ラブライブ!~未来へ響く多重奏~   作:朝灯

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今回はサブタイトル通り、A-RISE回です。
えーこの回には作者の妄想による多大なるキャラ崩壊が含まれております。

実際は絶対にこんなキャラじゃないと思うので、そういうのが嫌な方はブラウザバックを推奨致します。


・・・・・・まぁ、二次創作だし、多少はね? という方は先にお進みください。


A-RISE

 ・・・・・・どうしてこうなったんだっけ?

 

 ラブライブ予選の為に新曲と衣装を完成させて、合宿から戻って来た。

 で、俺はマンションの隣室の人に引っ越しの挨拶を済ませようとして、菓子折りを持って隣の部屋のインターフォンを鳴らした。

 そしたらトップスクールアイドルのセンターが出てきました。

 

 ・・・・・・うん、訳分からん!

 

「え、えっと・・・・・・本物で、いいんです・・・・・・よね?」

 

 あまりにも予想外の展開に真っ白になった頭を無理矢理働かせて、ようやく出てきたのはなんともアレな質問だった。

 

 そんな俺の様子に、ツバサさんはクスリと笑った。

 

「えぇ、こっちもビックリしちゃったわ。あのμ’sのマネージャーさんがまさか部屋を訪ねて来るなんてね」

 

「あ、えっと。俺、隣に引っ越してきたので挨拶をしようと思ったんですけど・・・・・・これ、つまらないものですが・・・・・・よかったらどうぞ」

 

 手に持っていたほむまんを差し出すと、ツバサさんはキラリと目を光らせてほむまんを受け取った。

 

「うわー! ありがとう! 私甘いもの大好きなの! 立ち話もなんだから、ほら上がって!」

 

「え!? いや、俺は・・・・・・」

 

「いいから、ほら!」

 

 返答を迷っている内に、ツバサさんは部屋の中に戻ってしまった。

 ・・・・・・まぁ、ここで帰るのはさすがに失礼だよなぁ・・・・・・。

 

 というか思ったより、子供っぽくて押しが強いタイプなんだな。

 ・・・・・・まるで誰かさんみたいだな。

 

 頭の中に浮かんできた、幼馴染を片隅の方に追いやり、ツバサさんのあとに続く。

 

 部屋の間取りは俺の部屋と同じで、1LDKと一人暮らしにしては広々としすぎた間取り。

 何よりもこのダイニングが広い。

 μ’sの9人と俺を合わせて10人入っても問題はないくらいには。

 

 でも、同じなのは間取りだけだった。

 

「・・・・・・んん?」

 

 眼前に飛び込んできた景色が信じられずに、2度、3度と目をこする。

 

「・・・・・・ツバサさん?」

 

「なにかしら? あ、適当なとこに座っていいわよ?」

 

 いや、俺が言いたいのはそういうことじゃない。

 なんていうか、大変言い辛いことだけど、この際ハッキリと聞いてしまおう。

 

「なんですか!? この部屋の散らかり具合は!?」

 

 そう、食べ物類は放置されていないものの、部屋には衣服類や何かの小物が大量に散らばっていたのだ。

 

「あぁ、それね。気にしないで? いつものことだから!」

 

「いやいや! 乙女にあるまじき散らかり具合でしょ!?」

 

 その癖、アイドルグッズの類は完璧に整理されていて、そこだけ切り取ってみればとても几帳面だ。

 あそこだけなんか逆に浮いて見えるんだけど!!

 

「そうかしら? 割と世の中の女性ってこういう感じだと思うけど」

 

「やめて!? 俺の中の女性像が壊れちゃいます!! ていうか自分を女性代表にしないでください!!」

 

「もう、八坂君って英玲奈みたいなこと言うのね?」

 

 そりゃ言うでしょ!! むしろ統堂さんが言ってるのに直さねえのかよ!!

 というかよく見たらツバサさんの服装もジャージだし!! 髪だって若干ぼさぼさじゃん!!

 

「わぁ! このお饅頭美味しいわね!! あ、飲み物は何がいい?」

 

 なんてマイペースな人なんだ!? 既にほむまん一つ食べてる上に口元に餡子付いてるし!!

 

「えっと、お構いなく・・・・・・」

 

 正直叫んだりもしてるし、喉は乾いているけど、今はこの状況を整理したい。

 

「そう? でもお客様にはちゃんとおもてなしをしないといけないし、お茶入れるわね」

 

 そう言うと。ツバサさんはグラスを用意して、麦茶のペットボトルを冷蔵庫から取り出した。

 礼儀が正しいのがもうなんとも言えない。

 

「はい、どうぞ。私はコーラコーラ♪」

 

「ありがとうございます・・・・・・」

 

 手から伝わってくるグラスのひんやり感が俺を慰めてくれているみたいだ・・・・・・。

 

 そんな俺の心労など、微塵も感じとっていないツバサさんは、冷蔵庫から1.5ℓのペットボトルを取り出して、あろうことかそのまま男らしくラッパ飲みし始めたけど。

 

「やっぱりコーラは美味しいわね♪」

 

