Fate/ragnarok gate   作:フーリン式

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盾の英雄――2

 

 午後六時。

 本格的に冬に入ってきたこの時期はもう日が暮れるのも早く、青年の心を憂鬱とさせる。

 

「……はぁ」

 

 白く色づいた自分の吐息を見て、前屈みにベンチに座り直す。

 傍らには嬉しそうに缶コーヒーを飲むパートナーがいて、その姿に変貌を遂げた壬生カグヤの姿を重ねていないというと嘘になる。

 

「マスター」

 

 突然、キャスターの声色が変わったような気がして隣に目を向ける。自分の視線に気がついたのかと思ったが違っていた。

 キャスターはベンチから既に立ち上がっていて視線を先にある正門へと向けていた。

 自然とキャスターの視線を辿り自分も門の方へ目を向けると

 

 

 

 ――そこには【鎧武者】が一人、夕暮れの境界線に佇んでいた。

 

 

 

「な……んだあれ」

 

 日常の中に現れた非現実に息を呑む。つい先日、透明な暗殺者に出会ったばかりだというのに自分の脳はアレを理解するのに時間をかけている。

 西洋の銀の鎧とは違う甲冑武者。

 派手な赤の装飾に全身を包み、大きな兜のせいで表情は見れない。しかし紛れもない敵意が片手に握られている日本刀から感じられた。

 

「キャスター…あれ」

「うむ。サーヴァント、じゃな」

 

 返答を返すとキャスターは一瞬の内に光に包まれ、初めて会ったとき同様、紫と白の着物に身を染める。

 

「其処。見たところ武人のようだが決闘の前の挨拶も無しか?」

 

 挑発にも似た言葉を口にしキャスターは戦闘態勢をとる。

 それに対して大兜のサーヴァントは沈黙を守ると思った矢先、 

 

「がはっ」

 

 吹き出したよう笑い声を漏らした。

 一瞬、冬児とキャスターもそれぞれが笑ったのかと思って顔を合わせたがもう一度武者の方に目を向けると腰に手を当て高笑いする巨体の男の姿。表情は伺えないままだが大きく肩を上下に揺らし笑い続けている。

 

「がはははははははっ!!!まさか年端もいかぬ生娘にそのようなことを言われるとは、儂も鈍ったものよな!!久しぶりの戦とあって少々固くなっておったわ!!」

 

 中年の声だった。

 まさに日本人がテレビなどの再現ドラマを見て感じ取る、武将のような喋り方をしている。

 これには冬児もキャスターも頭にハテナマークを浮かべるかと思いきや、キャスターの表情は明らかに違っていた。

 英霊として大笑いされたことに腹が立ってしまったのか。

 キャスターは武者に向かって左の手の平を向け大口を開ける。

 

「待てそこの甲冑………お主、どこをみて我のことを『生娘』と言ったぁぁぁ!!!??」

 

 ――そこか!!?

 と、突っ込みたくなるようなことを叫んでいる自称英霊。

 それを聞いて甲冑の方は漸く大笑いを止め、こっちのほうが疑問を返したいとでも言わんばかりのそぶりでキャスターに目を向ける。

 

「何って、まぁ気よな。お主からは生娘のにおいが漂っておる!!」

「のうマスター………ああいうのを、現世では『セクハラ』というのであろう……?殺っていいのじゃな?魂還らしていいのじゃな?な!?」

「えっ、おっおお」

 

 困った。今のキャスターは絶対全力で怒ってる感じだ。

 だからこそ彼女の次の行動は子供でも理解できるほどの単純なもの。

 先手必勝。

 相手の武者が構える間も与えず、右手を相手に翳す。

 

「ぐぬっ、!?」

 

 それだけでキャスターは相手を『爆破』することができた。

 火薬やガスを使った近代的爆発術とは違う、魔術による爆発の再現。

 人一人を木っ端微塵にする中規模爆破が武者を襲い、既にその姿は視認できず硝煙だけが広がっていた。

 だが既に気づいている。冬児もキャスターも。

 目の前の武者がこの程度でやられる筈などないということを。

 

