Fate/ragnarok gate   作:フーリン式

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早眞冬児――4

 次の日、カグヤはいつもの待ち合わせの場所に居なかった。

 翌日に大事な儀式を控えているのだから当然といえば当然だが。

 昼の大学でも夜の帰り道でも、今日は異様に人が少なかった。

 見ない、というより居ない。

 実際、今日目に映った人間は僅か10人ほどだ。一応都会と田舎が融合した混合町と呼ばれるこの喝馬町は大勢の人が住んでいる。

 こんなことは今まで一度もなかった。

 

「あぁ、みんな体調不良やら急な引っ越しやらで。この年末シーズンにおかしな話だよ。餡煉みたいにずっと来なくなったりしないとは思うけどな」

 

 懐かしい名前と共に講師もそんなことを口走っていたかれど、ふと、日の壬生庵山の言葉が頭に浮かんだ。

 もしかしてだが、これも全て……。

 考えても仕方のないことを繰り返し考えるのは悪いクセだ。

 他になにかあるんじゃないか、裏があるんじゃないか。推理小説の読みすぎだって昔カグヤに言われたことがある。

 

「………」

 

 名前を連想させただけで彼女のことが思い浮かぶ。

 困ったものだ。何で彼女のことが好きになったかはわからないけど、今現在も変わらず好きなことは間違いないらしい。

 だから信じよう。彼女のことを。

 

「でもまぁ頑張れメールぐらい送っといていいよな」

 

 それぐらいなら怒らないはずだ。たぶん。

 小言は確実だろうけど。

 

「ってあれ。なんだこれ、すごいメール数」

 

 自分のタブレットを確認するとおよそ50は越えるメールが来ていた。

 ――ああそうか。サイレントモードにしてたから気が付かなかったのか。

 送信主は、

 

「カグヤから?」

 

 珍しい。なにが珍しいって彼女からメールが来ること自体が珍しい。カグヤは極度の機械音痴だからメール一通打つのに1時間はかかる筈なのに。

 五十通のほぼ全てがカグヤから無題で送信されている。

 気になってその1つに親指を当てると浮ついた心はなにかに握りつぶされる。

 

『とーじこないで』

 

意味はわからない。只、次のメールにも同様に

 

『わすれて』

『はやくでて』

『まもって』

 

 など意味が穏やかではないものばかりだ。

 悪戯……ということはないだろう。わざわざこんなことするものか。

 そして読み進めて一番最後。

 ついさっき送られてきた一番最新のメールには短い題名が付けられていた。

 

『見てる?』

 

 一瞬でわかる。

 これはカグヤが送ったものじゃない。

 こんな簡易的な文でも、彼女が漢字なんか打てるわけながない。

 開いた先に見たものもカグヤが送ったものではないと確信できるものだ。

 

「 」

 

 なにが書かれているかはよく分からない。

 妙に軽い台詞が書かれているが理解はできない。

 その結果だけが冬児を壬生家の屋敷へと走らせた。

 添付された画像。

 画像の添付なんかカグヤに出来る訳ないし、映っているのが彼女なので必然的に彼女が撮ったものじゃないとわかる。

 そう。映っていたのは、

 左腕を訳のわからない肉片に変えられたカグヤの姿だった。

 

 

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