ラブライブ!~未来へ響く多重奏~   作:朝灯

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高校最後のテスト週間に入ります。
それに免許を取得するために勉強もしないといけないのでしばらく投稿が遅れるかもしれません。
あくまでもかも、ですが......


想いは花火のように

「ゆう君!夏祭り行こうよ!」

 

「夏祭り?」

 

「そう言えば今日でしたね」

 

 練習の休憩中に穂乃果が急にそんな提案をしてきた。

 しかも開催日は今日らしい。

 また突拍子もなく......

 

「花火も上がるんだよ?こうっドカーンと!!」

 

 穂乃果は手をいっぱいに広げ、場の雰囲気を再現する。

 

「子供かお前は」

 

「休憩中なのにそんなに体力使ってもいいのですか?」

 

 さっきからずっとそわそわぴょんぴょんとし続けていて非常に鬱陶しい。

 暑さが増すだろうが......

 あとさっきから跳ねる度に制汗剤の匂いが俺の鼻をくすぐり、こっちまで何か落ち着かない気分になってきたんだけど......

 

「今日は一応練習は午前で終わりだから......別にいいんだけどさ」

 

「ゆーサンたちもお祭り行くの?」

 

 騒ぎを聞きつけた凛が俺たちの所に走ってくる。

 

「あぁ。せっかくだからな」

 

「凛とかよちんも行くんだよ!あっ!真姫ちゃんも今年は一緒に行こうね!」

 

 落ち着きなく花陽たちがいる方へと振り向く。

 急に話を振られた2人はちょっと驚いているのが分かる。

 

「そうだね。真姫ちゃんも一緒に行こうね!」

 

 驚きながらも花陽はにこっと微笑み真姫を誘う。

 

 うわ、真姫がすごい嬉しそうだ。

 そっけなくしているものの頬が緩んで口角も少し上がっているのが分かった。

 

 そんな緩んだ空気の中で1人、浮かない顔をしているやつがいた。

 手を腰の辺りで組んで、ぼんやりと空を見ている。

 

「ことり?」

 

 聞こえるように呼びかけるとビクッと肩を跳ね上げる。

 

「えっ!?あっ......こ、ことり浴衣着ていくねっ!」

 

「何だと!?」

 

 ことりの様子が気になったが思わずそっちに反応してしまった。

 だって、ことりの浴衣姿だぞ!?

 もう水のヨーヨーとりんご飴か綿あめを片手ずつ持って頭にお面をつけている姿が俺の中でくっきりと見えたぜ!!

 

「大袈裟ですね、優は」

 

 そうは言うけどな海未。

 男にとっては可愛い女の子の浴衣姿というのはどう取ろうともご褒美なんだ。異論は認めない。

 既に暑さでやられかけていた頭が妄想でショートしそうになる。

 

「えぇ~ことりちゃんだけずる~い!穂乃果も浴衣着る!!」

 

「何?夏祭りの話?」

 

 そこに新たに希たち3年組が加わる。

 

「希たちも行くのか?」

 

「そうやね、面白そうやし!えりちとにこっちはどうするん?」

 

 この流れだとμ’s全員参加になりそうだな。

 会話を聞きながら俺はそう思う。

 

「そうね、行くわ。亜里沙も連れて行って大丈夫かしら?」

 

「んー、多分だけど亜里沙ちゃんは優莉と雪穂ちゃんと一緒に行くんじゃないか?だからどのみち会えると思うぞ」

 

 優莉は夏祭りの話を知ってるだろうしな。

 あいつならいつも仲良くしているその2人を誘うだろ。

 

「そう言えばそうね。一応声はかけてみるわ」

 

「せっかくだしみんな浴衣で行こうよ!!」

 

 何!?

 μ’s全員の浴衣だと!?

 

 それは男にとっては眼福以外の言葉は出てこない。

 ナイスだ!!穂乃果!!

 心の中でガッツポーズをしつつ、携帯の中の要らない写真を消しておこうと思った。

 それぐらいしないと容量が足りなくなるかも知れないしな!!