「人に名乗れと言っておきながら随分なご挨拶ではないか、のう生娘。儂は気分が悪くなった。悪くなった、ので」

 

 早眞冬児の戦闘経験はあまりに浅い。やったとしても友人との些細な喧嘩ぐらいだ。

 だが本能が命じていた。

 これは危ない。避けろ。厄災が来ると。

 

「避けろ!!キャスター!!」

 

無我夢中でそう叫び、次の瞬間には状況が変わっている。

 

 

「“小烏丸:天上龍”」

 

 

 それはあまりに速く、形を持たない『斬撃』。

 光を纏い、一つの形ではなく大きな塊としてあらゆるものを切り捨てる。

 蛇のように、いや天を翔ける龍の如く自由な斬撃は、硝煙を切り裂き、そのまま校舎の一部分を半壊させた。

 ――キャスターの片腕を切り落としてから。

 

「きゃ、キャスターッ!!!」

 

 冬児は叫ぶも、切り落とされた本人であるキャスターの顔に焦りはない。むしろ相手の鎧武者の動きを冷静に観察しているようにも見えた。

 

「擬態、とはな。なかなかに面白いことをしてくれる。我が家宝の一撃をくらい、まだ害虫の如く生きているとはあつかましい女だ」

 

 声と供に切り裂かれた硝煙の中から現れた武者も、妙に冷静な声のまま歩みをやめない

 

「“小烏丸”……か。お主がどの時代の当主かは知らんが、だいたい正体が掴めたぞ」

「そうかそうか。だが、正体が掴めたところで今の斬撃二度は返せまい。だいたい魔術師の貴様が陣地に篭らず、悠々と出歩いている時点で自殺行為なのだ」

 

 そう言って武将はもう一度刀を構える。

 決して大きくはない日本刀を両手持ちにし、刃の先をキャスターに向けている。

 突きの構え。

 ドラマや映画で使われる日本刀の活躍の多くは『斬る』が最も定着のある攻撃手段である。勿論それが本来の使い方ともいえ、刃物の使用目的はやはり一般的に考えても切る・斬ることにある。

 しかし射程範囲の狭くなる『突き』も立派な殺人手段には違いないのも確か。

 刺さり貫くが真丈である日本刀の突きは、一撃必殺として知られ物によってはサーベルに引けもとらない貫通力を持つものもある。

 だからこそ目の前の男の突きは上記を逸している。

 さっき自分たちを襲った光の斬撃がこの体制から繰り出された突きだとしたら、その性質はおかしい。

 真っ直ぐ直進するが故殺傷力の高い筈の突きが自由に動き回っているのだ。視界さえ安定すれば避けようがないのだから。

 しかし、キャスターが反応したのはその点では無かった。

 敵にクラスがバレている。

 ただ単に目の前の武者が、昨日のうちにアサシンを倒し自分たちの情報を聞き出したという線もあるが、今は理由なんて関係ない。

 自分がキャスターという白兵戦に不向きなクラスであることは、更にそれを相手に知られているということは、キャスター自身にとって――好都合に他ならないからだ。

 

「さて二激目の翔ぶ斬撃、いや突撃を躱すにも防ぐのにも、その腕ではできまい。魔術師。大人しく降参して貴様の主を引き渡せば双方の命とも助けてやる」

「!!」

「乗せられるなマスター。こやつは見た目や言動通りの馬鹿者ではない。お主が欠片を渡したとしてもどちらにしろ我らの命は無い」

 

 そうキャスターは冬児をいなしながらキャスター懐から三種類のもので戦闘準備に入る。

 最初に出した黒い布で、自身の長い黒髪を結び

 次に出した白い布を使い自身の着物の両脇を縛り

 最後に出した銅の剣を片手に持つ。

 それは術者である筈のキャスターが、まるでこれから近接戦闘をするように見えた。

 

