書いている最中常々思うのですが......優くん以外の口調の表現が難しい!
セリフならまだ大丈夫ですが、地の分がどうも難しかったです!
ことりが日本を発つ前日。
...穂乃果は、本当に練習に来なくなってしまった。
学校には来ているものの話しかけられるような空気ではない。
部室でのパーティと屋上での一件以来、穂乃果は心ここにあらずといった感じで俺やμ’sのみんなを避けている。
ことりは学校にも来なくなり、話したくても話すことが出来ない状況が続いている。
それでも話を聞こうとことりの家に行ったが、今は会いたくないとのことで顔を見せてくれなかった。
「海未、何か聞いてないか?」
「すみません......私もことりのお家には行ったのですが、準備が忙しいとのことで......」
今更ことりに会って俺はどうしたいんだ?
もし会えたとして、何て言うつもりだ?
行って欲しくないと言う?
――じゃあそれはどうしてだ?
μ’sがバラバラになるから?
ことりの夢はどうでもいいのか?
自分だっていなくなる身の癖していなくならないでなんて言う気か?
バカみたいじゃないか。
「...俺はまず、穂乃果のことを何とかしたいと思う」
「...そうですね」
俺はもうすぐいなくなるけど、それまでは俺はこの音ノ木坂の生徒だ。
友達が悩んでいるのに何もしないわけにはいかない。
「...今、私が穂乃果と話すのは難しいですから」
「...あぁ」
そういえば派手にケンカしたんだっけ......
お互いが頑固な性格だから、意地を張り合って絶対に自分から謝ろうとしないだろうしな。
そういう時はことりが仲介役になって上手く切り抜けてたんだけど......
でも今回のことは穂乃果を責めるに責められない状況だ。
誰だって自分の大切な友達がいなくなるって分かれば、大なり小なり荒れる。
海未が怒るのも良く分かるし、穂乃果が自暴自棄になるのも良く分かる。
この問題を解決するにはまず先に穂乃果をどうにかしないといけない。
それを解決すれば多分全部解決する気がするからな。
数ヶ月とはいえ、あれだけ情熱を注いだものを簡単に捨てることなんて出来やしない。
中には何年経っても割り切れずに引きずる人だってたくさんいる。
あれだけ毎朝寝坊するようなやつが、朝練だけには遅刻せずに来たんだぞ?
嫌だと思っていたら出来やしない。
最初は学校を救うため必至だったとはいえ、きっと今ではそれだけじゃないはずだ。
傍で見ていただけの俺がそうなんだ。
きっと、穂乃果は俺よりもμ’sの誰よりも......スクールアイドルでありたいと思っているはずだ。
その思いは生粋のアイドル好きであるにこや花陽と同等ぐらい、いや......もしかしたらそれ以上かもしれない。
「何か考えがあるのですか?」
「...無い!」
海未の期待を込めた眼差しを力強く一蹴する。
「...」
「やめろ、そんな目で見るな」
あぁ、そんなことだろうと思いましたよ。と言わんばかりの侮蔑を込めた眼差しを受けつつ、俺は思考を巡らせる。
「...とりあえず、出来ることをやる!」
「はい、頼みましたよ?」
...もう何するかばれてるっぽい?
俺ってそんなに分かりやすいのか?
「任せとけ」
そんなことより今は、やらなきゃいけないことがあるからな。
そして、チャイムが鳴った。
***
「穂乃果!」
放課後になった瞬間、逃げられないように俺は速攻で穂乃果の席に足を運ぶ。
「...何?」
顔をこっちには向けないものの、足を止めてくれたってことは一応話を聞いてくれるってことなんだろうな。
「今から時間あるか?」
「...練習には行かないよ?それに今からヒデコたちと約束があるから」
なるほどな。
それなら......
