IS~歪んだ思考を持つ男~   作:reizen

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#23 確実な呼び出し方

「いやいやいやいやいや。えっと更識は操縦者だよな?」

「………うん」

「そ、それが、専用機を作ってる? いや、いくらなんでもそれはないだろ」

 

 と更識の前で否定する。というか普通に考えてありえない。

 たぶんこの時、信じたくないうと言う気持ちが強かったんだろう。だっていくら操縦者としてISのことを知っていたとしても、限度は知れているはずだ。

 

(いや、そもそもどうしてそうなった?)

 

 普通に考えてIS操縦者はある程度の整備知識は知っているとはいえ普通は「自分は操縦者だから」ということで本格的に開発は始めないはずだ。ということは更識には何か目標があるのだろうか。

 

「更識、どうしてそんなことをしているんだ? 普通だったら研究所とかに頼んで開発してもらうだろ?」

「……お姉ちゃんがしたから」

「アイツ、どれだけ完璧なんだよ……」

 

 思わずそう吐いてしまう。最近じゃ慣れてきたのかSRsでの操縦もなんなくこなしているからなぁ。とはいえ俺に一度も勝てたことがないが。

 

「いや待て。それ、本人がしたのか?」

「ううん。女中が言ってた」

 

 つまり本人から聞いていないのだろう。だとしたら信憑性はないに等しい。

 

「そういうのは本人から聞いた方がいいだろ」

「………いい。作っていないなら、それで―――」

「先に言っておくが、例えあっちが一人で完成させてなくてお前が完成させたとしても、今の立場は絶対に変わらない」

 

 すべてを言い切る前にそう言った。

 

「……そんなこと、あるわけが―――」

「実は俺、四年前までは精々平均点しか取れなかったんだ」

 

 唐突に話を始めると更識は黙る。どうやら俺の話は価値があると思っているようだ。

 

「そしたら女が急に「総合点で女が勝ったからお金を徴収する」って言い出してさ、もちろんそんなことに従う気はなかったから全員で無視したら襲われたんだ」

「そんなの、普通じゃない」

「だから今度は俺たちが勝つために男子限定の勉強会を開いて、俺は学年トップとクラストップになって、クラスの男子たちも人数分順位を独占したってわけには行かなかったけど、それでも女たちに勝てたんだ。だけど、今度は「男たちが勝ったんだからその分私たちに金を恵むべき」とか言い出した。結局どれだけ努力したって変に妄信している女たちが多いこの学校じゃ、どれだけ努力しても認められないんだ」

 

 すると更識が俺の頭を撫で始めた。お兄ちゃん大好きな心優しい妹に撫で撫でされているみたいで気恥ずかしくもあったが、かなり心が癒された。

 

「だからこの際、腹を割って話せばいいと思う。大丈夫だって、あっちは間違いなくお前のことを嫌っていないから」

「………」

「だったらそれを証明してやる」

 

 俺は受話器を取ってサービスカウンターに連絡した。

 

「すみません。カルピスとロープ、手錠とかってありません?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私たち姉は、妹にはちゃんとした人と結婚して欲しいと願っているのよ!!」

「いきなりどうしたんですか、あなたは」

 

 悠夜が簪に呼び出されている頃、楯無と虚は生徒会の仕事を消化していた。本音は悠夜のノートを借りて部屋で勉強しているが、虚の場合は二年の頃にチームで開発した改修機の評価が高かった為、ほとんど単位をそろえている状態なのでこうして生徒会の仕事をしていても大丈夫なのだ。

 

「だって簪ちゃんが、あの簪ちゃんが桂木君を押し倒して―――」

「それは簪様が桂木君のことが好きだからでしょう?」

 

 容赦ない虚の言葉に楯無は沈黙するが、またすぐに口を開いた。

 

「でも桂木君は「そんなことはなかった」って言ってたから、まだ妊娠はしていないと思うけど……」

「とりあえず落ち着いて仕事をしてください、会長」

 

 いくらなんでも簪がそんな突飛な行動をすることはないと思っている虚。実際呼び出したのは別のことだから正解なのだが、その空気を壊しにとある生徒が生徒会室のドアを開けた。

 

「たっちゃん大変! 今妹ちゃんと桂木君が一緒にいる!」

「………どういうこと?」

「さっき新聞部内のチームミーティングしようとカラオケに行ったら、物凄く上手い歌が聞こえたからその歌い主を確認しようとしたら、桂木君が妹ちゃんといたのよ!!」

 

 ―――いつの間にそんな仲に?!