「……なんだ、その格好は。剣客にでも転職したのか貴様」

 

 対して本当に刃物の扱いを知る武者の方は余裕の表情でキャスターを観察する。

 いくら名高い英雄であっても、この国の女子で武勇の伝説を持つ者はあまりに少ない。それに加えて目の前にいる生娘のクラスは“キャスター”。もし性別を偽っていた英雄だとしてもそのクラスに選ばれている時点で白兵戦では非力なのは確実。

 ならば、そう結論したのなら撃てる。

 

「先程の一撃、真に見事であったが」

「“小烏丸」

「貴様の突撃では我には届かぬよ」

「天上龍”!!」

 

 またも刃が輝き、光り輝く自由自在の突きが銅器を持つキャスターを襲う。

 あれがどういう原理で翔んでいて校舎を破壊するほどの攻撃力を持っているのか、冬児は一つも理解できていない。

 ただ理解できていることは二つ。

 それはあの突撃と呼ばれるものの殺傷力と、キャスターの眼が一ミリも諦めていなかったことだ。

 キャスターがとった行動は至極簡単である。

 手に持った銅の剣を使う訳でもなく、また光の突撃を回避する訳でもなく、片手に持った銅の剣を光に向かって投げつけるというものだった。

 

「!?」

 

 それを見て赤い鎧の武者は考える。その行動の意味を。

 しかしその答えを出す前に結果は目の前に現れる。

 眼に映る、自身が出現させた突撃とぶつかる謎の青い防御癖。

 投げつけられた青銅器は光の攻撃を防いでいたのだ。

 更に驚くべきことはもう一つあった。

 防御癖の影からこちらに殺気を放って現れる一つの影。

 本来、術者というものが後方支援の立場にあることを武者は知っていた。

 自分の生きていた時代にはそういう者はあまり多くは存在していなかったが、度々見かけるそういう者達は決して前線に立つことなかった。

 しかしそれは武者の生きた時代の話。

 現代の魔術師達の中には肉体を強化し近接戦闘を行う者や光線を出す者なども存在する。それは紛れもない技術の進歩から生まれた進化の形。生物は本能的に進化を目標とし、魔術師とは代を重ねて起源へと至ること最終目標としている。

 だが進化が全てという訳ではない。

 進化の逆とは退化ではない。

 紛れもない【起源】そのものなのだ。

 

「ーーフッ」

 

 笑いではない。キャスターが行ったのは思考を纏めるための呼吸。

 片腕を失ったキャスター。その残った左腕に巻かれていたのは、紐を付けた三種類の色の違う“勾玉”。

 その巻かれた勾玉を拳の中に握りしめ、武者の懐に入り込む。

 

「ッ!!?」

 

 武者が気づいた頃にはもう遅い。

 キャスターの拳が決して速い訳ではない。しかし、武者の理解が遅かったのだ。『術者が自分の予想を超えた身体能力を持つ筈などない』という驕り。

 それが彼の今回初の負傷を許すことになる。

 勾玉を持ったキャスターの左の拳が、何の躊躇いもなく武者の赤い鎧に叩き込まれる。

 

 

 

 

 

 その瞬間、冬児が見たのは武者の突きとは違う、色鮮やかな巨大な光。

 朱蒼翠の光は急速に広がり、強力なエネルギー波となって武者を包み込む。

 

「あっぐぅっ、あぁぁぁぁあっ!!!」

 

 その瞬間、光に飲まれた瞬間、武者は理解していた。

重要なのはこの生娘の拳などではなくその手に握られる勾玉の方だ。

 恐らくは呪術道具。

 理解したが理解しても決して回避できない攻撃に対して武者がとった行動は、ただ受けるというもの。

 

「ぐぅぁぁあぁぁあっ!!!」

 

