ラブライブ!~未来へ響く多重奏~   作:朝灯

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創作意欲は戻ってきたものの、全然地の文が書けない......
元々あまり得意ではないのですが、仕事に忙殺されたせいもあり、書き方すら思い出せない!
投稿ペースはあまり戻らないかもしれませんが、コツコツ続けていこうとは思います。


晴れ間の下で

「やっと来たわね!優、穂乃果!」

 

 穂乃果との会話から一日後の放課後、電話で決闘?を宣言された俺たちはにこから指定を受けた場所である、神田明神へとすぐに向かった。

 正直めんどくさいし、恐らくにこが考えていることは......

 

「...どうせ穂乃果と勝負して勝ったらラブライブに出場させろ、とでも言うつもりなんだろ?」

 

「そうよ!話が分かってるならさっさと勝負しなさい!」

 

 .....やばいなぁ、どうしよう。もう既に解決済みでこの勝負には意味が無いってことを伝えたいんだけど......にこのやつが話を聞いてくれそうにない。

 

「なぁ、にこ「うるさいわね!あんたは勝負の審判でもしてなさいよ!」

 

 こうなるよなぁ......

 ちなみに、この神田明神に集まっているのは俺とにこと穂乃果の三人だけではなく、他のμ’sのメンバーも全員集まっている。

 

「穂乃果、別に受けなくてもいいんだぞ?この勝負に意味ないし」

 

 隣にいる穂乃果に小声で話しかける。

 

「まあ......私が招いたことだし、勝負が終わってから説明すればいいんじゃないかな?」

 

 苦笑しながら穂乃果は言う。

 やっぱり責任を感じているらしい。

 

「......そうだな」

 

「ねえ、今なんか間が大きくなかった?」

 

「いや、いつもそのぐらい冷静なら俺の負担も減るのにな......とか思ったりしてないから勝負に行ってこい」

 

 後ろから届く思ってるじゃん!という叫び声を無視して他のメンバーのところへと移動する。

 

「優くん、穂乃果は上手く説得出来たの?」

 

「あぁ、というか絵里にはバレてたんだな」

 

「えりちだけじゃなくてほぼ全員優くんがなんとかしてくれるって思ってたんよ?にこっちは気づかなかったみたいだけど」

 

 その信頼は嬉しいんだけどな......

 

「俺.....にこにはこの件は任せろって言ったんだけど......ゲーセンの音に掻き消されて聞こえなかったとか?」

 

「いえ、優がなんとかすると言っていたけど、やっぱり自分でも動くべきだとにこは言っていましたよ」

 

 にこのラブライブにかける想いを止めるのは無理だったみたいだ。あいつのアクセルが強すぎて俺というブレーキが貧弱すぎたらしい。

 あの小さい体のどこにそんな力があるのやら......

 

「......正直この勝負ってさあ、にこが勝ったらラブライブ出場、にこが負けてもラブライブ出場っていうとても不毛な勝負になるんだけど、誰かあの人説得して辞めさせられないのか?」

 

 屈伸したり、ストレッチしているにこを遠目に見ながらため息を吐く。

 

「にこちゃんは頑固だし、こうと決めたらてこでも動かないんだからもう諦めるしかないんじゃない?」

 

「......あいつ体重軽いだろうし、てこの勢いでそのまま飛んでいきそうではあるけどな」

 

『......ぷっ!』

 

 真姫のコメントにボケで返す。すると、みんなが肩を震わせて噴き出した。

 大方、てこで空に飛ばされるにこを想像したのだろう。

 

「でも本当に勝負するにしても早く始めないと雨が降りそうだよ......」

 

「かよちんの言う通りだよ、どうするの?ゆーサン」

 

 今日の天気は曇り。雨が降りそうな雲特有の厚さで青空は微塵も見えはしない。

 ......穂乃果も終わったあと説明すればいいって納得してるし、早いとこ始めてしまわないと本当に降り出してしまいそうだ。

 

「じゃあとっとと終わらせてくるか、この意味のない勝負」

 

「ゆー君、鞄預かっておくね?」

 

 肩から僅かな重みが消える。別に大して重くもなかったし、持ってもらわなくても大丈夫なんだけど、ことりがせっかく持ってくれるって言ってるんだしお言葉に甘えておくか。

 

「......というわけで、ラブライブ出場権を賭けて、穂乃果対にこの階段ダッシュレースを始めたいと思いまーす。ルールは簡単、先に一番上まで上りきった方が勝ちでーす」

 

「ちょっと!何でそんなに投げやりに言うのよ!!」

 

「お前は気にせずに走ってくれ、走り終った先に真実があるからさ」

 

