前書きすら思いつきませんけどね!w
「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト!」
とうとう曲が完成した俺たちは海未の手拍子でダンスの練習をする。俺は踊っていない、練習を見て間違っていたりしたら指示を飛ばすのが俺の役目だ。
「ことりちゃん!左腕!」
「あ、うん!」
といっても全て穂乃果たちが自分で気が付くので、俺の仕事はほとんどない。...俺いらない子なのか?
「リズム取るのと全体の把握は俺がやるから海未も練習に加われ」
「はい、ではよろしくお願いします」
さすがに何もしないのはいたたまれないので、海未の役目を引き受ける。
「穂乃果!」
「タッチ!」
「いい感じです!」
「うん!」
...本当に手拍子するだけになっちゃってるな、俺。今の俺はあのシンバルを持った猿のおもちゃと同じぐらいのものだろうな....。
***
「ふぅ~...終わった~!」
朝練を終えた穂乃果は缶ジュースを首筋にあて、日陰に座り込む。
「まだ放課後の練習がありますよ?」
「でも随分出来るようになったよね?」
「あぁ、俺もそう思う」
ライブは明日。1ヶ月という短い期間の中3人はダンスなんてしたことのない状態だったし、つい最近までは曲もグループ名も無かったんだ。そう考えればかなり成長していると思う。
「それにしても...2人がここまでまじめにやるとは思いませんでした。穂乃果は寝坊してくるとばかり思ってましたし」
「大丈夫!その分授業中ぐっすり寝てるから!」
穂乃果は仰向けに寝転がる。
「何も大丈夫じゃない気がするんだけど?」
「あっ!」
俺の疑問もそっちのけで穂乃果は何かに気が付いたようだ。
「どうした?」
「ゆう君!あれって....」
穂乃果の視線をたどると、ちょうど視界から外れようとしている赤い髪が目に映った。
「あぁ、間違いないと思うぞ?」
「だよねっ!おーい!西木野さーん!」
「ヴぇぇ!?」
「真姫ちゃーん!」
驚きのあまりに変な声出てるよ...まあいいか。西木野さんは階段を登り、穂乃果に詰め寄る。
「大声で呼ばないで!」
「どうして?」
「恥ずかしいからよ!」
まあ、確かに恥ずかしいかもな...というか穂乃果は名前呼びするほど親しかったっけ?
「そうだ!あの曲...」
穂乃果はポケットからミュージックプレーヤーを取り出し、西木野さんに見せる。
「3人で歌ってみたから聞いてみて!」
「はぁっ!?何で!?」
「だって...真姫ちゃんが作ってくれた曲でしょ?」
「だから......私じゃないって何度も言ってるでしょ?」
「まだ言っているのですか?」
西木野さんは何故か曲を作ったのは自分じゃないと言い続けてる。まあ照れ隠しだと思うんだけど....
「ぐぅぅぅ!!」
突然穂乃果が唸り声を上げ始める。お腹でも空いたんだろうか?
「がおー!!」
と思ったら今度は西木野さんに襲い掛かり始めた。お腹が空いたわけじゃなさそうだ。
「うひひひひ!」
「い、嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!?」
そして気味の悪い笑い声を出し、西木野さんに悲鳴をあげさせて...西木野さんの耳にイヤホンを差し込んだ。
「よぉし!作戦成功!」
「これ作戦だったのか...」
何て強引な......
「結構上手く歌えたと思うんだ~!...いくよ~!」
「μ’s!」
「ミュージック~!」
「「「スタート!」」」
***
「...よし、誰もいない...」
私はμ’sのライブのお知らせの広告までの短い距離を全力で走り、紙を取ってすぐにその場から離れる。
その時後ろで誰かが立ち止まるのを感じ、ライブの広告を隠しながら後ろを見る。
.....西木野さん?
広告の前で立ち止まった西木野さんはチラリと紙を見て、微笑を浮かべる。
西木野さんも興味があるのかなぁ...そうだったら嬉しいのに....