 そこに迷いは無い。自身の肉体を守るためなら、自身の一族を救うためなら、例えこの者共に出自を知られたところでなんら関係ない。

 武者は腹筋と赤の装甲で光に耐えながら、今戦い初めて、自身の“宝具”の名を口にする。

 

「“薄雲鎧”ィィィッ!!!」

 

 輝くは赤より変わる【黒の鎧】。

 鎧が行った防御法は至極簡単。

 『ただ耐える』。その一点のみで爆発的エネルギーを放つキャスターの拳を耐えていた。  

 爆発的攻撃力と驚異的な防御力のぶつかり合い。

 先に諦めたのは、勾玉のエネルギーが切れたキャスターの方だった。

 

「っ」

 

 キャスターは力の尽きかけた三つの勾玉の最後の力を振り絞り、それを攻撃ではなく前方に一直線に放つことによって、武者との距離を取ることに使った。

武者はそれを止めることはせず、キャスターの距離の確保を許す。

 

「キャスター!!」

 

 キャスターが地面に両足を付けたところで冬児はようやく声を出すことができた。

 気を抜いた訳ではなく、目の前の激闘に声を出すことも叶わなかったのだ。

 声を掛けてくれた自分のマスターに対してキャスターが行った返事は手で返すこと、それだけ。

 自身でも溺愛していると言い放った主に手で返すという味気ない返事をしたのは決してマスターに愛想が尽きたという訳ではなく、ただ目の前にいる武者から目を離せなかっただけなのだ。

 

「やはり、そうか。その刀、その鎧、その名前を聞いて確信した。お主があの一族の人間というのは理解した。そしておそらくあの人物だということも」

 

 勾玉を持っていた方の手を軽く振りながらキャスターは武者に向けての言葉を紡ぐ。

 

「我はてっきり“セイバー”のクラスだと思っていたのが、その鎧、違うな。お主のクラスは」

 

 一息付き、しっかりと敵を見据えてキャスターがもう一度言葉を紡ぐため相手を睨みつける。

 

「“シールダー”。それがお主のクラスじゃな」

 

 鎧の武者、“シールダー”はその問に関して頷くことはしなかったが不敵な笑みがそれを肯定しているのと同義であった。

 

「以下にも。儂のクラスは盾の騎士“シールダー”。そして貴様が考えている通り、ある一族の男じゃ」

 

 そこまで言うと言葉を紡ぐ前にシールダーはどこからともなく取り出した金の扇を勢い良く開き、眉を釣り上げた笑みを浮かべて自分の名を名乗る。

 

「我が名は平ぁ!!」

「シールダー……それ、以上の発言は、控えて、くだ、さい」

 

 日本風の名字を口にしたところでシールダーの発言は、彼のマスターと思われる『声』に止められた。

 酷く、まるでシールダーのことなど気にも止めていないような涼やかな声は日の沈んだ空間に不気味にこだまする。

 

「貴方が何を言お、うと勝手、ですけ、どその発言は契約、違反です。つまら、ないことに、令呪、使わせ、ないでくださ、い」

「ん?ああ、そうだな。悪かった我が主よ。気をつけよう。ただ真名を言ったところでこの生娘共には儂の鎧は破れぬよ」

 

 そう言ってシールダーはまたも刀を両手持ちで構える。

 冬児は辺りを見渡す。姿を現さないシールダーのマスターの位置を探そうと周りを見渡してはいるのだが目の見える範囲には人の居る気配はしない。

 どこかから隠れて見てると思うのだが……。

 

「マスター。聞こえているかマスター?」

 

 集中した意識の中にキャスターの声が響く。

 

「あっああ、どうした?」

「マスター。サーヴァントとしてみっともないことを言うことになるのだが……この戦闘は離脱したほうがいい」 

 キャスターはシールダーから目を離さぬまま、逃亡を口にした。

 

