-博麗神社 AM9:00-
「今日はいい天気ね」
朝っぱらからそんな呑気なことを言っているのは、博麗霊夢である。
しかし、そんな霊夢の顔が一変して少し怪訝な表情を見せる。
「なんのようかしら?」霊夢は問う。何もない空間に。
その声に答えるように霊夢の後ろから声がした。
「あら?気づいてたの?」
霊夢の問いに残念そうに答えた声の主は、スキマを使って博麗神社に遊ぶに来ている八雲紫だ。
紫の存在にイラつきを見せながら霊夢は返す。
「あたりまえじゃない!」
そんな霊夢を宥めるように紫が言った。
「まぁまぁ...プレゼント持ってきたし... ね?」
霊夢は不機嫌な態度を変えずに聞く。
「プレゼント?」
「ええ。」
そう言って、紫は手のひらの物を霊夢に見せた。
なにやら外の世界の物のようだが...
「なによ...コレ...?」
-その頃-
森の上空を緑髪の少女が溜息を交えながら飛んでいる。
その少女とは、東風谷早苗である。
早苗はパトロール中なのだが、
「最近はなにもなくて暇ですね...」
と言う程には、幻想郷は平和であった。
「空から何か落ちてこないかn...」
早苗がふとそんなことを言った時だった。
早苗の目に太陽の光を反射して光を放つものが目に入った。
森の中にそんなものがあるのはおかしいと感じた早苗は”それ”に近づいた。
早苗には見覚えのある物だった。
とにかく一度、神奈子に知らせるためにと早苗は”それ”を手にしてその場を去った。
-博麗神社 PM9:00-
霊夢が紫に貰ったもののことについて思い出していると、突然"それ"が「ブゥ」という音とともに激しく振動し始めた。「なによ」
落ち着くのにだいぶ時間がかかった気がするが、自分の勘を便りに画面を触ってみた。
-守矢神社 PM10:00-
早苗「も、もしもし...霊夢さん?」
拾ったものが何であるのか知っている早苗は、神奈子には話さずに"それ"を使って霊夢との会話を試みていた。
霊夢「ん?早苗? ねぇ、何なのコレ?」
早苗「これはですね、外の世界にある"携帯電話"というものです」
「って、霊夢さん!何なのか知らないのになぜ持ってるんですか?」
霊夢「ん?ああ、ちょっとある奴からプレゼントされたんだけど...」
そう言いながら。霊夢は紫の顔を思い出して少し不愉快になった。
早苗「そうですか、なにはともあれ」
「霊夢さんとこうして直接会わなくても話せるなんて...」
「嬉しいです!」
霊夢「・・・」
早苗「どうしよう!テンション上がりすぎてもうヤバイです!」
霊夢は電話越しにでも分かる早苗の高揚っぷりに、引いていた。が、早苗はそんなことお構いなしに喋り続けた。
早苗「これから毎日霊夢さんにモーニングコールとかしちゃおうかな♪」
「ああ、でも寝る前にも霊夢さんの声が聞きたい...」
「寝る前にもかけちゃおっかな♪」
「おーい、霊夢さ~ん!聞こえてますか~?」
「霊夢さん!」「霊夢さんってば~」「寝ちゃったのかな?」
早苗の言動に耐え切れなくなった霊夢は口を開いた。
霊夢「早苗?」
「ひとつ言っていいかしら?」
早苗「はい!なんでしょう?」
霊夢「あなたそんなに一人で喋ってて 悲しくならないの?」
早苗「・・・?」
思いがけない霊夢の言葉に、早苗のテンションも一気に下がっていった。
霊夢「そりゃ、あなたからしたら 私と話していることになっているんでしょうけど」
「周りから見たらあなた、ただ一人で機会に話しかけ続けてる...」
「おかしな子にしか見えないわよ?」
早苗はただ黙って聞いているしかなかった。
霊夢「人と話すということはただ声を、音を相手に伝えるだけじゃないのよ?」
「話している時の表情、
体の動き、
目線...」
霊夢「それら全部を使って、相手に自分の気持を伝えるのが会話ってもんでしょ?」
早苗「それはそうですけど...」
霊夢「私たちが今しているのは、"音声"というデータを相手に送っているだけ」
「これでは会話とは言い難いわね」
早苗「・・・」
遂に涙目になる早苗。しかし、霊夢は気にせずに続けた。
霊夢「まぁ、これはあくまで外の世界のあまり文化を知らない、私だから言えることかもしれないけどね」
「やっぱりあんたとは声だけじゃなくて、」
「あんたのその純粋無垢で真っ直ぐな目を見て 話をしたいじゃない」
霊夢「風のような、あたりまえのようにそばにいてくれる存在」
「それがあんたでしょ?」
早苗「.....霊夢さんの....バカ...///」