 

 この時の俺は暑さで本当にどうかしていたと思う。

 

「私まだ行くとは言ってないんだけど?」

 

「私も」

 

 真姫は指で髪をくるくるとしながら、にこは腕を組みながら言ってくる。

 こいつらは......ここまで来たらそういうのは無駄だってことは理解出来てるはずなのに結局言っちゃうんだよな。このツンデレコンビが。

 

「じゃあ行かないのか?」

 

 仕方ないから素直になりやすい空気を作ってやる。

 

「「べ、別に行かないなんて言ってないでしょ!?」」

 

 ふっ、ちょろい。

 さてこれで言質は取れたし......μ’s全員の浴衣姿、もとい桃源郷を見ることが出来そうだな。

 

「そう言えば、お前ら課題は終わってるのか?夏休みも今日を入れてあと2日しかないわけだけど」

 

「...」

 

「...」

 

「...」

 

 俺の一言に約数名の動きが止まり、場が凍り付く。

 こんなに暑い中でも決して溶けない氷のような冷たさが場を支配する。

 

「...お前ら、ちょっと来い」

 

 穂乃果、凛、にこの順に目の前に正座させる。

 

「さて、言い訳があるなら聞こうか?」

 

「ち、違うよ!!やる気はあったんだよ!?でも練習で疲れてて帰ったらすぐに眠くなっちゃって!!」

 

「そうにゃそうにゃ!!」

 

「そうよそうよ!!」

 

 なるほど。確かに疲れている時に勉強は厳しいよな。

 

「うるせえっ!!言い訳するな!!!」

 

「えぇ!?自分で聞くって言ったのに!?」

 

「横暴だにゃー!?」

 

「この鬼!!悪魔!!八坂優!!!」

 

 ということは何か?こいつらは課題も終わってないのに連休遊んだってことか?

 にこは俺が無理やり誘ったからちょっと罪悪感がある気がするが、どうせこの調子だと誘ってなくても手はつけなかっただろうから一瞬で帳消しだ!!

 あと俺の名前を悪口みたいに使うんじゃねえ!!!

 

「黙れ!!条件はみんな一緒だっただろうが!!」

 

 鋭く一喝する。

 それでもまだ喚き続けてくる。

 

「頭の出来っていう条件は一緒じゃないにゃ!!」

 

「そうだよっ!!だって穂乃果バカだもん!!!」

 

「そうよそうよ!!!!」

 

「こういう時だけバカっていうことを肯定するんじゃねえよ!?」

 

 叫びすぎて喉、あまりの体たらくに頭が痛くなってきた......

 一度深呼吸してわずかながら落ち着きを取り戻す。

 

「...それで?あとどれだけ残ってるんだ?」

 

「「「半分ぐらい......です......」」」

 

「やってられるかぁぁぁ!!!!!」

 

 こいつら合宿の時から手ぇつけてないな!?

 あまりの酷さにツッコミすらも放棄しかける。

 

「海未!絵里!ちょっとこのあと手伝ってくれ!こいつらには少々お灸を据えてやる必要がある!!」

 

「どうやらそのようですね......場所はどうしますか?」

 

 家に父さんがいなかったら俺の家でもいいけど......いたらあの人は絶対にちょっかいをかける。

 俺の直観がそう告げている。

 でも今は悩んでいる時間すら惜しい......この際仕方ないか。

 

「俺の家でいい」

 

「海未は分かるけどどうして私もなの?」

 

「俺が3年を教えられるわけないからな」

 

 1年の凛はまだ見てやれるとしても、穂乃果もいるしとてもじゃないがにこまで気は回せない。

 そのことから教える側はこの編成だ。

 

「ぷぷっ!人の事言っておいてあんな問題も解けないの?」

 

「お前まじでぶっ飛ばすぞ!?」

 

 普段なら絶対女の子に対してこんなことは言わないけど、今回に限ってはそんな余裕はない。

 今のにこの煽りを流せるほど、俺は冷静じゃなかった。

 

「さぁ!練習再開だ!!早く終わらせて課題に取りかかるぞ!!」

 

 練習終わるのがあと1時間だと仮定して、早朝から練習してるから終わるのが大体10時頃。そこから俺の家に集まって......ギリギリいけるか!?

 まず俺が凛を見て、海未が穂乃果、絵里がにこ......でも家に着替えに帰る時間も......いや、浴衣とか荷物は持ってこさせよう!

