ラブライブ!~未来へ響く多重奏~   作:朝灯

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缶詰にされている作家さんってこんな気分なんですかね?

よし、今回もどうぞ!


差し伸べる手は

「お願いします!俺たちにダンスを教えてください!」

 

朝から生徒会室の扉をノックし、不機嫌そうな顔をした綾瀬会長に俺たち2年組は頭を下げる。

 

「私にダンスを?」

 

「はい!私たち、上手くなりたいんです!」

 

綾瀬会長が一瞬海未と俺を見る。

 

「.....分かったわ」

 

「本当ですか!?」

 

これで第一関門クリアだ。

 

「あなたたちの活動は理解出来ないけど、人気があるのは間違いないようだし引き受けましょう」

 

再度、俺と海未を見る。

 

「でも!やるからには私が許せる水準頑張ってもらうわよ、いい?」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

あとは練習が厳しくなりすぎてμ’sメンバーが音を上げないかってことだけど.....これは全く心配していない。

 

「ふふっ、星が動き出したみたいや」

 

希先輩が何かを呟く。きっと俺たちには分からないことだろう。

 

「まずはあなたたちの基礎を見せてもらいます、屋上へ行きましょう」

 

と綾瀬会長の一言で屋上へ出て、昨日やったダンスの振り付けをやってみる。

 

「痛ぁ~い!」

 

が上手くいかずに凛が尻餅をついてしまう。

 

「全然ダメじゃない!よくそんなのでここまでこれたわね!」

 

「すいません.....」

 

「昨日はばっちりだったのに~!」

 

まあ、昨日は昨日だ。

 

「基礎が出来てないからムラが出るのよ、足開いて」

 

「こう?....うぎっ!?」

 

凛が足を開いた瞬間綾瀬会長が背中を押す。

 

凛身体硬いな......

 

「痛いにゃー!!!」

 

「これで?少なくとも足を開いた状態でお腹が床に着くようにならないと」

 

「えぇぇ!?」

 

それは結構大変だな。

 

「柔軟性を上げることは全てに繋がるわ、まずはこれを全員出来るようにして!このままだと本番は一か八かの勝負になるわよ!」

 

「それって俺もですか?」

 

「当然よ」

 

俺は実際に踊るわけじゃないんだけどなぁ....。

 

「ちなみにこの中でこれ出来るのは?」

 

「私出来るよ!」

 

ことりがその場で足を180度横に開いてそのままお腹を床にくっつける。

 

「おぉ!ことりちゃんすごぉ~い!」

 

確かに足が真横に開けてる時点でとんでもなく柔らかいだろう。

 

「ほっ!」

 

試しに俺もやってみる。

 

「ゆう君何で出来るの!?」

 

昔の恩恵だな。中学校の時は柔軟性を上げるためにストレッチをかかさなかったし....まだ出来たんだな。

 

「ほら!男の子にも出来るのよ!関心している場合じゃないわよ!みんな出来るの?ダンスで人を魅了したいんでしょ!このぐらい出来て当たり前!」

 

この人.....

 

俺はようやく本当の綾瀬会長が見られた気がする。

 

「次は片足立ち20分!」

 

シンプルに難しいのきたな.......

 

普段から鍛えてる海未は大丈夫そうだけど、それ以外は厳しいだろうな。

 

「それが終わったら筋力トレーニングももう一回筋力トレーニングもしっかりやり直した方がいいわ!」

 

「うぐぐっ.....」

 

苦しそうな声がみんなから聞こえてくる。

 

「ラストもう1セット!」

 

もう1度片足立ちをすると、ついに

 

「きゃぁ!?」

 

花陽が転んでしまう。

 

「かよちん!大丈夫!?」

 

「だ、大丈夫.....」

 

「もういいわ、今日はここまで」

 

綾瀬会長はそれを見て、冷たく振る舞う。

 

「ちょっと!そんな言い方ないんじゃない!?」

 

真姫が食ってかかる。

 

「私は冷静に判断しただけよ、自分たちの実力が少しは分かったでしょ?」

 

正論だ、正しすぎる。

 

「今度のオープンキャンパスには学校の存続がかかっているの、もし出来ないって言うなら早めに言って、時間がもったいないから」

 

「待ってください!」

 

穂乃果が去ろうとした綾瀬会長を呼び止める。誰も指示したわけじゃないのにみんなが横一列に並ぶ。

 

「ありがとうございました!明日もよろしくお願いします!」

 

「っ!」

 

「「「「「「「お願いします!」」」」」」」

 

