ラブライブ!~未来へ響く多重奏~   作:朝灯

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このペースでやりたいことに間に合うのかは分かりませんが.....

とにかく頑張ります!

今回もどうぞ!


やるべき順序

「どうぞ!」

 

校門の前で亜里沙ちゃんと話していた俺と海未はちょうどそこに来た綾瀬会長と一緒に近くの公園に移動していた。

 

「あ、ありがとう.....」

 

亜里沙ちゃんが自販機で飲み物を買ってきてくれた。そこまではいい。

 

「カレー?」

 

俺のはカレー、海未のはおでんだった。

 

「ごめんなさい、むこうの暮らしが長かったから、まだ日本に慣れてないところがあって」

 

「むこう?」

 

綾瀬会長と海未の会話に耳を傾ける。

 

「えぇ、祖母がロシア人なの」

 

クォーターなのか、この人。なるほど、何か納得出来る。

 

「亜里沙、それは飲み物じゃないの」

 

この人、こんな顔も出来るんだな。

 

亜里沙ちゃんと話す時の綾瀬会長は普段とは全然違って優しい感じだ。

 

「ハラショー.....」

 

「別なの買ってきてくれる?」

 

「はい!」

 

何で普通にカレーとおでんの缶詰が売ってあるんだ?ただの自販機じゃないだろ......

 

亜里沙ちゃんは駆け足で自動販売機に戻って行く。

 

「それにしても、あなたたちに見つかってしまうとはね」

 

「前から穂乃果たちと話していたんです。誰が撮影してネットにアップしてくれたんだろうって、でも!生徒会長だったなんて」

 

「あの映像が無ければ、俺たちは今、こうして無かったと思うんです。あれがあったから見てくれる人も増えたし、だからっ!」

 

「やめて」

 

お礼を言おうとすると綾瀬会長は次を言わせてくれなかった。

 

「別にあなたたちのためにやったんじゃないから.....むしろ逆、あなたたちのダンスや歌がいかに人を惹きつけられないものか、活動を続けても意味が無いか、知ってもらおうと思って」

 

そうだったのか......

 

「だから今のこの状況は想定外、無くなるどころか人数が増えるなんて.....でも私は認めない」

 

俺と海未は黙って聞き続ける。だから綾瀬会長は話し続ける。

 

「人に見せられるものになっているとは思えない。そんな状態で学校の名前を背負って活動してほしくないの」

 

綾瀬会長が鞄を持って立ち上がる。

 

「話はそれだけ」

 

会長が背中を向けたところで

 

「待ってください!」

 

海未が引き留める。

 

「じゃあ、もし私たちが上手くいったら....人を惹きつけられるようになったら.....認めてくれますか?」

 

「無理よ....」

 

「どうしてです?」

 

海未の追求は終わらない。

 

「私にとってはスクールアイドル全部が......素人にしか見えないの」

 

何かで頭を殴られたかのような衝撃が走る。

 

「1番実力があるというA-RISEも、素人にしか見えない」

 

「そんな.....」

 

今度こそ話は終わりと言わんばかりに綾瀬会長は亜里沙ちゃんの方へ歩いて行こうとする。

 

それでも海未が追いかけて何かを言おうとするのを手で制して止める。

 

「逃げてるだけのあなたに俺たちのことをそんな風に言う資格は無いと思います!」

 

俺の叫びに綾瀬会長の肩がはっきりと揺れる。それでも俺は止めない。

 

「活動に意味があるかないかなんて......全部俺たちが決める!」

 

徐々に会長との距離を詰める。

 

「.....あなたにとって素人に見える俺たちスクールアイドルは.....挫けることがあってもちゃんと向き合って.....前を見続けている!!」

 

綾瀬会長がゆっくりと振り返る。

 

「彼女たちは並大抵じゃない努力をして!上手くいかなくてもっ!!結果を受け止めてるんだよ!!!!」

 

「やめて.....」

 

今度は肩が震えているが、それでも俺はやめなかった。少々言葉遣いが乱暴になることも気にしない。そして俺は最初に言ったことを繰り返す。

 

「だから.....逃げてるあんたに俺たちのことをそんな風に言って欲しくない!」

 

「やめて!!!」

 