「あ、凛ちゃんを待たせちゃう、戻らないと!」
私は紙を大事に鞄にしまって、その場を離れた。
***
「ふわぁぁぁ~...」
「眠る気満々ですね」
朝練のあと、俺たち4人は普通に登校している。穂乃果じゃないにしても...眠い。
「ねぇ!あの子たちじゃない!?」
「ん?」
「あなたたちって...もしかしてスクールアイドルやってるっていう...」
「あ、はい!μ’sってグループです!」
やはり今まで学校にスクールアイドルなんてなかったこともあって、すぐに噂は校内に広がっているようだ。
「μ’s...あぁ!せっけn「違います!」
このネタの応酬はもはやお約束だ。
「そうそう、うちの妹がネットであなたたちのこと見かけたって!」
「本当ですか!?」
「明日ライブやるんでしょ?」
そう、いよいよ明日だ。
「はい!明日の放課後に!」
「どんな風にやるの!?ちょっと踊ってみてくれない!?」
「え!?ここでですか!?」
「ちょっとだけでいいから!」
困ったことになったな...穂乃果とことりは大丈夫だけど、海未は恥ずかしがり屋だからな....それとなく海未の方へ視線を向けると、動揺が顔に出まくっていた。
「ふふふふふ!いいでしょう!もし来てくれたらここで少しだけ見せちゃいますよ~!...お客さんにだけ特別に~!」
「お友達を連れて来ていただけたら、更にもう少し!」
「本当!?」
「行く行く~!」
「毎度あり~!」
「じゃあ、頭のところだけ...」
さて...そろそろ教えておくか。
「穂乃果、ことり、ちょっと待ってくれ。」
「何、ゆう君?」
「どうしたの?」
俺は息を深く吸い込み、あることを告げる。それは....
「海未がすごい勢いで校舎に逃げていったぞ?」
「「...本当だ!?海未ちゃんいつの間に!?」」
結局3人そろっていないのでダンスを見せることにはならなかった。
***
「やっぱり無理です...」
ところ変わって屋上。海未は扉の隣で体育座りをしていた。
「えぇ~?どうしたの~?海未ちゃんなら出来るよぉ~!」
「出来ます」
「「「え?」」」
無理だと言ったり、出来ると言ったり...俺と穂乃果とことりはよく分からず、綺麗に揃って聞き返す。
「歌もダンスもこれだけ練習してきましたし...でも、人前で歌うのを想像すると...」
「そういうことか...」
「緊張しちゃう?」
ことりの言葉に黙って頷く海未。こればかりは仕方ないよな......。
「う~ん...そうだ!」
「穂乃果?何か思いついたのか?」
「うん!そういう時はお客さんを野菜だと思えってお母さんが言ってた!」
「野菜...私に1人で歌えと!?」
「そこ?」
「一体何を想像したんだよ.....」
お客さんを野菜だと思う...想像するとめちゃくちゃシュールだった。
「はぁ...困ったなぁ~」
「でも......海未ちゃんが辛いんだったら、何か考えないと.......」
「そうだよな......」
これは必ず乗り越えなければならない壁だと思うし......
「ひ、人前じゃなければ大丈夫だと思うんです!人前じゃなければ!」
何か考えていた穂乃果は海未の腕をつかんで立ち上がらせる。
「色々考えるより...慣れちゃった方が早いよ!」
「穂乃果の言う通りだな!」
「じゃあ行こう!」
どこにだ?まぁ何か考えがあってのことだろ......多分!
***
「じゃーん!ここでライブのチラシを配ろう!」
「ひ、人がたくさん....」
「当たり前でしょ!そういうところを選んだんだから!」
今、俺たちは秋葉にいた。
「ここで配ればライブの宣伝にもなると思うし、大きな声を出してればその内慣れてくると思うよ!」
「あ、あぁ.......」
「大丈夫なのか?」
俺は海未に話しかけるが
「お客さんは野菜お客さんは野菜お客さんは野菜.....」
海未は目を瞑って何かを呪文のように繰り返している。すると突然目を開く。
そして何故か顔が青ざめていく。何やってるんだ?
