑魚でチャランポランで女の尻撫で回すのが大好きな餓鬼に構ってないで、早く帰ってお仕事を頑張ってください」

 

 

 こうでも言わないとわかりゃしない……。

 悲しいかなセラフォルーの軽すぎるノリのせいで上手く撒けないライザーの淡々として刺々しまくりな言葉と声は、流石にセラフォルーの心を傷付け――

 

 

「うん、良いよ。

私もライザーくんの修行に付き合ったげる☆」

 

 

 るなんて事は無く、全く話を聞いてないとばかりに修行に付き合うと宣うのだった。

 しかもライザーの眷属が目の前に居るのにも拘わらず『ライザーの修行に』と言ってるのが然り気無いミソだった。

 

 

『………………………………………………』

 

「この……っ! 人の話を聞かねぇ魔王が……!」

 

 

 しかしライザーはそこに気付かず、話を聞かない軽すぎる魔王に、頭の血管がキレそうになった。

 何を言われても軽く受け流せるのに、どうにもこの魔王だと自分のペースが悉く乱されてしまう。

 冥界を見限り、眷属達と余生をほのぼのと暮らそうと画策するライザーにとっての目の上のたん瘤……それが現代を生きる四大魔王の一人、セラフォルー・レヴィアタンなのだった。

 

 

「駄目? 私これでも魔王だし、ライザーくんの修行相手としては良いとおもうんだけどなー?」

 

「結構です。一介の貴族でしかない小僧が貴女様と一緒に居るだなんて見られでもしたら、何を言われるか……」

 

「でも、此処もそうだけど人避けの障壁があるから見られる事は無いんじゃない?」

 

「だから………………。もう結構です」

 

 

 

 突き離そうとしても、しつこくくっついてくる。

 どんな理由があって、何を考えてそうなのか、ライザーに見当は無かった。

 しかし、こうも邪魔となるといくらライザーでも容赦はしない。

 

 

「お前達……下がってろ」

 

『………は』

 

 

 見切るを付けていたとはいえ、実家を……フェニックス家の存亡に関わる真似はしなかった。

 だが……それ以前に自分の歩く道を邪魔するものが居るのなら……それが誰であろうと退かす。

 眷属達を下がらせ、キョトンとするセラフォルーの前に一人立つライザーは、目を伏せ、深呼吸と共に精神を統一させると、どうしたの? と呑気に首を傾げるセラフォルーを射殺せんとばかりの眼光と魔王を越えんとする覇気をその身から放ち、右手に破壊のみに特化させた炎で作り上げた光球を生成する。

 

 

「貴女に俺の本性が知られてしまったのが、一番の失敗だった。

それまで俺の存在すら知らなかった癖に、手の平を返したかの様に鬱陶しく付きまとう貴女はハッキリと言って邪魔にしかならない」

 

 

 どんな目的があって、自分の本性を知ったセラフォルーが鬱陶しく付きまとってくるのかは知らない。

 額に橙色の炎を浮かび上がらせ、その額の炎の色と同じ澄みきった橙色の瞳でライザーはセラフォルー・レヴィアタンを見据えて口を開く。

 

 

「だから……」

 

「む……そんな言い方されると流石に傷ついちゃうなぁ……」

 

 

 右手に作った光球が太陽の様に大きく輝きを増し、己の同等……もしくはそれ以上であるライザーの殺気と覇気を真正面から浴びて喜びを感じると共に、拒絶とも言える言葉をぶつけられて、心がチクチクするセラフォルーは、それまでの軽いノリから傷付いた女の子の表情になる。

 が、ライザーは気にしない。

 今まで散々自分達を引っ掻き回したのだ……最早許せるのは今日まで。

 予定とは少し違うが、結局はサーゼクスもセラフォルーも同じ魔王……だから。

 

 

「死ぬ気でアンタを叩き伏せて、俺に関する記憶を消す!」

 

 

 流石に始末は出来ないので、動けなくしてから記憶を消すことに決めた。

 

 

「ふーん、本気のライザーくんには勝てないかもだけど、全力で抵抗しちゃおっかな☆

せっかくライザーくんを知れたのに、その記憶を消されたくないから☆」

 

 

 軽いノリから来るものではない、只純粋な笑顔を見せながら、セラフォルーはその勝負を引き受けた。

 強く、気高く……何時か教えられた少年と同じ気質を持つ、若き悪魔からの挑戦を。

 

 

 此処等周辺の地形が変化した後のケアとか互いに取り敢えず横に放置して。

 ちなみにお気づきだろうか、この二人のやり取りが……何処となーくとある師弟に似てなくもない事に。

 

 

「やっぱり凄いよライザーくん!」

 

「驚くのはこれからだッッ!」

 

 

 何故ライザーへ近付くのか……どうしてこうまで言われてるにも拘わらず笑っていられるのか……。

 

 

(当たり前だよ。

だって……ふふ……ははは……やっぱりライザーくんは強いなぁ)

 

 

 襲いかかる炎を時には避け、時には氷らせながら、セラフォルーは笑う。

 

 

 

 

 

 

 

(これなら彼と衝突すれば確実に成長する。

彼の……一誠くんの成長が私達の……安心院(あんしんいん)さんの望みだもんね♪)

 

 

 全ては、悪平等(ノットイコール)が愛した弟子の為に。

 それがセラフォルーが密かな超越者である彼にしつこく付纏う理由だった。

 

 

 セラフォルー・シトリー

 所属・冥界四大魔王(外交担当)

 

 

 

 

 

 

 備考…………現存3人である悪平等(ノットイコール)の内の一人。




補足

つまり、ベタベタとくっついてた理由がそうだったんです。

修正前はそこら辺の描写を敢えてやりませんでしたが、取り敢えず分かりやすくしました。
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