 

 流石のことに楯無はもちろん、虚も動揺を隠せなかった。だが虚はあの二人の関係を思い出して、そこから交流を深めたのだろうと思ったが、

 

「防音施設の密室、二人だけの空間、もしかしてせっく―――」

「黙りなさい」

 

 一年前ぐらいから持ち歩いているハリセンを楯無の頭に落とす虚。

 

(だとしても、今のあなたには止める権利はないでしょうに)

 

 あの言葉を知っている虚はため息を吐く。少し言いすぎだと思ったが、楯無の気持ちは理解していたのであの時は口に出さなかった。

 それに虚には別のことが気がかりだった。

 

(でも昨日は少し動揺しすぎだったわね)

 

 三人で目撃したあの光景。虚は普通にいたが、本音は少し悲しそうに―――そして楯無は泣きそうな顔をしていた。まるで自分の大切なものを目の前で奪われた子供のような、そんな顔を。

 そこまで考えていると、楯無のスマホから着信音が鳴り、すぐに開くと―――そこには簪が拘束された写真、顔に白いナニかがかかっている写真、そして簪自身が虚ろな目で何か太くて長いものを咥えている写真が貼られていた。

 少しして届いた虚は開くと同じような写真が貼ってあり、下には「これと同じのを生徒会長に送ったから暴走しているはずだけど、放置でお願いします 桂木」と、簪のアドレスで表示されていたので虚は状況を理解した。

 

(お嬢様が簪様を嫌っているから、誤解を解くわけね………でも)

 

 護衛対象が翌日死体となって現れないか心配になってきた。

 その時だった。

 

「おぉ~、これはまたエロいですなぁ」

 

 後ろから覗き込んだ(まゆずみ)薫子(かおるこ)はそうコメントをしてメモしたが、虚はそのページを破って燃やし、置かれている灰皿の上に置く。

 

「ちょっ?! いくらなんでもそれは―――」

「あら、あなたが殺されないように配慮しているのよ。それとあまり簪ちゃんや桂木君のことも調べない方がいいわ」

「たっちゃんが動くから?」

「いいえ。二人の誹謗中傷を書いたら―――冗談抜きで新聞部は壊滅するわよ」

「まっさかー。先輩ったら、いつの間にそんな冗談を?」

 

 敢えて茶化す薫子。だが虚はとあるレポートを薫子に渡すと一瞬で顔を青くした。

 

「え、これって―――」

「実はこれ、すべて桂木君が考えて実行した作戦らしいわよ」

 

 そのレポートには当時中学生の悠夜に関する記録が書かれていて、そこには「クラス内分裂による女たちの実態が露出。嫌がらせなど」と書かれていてクラス内の女子たちが全員停学処分をされただけでなく他者が住所を特定して強姦などの事件が起こったなどとも記されていた。

 悠夜はあの後、男女混合ドッジボール大会で同じクラスの女子たちと対戦した際にある作戦を立てていた。試合がない別クラスの男子を呼んでその女たちにまつわる噂を流さして動揺させる→その時に自分だけヘイトを集めさせて自分を狙わせ、逃げている最中にわざと警察の前に止まって捕まえさせ、停学になった女子たちが率先してしたことを掲示板に張りまくり、挙句には学年関係なく新聞記事のようにして公表し、「これが今の女たちの実態です。男は全員気をつけましょう」と締めくくっていたことも書かれていた。

 ちなみにその行動で「女尊男卑」の思考を持つ女の家族は噂を立てられて引越しを余儀なくされていた。

 

「まぁ、これが彼にとって普通なんでしょうね。といっても彼はその前に何度も襲われていたし、流石に我慢の限界だったってことかしら」

 

 その時、薫子は「絶対に関わらないようにしよう」と決め、即座に自分のチームに事情を説明しに帰るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺たちが借りている部屋はドアから右に3、前に5の割合ぐらいの大きさの部屋で、その置くにテレビが置かれている。

 そして引き戸になっていて、たぶん大丈夫だろうけど更識妹を俺が座っていたほうに移動させた。

 案の定ドアを壊す勢いで押し開けようとする誰かさん。やがて気付いたのかドアを思いっきり引いて開け、一直線に俺に向けてナイフを振り下ろした。

 そうなることは予想はしていたので以前とは違い、回避に成功する。

 

「信じてたのに……まさかあんなことをするなんて思わなかったわ」

 

 流石は暗部。使用するのがコンバットナイフとは―――なんて洒落になってないんだろうとか言うべきか?

 

「ま、待ってお姉ちゃ―――」

「大丈夫よ。すぐに終わらせる」

 

 目がマジだからより恐怖を感じるが、すぐに頭を切り替えた。

 

「逃すか!」

 

 ベストからナイフを出してそれを投げる。八本とも早く飛んできて、正確に俺の頭を狙ってきた。

 それを回避すると、容赦なく更識は俺に対して蹴りを入れてきた。なんとか回避し、残っている左足を払ってこかせると、蹴り出した右足を軸にして回って左足で俺の左肩を狙ってきた。

 それを左手で受け止めると、更識はさらにそれを軸にして右足で俺の頭部を蹴り飛ばした。

 

(良い度胸じゃねえか!!)

 

 視界が少し定まらないが、構わず戦闘体勢に入ろうとすると、後ろの方から更識妹の姿が見えた。そして―――

 

「お姉ちゃんなんか、大ッ嫌い!!」

 

 途端に更識姉の動きが止まる。どうやら姉にとって妹のその言葉は男に殴られるよりもインパクトがあり、ダメージも大きいらしい。

 持っていたナイフをが落ち、崩れ落ちる更識姉。そして次第に泣き出してとうとう収拾をつけるのが難しくなった。





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