ラブライブ!~未来へ響く多重奏~   作:朝灯

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夏休みももう終わりを迎えます。
....家でゴロゴロしてるか学校で面接練習してるかぐらいしか記憶がない.....だと?

就職の内定が決まるまでは投稿ペースは上がらないと思います。
それでも面白おかしい物語を書きたいと思っているので、これからも応援よろしくお願いします!


ミナリンスキーの正体

さて、メイド喫茶の前には来たものの.....ちょっと緊張するな。

 

店に入ると

 

『お帰りなさいませ、ご主人様!』

 

とか言われるわけだけど.....

 

「ちょっと、優?何ボーっとしてるのよ?」

 

俺が頭を抱えているとそれを不思議に思ったのか優莉が声をかけてきた。

 

.....今呼び捨てにされなかったか?

 

「いや、何でもないけど.....優莉?いつもと呼び方を変えるのはなんでだ?」

 

「カップル限定メニューを注文するんだからお兄ちゃんって呼んじゃダメでしょ?」

 

そこまで本格的にやるのか.....確かに俺たちが兄妹だってことは周りには分からない訳で、それこそ優莉が俺をお兄ちゃんと呼ぼうものなら良く言えば兄妹に見える。悪く言えば彼女にそう呼ばせてる痛いやつだ。

 

「わかった、よし入るか」

 

「うん!」

 

カランコロンといい音を立てて扉を開ける。その音に気が付いた1人のメイドさんが近づいてきた。

 

「お帰りなさいま....せ?」

 

「......ことり?何やってるんだ?」

 

そのメイドさんは俺のよく知ってる顔と声をしていた。俺たちはしばらく顔を見つめ合い、その場に立ち尽くす。

 

「優?早く席に移動してよ」

 

痺れを切らした優莉が俺の肩を揺する。

 

「あ、あぁ.....」

 

「それではこちらのお席にどうぞ!」

 

ことりもハッとしてすぐに席に案内してくれる。

 

「ご注文がお決まりになられましたらお呼び下さい!」

 

「あ!カップル限定メニューでお願いします!」

 

間髪入れずに優莉がお目当てのものを頼む。カップルという単語を聞いた瞬間ことりの頬と眉がピクリと動くのを俺は見逃さなかった。

 

「かしこまりました!」

 

ことりがオーダーを受けて店の裏の方に引っ込んでいく。

 

その間も俺は終始ことりの表情を見ていたけど、笑顔だった。目が笑ってないやつだった。

 

そして、携帯が震えてLINEの通知を知らせる。俺は恐る恐る画面に目を向けた。

 

<あとで、お話、しようね♪>

 

<お店、終わるまで、待っててね♪>

 

......やばい、まじ危険..........

 

「あれってμ’sの南ことりさんだよね?」

 

優莉が俺にしか聞こえない声で言ってくる。

 

「あぁ....ただのそっくりさんではないだろうな」

 

俺も小声で返す。

 

そしてことりが入って行った方を見ると......影からこちらを伺うことりがいた。

 

口をパクパクさせて、何かを言っているようだ。じっと見てみる。

 

『ことりのお・や・つ♪』

 

「ひぃっ!?」

 

不思議とそう言っている気がした。

 

「急に大声出してどうしたの?」

 

「ちょっと本物のメイドさんを見てテンション上がっちまってな.....」

 

適当に言い訳しておいて、再度ことりの方を見る。ちょうどこちらに頼んだものを運びに来ているところだった。

 

その目にはいつもの柔らかさは無く、完全に猛禽類のそれだった。獲物が俺なことには変わりないけどな......

 

「ごゆっくりどうぞ♪」

 

品物を置いて再び裏へと戻って行き、さっきと同じ物陰からこちらを見ている。

 

カップル限定メニューとは一つのパフェを2人で食べさせ合うという今の状況じゃどう考えても嬉しいとは思えないものだった。

 

「はい、あーん!」

 

優莉がスプーンを俺に差し出してくる。食えってか!?この状況で!?

 

「い、いや!俺はいいよ!」

 

「優.....私に食べさせてもらうの.....いや?」

 

さてはお前楽しんでるな!?いや、この状況は優莉には説明してない!こいつ素か!

