投稿がずいぶん遅れてしまいました。
まあ、僕も受験シーズンに入っちゃったので、また投稿が遅れてしまうかもしれませんが、そこの所はすみません、我慢して待っていてください。
今さっきまで妖牙が横になっていた暗い部屋に、窓から明るい日差しが入ってきた。
時間を気にしていなく、昼から夜まで色々とあったためか眠気は無く疲れだけが残っている、と言うより元の世界で夜中にネットばかりやって夜型になっているから、そういうのは慣れているのだと思う。
妖牙の肩はずいぶんと浅かったようで、傷口は塞がり痛みも無くなっていた。
妖牙に怪我を負わせた張本人はすでに落ち着きを取り戻し、居間でぐっすりと眠っている。
チルノとルーミアは朝だというのに弾幕勝負をしているみたいで、外から弾幕の飛び交う音が聞こえてくる。
霊夢は単純に爆睡している。いつもなら十分な睡眠を取っているはずだが、こうにも事件が頻発すると、霊夢の習慣にも影響が出てしまうだろう。
妖牙(少し悪いことしたかな。)
そう考えているが、ちょっといつもの習慣が変わるより、周りの奴らが自分のことを思い出してくれる方が霊夢にとっても妖牙にとっても、うれしいことであるからとりあえず良いと思っている。
妖牙「さてと、これからどうしよっかな。・・・あ、スペルの確認しておくか。」
霊夢が教えてくれた方法で手に入れた初めてのスペルカード、「ネオズンクラウン」。どんな感じになるのか期待していて、早く試したいと思っていた。
ちょうど外でチルノとルーミアが弾幕勝負していることだし、面白半分で使ってやろうと思って窓から上空の小さめの雲を見つめて、スペル名をささやいた。
妖牙「・・ネオズンクラウン。」
その瞬間、上空にあった雲は石のように灰色の固体となり、ふわふわと浮いていた面影をなくして地面へと吸いよせられている。磁石になった雲はルーミアの上空に浮いていたから、そのまま真下に向かって落ちるのかと思っていた。でも、それはさっきたまたま気にして見たチルノに向かって斜めに落ちていく。どうやら落ちる場所は、最後に気にした相手の場所に向かって落ちるらしく、雲自体が石のように固くなっているみたいだし攻撃力みたいなのは十分に備わっているだろう。
チルノ「よーしっ!ルーミア、これでおしm、ギャフン!!」
ルーミアにとどめを刺そうとしていたところに、磁石となった雲が落ちてきてチルノを潰した。その衝撃で地面は砕け、ちょっとした揺れが起きた。そのときに「ピチューン」と謎の音がきこえた。
妖牙「・・・あっちゃー、だいじょぶかな。」
弾幕とかエネルギー系の武器で戦っていたから気にしてなかったけど、普通に石の壁とかに挟まれたらひとたまりもないだろう。一応弾幕勝負とかで痛みとかは慣れているはずだが、見せられなくなる画にはなってほしくない。それも硬化した雲と地面の間に潰れているチルノの姿によるが、むごい姿になっていないことを祈る。
ルーミア「うおっ!大丈夫なのかー!?」
目の前でぺちゃんこになった奴がいるっていうのに、ルーミアはいきなり石が降ってきたことにだけ驚いたらしく、チルノに対しては軽く心配しているだけのようだ。
妖牙「おはようルーミア、これチルノ平気なのか?」
ルーミア「ううん、見事にピチュッたのかー。」
妖牙「ん?ピチュッた?何だそれ?」
霊夢「この世界ではね、死んじゃうほどのダメージを食らった時には体が光と共に弾けとぶのよ。その瞬間にピチューンって音がするからピチュるって言うのよ。」
いつのまにか、霊夢が寝床から出てきて眠い目を擦りながら説明してくれた。雲が落っこちてきた時に地響きが鳴り響いたから、そのときにでも目を覚ましたのだろう。
妖牙「え、それだいじょぶなの!?体弾けとぶって!?」
霊夢「心配しないで、どうせどこかで復活するから。痛みは感じるけどね。」
妖牙「あ、復活するの。じゃあ良かった。てっきりチルノ殺したと思ったぞ。」
本当に良かった。そういえば、この世界に常識は通用しないんだった。どんなおかしい出来事があっても素直に受け止めなければいけないんだ。
霊夢「しばらくすれば戻ってくるだろうし、朝御飯にしようか。」
そう和んで休憩を入れようとしたとき、突如一・二メートル先に亀裂が走った。地面とか神社の壁にひびが入ったのではなく、目の前の空間が急に二つに割れてしまった。
