残念です...
でも家には2枚の色紙があるのでよしとしたいと思います!
「まさか海未ちゃんがポージングの練習してるなんてねぇ~」
俺たちから事情を聞いた穂乃果は海未の方をニヤニヤしながら見ている。
それをうっかり写真撮ってしまったから死にかけたけどな...。
「うぅ......」
その海未は顔を真っ赤にして俯いている。
「それで?お前らは何で穂乃果の家に集まってるんだ?」
「あ、そうだった!穂乃果ちゃん、パソコン持ってきたよ」
「ありがとう!肝心な時に限って壊れちゃってさ~」
ことりがパソコンを置こうとすると小泉さんが机の上の物をどける。
「あ、ありがとう!」
「い、いえ」
「それで......動画はありましたか?」
「動画?A-riseでも見るのか?」
「違うよぉ~...あった~!」
「本当ですか!?」
俺も海未に続いてパソコンの画面を覗き込む。
「これって!?」
そこには先日俺たちが行ったライブの映像が流れていた。イントロが始まって画面の中の3人がこちらに振り向く。
「誰が撮ってくれたのかなぁ~?」
「すごい再生数ですね...」
「こんなに見てくれたんだぁ~!」
それから3人はここが上手くいったとか思わずガッツポーズしそうになったなど感想を話し始める。
「小泉さん?そこじゃ見辛くない?」
俺は画面を熱心に見つめている小泉さんに声をかけるが、集中しすぎているのか返事はなく、ずっとライブ映像を見つめている。
「穂乃果、海未、ことり」
「どうしたの?ゆう君」
俺は3人を呼んだあと、小泉さんの方を向かせる。
「あぁ!」
「そういうことですか!」
「分かったよ♪」
どうやら俺の意図が伝わったようで、3人はニコニコしている。
「小泉さん!」
まずは海未が小泉さんを呼ぶ。
「は、はい!?」
ようやく声が聞こえた小泉さんは慌てて返事をする。そこで穂乃果が切り出す。
「スクールアイドル、本気でやってみない?」
「え?でも...私向いてないですから...」
「私だって人前に出るのは苦手です。向いているとは思えません」
「ポージングの練習」
「優?何か言いましたか?」
「気のせいだろ」
怖え...ボソッと言ったつもりなのに聞こえてるのか...
「私も歌忘れちゃったりするし、運動も苦手なんだ~!」
「私はすごいおっちょこちょいだよ!」
「自分で言うのかよ!」
否定はしないけどな!
「でも......」
どうにも一歩を踏み出せずにいる小泉さん。それを見たことりは立ち上がる。
「プロのアイドルなら私たちはすぐに失格!でも、スクールアイドルならやりたいっていう気持ちを持って、自分たちの目標を持って、やってみることが出来る!」
「っ!」
ことりの言葉を聞いて小泉さんは短く息を飲む。
「それがスクールアイドルだと思います!」
「だから、やりたいって思ったらやってみようよ!」
「最も、練習は厳しいですが」
「おいこら、海未」
「あっ、失礼」
勧誘したいのかしたくないのかどっちなんだよ......。とにかく!
「待ってるよ、小泉さん!」
「ゆっくり考えて答えを聞かせてね!」
「はい!」
大きな声で返事をした小泉さんの顔には迷いは無く、決意に満ち溢れていた...と思う。
「もうこんな時間か?」
時計を確認した俺は立ち上がり帰る準備をする。
「あっ!私も...」
小泉さんも鞄を持って部屋を出ようとする。
「じゃあ送っていくよ」
「い、いえ...そんな訳には!」
「もうこんな時間だし...小泉さんみたいな可愛い女の子が1人で帰るのは危ないから、別にいいって!」
空気が変わる。...あ、この流れはまずいな。俺は瞬間的に察する。
「そ、そのぅ...可愛くなんてない、ですから!////」
小泉さんは赤面し、
「ねえ~海未ちゃん?実はさっきゆー君からこんな写真が届いたんだけど♪」
ことりはニコニコしながらスマホを海未に見せていた。
あれはまさか!?
「優?ちょっと話があるのですが?」
「ごめん、俺ちょっと小泉さんを送らないといけないから!」
地雷を見事に踏み抜いた俺は、小泉さんの手を取って、すぐにその場から離脱をする。
「おじゃましましたぁぁ!!!!!」
とりあえずあとで全力で謝ろう、明日を生きるために!練習倍とかになったら...恐ろしすぎる!