綾瀬会長は信じられないという顔をする。

 

やっぱりμ’sに音を上げる人なんていないんだ。

 

***

 

「手伝い?」

 

「はい、希先輩にも頼まれてましたから!」

 

俺は練習が終わったあと、1人で生徒会の手伝いをすることにした。

 

教えてくれているんだし、言った通り頼まれているからな。

 

「....そう、ならついてきて」

 

綾瀬会長は俺をすぐ傍の部屋に俺を案内する。

 

「確かにすごいダンボールの山ですね.....」

 

部屋の中には山積みにされたダンボールがあった。

 

「これをどこに運べばいいんですか?」

 

「これを運んでくれる業者さん指定の場所よ」

 

そう言えば、そんなものがあった気がする。

 

「分かりました!よっと!」

 

「ちょっと....そんなに抱えて大丈夫なの?」

 

「平気ですって....前が見えないぐらいでっ!?」

 

やっぱり視界は大事だったようだ。俺は目の前にあった山にそのまま突っ込み、山に埋もれる。

 

「ぶはぁ!あーびっくりしたぁ.....」

 

「ふふっ、ふふふふふ!!」

 

笑い声が聞こえてきた。

 

「綾瀬会長.....笑えるじゃないですか」

 

綾瀬会長がお腹を押さえて、声を上げて笑っている。

 

「私だって人間なんだから笑うわよ!」

 

子供っぽい仕草で俺を怒る。

 

この人、本当はこういう人なのかも知れないな。

 

それが生徒会長としての責任とか義務感であんな固い感じになってるのかも....

 

俺はダンボールを運ぶために往復している間にふと改めてそんなことを思った。

 

***

 

「おはよー.....」

 

「おはようございます.....って優、どうしたんですか?顔が酷いですよ?」

 

「顔色が酷いって言えよ....ただちょっと筋肉痛なだけだ」

 

さすがにダンボールの束を運ぶために何往復もしたら人は筋肉痛になるらしい。勉強になった。

 

「だから手伝いしようかって言ったのに~」

 

ことりが苦笑しているが、さすがに男の俺でも結構疲れてるのに女子にそんなことをさせるわけにはいかない。

 

「にゃんにゃにゃんにゃにゃーん!」

 

凛が綾瀬会長を押しながら屋上へ来た。

 

「おはようございます!」

 

「まずは柔軟ですよね?」

 

そして昨日あれだけのことを言って誰もかけてない俺たちを見て

 

「辛くないの?」

 

と聞いてきた。

 

「「「「「「「「え?」」」」」」」」

 

俺たち8人の声が揃う。

 

「昨日あんなにやって今日また同じことをするのよ?第一、上手くなるかどうかも分からないのに」

 

何だ、そんなことか.......

 

「やりたいからです!確かに、練習はすごくきついです!体中痛いです!でも、廃校を何とかしたいって気持ちは生徒会長にも負けません!だから今日も.....よろしくお願いします!」

 

「「「「「「「お願いします!」」」」」」」

 

俺たちの言いたかったことは全部穂乃果が代弁してくれた。つまりはそういうことだ。

 

そして、穂乃果の強さを垣間見た綾瀬会長はそのまま屋上を去ってしまう。

 

きっと自己嫌悪だと思う。やりたいことも出来ずにいる自分とやりたいと素直に言える穂乃果、きっと自分と比べて受け止めきれなくなってしまったんだ.....

 

「俺、ちょっと行ってくる」

 

俺もすぐに屋上を飛び出す。

 

***

 

廊下を走ると希先輩の声が聞こえてくる。

 

「えりちは本当は何がしたいんやろうって」

 

俺はそこで立ち止まって会話に耳を澄ます。

 

「一緒にいると分かるんよ?えりちが頑張るのはいつも誰かのことばっかりで、だからいつも何かを我慢してるようで全然自分のことは考えてなくて!学校を存続させようって言うのも、生徒会長としての義務感やろ!?だから理事長はえりちのことを認めなかったんと違う!?」

 

俺も薄々気が付いていた。ひばりさんが綾瀬会長の行動を認めなかった理由。

 

まじめすぎて、生徒会長としての義務感で廃校を阻止しようとしていた綾瀬会長。そこには自分の意思があるように見えて、薄っぺらく透明なものなんだと思う。

 

「えりちの.....えりちの本当にやりたいことは!?」

 

希先輩の視線と言葉が綾瀬会長を射抜く。

 

「ほら、もう一回いくよ!」

 