 

「分かった、俺、食べる」

 

さすがに早く食べてやれよという周りの目線に耐え切れず、俺はスプーンに乗ったパフェを口に入れる。

 

「美味しい?」

 

「あぁ、うん、美味い」

 

本当は味なんて分からない、ことりから異様な視線とプレッシャーを向けられて、思わずカタコトになってしまっているのもそれが理由だ。

 

「優莉、これ食べ終わったら先に帰っててくれ」

 

「何か用事があるの?」

 

「ちょっと.....命に関わってくるものがな」

 

このままじゃ本当に俺の寿命も縮んでしまう。

 

「ふーん.....じゃあ先に帰ってるね?」

 

俺は無言で頷いて早くパフェを片づけるためにひたすら食べさせあいを続けた。

 

***

 

「で?どういうことなのかな?ゆー君」

 

ことりが制服に着替えてメイド喫茶から出てきた。

 

「あれは、妹だ。カップル限定メニューを食べたいって言うから.....俺に彼女なんて存在しない、それは都市伝説みたいなもんだ」

 

自らの身の潔白を証明するためとはいえ、自分で言ってて悲しくなってきた。

 

「.....よかった」

 

「何か言ったか?」

 

ことりがボソッと何かを言っていたけど聞こえなかった。

 

「何でもないよ////」

 

「さて、じゃあ俺からも聞かせてもらう、これはどういうことだ?」

 

最大の疑問、なぜことりがメイド喫茶で働いているのかということだ。

 

「それは.....」

 

ことりは俺に事の発端から話し始めた。

 

まず、アルバイトを始めたのが俺たちがμ’sを立ち上げて間もない頃。まだ4人だけだった時、街で声をかけられたらしい。最初は断ろうとしたけど、メイド服を着てみて気に入ってしまったみたいだ。

 

「そんなことがあったのか」

 

「うん....私、ゆー君や穂乃果ちゃん、海未ちゃんとは違って何もないから.....自分を変えたいなって思ってたの......」

 

ことりは悲しげに俯いている。

 

「何もない?」

 

「うん、私はゆー君みたいにみんなの中心にはなれないし、穂乃果ちゃんみたいにみんなを引っ張ることも出来ないし、海未ちゃんみたいにしっかりもしてないから.....」

 

「でも、俺も穂乃果も海未もことりの支えがあるから頑張れているんだ。それにことりはダンスも歌も誰にも負けてない」

 

俺はそう断言出来る。

 

「それに....衣装もことりが作ってくれていなかったら、きっと俺たちは集まる前に終わっていたと思う」

 

俺の言葉にことりは俯いたまま首を横に振る。

 

「私はいつも3人について行ってるだけだよ.....1人きりだったら廃校になることも仕方ないって諦めていたと思う......」

 

「それはっ!.....いや俺も多分そうだな」

 

穂乃果がいなかったら廃校をどうにかしようなんて思えなかったんだろうな.....

 

「まあ、ことり.....お前が思ってることは多分穂乃果が聞いても同じことを言うと思うし、そんな風に言わないでくれよ。みんなにとってことりが支えになっているってことも忘れないでくれ」

 

「.....うん」

 

「よし、じゃあ帰ろうぜ!」

 

俺は鞄を持ってゆっくりと歩きだす。

 

「あ!ゆー君!」

 

ことりが思い出したかのように俺を呼び止める。

 

「どうかした?」

 

「あの....私がここでアルバイトしてること、お母さんやみんなに言わないでねっ!」

 

「ひばりさんにも言ってなかったのか!?」

 

よくばれずにできるものだ。

 

みんなにも言わないでというのはことりの考えがあるんだろう。だから今まで練習を休む理由も言ってなかったわけだし。

 

「分かったよ、じゃあ代わりにミナリンスキーさんのサインもらえるか?妹にあげたら喜ぶと思うし」

 

「うん、じゃあちょっと待っててね!」

 

と言うとことりは鞄から1枚の色紙を取り出してペンで何かを書き始めた。

 

「ことり、何してる?」

 

「ふぅ、出来たっ!はいこれ!」

 

ことりはサインが書かれた色紙を俺に手渡す。

 

「これって.....ことりのサインじゃないか?」

 

「実は.....私がミナリンスキーなの......」

 

え?