***
その夜、3人の少女たちは悩んでいた。
ある少女はパソコンに映し出されている映像を見て、諦めたはずの思いを燻らせ
ある少女は鏡の前でスカートを穿いた自分を見て、似合う訳ないと自分を押し殺し
ある少女はアルバムを開き、幼いころからの願いと向き合っていた。
ついでにある少年は全力で携帯に向かって謝り続けていたと彼の妹は語る。
***
はぁ...。やっぱり、私じゃ無理なのかな......。
「何してるの?」
「西木野さん......」
私が中庭に座っていると西木野さんが声をかけてきてくれました。
「あなた、声は綺麗なんだから......あとはちゃんと大きな声を出す練習すればいいだけでしょ?」
「でも......」
「はぁ...」
西木野さんはため息をついて
「あ~♪あ~♪あ~♪あ~♪あ~♪」
歌の練習で使われる発生練習を始めました。やっぱり綺麗な声だなぁ....
「はい」
「え?」
「やって」
突然やってって言われても...それでも私はやってみることにします。
「あ~♪あ~♪あ~♪あ~♪あ~♪」
「もっと大きく!はい立って!」
「は、はい!」
「一緒に!」
「「あ~♪あ~♪あ~♪あ~♪あ~♪」」
「ねっ?気持ちいいでしょ?」
「うん、楽しい!」
「...はい、もう一回!」
と西木野さんが言ったところで
「か~よち~ん!」
凛ちゃんが私の名前を呼びながら走ってきました。
「西木野さん?どうしてここに?」
「励ましてもらってたんだぁ」
「わ、私は別に...」
「それより!今日こそ先輩のところに行って、アイドルになりますって言わなきゃ!」
凛ちゃんはそう言って私の手を掴みます。
「そんなせかさない方がいいわ!もう少し自信をつけてからでも...」
「何で西木野さんが凛とかよちんの話に入ってくるの!」
「別に!そっちの方がいいと思っただけ!」
「かよちんはいつも迷ってばっかりだから、パッと決めてあげた方がいいの!」
「そう?昨日話した感じじゃそうは思えなかったけど!」
このまま喧嘩になっちゃいけない!早く止めないと!
「あの...喧嘩は......」
「「むぅ...!」」
凛ちゃんと西木野さんは互いに視線をぶつけて、本当に火花が散っているようでした。
「かよちん行こう!先輩たち帰っちゃうよ!」
痺れを切らした凛ちゃんは私の手を引っ張って先輩たちのところにいこうとします。
「待って!」
空いていた私の左腕を掴み、西木野さんが私と凛ちゃんを引き留めます。
「どうしてもって言うなら私が連れていくわ!音楽に関しては私の方がアドバイス出来るし、μ’sの曲は私が作ったんだから!」
「えぇ!?そうなのぉ!?」
「あっ!いや......え~っと......とにかく行くわよ!」
今度は西木野さんが私の腕を引っ張って先輩たちのところにいこうとします。
「待って!連れてくなら凛が!」
凛ちゃんが西木野さんの隣に並びます。
「私が!」
「凜が!」
私は足で踏ん張りますが、2人がかりで引っ張られてしまっては抵抗も出来ず、そのままズルズルと引きずられてしまいます。
「ダレカタスケテェ~!!!!!」
結局そのまま屋上に連れていかれてしまいました。
***
「つまり...メンバーになるってこと?」
屋上で練習していた俺たちのところに来たのは、小泉さん、星空さん、西木野さんの3人だった。そこまではいいけど...
小泉さんは左右の手を星空さんと西木野さんに掴まれてぐったりしていた。
ここに来るまでに何があったんだ?