 こうして、俺たちの時間との戦いが幕を開けたのだった。

 

 この頃にはことりの様子がおかしかったことなどすっかり頭から抜け落ちてしまっていた。

 

***

 

「穂乃果!ここ間違っています!」

 

「えぇ!?嘘ぉ!?」

 

 海未鋭い指摘が飛び――

 

「にこ、この問題間違ってるわ」

 

「げっ!?」

 

 絵里の的確な指摘が飛び――

 

「凛!ここさっき教えただろうが!!」

 

「あいどんのーわっとゆーみーん!?」

 

「俺が言った余計なことまで覚えるなよ!?」

 

 俺の鬼気迫った指摘とツッコミが飛ぶ。

 ちなみに凛が今言ったのは『私にはあなたの言っている意味が分かりません』という意味だ。

 

 練習が終わったあと、俺は課題を終わらせるために速攻で招集をかけた。

 この3バカは今、俺の家のリビングで缶詰に等しい状態だと思ってくれていい。

 優莉の話だと父さんは幸いなことに出かけているらしく、ツッコミに割く時間を十分勉強方面に回すことが出来ていた。

 

「お兄ちゃんお昼ご飯出来たよー」

 

 そして優莉には昼食を作ってもらっている。

 凛にかかりきりで教えている俺にはそんな余裕はなかったからだ。

 

「悪い、あとでコンビニのデザート奢るから!」

 

 大皿に乗ったおにぎりを運びながら、今出来る最大限の感謝を表しておく。

 本当良く出来た妹だ。

 

「とりあえず昼休憩だ!腹が減ってたら戦は出来ないからな!」

 

 練習が終わって全員が家に揃ったのは11時、課題をやり始めてから既に1時間以上経っている。

 時刻は12時30分。

 ここまでノンストップで来ているが、練習後に何も食べていないこともあり、さすがに気力と集中力が切れかけてくる頃合いだ。

 休んでいる暇がもったいないが、ここに来て効率が落ちるのはまずい。

 

「30分間しっかり休んどけ」

 

 ここまでフルに酷使していた喉にお茶を流しこむ。

 冷え切った液体が俺の熱を冷ましてくれることに感謝だな。

 

「優莉、お前夏祭り行くのか?」

 

 休憩中だから遠慮なく雑談を挟める。

 

「うん、亜里沙と雪穂と一緒にね」

 

 予想通りだった。

 

「お兄ちゃんたちも行くんでしょ?」

 

「あぁ、このペースでいけば何とか間に合いそうだからな」

 

 とりあえず答えを写していないことだけは褒めてもいいだろう。

 ...ん?今玄関の方から物音がしたような気が......

 

「優、優莉ただいま!」

 

 リビングのドアが開き、父さんが顔を覗かせる。

 ...神は俺に休む暇すら与えてくれないわけですね?そうなんですね?

 

「お父さんお帰りー」

 

「帰れ。もしくはこの部屋から立ち去れ」

 

「今帰ってきたばかりなんだけど!?」

 

 優莉は普通にお帰りと言っているが、俺の仕事を増やすようなやつは例え父親だろうと容赦しない。

 

「こんにちは、お邪魔しております」

 

「おじさんこんにちは!お邪魔してます!」

 

 穂乃果と海未は俺の父さんのことを知っている。 

 昔何度か顔を合わせているからな。

 

「おぉ!?穂乃果ちゃんに海未ちゃんか!?随分可愛くなったな!」

 

「ナンパ発言やめろ。母さんに言いつけるぞ」

 

 全く。油断も隙も無い......

 

「えへへ~///」

 

「か、可愛いだなんてそんな///」

 

「あぁ、凛とにこと絵里にも紹介しておくよ。一応これが俺の父さん」

 

 もう放っておいても勝手に自己紹介するだろうけど、ポカンとしている3人に前振りだけはしておく。

 

「父親をこれ扱いってどうなんだ?......初めまして。八坂優也です」

 

「えぇっと......初めまして!星空凜です!ゆーサ......優先輩にはいつもお世話になっています!」

 

 八坂先輩じゃなくて優先輩とかすごい新鮮だな。

 悪くない。

 

「初めまして。綾瀬絵里と申します。いつも息子さんにはお世話になっています」

 

 生徒会長モードに入ったかな?