 この勝負が終わったあとに残るのは疲労感だけだ。

 それを知ってる身としてはどうにもモチベーションが保てない。

 

「いいから位置に着け。早くしないと雨が降ってくるかもしれないしな」

 

「……そうね、穂乃果!手加減は無しよ!」

 

「うん!正々堂々勝負だよ!」

 

 お互いに短く言葉を交わし合うと、階段の前で地面に手と片膝を着けてクラウチングスタートの体制をとる穂乃果とにこ。

 その表情は真剣そのもので、俺も意味の無い勝負だということを忘れて、一瞬だけ真面目にやろうかななんて思ってしまったほどだ。......やっべ、欠伸出そうだ。

 

 冬に向かって近づいていく、そんな寒さを持った風の音だけが今、この静寂の中で響いている。

 俺は静かに片腕を上げて、口を開いた。

 

「位置に着いて......よ~い......ド「お先に!!」

 

 ......言い切る前ににこが駆け出しやがった。さすがパイセン、超汚い!!

 

「はい、決着!!勝負は穂乃果の勝ちだ」

 

「なぁんでよ!!」

 

 当たり前だろ、フライングは立派な反則だ。完全に故意でやりやがっただろ。

 

「おい!にこ、前見ろ!もしくは止まれ!!」

 

「嫌よ!私は絶対ラブライブに出るの!!優こそどうして穂乃果の味方をしてるのよ!?」

 

「いいから、階段上ってる時に振り向いてんじゃねえ!!転ぶぞ!」

 

 そう言った瞬間、にこの足が段差に引っかかり、全力で走っていた勢いが前方に残されたまま転ぶ。

 幸い、少し広くなっている途中の踊り場に体が投げ出されたため、階段で頭を打つという最悪の事態は免れた。

 

「にこちゃん!大丈夫!?」

 

 うつ伏せの体制で倒れたにこに穂乃果が近づく。

 フライングしてまでつけた差が、アドバンテージが0になった。

 

「出るのよ......絶対に、出たいのよ......ラブライブに!!憧れだった、何度も諦めかけた場所が......そこにあるのよ!!どうして簡単に諦めないといけないのよ!!!!!」

 

 歯を食いしばり、絞り出すように叫ぶ小さな先輩の姿を見て......俺と穂乃果の目が揺れ動く。

 

「......あと、もう少しなんだよね......私たちが一緒にいられるのは......絵里ちゃんも、希ちゃんも、にこちゃんも......3年生は卒業しちゃうんだよね......」

 

 このメンバーで、スクールアイドルをやれる時間はもう限られている。どれだけ祈ろうが願おうが、俺たちを視界の端に写すこともなく時間は流れていくのだろう。

 だから、足を止めて流れるままに......それは違う。限られているからこそ少しずつでも足を動かしていかないといけないんだ。

 

「......ごめん、にこちゃん。私ね、怖かったんだ......また足を引っ張って、またどうしようもないぐらい大きな罪悪感に囚われるんじゃないかって、そう思ってた」

 

 穂乃果は途中で区切り、にこに向かって手を差し出す。

 

「もう、逃げないよ。後悔を残したまま3年生が卒業しちゃうなんて嫌だから......出よう、ラブライブに!この9人と......ゆう君で!!」

 

「......次に投げ出したら本当に許さないからね」

 

 差し出された手をにこが掴み、立ち上がる。

 そして、ぽつり、ぽつりと雨粒が降ってき始めた。

 

***

 

「はぁ!?じゃあこの勝負って私が転んで怪我しかけただけで時間の無駄だったってこと!?」

 

「だから最初に言おうと思ったのにお前が審判やれとか言って遮ったんだろ?」

 

 本格的に降り始めた雨を凌ぐために、建物の軒下へと避難した俺たち10人。

 そこで既に穂乃果の説得を完了していたところに、にこの電話があり、今に至るという事を告げてやった。

 

 納得がいかないという様子で歯噛みをしながらこっちを睨んでくるにこにため息を吐いておき、俺はことりから鞄を受け取り、足元に置く。

 

「......これが最後のチャンス、か」

 

「......えぇ、私たち3年は来年には卒業。μ’sとしてラブライブに出場するには今しかない」

 

 しんみりとした空気が広がっていく、そのせいなのか雨音がやけに大きく聞こえる。

 

「ごめんね、私がうじうじ悩んで迷ってたせいで貴重な練習時間を減らしちゃって......」

 

「......全く、本当は出たくて仕方がない癖に変な気を遣うんじゃないわよ。正直隠しきれてなかったわよ?」

 