そしてその向こう、言葉にできない不吉な気配のする空間の奥から大量の弾幕が飛んでくる。
妖牙「うわっ!」
皆は亀裂の隙間の間から、ものすごい速さで弾幕が飛んできたのは見えたため、それが当たる寸前で避けることが出来た。
霊夢「え!何よ!?」
状況がつかめないでいると、亀裂の奥から古めかしい服を着た女性が弾幕よりも早く、妖牙達の横をすり抜け、後ろに着地した。彼女も恐らく妖怪であるのは確かだが、その女性は鬼のような表情でこちらを睨み、またもや大量の弾幕を飛ばしてくる。
妖牙「ちょっ、いきなり何だってんだ!?」
妖牙たちはその弾幕をぎりぎりで避けているがその弾幕をあまりにも長く撃ち続けてきたため、こちらの体力が尽きてしまい、疲れきった妖牙がその場に倒れ込み大きな隙ができてしまった。
しかもうつぶせになるように倒れてしまったため、次の弾幕を避けることができない。
このままでは激怒した妖怪の手によってチルノと同じ運命を辿ることになる。
でも妖牙は外部の人間、元の世界と幻想郷での常識が違うように、妖牙が死んでも生き返る可能性は無いかもしれない。
?「・・許さない!橙(ちぇん)や藍(らん)を殺ったお前だけは!!」
彼女は橙と藍という仲間を殺されたのだろうか、そいつらのための復讐をしに来たのだろう。でも妖牙の記憶には、そんな名前の人物は存在していない。そもそも、ここに来て会ったのは、霊夢や妖夢、チルノとルーミアの四人だけのはず。
妖牙「おい!なんかお前、別の奴と間違えてないか?」
?「スペルカード発動!光と闇の網目!!」
妖牙が質問を投げかけても、仲間を殺された恨みと怒りでキレている彼女は問答無用でスペルカードを発動してきた。
その瞬間、妖牙たちの周りの空間に小さな穴が開き、中から糸のように細いレーザーが目の前を真っ直ぐ飛んできた。それだけなら良かったものの、次から次へと空間に穴が開き、レーザーが各所から避けることが難しいくらいまで飛んでくる。そのレーザーは発射されてから空中や地面で止まり、消えることなくとどまり続けている。
妖牙「くそっ!!これじゃ蜘蛛の巣に捕まった虫と同じだぞ!!」
ルーミア「なんで私たちまで捕まってるのかー?」
霊夢「そうよ!なんでわたしたちまで!?」
三人を取り囲むようにできたレーザーの膜の上空にある穴の中で、仕留められると思っているのか満面の笑みを彼女は浮かべてから空間に巨大な穴を開けた。
その穴にはさっきの不意打ちで出してきたやつと比べ物にならないほどの量の弾幕がたまっているのが見える。
妖牙(この一撃を食らったら・・・いやでも、網目(レーザー)の隙間から狙ってひるませることぐらいなら!)
そう思ったのも束の間、さっきまで細かったレーザーが急に太くなってしまった。これでは弾幕を通すことができない。
妖牙「な!?太さまで操れるのか!?」
霊夢「まずい・・妖牙!!」
ここまでか・・・と思ったその時、横から弾幕が飛ぶ音がした。
レーザーの網であまり見えない状況でかろうじて見えたのは、横から飛んだ弾幕が怒りをにじみ出している彼女の顔面にヒットしたということだけだ。
三人「!?」
ルーミア「まさか・・・チルノなのかー!?」
妖牙「いや!妖夢!!」
その弾幕は妖夢によるものだった。妖夢の出した弾幕で彼女がひるみ、妖牙達を取り囲んでいたレーザーも消えていく。
妖夢「皆さんは下がって!」
ルーミア「わかったのかー。」
霊夢「妖夢、気をつけて。」
妖夢「承知の上よ。」
妖夢は刀を構えひるんだままの彼女に向かって跳び上がり、脇腹から横に刀を振った。
彼女は抵抗することなく切られたのだが、何かがおかしい。
霊夢とルーミアには妖夢が彼女を一撃で仕留めたという情報しか分からなかったが、刀を振った妖夢と妖牙には何が起こったかが理解できた。
刀が彼女の体に触れていない。
彼女は切られる直前で体をそらせ、気づかない程度の速度で刀を避けていたのだ。
そして刀を振りかざした妖夢は隙が大きくできた。
妖夢「!!」
?「ふっ、まずはあなたからかしらね。十分になぶり殺してあげる!」
巨大な空間から無数の弾幕が飛び出してくる。
妖夢(くっ!避けきれない!)