「駄目かな?」
「ううん!私は平気だよ!」
「俺も平気だけど...海未を見ろ」
「え?」
「あ、レアなの出たみたいです......」
海未はその場にしゃがみ込み、ガチャガチャをしてレアものを引き当てたみたいだ...ってそうじゃなくて!
「海未しっかりしろー!!」
「場所変えよっか.....」
「そうだね.....」
今度はどこに行く気なんだろうな....
***
「ここなら平気でしょ?」
「まぁ...ここなら....」
俺たちは音ノ木坂の校門の前に移動した。
「じゃあ始めるよ!μ’sファーストライブやりまーす!よろしくお願いしまーす!」
「ありがとうございまーす!」
「明日の放課後、講堂でライブやりまーす!ぜひ来てくださーい!」
俺と穂乃果とことりは声を出し、チラシを受け取ってもらえているが...
「あっ...」
海未は緊張で声も出せないでいた。それでも頑張って声を出す。
「お、お願いします!」
「...いらない」
背の小さな黒髪ツインテールの人にチラシを渡そうとするが、断られたようだ。
「駄目だよ、そんなんじゃあ」
「穂乃果はお店の手伝いで慣れてるかも知れませんが、私は.....」
「ことりちゃんだってちゃんとやってるよ?」
「ことりは案外物怖じしないんだな....」
いつものように笑って、難なくチラシを受け取ってもらえている。
「海未ちゃんも!それ配り終えるまで辞めちゃだめだからね!」
「えぇ!?無理です!」
それを聞いた穂乃果はニヤリと笑い、
「海未ちゃん...私が階段5往復出来ないって言った時、何て言ったっけ?」
と切り返した。
「うぅ...分かりました!やりましょう!」
後には引けなくなったのか、海未は積極的にチラシを配り始めた。
「俺もやるか」
「あのっ!」
チラシを配ろうとすると横から呼びかける声が聞こえてきた。
「小泉さん!」
「は、はい!」
小泉さんは俺を真っ直ぐ見つめ
「ライブ...見に行きます!」
とても嬉しいことを言ってくれた。
「本当!?」
「来てくれるの!?」
「では...1枚と2枚と言わず、これを全部!」
「横着すんな!」
小泉さんにチラシの束を全て渡そうとする海未の後頭部に軽くチョップを与える。
「分かってます...」
その後、海未も含め俺たちは無事にチラシを全て配り終えることが出来た。
***
「やっぱA-riseはすごいね....」
「あぁ、動きのキレが全然違う」
「そうですね....」
チラシを配り終えた俺たちは何か見せたいものがあるとことりに言われ、穂乃果の部屋に上がり込んでいた。さすがにまだ女の子の部屋ということもあり緊張も残るが、慣れは大事だな。
1ヶ月前の俺がこの状況を見たら...うん、そこにいるのが自分だろうと...きっと殴りかかっている自信がある。恐らくセリフはリア充許すまじ!とかだろう。
「う~ん...こうっ?こうっ?こうっ!」
穂乃果はA-riseのPVを見ながら、クルクルと回りポーズをとる。
ちょうどそのタイミングでパソコンからピロロロっと音が流れる。
「あっ!ランクが上がったぞ!」
「本当!?きっとチラシ見た人が投票してくれたんだねぇ!」
「嬉しいものですね!」
μ’sのランクが上がったことで俺たちは喜びに浸る。すると後ろから扉が開く音がして手に紙袋を持ったことりが部屋に入ってきた。
「お待たせ~!」
「あ、ことりちゃん!見て見て!」
穂乃果がパソコンの前にことりを手招きする。
「わぁ!すご~い!」
「もしかしてその紙袋が衣装か?」
ことりの持っている紙袋を覗き込む。
「うん!さっきお店で最後の仕上げをしてもらって......」
そうしてことりが紙袋から衣装を取り出す。
「じゃーん!」
「おぉ!」
「わぁ~!可愛い!」
出てきたのは店に並んでいても何も遜色のないものだった。学生がこれを作ったと言ってもきっと誰も信じないだろう。それまで高レベルなものだった。
ことりさんまじすげぇ....。
「本物のアイドルみたい!」
「本当!?」
「すごい!すごいよ!ことりちゃん!」
「これは本当にすごいな!」
俺と穂乃果は大絶賛だ。だが....