「おーい、ヒデコさんたち!今日ちょっと穂乃果を借りていってもいいか~?」
「えっ!?」
穂乃果の驚く声が聞こえるが、今はノータッチだ。
歩いてヒデコさんやミカさんやフミコさんの所に行くのは時間が惜しかったので大声で呼びかけることにした。
「え?う~ん......いいよ!」
「悪いな~。よし、穂乃果!......遊びに行こうぜ!」
いきなりのことに今度は声も出ないようだった。
しかし数瞬の後、穂乃果の回りの時間が動き出す。
「えっ......えぇぇぇぇ!?どういうこと!?」
「あー、うん。一度しか言わないぞ?......ちょっとデートしようぜ」
教室のど真ん中で何を恥ずかしいことを言ってるのかと思うだろうが、今は言葉を選んでいる時間はない。
「というわけで街へ繰り出すぞ!」
「ま、待ってよ!ゆう君!」
「時間が無いんだから話はあと!」
穂乃果の手を掴んで教室を飛び出す。
...明日クラスのみんなから何を言われるんだろうなぁ......そんなことを一瞬だけ思ったが、もうあまり気にしないことにした。
「どこか行きたい場所はあるか?」
「へ?あ、う~ん......じゃなくて!!本当にどういうこと!?」
「どういうことも何も......深い意味はないけど?」
まぁ、あれだ。
少しでも元気付けたいってとこだ。
ことりのこともあるけど......目の前にあることから1つ1つ片づけていこうと思っただけだ。
「練習はいいの!?ラブライブだってまだあるかも知れないのに!!」
「μ’sの活動はしばらく休止だ.......やっぱりμ’sのことが気になるのか?」
この質問は意地悪だな、と自分でも思う。
でも、俺が悪役に徹してでも穂乃果の本音を聞き出すつもりだ。
みんなの為なら、どんな汚名だって甘んじて頂戴しよう。
「...ことりちゃんがいなくなって、それで8人になったとして......そんなの、μ’sだなんて呼べないよ。だってμ’sは9人......海未ちゃんがいて、凛ちゃんがいて、花陽ちゃんがいて、真姫ちゃんがいて、絵里ちゃんがいて、にこちゃんがいて、希ちゃんがいて......ことりちゃんがいて、ゆう君も揃ってμ’sなんだから」
「それなら穂乃果が欠けてもμ’sじゃない」
9人の歌の女神、それがμ’sというグループ名の由来。
そこから俺を抜いたところで何の痛手にもならないはずだ。
俺はただ9人の女神に尽くすだけの従者の1人だからな。
「活動が休止になったのって私のせいだよね......ごめん」
「...今は遊ぼうぜ、これからはそういう暗い話題持ち込み禁止な!」
今はここまでにしておこう。
穂乃果の本音を少しだけ聞けたし。
あとは本人の口からはっきりと言わせないとな。
――アイドルが好きだって。
――μ’sでいたいって。
あと少し、もう少し、何か後押しが欲しい。
雑踏の中を歩きながら、俺は考えた。
***
「とりあえず、まずはこれだな」
まだ絵里と希がμ’sじゃなかった頃にリーダー決めで来たゲームセンター。
その中にある、以前使ったダンスゲームの筐体を前にして、俺は腕を捲る。
「...よーし穂乃果、勝負だ!俺に勝てたらクレープ奢ってやるよ!」
「えぇっ!?いいの!?」
「勝てたらな」
甘いもの、しかも自身の育った環境とは真逆に位置する洋風のスイーツに釣られた穂乃果は同様に腕を捲り、筐体に立つ。
コインを投入して曲を選ぶと、賑やかな音が聞こえ始める。
そしてリズムに合わせてステップを踏む。
...いつものダンスレッスンのおかげで優しく感じる。
タンタンタンっと床を踏み鳴らし、集中する。
そんな中、穂乃果はジッと立ち尽くしていた。
その目に何を映しているのか、何を考えているのか。
「...穂乃果?始まってるぞ?それともハンデのつもりか?」
画面に視線を戻しながら、俺は穂乃果に言う。
「...っ!!」
ぼうっとしていた穂乃果が軽やかにステップを踏み始める。
元々運動神経は良かった。
それに加えて日々のトレーニングの成果もあり、リズムをほとんど外さない。
サビに入る頃には開いていたスコアの差がほとんどなくなっていた。
「よしっ!勝ち!」
「あぁー!......悔しい!!」
それでもやはり最初のミスが勝敗を決し、結果は俺の勝ち。
隣でジタバタしている穂乃果を見て、勝ち誇る。
「クレープが......」
「さ、クレープ食いに行こうぜ」
筐体の前の荷物置き場に放り込んでいた鞄を掴み、穂乃果の肩を叩く。
「へ?」
「あれ?いらないのか?」
「...いるっ!」
パッと頬を綻ばせて、穂乃果は俺の隣に来る。
「でも穂乃果勝ってないよ?」
「まぁ......何だ......世の中には残念賞って言葉が存在していてだな?」
今回偶々その賞品がクレープだったってだけだ。
訂正、今回勝っても負けても奢るつもりでした。
「何それ~!変なの!」
「奢らないぞ?」
「ゆう君かっこいい!」
急に手の平返したな......まぁいい。
ちょっとは元気出たみたいだしな、やっぱり穂乃果はこうじゃないと。
***
「ちょっと神田明神に寄ってもいいか?」
「うん」
夕方になり、ゆう君と私は私たちにとって縁のある神田明神に行こうと言ってきた。
何の目的があるかは分からないけど、聞いても多分教えてくれないよね......