 きりっとした感じがするし。

 

 あとはにこだけだけど......

 絶対にっこにっこに~とか言うんじゃないぞ?

 

「初めまして、矢澤にこです。息子さんにはとても良くしてもらっています」

 

 良かった普通だな。

 父さんは1人1人の顔をジッと見て何か考えている。

 

「うん、覚えた。それにしてもみんな可愛らしい子ばっかりだな。優はどの子が好みなんだ?」

 

「頼むからまじで黙ってくれ」

 

 いきなりなんてこと聞いてくるんだよ......あんたにはデリカシーっていうものがないのか?

 どうして母さんはこの人を選んだんだろうか?

 ただ別に俺は父さんのことを嫌っているわけではなく、ツッコミに疲れるからめんどくさいという家族に抱くにしてはちょっと珍しい感情を持っているだけだ。

 

「そうだな......父さんが悪かった」

 

「珍しく素直だな?」

 

 黙れとは言ったものの、こうも素直だと薄気味悪くて仕方ない。

 父さんはうんうんと何度も頷いて、声を発した。

 

「父さんの息子なら聞くまでもなく......好みは巨乳の子だもんな!」

 

「あんたと一緒にするんじゃねえよ!!!!!!!」

 

 この人みんながいる前で何てこと言ってんの!?

 これじゃ俺の好みが本当に巨乳の人ということになってしまう!!

 

「優......あなたという人は......」

 

「違う!全部この人の妄言だ!!あ゛ーもう!!いいから父さんは自分の部屋に戻ってくれ!!」

 

 俺は父さんとリビングから押し出す形で廊下で2人きりになる。

 ...疲れる!もうすっげえ疲れる!

 

「優、お前は1つ勘違いしてるぞ?」

 

「...何がだよ?」

 

 父さんは自室のドアを開けながら、真剣な顔をする。

 

「俺の息子は確かに巨乳好きだが、お前は違うだろ?」

 

 そしてドアを閉め切る前にそんなことを言い放ってくる。

 疲労のおかげで頭が回らず、しばらくその言葉の意味を考え続けて意図に気づきハッとなる。

 

「あんた本当に最低だな!?」

 

 父さんが静寂が訪れた廊下に残していったものはただのド直球の下ネタだった。

 はぁ......課題しに戻るか。

 

 そしてとんでもない疲労感を残していった。

 あとで誤解を解くのにもまた別の労力を使ったが、乗り切ることが出来た。

 

***

 

「あー......疲れた」

 

 しかし、この疲労は無駄ではない。

 3バカはなんとか課題を全て片づけることに成功した。

 それぞれが浴衣を持ってきていたが、絵里は持っていないということで海未の家に余っていたものを借りたらしい。

 穂乃果はオレンジ色の浴衣、海未は青色、にこは桃色、絵里は空色、凛は黄色だ。

 これってそれぞれのイメージカラーだな。

 

 既に会場に到着しているが、人が多くてまだ全員で合流出来ていない。

 回りを見られるようにちょっとした広場に出る。

 

「どうどう?ゆう君!似合ってる?」

 

 すると穂乃果が袖を持ってクルクルと回る。

 

「こけるぞ?それにさっきも言っただろ?みんなよく似合ってるって」

 

「えへへ~!ありがと!」

 

 穂乃果を見ていると、何やら誰かの視線を感じる。

 

「何よ?巨乳好きが移るじゃない。こっち見ないでよ」

 

「おいこら、誰が巨乳好きだ?さっき誤解だって言っただろ」

 

 というか移るわけないだろ。

 いつまで引きずってるんだよ......にこめ。

 

「巨乳がどうかしたん?」

 

「うわぁ!?びっくりした!!」

 

 いつの間にかμ’s1の巨乳である希が俺の背後に立っていた。

 正確なサイズまでは分からないけどな。

 ちなみに希の浴衣は紫色だ。

 

「どうしたん?そんな驚いて......それと巨乳が何なん?」

 

「いや!何でもない!気にするな!」

 

 まじであのクソ親父は許さん。

 優莉と母さんを敵に回して泣き喚け。

 

「あっ!みんないたよ!真姫ちゃん!」

 

 ライトグリーンの浴衣を身に着けた花陽が赤色の浴衣を着た真姫を引っ張って走ってくる。

 

「引っ張らなくてもいいわよ!」

 

 これであとはことりだけか。

 

「あっ!みんな~!」

 

 噂をすれば、人混みをかき分けて頭にお面、片手にりんご飴を持ったことりが駆け寄ってくる。

 まじかよ想像通りじゃん......