頬に鋭い痛みが走る。どうやら綾瀬会長に頬を叩かれたみたいだ。

 

会長はそのまま走って公園から出ていってしまう。

 

「優.....大丈夫ですか?」

 

海未が心配して近寄ってくる。

 

「八坂さん!」

 

亜里沙ちゃんも近寄ってきてくれる。

 

「あの.....お姉ちゃんと何かあったんですか?」

 

「.....いや、何もないよ、ほらお姉さんを追いかけないと」

 

すると亜里沙ちゃんは俺に缶を渡す。

 

「あの....亜里沙、μ’s......海未さんや八坂さんたちのことが大好きです!」

 

それだけ言うとお辞儀をして綾瀬会長のあとを追っていった。

 

「嬉しいことを言ってくれるな......」

 

「とりあえずその頬冷やしたらどうですか?」

 

そういやヒリヒリする.......とりあえずこの缶で冷やすか。おしるこだけど......

 

***

 

「にこわかんないよ~」

 

「おしおきやね!」

 

海未と一緒にファストフードの店にいる希先輩とにこ先輩の元に行くと、何やらおしおきと称して希先輩がにこ先輩の胸を揉んでいた。

 

「公然わいせつ罪でーす」

 

とりあえず声をかける。

 

「あら?2人ともどうしたん?」

 

「聞きたいことがあるのですが」

 

当然さっきの綾瀬会長のことだ。

 

「ふーん.....にこっち今日はここまでや、家に帰っても復習を怠らんようにな?」

 

にこ先輩を脅すように指を動かして見せる。

 

「わ、分かってるわよ!」

 

「それじゃ、神社に行こか」

 

「「はい」」

 

***

 

「そんなことがあったんや」

 

巫女服姿の希先輩がそう言う。

 

ここに来るまでに事の経緯は大体話した。

 

「はい、ビンタのおまけ付きでした」

 

「んんっ!」

 

海未が咳払いしてくる。多分話を戻すということだ。

 

「A-RISEのダンスや歌を見て、素人みたいだって言うのはいくらなんでも.....」

 

「えりちならそう言うやろね」

 

「え?」

 

「そう言えるだけのものがえりちにはある」

 

当然そのことが引っかかる。

 

「どういうことですか?」

 

「知りたい?」

 

俺と海未は無言で頷く。

 

「えりちはな-」

 

希先輩は過去の綾瀬会長のことを語り始めた。

 

***

 

俺は家についてからも考え続けた。

 

綾瀬会長のこと。幼少期ロシアでバレエをしていて上位常連だったこと。実際の動画を見た。声が出なかった。俺たちのしてきたことが稚拙に見えるくらい、それは洗練されたものだった。

 

それでも......入賞出来なかったと希先輩は言っていた。

 

「はぁ......」

 

ため息が漏れる。

 

その時、ちょうど着信があった。海未からだ。

 

「もしもし?」

 

「あっ.....優」

 

海未も多分同じことを考えていたんだろう。

 

「俺、謝らないといけないよな」

 

「私も.....です」

 

「「はぁ.....」」

 

「このことは明日話そう、お互いにテスト勉強もあるし......」

 

「そう、ですね.....では、また明日」

 

通話が終わる。

 

「はぁ......勉強しよ」

 

俺はもやもやを抱えたまま机に向かってノートを開いた。

 

***

 

「昼休みは部室で勉強って言ったやん?」

 

俺と海未が屋上で会話していると、どうやら勉強をさぼろうとしたらしい3バカが希先輩に見つかっていた。

 

「わ、分かってます!」

 

「そ、その.....ちょっと体動かした方が頭にも入るかなぁ~って!」

 

「ゆ、優にそそのかされたのよ!」

 

ははっ、何言ってやがるのか.....さっぱり分かりませんなぁ!

 

「まあ、誰でもえぇやん?どうせみんな一緒におしおきやから!」

 

楽しそうだなぁ、希先輩.....