開けっ放しの窓から穂乃果たちの声が飛び込んでくる。

 

「何よ......何とかしなくちゃいけないんだからしょうがないじゃないっ!!!!」

 

綾瀬会長の叫びが俺の鼓膜と希先輩を震わせる。

 

「私だって、好きなことだけやって何とかなるんだったらそうしたいわよっ!!!!」

 

俺はそっと覗きこむ。

 

―――会長が.....泣いてる。

 

更に綾瀬会長は叫び続ける。

 

「自分が不器用なのは分かってる!!!でも!!!今さらアイドルを始めようなんて.....私が言えると思う!?」

 

「あっ!」

 

足音と希先輩の声......綾瀬会長がどこかに走って行ってしまう。

 

「えりち.....」

 

俺は希先輩に近寄る。

 

「なぁ.....優くん」

 

「どうして俺だって分かるんですか?」

 

希先輩は困ったような顔をして振り返る。

 

「カマかけただけや.....それでも今分かった......」

 

「そうですか」

 

俺は静かに綾瀬会長が走っていった方向に足を向ける。

 

「なあ、優くん.....えりちを助けてあげてな?」

 

それが希先輩と絵里(・・)先輩の願いなら.......

 

「仰せのままに」

 

ちょっとかっこつけすぎたかも知れないけど、行くか。

 

俺は1つだけ扉の開いている教室を見つける。

 

中を見ると窓際の1番後ろの席に座っている絵里先輩を見つける。

 

「先輩.....」

 

俺は手を差し出す。

 

「何のつもり?」

 

絵里先輩は手を取ろうとはしない。

 

「特に深い意味は無いですよ?」

 

俺は手を差し出し続ける。

 

「私は.....こんな性格なのよ?」

 

「ならμ’sのメンバーを見てください、全員絵里先輩に負けないようなのばっかりですよ?」

 

俺はおどけてみせる。

 

おっと.....来たかな?

 

俺は足音を聞き、少し横にずれる。

 

「生徒会長......いや、絵里先輩、μ’sに入ってください!」

 

横から伸びてきたもう1つの手、穂乃果のものだ。

 

辺りを見るとμ’sのメンバーと希先輩がここにいた。

 

「一緒にμ’sとして歌ってほしいです.....スクールアイドルとして!」

 

「やってみればええんやない?」

 

希先輩が絵里先輩に呼びかける。

 

「やりたいからやってみる。本当にやりたいことなんて、そんな感じで始まるんやない?」

 

そして、その言葉に押されるように、ゆっくりと.....俺と穂乃果の手を、絵里先輩は掴んだ。

 

「これで俺を除けば.....8人か」

 

「いや、9人や、うちを入れて」

 

「占いで出てたんや、このグループは9人になった時輝けるって。だから付けたん.....9人の歌の女神、『μ’s』って」

 

「「「「「「「「「えぇ!?」」」」」」」」」

 

何か絵里先輩も一緒になって驚くって新鮮だな.....

 

「あの名前つけてくれたのって....希先輩だったんですか!?」

 

「希.....全く呆れるわ」

 

絵里先輩がどこかに行こうとする。

 

「さあ!練習よ!」

 

「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」

 

***

 

それから俺たちはどんどん絵里先輩の課題をクリアしていった。

 

1番体が硬かった凛もお腹がつくようになり、片足立ちも難なく出来るようになった。

 

.....そしてオープンキャンパス当日。

 

「みなさんこんにちは!私たちは音ノ木坂学院のスクールアイドル、μ’sです!私たちはこの音ノ木坂学院が大好きです!」

 

来ているお客さんの中には優莉、亜里沙ちゃん、雪穂ちゃんの姿も見える。

 

「この学校だから、このメンバーと出会い、この10人が揃ったんだと思います!これからやる曲は私たちが10人になって初めて出来た曲です!」

 

穂乃果が一歩前に出る。俺は横にずれる準備をする。

 

「私たちのスタートの曲です!」

 

「「「「「「「「「「聞いてください!」」」」」」」」」」

 

[僕らのLIVE君とのLIFE]

 

~♪

 

曲が終わると今度は拍手が始まる。

 

すぐに穂乃果たちのところに近づいて、みんなで笑いあう。

 

空のよく澄んだ、日曜日のことだった。

 

-To be continued-

 




やっとμ’sメンバー全員がそろいました!

ここまで駆け足だったので、随分とあっさりしてるかも知れませんw

次回は雑談コーナーもちゃんとやりたいと思います!

それでは!
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