「はい!かよちんはずっとずっと前からアイドルやってみたいと思ってたんです!」
「そんなことはどうでもよくて!この子は結構歌唱力あるんです!」
「どうでもいいってどういうこと!?」
「言葉通りの意味よ!」
おいおい...これ止めた方がいいのか?でも2人とも小泉さんの背中を押そうとしてるのは分かる、その証拠に
「私は...まだ、何て言うか......」
「もぉ!いつまで迷ってるの!?絶対やったほうがいいの!」
「それには賛成!」
小泉さんはスクールアイドルをやるべきって気持ちは一致しているからだ。
「やってみたい気持ちがあるんならやってみた方がいいわ!」
「で、でも......」
「さっきも言ったでしょ?声出すなんて簡単!あなただったら出来るわ!」
「凛は知ってるよ!かよちんがずっとずっと、アイドルになりたいって思ってたこと!」
星空さんと西木野さんの強い視線と思いが小泉さんを射抜く。
「凛ちゃん......西木野さん......」
「頑張って!凛がずっとついててあげるから!」
「私も少しは応援してあげるっていったでしょ?」
2人は小泉さんの背中を押し出す。押し出された小泉さんは振り返り、星空さんと西木野さんを見たあと、頷いて、こちらを向く。その顔に迷いはない。
この屋上から見える夕暮れの景色のようにどこまでも澄み渡った顔だった。
「私!小泉花陽と言います!1年生で背も小さくて声も小さくて......人見知りで、得意なものも何もないです......でも!アイドルへの思いは誰にも負けないつもりです!だから......μ’sのメンバーにしてください!」
「こちらこそ......よろしく!」
穂乃果は小泉さんに手を伸ばす。小泉さんは穂乃果の手をしっかりと取り、握手を交わす。
「うぅ~...かよちん....偉いよぉ~......」
その後ろでは星空さんが涙を拭っていた。
「何泣いてるのよ」
「だってぇ~......って西木野さんも泣いてる?」
「だ、誰が!泣いてなんかないわよ!」
「それで?2人は?」
「「え?」」
「2人はどうするの?」
「「どうするって......えぇ!?」」
「まだまだメンバーは募集中ですよ?」
「うん!」
ことりと海未が揃って星空さんと西木野さんに手を伸ばす。
「で、でも......」
ここから先は俺の仕事......かな!
「さっき西木野さんも言ってただろ?やってみたい気持ちがあるならやった方がいい!」
俺の言葉を聞いた2人は少しずつ手を伸ばし始める。
「簡単なんだ、その手を掴むだけでいい!そうしたらきっと踏み出すことが出来る!」
俺は最後の追い風を送る。
「「よろしくお願いします!!」」
2人は手を取ることが出来た。
そして......音ノ木坂学院、スクールアイドル『μ’s』はこの日、俺も含めて7人になった。
***
「今日も朝練か~......眠い......」
いつもの神社の階段に来ると星空さんと西木野さんの姿が見えた。
「2人ともおはよう、今日から練習頑張っていこうぜ」
「おはようございます......」
「星空さん?元気ないよ?どうかした?」
「朝練って毎日こんな早く起きないといけないのぉ~......?」
「これくらい当然でしょ?」
「当然なのぉ~....?」
「俺たちが極端すぎるだけだと思うけどな......」
俺は若干苦笑いで答える。なんせメニューを考えているのは海未だからな。これぐらいはやってのけるだろう。
会話をしているとすでに準備運動を始めていた小泉さんを見つける。
「かよち~ん!」
小泉さんが視界に入った瞬間眠気なんて吹き飛んだのか、星空さんはブンブンと手を振っている。
「おはよう!」
振り向いた小泉さんは......メガネをしてなかった。
「あれ?メガネは!?」
星空さんは小泉さんに駆け寄り、俺も聞こうと思っていたことを聞く。
「コンタクトにしてみたの!変...かな?」
「ううん!全っ然可愛いよ!すっごく!」
「へぇ~、いいじゃない」
「西木野さん......八坂先輩も」
「あー...優でいいよ、折角友だちになったんだしさ!」
「わ、私もメガネ取ったついでに......名前で呼んでよ」
「「え?」」
「私も名前で呼ぶから......花陽、凛!」
「真姫ちゃん!」
「真姫ちゃ~ん!真姫ちゃん!真姫ちゃん!真姫ちゃ~ん!」
「な、何よっ!?/////」
星ぞr....凛は真姫の周りをピョンピョンと飛び跳ねる。そして......
3人は俺の方を向く。
「今日からお願いします!優さん!」
「よろしくお願いするにゃー!ゆーサン!」
「お、お願いするわ.....ユウ!」
「あぁ!よろしく!花陽!凛!真姫!」
お互いの名前を呼び合うことが決まったところで
「あ、お~い!」
穂乃果の声が聞こえてくる。
「さて...と!じゃあ今日も練習始めるか!」
「「「おぉ~!!!」」」
俺と花陽と凛と真姫の声はどこまでも続く青空へと抜けていった。
-To be continued-
作「雑談のコーナー!今回のゲストはいよいよμ’sに加わることになったアイドル好きの1年生!小泉花陽ちゃんです!」
花「よ、よろしくお願いします!」
作「さて、μ’sに入って.....意気込みはどうですか?」
花「私は鈍くさいし...運動も苦手ですけど.....アイドルにかける思いなら誰にも負けないつもりなので.....先輩たちの足を引っ張らないように凛ちゃんと真姫ちゃんと一緒に頑張りたいと思います!」
作「はい!ありがとうございます!とてもいい意気込みですね!それでは!」
花「次回も......よろしくお願いします!」