 

「おっ!穂乃果ちゃんは中々やね!」

 

穂乃果から胸を揉まれる。いつもは多分反応しているであろうこの展開、でもそんな余裕今は持っていなかった。

 

脳裏をよぎるのは綾瀬会長がバレエをしている時の映像、多分海未もそうなのだろう。お互いに黙ったまま、俯いている。

 

「なあ、部室戻らないか?」

 

俺は海未に話しかける。

 

「え、あぁ、はい.....そうですね」

 

どうすればいいのか......解決策は見つからないままだ。

 

***

 

「今日のノルマはこれね!」

 

ドンッと机に参考書の山が築かれる。

 

「「「鬼....」」」

 

当然3バカは反抗しようとする。

 

「あれ?まだワシワシが足りてない子がおる?」

 

「「「まっさか~!!」」」

 

「ことり、優.....穂乃果の勉強をお願いします」

 

海未は思い詰めた表情のまま部室を出ていく。

 

あとを追いたいところだけど......こいつらの勉強もあるし、持ち場を任されてしまった以上、俺には勉強を見ることしか出来ないだろう。

 

「海未先輩どうかしたの?」

 

「さぁ......」

 

まあここ最近の海未は明らかに様子がおかしいからな、理由を知ってる俺はともかく.....心配されるだろう。

 

「うちが行ってくる、優くんはどうする?」

 

希先輩が俺に聞いてくる。

 

「.....一緒に行きたいところですけど、きっと今はやらなきゃいけない順番ってものがあると思うんです」

 

「そか、優くんは分かっとるみたいやね」

 

希先輩は満足そうに頷いて、海未を追っていった。

 

「さあ、お前ら.....勉強するぞ?」

 

俺はものすごくいい笑顔を浮かべる。

 

「ゆう君?笑ってるのは表情だけだよ?」

 

「ゆーサン.....何で目が笑ってないの?」

 

「そ、そういうあんたは成績どうなのよ!?」

 

にこ先輩が何か言ってるが.....俺は黙って中間の結果を鞄から取り出す。

 

「これでいいか?」

 

3人に結果を見せる。

 

「そんな!?」

 

「ゆーサンは凛たちと同じだと思ってたのに!」

 

「ぐぬぬぬぬ!!」

 

そりゃ優等生の海未、ことり、真姫には敵わないかもしれないけど、俺だって一応理事長の息子だ。

 

「分かったら....早く勉強しろっ!」

 

俺の号令で3人の手が動き始める。

 

「へぇ、ユウって意外と勉強出来たのね」

 

「どれどれ?わぁ~本当だ!」

 

真姫とことりが俺の結果を見て、少し驚いている。

 

「意外は余計だ、俺の親の職業上、勉強しないと示しがつかないんだよ」

 

「ゆー君のお母さんって....確か中高一貫校の理事長先生だったよね?」

 

そう、俺の通ってた学校は中高一貫で俺の親はそこの理事長だ。

 

「遺伝子が違うよ.....」

 

「凛たちの頭はそんな風に出来てないよ.....」

 

「はいはい、手を動かせ」

 

とそこまで言ったところで扉が開く。

 

「穂乃果!」

 

海未が吹っ切れた顔をして戻ってきた。

 

「あー海未ちゃん.....」

 

「今日から穂乃果の家に泊まり込みます!」

 

ビシッと指を差し、そう宣言する。

 

「頑張れよ、穂乃果」

 

俺は穂乃果の肩に手を置いて同情する。

 

「何他人事みたいに言ってるんですか!優、あなたも穂乃果の家に泊まるんです!」

 

「Pardon?」(すまん、もう1回言ってくれ)

 

何か聞き逃したかもしれないし......

 

「ですから、優も穂乃果の家に泊まり込んで勉強するんです!」

 

「Oh....Really?」(え?まじで?)

 

そんなこと親が許すわけないだろ!?

 

「さすがに秋穂さんでもそんなこと許さないだろ?渚さんも、ひばりさんも.....」

 

「すでに穂乃果のお母様の許可は取ってあります!私のお母様も優なら問題ないと.....」

 

「何故だ!?」

 

「ゆー君、お母さんも大丈夫だって」

 

えぇ....どうなってんの?普通男女が同じ家に寝泊まりするの躊躇しない?

 

「というわけで!今から着替えを持って穂乃果の家に集合です!みっちりやりますよ!」

 

こうして.....何故か穂乃果の家に5日間泊まり込んで、勉強することになった。

 

-To be continued-

 




さて.....次回はお泊りイベントですね!

こうご期待!

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