ゆう君はいつだってそう。肝心なことは大体はぐらかす。
「...穂乃果」
「...あ、何?」
ゆう君のことを考えてる時に名前を呼ばれたから、少し驚く。
呼ばれるだけで胸の辺りが心地の良い暖かさに包まれる。
...今この状況でこんなことを考えられるなんて、私はとんでもなく酷い人間だと思う。
「...お前が気にしてるのって、多分μ’sのこともそうだけど、主に海未のことだろ?」
「もしかして顔に出てた?」
という私の言葉にゆう君は肩を竦め、『顔には出てないけど、分からないわけないだろ?』と答えた。
本当にゆう君はエスパーなんじゃないかって思ってしまうことがある。
海未ちゃんには、本当に酷いことをしてしまったと思う。
自分から引っ張りまわしておいて、いざ自分が落ち込んだら何もかも投げ出してしまっていつも海未ちゃんには迷惑しかかけていない。
...そりゃ怒るよね......しかも今回は平手打ち付きだもん。
10数年付き合ってきて初めてだった。
海未ちゃんは怒っても決して手は出してこない。
...ゆう君は例外みたいだけど。
しかし、そんな例外を打ち破るようなことを私はやってしまった。
ことりちゃんが留学するって聞いて......ショックで頭の中が真っ白になって......私のせいでラブライブに出られなくなって......私が全部壊してしまった。
もう何の為に頑張ればいいのかが分からない。
「というか、穂乃果が悩んでいることが俺に分からないわけないだろ?」
「えっ!?」
こういう時なのに、その一言で顔が熱くなるのを感じる。
ゆう君はずるい、だからみんな少なからず彼に好意を持ってしまう。
「と言っても、ことりのことは見抜けなかったんだけど......」
そう言って、悔しそうに笑うゆう君の顔から目が離せなくなる。
多分、170cmぐらいの身長に少し長めの前髪、男の子なのに女の子っぽい顔つきをした男の子。
「おっ!着いたぞ」
いつも私たちが朝練をしていた場所。
今は夕日を受けて、少し眩しく見える。
「...花陽ちゃんだ」
「あっ、本当だ」
花陽ちゃんは練習着で階段を駆け上がっていた。
ゆう君が階段を上り始めたあとに着いて行く。
「何だ、凛もいたのか」
「ゆーサンと穂乃果ちゃん?」
花陽ちゃんと同じように練習着に身を包む凛ちゃんがいた。
ゆう君が声をかけると凛ちゃんはてててと駆け寄ってくる。
...今はμ’sは活動休止って言ってたし......自主練かな?
「2人ともどうしたんだ?」
「自主練に決まってるでしょ?アイドル続けるんだから」
ゆう君の質問に答えたのは私たちの背後から聞こえる声。
にこちゃんがいつの間にか後ろに立っていた。凛ちゃんたちと同じように練習着を着て、腕を組んで近づいてくる。
「...どうして?」
私の口からそんな言葉が零れ落ちる。
「...好きだからよ。みんなを笑顔に出来るアイドルが、途中で投げ出した穂乃果なんかと違って私は本当に大好きだから続けるの」
「そんなこと!!」
「そんなこと、何よ?投げ出したのは事実でしょ?」
にこちゃんの真剣な眼差しが私を射抜く。
...何も言い返せないや。
「...練習邪魔してごめんね」
私は......私だってスクールアイドルが......
言いたかった、その続きは今の私が口にしたところでどうしようもなく、嘘みたいな言葉に聞こえちゃうんだろうなぁ......
「ゆう君、また明日」
「あぁ、また明日」
私を家の前まで送り届けてくれたゆう君を見送って、私は家の中に入った。
***
「ってあれ?亜里沙ちゃんと絵里ちゃん?」
家に入ると、絵里ちゃんと亜里沙ちゃんが雪穂と話をしていた。
どうしたんだろう?
でも、絵里ちゃんにも迷惑かけちゃったから......ちゃんと謝らないと......
「お姉ちゃんお帰りー」
「お邪魔してます!」
「突然ごめんなさい」
とりあえず、絵里ちゃんを私の部屋に......
「絵里ちゃん、私の部屋で話さない?お茶も用意するよ」
「そうね、お言葉に甘えようかしら。亜里沙、雪穂ちゃんとお話でもして待っててくれる?」
「うん!」
絵里ちゃんには先に私の部屋に行ってもらうことにして、私はお茶とお菓子を用意して部屋に向かう。
部屋に入ると、絵里ちゃんが座布団に座って待っていた。
「...あの、絵里ちゃん......ごめんなさい!」
部屋の真ん中に置かれたテーブルにお茶とお菓子の乗ったトレイを置いて、私は頭を下げる。
「μ’sの活動を休止になるようなことをしちゃって......本当にごめんなさい!!謝って許されることじゃないと思うけど......ごめんなさい!!」
私は頭を下げたまま、何度も謝る。
元はと言えば私が突っ走り過ぎて......大切な友達のことも見えなくなって......ゆう君の言うことをちゃんと聞かなかったから......