「えぇ、嘘!?そんなに顔に出てたの!?」

 

 みんなが無言で頷く。あれほど分かりやすく出たい!けど迷惑になるかもしれない!って表情に出るのは穂乃果ぐらいのものだと思う。

 

「あはは、そっか......最初からバレバレだったんだね!」

 

 一区切りしてから、穂乃果は自分の両の手をジッと見つめる。

 

「どうした?」

 

 そう聞くと、穂乃果は覚悟を決めたように目をギュッと瞑り、両手を勢いよく頬へと叩きつけた。

 俺達が驚愕に目を丸くしていると、両頬を真っ赤にした穂乃果が声を張り上げる。

 

「私は......このメンバーで挑める最後のチャンスを絶対に掴みたい!!頼りないリーダーだけど、私と一緒に走ってもらえますか!!」

 

『もちろん!!』

 

 一瞬だって空けもせずに、俺たちは即答する。

 きっと、これから先も途方に暮れて立ち止まることだってたくさんある。だけど、今までそうしてきたように支え、支えられ、お互いに寄り添いながら、道を切り開いていく。

 みんなと一緒ならどんな可能性だって掴めると信じているから。

 

「よぉ~し!!こうしちゃいられないよ!!!」

 

 居ても立っても居られない、今すぐ何かしたいという様子でその場で軽く足踏みをすると、穂乃果は大きくのけ反って息を吸う。

 

「雨......止めぇ!!!!!!」

 

 大きく吸った息は、大きな声となり吐き出され、未だに雨を降らす分厚い雲へと吸い込まれていく。

 

「いや、さすがにそれは無茶が......はぁ!?」

 

 苦笑しながら、穂乃果の声が飛んで行った先を目で追いかけると、分厚い雲がどんどん晴れていき、小雨になっていき、雲間から太陽の光が差し込み始める。

 

「......ははっ!!すげえ、快晴だ!!」

 

 水溜りがないと、雨が降っていたというのが信じられないくらいに晴れ渡った青空がそこにはあった。

 

「うん、やって出来ないことなんてないよ!!......だから!」

 

 穂乃果は境内へと駈け出していき、ちょうど真ん中辺りで立ち止まると、右手を大きき空へと掲げて指を1つ立てる。

 

「このメンバーで残せる最高の結果......優勝を目指そうよ!!!」

 

 太陽のようにニッと笑う彼女を見て、俺たちも釣られて笑顔になる。

 この日、μ’sはラブライブ優勝を目標として、新たに走り出したのだった。

 

***

 

「あれ?そう言えばさ、ゆう君」

 

 神田明神での一幕、その帰り道。

 さすがに時間も時間だから練習は明日からにしようということになり、今は10人で一緒に歩いている最中に、ふと何かを思い出したかのように、穂乃果が声をかけてくる。

 

「ん?なんだ?」

 

「ゆう君の部屋に行った時さ、何であんなにガランとしてたの?ダンボールも多かったし」

 

 あぁ、そう言えばみんなにはまだ言ってなかったっけ?

 

「俺引っ越すんだよ」

 

『えぇ!?』

 

 何気ない一言のつもりだったのに予想以上にみんなが食いついてきた。

 

「引っ越し!?ということは遠くに行っちゃうの!?」

 

 ことりが距離を詰めて、問い詰めてくる。

 ......あれ、みんな何か誤解してる気がする。

 

「転校してしまうのですか!?せっかく音ノ木坂の正式な生徒になったのに!?」

 

「どういうこと!?ゆう君!!」

 

 穂乃果がラブライブに出ないと言った時以上の大パニックが引き起こり始めた。

 説明しようにも口を開く前に矢継ぎ早に問い詰められてしまい、そんな隙が見当たらない。

 

「優さんがいなくなるなんて......私嫌だよ!!」

 

「考え直すにゃ!!今ならまだ間に合うよ、凛とかよちんからの一生のお願いにゃ!!!」

 

「いや、だから――」

 

「言い訳なんて聞きたくない!!」

 

 あーもう騒がしい!!!!

 

「落ち着けぇ!!!!!ただ1人暮らしするから荷物まとめてるだけだよ!!!転校なんてするわけないだろ!!!」

 

 大声を張り上げて事態を鎮圧する。

 

『1人暮らしぃ!?』

 

「なんなんだよ!!お前らテンションおかしくないか!?」

 

 完全に騒ぎが治まったのはそれから数分後、住むところやそうなった経緯を説明し終えたあとだった。

 謎の疲労感を残して、今日も日々は過ぎていく。

 

―To be continued―

 




次回に続きます。
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