「ことり...?」
「な~に?」
海未は指をスッと上げ
「そのスカート丈は?」
スカートを指差した。
「...あ」
そう言えば...何か教室でやり取りしてたような....。
ガッとことりの肩を掴み、迫力のある顔をする海未。
「言ったはずです...スカートは最低膝下までなければ穿かないと!」
「だ、だってしょうがないよ、アイドルだもん!」
「アイドルだからと言ってスカートは短くという決まりはないはずです!」
「それはそうだけど....」
「でも...今から直すのは流石に.......」
「そういう手に出るのは卑怯です!」
そこまで言うと海未は荷物を持って扉を開く。
「ならば私は1人だけ制服で歌います!」
「えぇ!?」
「そんなぁ~!」
「そもそも2人が悪いんですよ!私に黙って結託するなんて!」
「...だって、絶対成功させたいんだもん」
「穂乃果...そうだよな」
「歌を作って、ステップを覚えて、衣装も揃えて、ここまでずっと頑張ってきたんだもん。ここにいる4人でやってきて...頑張ってきてよかったって......そう思いたいの!」
すると穂乃果は突然窓へ向かい、窓を開ける。
「思いたいのーーーーーーー!!!!!!!!」
そして外へ大声で叫ぶ。町に響いて消えていく穂乃果の声。
「何をやっているのですか!」
「近所迷惑だろ!?」
俺と海未は慌てるが
「私も同じかな」
ことりは穂乃果の叫びにはノータッチのようだ。
「私も4人でライブを成功させたい!」
「ことり.....」
ことりの思いを聞いた海未は俺と穂乃果を見て、ため息をつく。
「いつもいつも...ずるいです」
そして
「分かりました」
海未も肯定してくれた。思いはみんな一緒だったんだな....
「海未ちゃん...大好き~!」
「わぁっ!?」
穂乃果は海未に飛びつくようにして抱き着く。
「あっ!ずる~い!ことりも♪」
ことりも穂乃果とは逆側から海未に抱き着く。
「もう...ことりまで...」
「「えへへ~♪」」
「邪魔するようで悪いんだけど...今から神田明神にライブが成功するように祈りにいかないか?」
さすがに俺まで抱き着くと命をかけないといけなくなるので黙って見物していたが、俺は頃合いを見計らい、3人に告げる。
「うん、そうだね!行こう!」
***
「ライブが成功しますように!いや、大成功しますように!」
「緊張しませんように.....」
「みんなが楽しんでくれますように」
「......」
「よろしくお願いしまーす!」
それぞれの願いを祈る。
「優は何も言ってませんでしたが...」
「一体何をお願いしたの?ゆー君」
「...もちろんライブの成功だって!」
「えぇ~?本当に~?」
「当たり前だろ?」
まぁ、それもあるけど...1番に願ったのは...
『3人が笑顔でライブを終えることが出来ますように』...だ。
こんなこと恥ずかしくて言えるわけないけどな。
「いよいよ明日か...」
俺はこれ以上追求されないようにと話題を切り替えた。
***
口に出てるよ...ゆう君。きっと穂乃果だけじゃなくて、ことりちゃんも海未ちゃんも今の聞いちゃっただろうな。
その証拠に顔が真っ赤だもん。
だけど...そのことをゆう君に言うのはやめておいたほうがいいかもね!
「そうだね!明日のライブ...楽しもうね!」
私は代わりに別の言葉を口にした。
-To be continued-
作「雑談のコーナー!今回のゲストは園田海未ちゃんです!」
海「よろしくお願いします。」
作「いよいよファーストライブですね!」
海「はい、とても緊張します...。」
作「頑張ってください!」
海「は、はい、ありがとうございます!」
作「どうでもいいことですけど...映画あと3回行くことになりました。」
海「何がしたいのですか!?」
作「...そのためにPS3を売りましたからね。」
海「そこまでしてですか!?」
作「後悔はしていません!」
海「はぁ...次回もよろしくお願いします。」