妖牙「・・・ネオズンクラウン!!」
飛び出してきた弾幕が妖夢に当たる直前で止まった。それはエネルギー弾から石のような物体になり、そのまま彼女の方へ飛んでいく。
?「ちょっ!?何なのこれ!!」
磁石となった弾幕が彼女の周りを取り囲み、まるでぶどうのようになってしまった。彼女はそれを引き剥がそうと必死になっているが、世界一強力な磁石をさらに強化したものだ、そう簡単に引き剥がすことはできない。
実のところ、こうやって弾幕にスペルをかけれるとは思わなかった。あくまで望んだスペルの能力は雲を磁石に変えるもの、弾幕には反応しないと思ってたのだが、なぜかできるようになっていた。しかし理由を考える必要はない、ただ妖夢を助けたかった、その思いでできたと信じてれば良い、そう妖牙は思うことにした。
妖牙「お前だけじゃ不安だ、一応手伝っておかないとな。」
妖夢「・・・ありがと。」
落ち着いた二人をよそに、慌ててもがいた彼女はそのまま穴から抜け地面に落下し、ぶどうの中から「んごぉっ!」と叫び声が聞こえた。
妖牙&妖夢「あ。」
落ちてもピチュってないことから死ぬほどのダメージは食らっていないようだ。そのぶん苦痛はあるかもしれないが、訳の分からないままどこかに飛ばされるのも嫌だろうから、とりあえず良いことにした。
霊夢「あの紫を行動不能にするなんて・・。」
ルーミア「すごいのかー!」
二人は圧倒的強さを見せつけた彼女が、妖牙と妖夢によって動けさせなくしたのによっぽど驚いているようだ。
妖牙「とりあえず尋問しよう、さて何から聞き出そうか?」
降りてきた妖夢に歩み寄ってきた妖牙が語りかけた。
妖牙(まあこいつが何者か、あるいは何で襲ってきたか聞ければ良いか。)
妖夢「・・・紫(ゆかり)さん、本当にどうしたんですか。」
妖牙「へ?」
磁石に包まれて今にも押しつぶられそうな彼女に近寄り、冷静に問いただした。
妖牙「おい待て・・そいつって妖夢の知り合いなの?」
妖夢「まあ、正確には私の主人が知り合いって言った方が正しいね。・・・この人は最強と呼ばれる妖怪の一人、八雲 紫(やくも ゆかり)。」
最強の妖怪、その割には自分の弾幕に押しつぶされているため、第三者が見に来たら馬鹿にされそうな姿になっている。
でもさっきの不意打ちといい、大量のレーザーを蜘蛛の巣のように張りめぐらせたりしたのといい、今まで会った者たちとは比べ物にならないくらい強かったのは事実だ。
紫「っく、お前だけは許せない!橙や藍のためにも私はお前をあの世に葬る!」
霊夢「紫さ、本当に妖牙が橙と藍を殺したとでも言うの?」
さっきまで動揺していた霊夢とルーミアが駆け寄ってきた。
紫「当たり前よ!あの森の中で私たちに不意打ちをしてきて・・・橙を・・藍を殺したんじゃないの!?」
そう言って指を差した方向は、妖牙の入ったことの無い森だった。ちなみにクレーターが開いていた森は東、最初に妖牙が幻想郷に着いた時の森は南、紫が指さしたのは北である。
妖牙「いや、俺まだあっちの森に入ったことないんだけど。」
紫「なんか全身が黒かっただけで、それ以外はあなたそっくりなのよ!」
四人「!!」
紫「私の式神を殺すことができるほどの力をあなたが持っているのはわかっている。でも、どんな強敵だろうと私の大切な者たちを傷つけた償いはしてもらう!!」
最強の妖怪が認めるほどの力を持っている、それが昨日きたばかりの妖牙なわけはない。
紫「しかも、あなたは特殊じゃない!橙と藍をくし刺しにして殺して・・・ピチュらなかった・・・本当に、本当に殺したんじゃない!!」
四人「!?」
妖牙「まずい・・そいつは俺じゃない!」
紫「はあ?何言ってんの?私はあなたの姿を見たって、」
妖牙「いいからその場所まで俺を連れてけ!!スペル解除!」
妖牙はさっきチルノを潰した際にピチュらせることができたから、本当に殺すことはできない。そして、紫の言ったように全身真っ黒で妖牙にそっくりな人物をその場の四人は知っている。
妖夢「ちょっとやばそうな人だとは思ってたけど・・。」
紫「良くわかんないけど、とにかく行くわよ!」
ぶどうが灰のように消え自由の身となった紫が、人が普通に通れるほどの穴を開けた。
中は真っ暗な空間で所々から視線を感じる不気味な雰囲気が漂ってくる。その空間の先、ずっと向こうに出口らしき穴が光っているのが見える。
妖夢「二人はここにいて!急ぎましょう!妖牙!」
妖牙「ああ!次の犠牲者が出ていないでほしいんだが!」
そうして妖牙と妖夢は紫と共に、不気味な空間を突っ走って行った。