「おそらく奴の宝具は複数ある可能性が高い。赤から黒に変わったが、奴の代表的な宝具おそらく赤の方の鎧だ。それを使われると今の我では中々倒すことが難しくなるのじゃ」

「でも離脱ってどうやって……あの武者、シールダーは逃がしてくれそうにないぞ」

 

 自分もシールダーに目線を戻そうとするが、冬児の視界は5つの小さな勾玉によって遮られる。

 

「離脱するのはお主だけじゃ」

「ッ!!?なっお前!!」

「勘違いするなよマスター。お主が反対することを予測できん馬鹿者に見えるか我は。お主はこの鎧武者のマスターを捜しに行ってもらう」

 

 キャスターから手渡しされた勾玉を握る。

 

「我はあともう少しここであの鎧と戯れておるから、お主は校舎の中に居るシールダーのマスター叩け。さっき声が耳に入ったときから校舎の中より微弱ながら魔力の流れを感じる」

「なら、いるんだな。シールダーのマスターが校舎の中に」

「ああ、おそらく」

 

 確かに冬児は自分がこの場にいても何の役にもたたないことは理解している。

 だからマスターの方を先に倒して欠片を入手してしまおうとそういう考えをキャスターはしたのだろう。

 その提案に対して何の反論も無いし、冬児はそれに賛成したからこそ、キャスター背を向けてから言葉をかける。

 パートナーに対する極当たり前のありふれた台詞を。

 

「任せていいんだな」

「任せろ。お主の呼び出したサーヴァントがただの術者ではないことを証明しよう」

 

 その言葉を背に冬児は校舎に向かって走り出した。校舎の中に入るまで手を出す者はいない。

 

「見逃してくれたのかえ?」

 

 キャスターが勾玉を片手の指全てに挟んでシールダーを睨む。

 

「いや」

 

 シールダーは刀を構えたまま、殺気を一瞬だけ解いて自身が生娘と笑う少女に言葉を返す。

 

「ただ貴様と本気で打合いたかっただけだ。儂を驚かせた少女よ」

「――フッ。

 生娘の次は少女か、なめるでないぞシールダー。よもやお主のその鎧が『砕けない』とでも自惚れておるのではないか?」

 

 主を建物の中に隠した異形の者の影二つ、激しい炸裂音をたててぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

 

 校舎内。

 昔から暗くなった校舎というのは不気味なものとして学生達に数々の噂話を作られているが、大学まで行くとそのような怪談話も聞かなくなってしまう。

 校舎の中は人払いでもされたかのような静けさに満ちていて、あまりにも静寂に包まれすぎていた。人の気配が全くといっていいほどしない。

 今思うとさっきからおかしかった。

 キャスターとシールダー。二人の戦いは現実味など超越したかのように激しく、気がついた人々が集まってこなかったことがおかしいのだ。まさか誰も気付かなかったというのは無いだろう。光る突きとか爆発などが連続で起きていたのだから人が来ないほうが異常だ。

 だとすると、敵のマスターが校舎内の人間をどうにかした可能性が高い。

 頭の中に友人達の顔を思い浮かべる。

 

「……あいつら、無事ならいいけど……」

 

 一階を全て見て回り、冬児は二階へ続く階段へと足を踏み入れる。

 階段は途中二つに分かれており踊り場まで行くと折り返さなければならない。

 いつもならこの先に、この踊り場を越えた先に見慣れた風景が広がっている。カグラが悪態をついて、自分がそれに反応して、熊が笑っていて、そして最後に――

 

「……えっ」

 

 最後に――矢部崎が居た。

 見慣れた姿。よく似合った赤い眼鏡。肩に触れる程度まで伸びた綺麗な髪。カグラと同じくらい小さな小柄な体。女の子らしい、しかし派手すぎない可愛い服。

 その全てが矢部崎結香という存在を示していた。

 彼女は虚ろな目をして彼に語りかける。

 

「早眞、くん……どうして……」

 

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