 

 白い色の浴衣に身を包んだことりも合流することに成功。

 これで今日は全員揃った。

 俺は携帯で静かに写真を撮る。

 みんなの笑顔が切り取られ、俺の携帯に保存された。

 

「もうすぐ花火が上がるみたいだよっ!」

 

「それなら人が少ない所でゆっくり見たい」

 

 こんな所で立ち止まって落ち着いて見られる気がしないし。

 それにみんなが誰かに足を踏まれたりしたら大変だ。

 

「それならいい場所があるよ!」

 

 言うや否や穂乃果がすぐ俺の手を引く。

 そのままどんどん人混みから遠ざかり、辺りに静けさがやってくる。

 

「お前よくこういう穴場知ってるな......」

 

「昔は海未ちゃんとことりちゃんとよく探検してたからね!」

 

 なるほどな。

 見上げると星の海が俺たちを圧倒する。

 

「それと!さっき見たいにこっそりと写真撮らないで、みんなで一緒に映ろうよ!」

 

「...気づかれてたか」

 

「あんなに露骨に携帯を構えれば誰だって気づきますよ」

 

 もしかしてみんな気づいてるのか?

 まぁ写真を消せって言われても消さないけどな。

 

「あんた盗撮魔の癖もあるの?」」

 

「ねえよ!」

 

 あともってなんだ!俺が他に何かあるみたいじゃないか!失礼だぞ、にこ!

 

 俺はみんなと話しながら、今日1日のことを振り返る。

 朝は夏祭りの話から課題の話に移ってツッコミから始まり、午後もツッコミ、今は疲労か......

 ろくな1日じゃないじゃねえか......

 何だこれ?芸人のスケジュールか?

 よく喉がいかれないものだと我ながら感心してしまう。

 

 そんな疲労感溢れる1日を振り返り、更に疲労を溜めてしまうというバカなことをしていると、右袖がくいっと引かれる。

 

 見るとことりが俯き気味に俺の袖を引っ張っていた。

 その表情はよく見えないけど、少なくとも楽しんでいるような雰囲気は感じない。

 

「少し......お話があるの」

 

 ことりはみんなから離れた所に俺の袖を引っ張り誘導する。

 俺はその誘導に身を任せ、ことりのあとをついて行く。

 

「どうしたんだ?何か大事な話なのか?」

 

 静寂。

 ことりは俯いていた顔を上げて、寂しそうに笑って頷く。

 

 ――どうしてそんな寂しそうなんだ?

 まるで今からお別れを告げる、そんな表情じゃないか......

 

 言いようのない不安が胸を焦がす。

 そして今朝のぼうっとしたことりの姿が今のことりの姿と重なった。

 

「あのね......実はね?」

 

 この先を聞いてしまったらもう、元には戻れないような......そんな気がする。

 でも、俺は止めることが出来なかった。

 儚げで今すぐ消えてしまうんじゃないかと錯覚してしまう雰囲気。

 そして悲し気な表情。

 ことりは静かに口を開き、静寂に音を加える。

 

「私ね――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――留学しようと思ってるの」

 

「......え?」

 

 バーンと打ち上がる花火の音が遠くのもののように聞こえた。

 

―To be continued―

  




作「雑談のコーナー!今回は久しぶりに主人公の出番です!」

優「お前段々と紹介が雑になってないか?」

作「まぁ、そんなことはいいじゃないですか」

優「誤魔化しやがった......今回の話は終盤にシリアス展開を入れてきたんだな」

作「はい、前半部分はギャグ方面を強く意識して、後半で静かな感じを取り入れてみました。正直ギャグもシリアスもあまり得意じゃないのですが......」

優「じゃあ何も書けないじゃねえか」

作「ですから四苦八苦しているわけですよ。自分が書いたものを見直している最中にこのギャグ面白いのかな、と自分で思ってしまうこともありますから」

優「なるほどな」

作「というわけで次回も!」

優「よろしくお願いします!」
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