 

「えぇぇぇぇぇぇ!?」

 

ことりの困ったような笑顔を見て俺は驚きのあまり叫ぶ。

 

「気づいてなかったの?店内にサインが書かれた写真が貼ってあったよ?」

 

まじでか.....というかアルバイトが伝説のメイドと呼ばれるような世界でいいのか!?どうやったら数ヶ月で伝説って呼ばれるの!?

 

神出鬼没って意味の伝説なのか!?それじゃポ○モンと対して変わらないだろ!?

 

動揺のあまり自分で自分にツッコミを入れてしまった。

 

もういいや....帰って整理しよ.....

 

俺はことりに絶対に口外しないことを約束して、一緒に自宅へと向かった。

 

***

 

次の日、ことりはまたすぐにバイトに行ってしまい、練習は9人で行われる。

 

「でも....20位かぁ、まだ遠いよね....」

 

休憩時間に入り、穂乃果が突然そんなことを言い出した。

 

「上にいけばいくほど、ファンがたくさんいるしね」

 

真姫が冷静に事を述べる。

 

そう。20位辺りまでくると既に固定のファンだけでもその順位に留まれるぐらいはいると思っていい。これから更に人気が出るとファンもどんどん増えて、下にいるグループは中々順位が伸びなくなってしまう。

 

「何とかしないといけないわね.....」

 

絵里先輩も深刻そうな顔をしている。

 

「それよりもやらないといけないことがあるでしょ?」

 

俺たちが頭を抱えていると、にこ先輩が呆れたように言う。

 

「それは何ですか?」

 

「みんな.....ついてきなさい!」

 

にこ先輩が意気揚々と屋上を出ていくのを見て、俺たちは全員で顔を見合わせ、仕方なくにこ先輩について行くことにした。

 

***

 

「あのぉ~.....すごく暑いんですが?」

 

俺たちは今秋葉原にいる。そこまではいい。まだ外ではセミが鳴いていて夏真っ盛りだというのに.....俺たちの格好はロングコートにマフラー、マスクにサングラスという格好だ。

 

「我慢しなさい!これがアイドルに生きるものの道よ!有名人なら有名人らしく、街で紛れる格好ってものがあるの!」

 

「でもこれは....」

 

絵里先輩の困惑。

 

「逆に目立っているような.....」

 

海未の正論。

 

「馬鹿馬鹿しい!」

 

真姫はマスクをむしり取る。

 

「あっついわ!」

 

俺はマフラー、マスク、サングラスをもぎ取り、全力で地面に叩きつける。

 

「すっごいにゃー!」

 

「うわぁー!!」

 

俺がロングコートも叩きつけてやろうか迷っていると凛と花陽の声が近くの店から聞こえてきた。

 

そこにはA-RISEを始めとするスクールアイドルのグッズがたくさん売ってあった。

 

「何ここ?」

 

「近くに住んでるのに知らないの?最近オープンしたスクールアイドルの専門ショップよ!」

 

穂乃果の疑問ににこ先輩が食ってかかるように説明する。

 

「こんなお店が......」

 

「ラブライブが開催されるくらいやしね~」

 

外にいる絵里先輩と希先輩の声が聞こえてきた。

 

「とはいえ、まだ秋葉に数軒あるくらいだけど.....」

 

「ねぇ!見て見て~!この缶バッジの子可愛いよ!まるでかよちん!そっくりだにゃー!」

 

凛が興奮した様子で見せてきたバッジには紛れもなく本物の花陽が写っていた。

 

「ていうか.....それ!?」

 

「花陽ちゃんだよ!?」

 

「えぇぇぇぇ!?」

 

凛が驚くけど、本気でそっくりさんだと思っていたのか?