「そのことなんだけどね......穂乃果の言ってることは正しいわよ。だから私がμ’sは休止にしようって提案したの」
「え?」
私の言ってること?
どのことだろう?
「希も言っていたわ。9人揃わないとμ’sじゃないって。みんな納得してくれたわ。......まぁ、にこは最後までいい反応はしなかったけど......」
「にこちゃん......」
そりゃそうだよね......にこちゃんは1度大きな挫折を経験しちゃってるんだから......
そんな夢も台無しにしちゃったんだよね......私が......
「...実はね、明日にこたちが講堂でライブをするらしいの」
「...それって凛ちゃんと花陽ちゃんも一緒に?」
「知ってたの?」
「さっき自主練してるところに会ったんだよ」
あれは明日のライブの為だったんだ......
「それなら話が早いわね、明日は見に行ってあげて。私たちも行く予定だから」
「...それって放課後?」
「ライブの準備を手伝うって言ったら、μ’sのメンバーは明日普通に授業を抜け出せるみたいよ?」
「でも私μ’sはもう......」
そこまで言いかけたところに絵里ちゃんが真っ直ぐに手を差し出してくる。
口を閉ざして、その手をジッと見つめる。
「...私はね、あなたと優くんが手を差し伸べてくれたからここにいるのよ?だったら今度は私に助けさせてくれないかしら」
「...」
何も言えずにただその手を見つめ続ける。
「それに、穂乃果がμ’sを辞めたってことなんて誰も気づいてないわよ、だから抜け出してもばれないと思う」
「...ぷっ!あはは!!絵里ちゃん変わったね!!」
以前は嘘を吐くことやサボるなんてことは絶対許してくれなかったのに。
「それもあなたと優くん、μ’sのおかげよ」
でも、私にはまだその手を握る資格がない。
それには失ったものが多すぎる。
「...絵里ちゃん、待っててね。今はまだその手を取ることは出来ないけど......ちゃんと自分のやりたいこと、見つかったから」
「...待ってるわ。それじゃあそろそろ帰るわね。お邪魔しました」
フッと不敵な笑みを浮かべる絵里ちゃんはどことなくゆう君の面影が重なって見える。
本当に影響受けちゃってるよ......
「うん、あっ!玄関まで送るよ!」
「ふふっ!ハラショー!」
絵里ちゃんと下で待っていた亜里沙ちゃんを見送って、私は自分の部屋に戻った。
そして、1週間も経っていないはずなのに懐かしく感じる練習着に身を包む。
...みんなを笑顔に出来る、スクールアイドル。
最初はただ、廃校を阻止したかっただけだったのに......μ’sとして活動してる内に、歌うことや踊ることの楽しさを知って......みんなが応援してくれることがとっても嬉しいって思うようになったんだよね。
そんな素敵なモノ。
――あぁ、そうだ。
私は......スクールアイドルが大好きなんだ。
する方も見ている人も笑顔になる、スクールアイドルが大好き。
――歌いたい!
――踊りたい!
――みんなと一緒に!
――μ’sの高坂穂乃果として!
何度でも、何度でも、何度でも!!
だから、迎えに行くよ!ことりちゃんのことを!
だって......私はまだことりちゃんと一緒にいたい!!
私はまだことりちゃんに自分の思いを伝えられてないもん!!
その前に海未ちゃんにちゃんと謝らないと!
ちょうどその時、携帯に海未ちゃんからのメッセージが届いた。
<明日、講堂でお話があります>
私もだよ、と返信して、私は頬をパンっと叩いた。
―To be continued―
作「雑談のコーナー!今回のゲストは高坂穂乃果ちゃんです!」
穂「こんにちはー!」
作「今回のサブタイトルは穂乃果ちゃんを太陽と見立てて付けたものなんですが......話の内容を考えるのが難しかったです」
穂「そうなんですか?」
作「裏話を言うと最初3000文字ぐらい書いていたのですが、内容に納得がいかなかったので全部消して最初から書き直す、なんてことをしたりしました」
穂「えぇっ!?」
作「物語のクライマックスでしかも個人回ですよ?どうやって手を抜けって言うんですか?」
穂「無駄に決め顔だ!!」
作「まあこの話自体は前の話を投稿した日には完成してたんですけどね」
穂「それならすぐに投稿すればよかったんじゃないですか?」
作「そうすると更新速度が落ちるんですよ......だから最近のスタイルとしては1週間ごとの定期更新にして1話投稿したその1週間の間に次の話を書き溜めるという感じですね」
穂「...それなら1話と言わずにガンガン書き溜めちゃえばいいんじゃないですか?」
作「...それが出来たら苦労しないんですよ......それでは次回も!」
穂「よろしくお願いします!」