 

視線を横に逸らすとそこにはμ’sグッズコーナーというものがあった。

 

「うううう、海未ちゃんこれ私たちだよ!?」

 

「おおおお、落ち着きなさい!」

 

「みみみみ、μ’sって書いてあるよ!?石鹸売ってるのかな!?」

 

「なななな、なんでアイドルショップでせせ、石鹸売らなきゃいけないんです!?」

 

「落ち着けよ!?」

 

かくゆう俺も大パニックだった。

 

「どきなさぁ~い!!」

 

後ろからにこ先輩がかき分けるように俺たちを押しのける。そして自分のグッズを探し始めた。

 

それを見た俺は少々頭が冷えて、視野が広くなり、ある物に目を止めた。

 

.....これは、ことりの.....ミナリンスキーのサイン入り写真!?

 

俺はその写真を手に取ってすぐにカウンターに向かい、写真を購入する形で回収する。

 

みんなに知られたらまずいし.....早めに見つけられて良かった!

 

「ゆう君、誰のグッズを買ったの!?」

 

「え?」

 

どうやらμ’sコーナーから何かを持って行ったのを見られていたらしく、穂乃果が慌ただしく問い詰めてくる。

 

「穂乃果?どうしたのですか?」

 

騒ぎを聞きつけたみんなが集まってきた。

 

「ゆう君がμ’sグッズを買ってたんだよ!」

 

「だ、誰のグッズを買ったんですか!?」

 

みんなが真剣な目をして詰め寄ってくる。いつもは冷静な真姫も絵里先輩もだ。

 

何だよこの状況!みんな暑さで頭やられたか!?

 

どう答えていいか迷っていると外から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「すみません!あの!ここに私の生写真があるって聞いて!あれはダメなんです!今すぐ無くしてください!」

 

「.....ことりちゃん?」

 

「ぴぃっ!?」

 

ことりが俺たちに背中を向けたまま硬直する。

 

「ことり.....何をしているんですか?」

 

海未の追撃でことりはすぐさましゃがんでガチャガチャのカプセルを目に当てて、振り向く。

 

「コトリ!?What!?ドナタデースカ!?」

 

それで騙されるやつがいると思ってるのか!?

 

「が、外国人!?」

 

いた!?凛、後ろの絵里先輩も呆れてるから!

 

「ことりちゃん......だよね?」

 

「チガイマース!ソレデハ!ゴキゲンヨー!ヨキニハカラエミナノシュー!.....さらばっ!」

 

「「あぁっ!?」」

 

ことりはメイド服姿のまま走り始めた。穂乃果と海未もすぐに追いかけ始める。

 

「ん~.....じゃあうちも行くわ~」

 

「希先輩?居場所が分かるんですか?」

 

「カードがうちに教えてくれるんや」

 

希先輩は穂乃果とは別の道へ行った。

 

みんなが唖然として見てる中、

 

「ねぇ、ユウ。何か知ってるんじゃないの?」

 

真姫が何かに勘付いたのか俺に聞いてくる。

 

「ナンノコトデースカ?」

 

しまったことりのあれがうつった!?

 

「だって.....こういう時は大体みんな驚くのにユウだけ落ち着いて見えたし、何よりも追おうともしないのが不自然だわ」

 

「いや、あまりのことに反応出来なかっただけで!?」

 

すると、携帯に連絡が入る。

 

『ゆー君、捕まっちゃいました.....』

 

『.....じゃあ、メイド喫茶に集合ってことで.....』

 

『......うん』

 

電話を切って、真姫を見る。

 

「話してくれるわよね?」

 

「......はい」

 

俺には頷くことしか出来なかった。

 

-To be continued-

 




作「雑談のコーナー!今回のゲストは頭脳明晰!容姿端麗!KKE(かしこい、かわいい、エリーチカ)こと綾瀬絵里ちゃんです!」

絵「みんなの言っていた通り、本当に急に始まるのね.....」

作「気にしたら負けですよ?」

絵「そうね.....優くんは結局誰のグッズを買ったのかしら.....」

作「気になりますか?」

絵「そ、そんなことないわよ?」

作「まあ、それは次回で分かることですし、読者のみなさんはもう分かっていますから」

絵「その次回はいつになるのかしらね.....」

作「なるべく早くになるように善処します.....それでは次回も!」

絵「見てくれたらハラショーよ!」
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