「出来ることならトップスクールアイドルのセンターの人がコーラをラッパ飲みしてる場面なんて見たくなかったです・・・・・・」

 

 これが・・・・・・あの、ラブライブを制したA-RISEのリーダー・・・・・・。

 にこや花陽にはとても言えない。多分、いや、絶対知ったらショック死する。

 

 PVで見かける彼女は、クールに見えて大人っぽくて品格溢れるカリスマオーラを持っているわけで、目の前の人は全く真逆の人物像だ。

 ずぼらで子供っぽくマイペース。礼儀は正しいけど威厳なんて微塵も感じられない。

 

「・・・・・・はぁ」

 

「どうしたの? ため息なんて吐いて」

 

「いえ、知らない方がいいこともあるんだなって思って」

 

 これ以上のツッコミはきっと誰も得をしない。

 よし、考えるのをやめよう。

 

「あ、1つ質問いいですか?」

 

「むぐむぐ・・・・・・何?」

 

「どうして俺の名前とか知ってたんですか?」

 

 無邪気にほむまんを食べているツバサさんに引っかかっていたことを尋ねる。

 

 俺は基本的には表舞台には出ていない。たまにμ’sのブログに写真とかが載る程度だし、全く有名人じゃない。

 

 だからこそ、名前すら知っていたことに今更ながら驚いた。

 

「そんなの、私がμ’sの大ファンで、ブログも度々チェックしてるからに決まってるじゃない!」

 

「・・・・・・そうなんですか?」

 

 そういえばアイドルグッズだけはやたら綺麗に整列しているし、アイドル好きなんだろうなとは思った。

 

「えぇ! だから前回のラブライブを棄権したって聞いてショックだったわ! せっかく生でμ’sのライブが見られるって思ってたのに!!」

 

「いや、一応俺たちって優勝争いとか、勝ち上がることを目指して競い合う間柄じゃないですか」

 

「そんなこと関係ないわ! 私はスクールアイドルA-RISEである以前に、アイドルが好きな女子高生、綺羅ツバサでもあるんだから!!! 好きだから自分でもやってるし、好きだからファンになって応援もする!! そこに敵も味方関係ないでしょ?」

 

 ・・・・・・すっげえ、なんていうか、今・・・・・・ようやくこの人がトップである理由が分かった気がする。

 ツバサさんはただ、アイドルが大好きで、好きなことを好きなようにやり続けている。

 だから、この人は輝いて見えるんだ。PVの中のツバサさんは好きなことを思いっきりやっているから、常に全力だから、勝ち負け関係なく、自分が楽しめているか否かのスタンスを貫き通せるんだ。

 

 そのカリスマ性はまさにμ’sのリーダー穂乃果、アイドルに対しての情熱は花陽とにこクラス。いや、それ以上かもしれない。

 

 思考にふけっていると、どこからか軽快なリズムの着信音が響き始めた。

 ツバサさんの携帯だよな・・・・・・近くに埋もれてるのか?

 

「あ、私のスマホだ。多分その辺にあるはずだから、一緒に探してくれない?」

 

「はぁ、いいですけど。というかスマホ雑に扱いすぎじゃないですか?」

 

「いいのよ、部屋でのアイドルの情報収集は寝室にあるパソコンでやってるし、頻繁に連絡取ってくるのも英玲奈かあんじゅぐらいだから」

 

 この分だと寝室もとんでもないことになってそうだ・・・・・・。

 そもそもなんでスマホが服類の山に埋もれてるんだよ、常備してないのか? あ、今日日曜か。

 多分、たまたま練習が休みで、休日だったから余計に散らかってるんだ、そうに違いない。

 

「えっと、音からしてここ、かな? あ、あった。ありましたよ、ツバサさ・・・・・・っ!?」

 

「ありがとう! うわぁ、やっぱり英玲奈からだ・・・・・・」

 

「いや、ちょっ!? 手元見てください!!」

 

「何を言っているの・・・・・・あ」

 

 ツバサさんのスマホを掴んだ俺は思わず声が裏返ってしまった。

 なぜなら、スマホに付いているキーホルダーに引っかかって、ライトグリーンのパンツが釣れてしまっていたから。

 

 つまり、ツバサさんは今パンツをスマホからぶら下げて、電話に出ようとしていた。

 

「・・・・・・きゃあ!!」

 

 凄まじい勢いでスマホからパンツを分離させ、衣服の山の中に手を突っ込んで隠すツバサさん。

 

「ツバサ!? 近くまで来たから電話をかけてみたんだが、何だ今の悲鳴は!? 大丈夫か!?」

 

 そんな声と共に、一人の女性が部屋の中に駆け込んできた。

 切れ長の瞳と左目の下には泣きぼくろがあって、更には長身のスラリとした、かっこいい雰囲気の女性。

 

「統堂英玲奈さん!? ・・・・・・って、うぉ!?」

 

「貴様ァ!! ツバサの部屋でツバサに何をしているこの下種がァ!!!」

 

 物凄い勢いでこっちまで走ってきたかと思うと、真っすぐに顔に向かって右ストレートを放ってきた!?

 

「ちょっ!? 話を!! 聞いて!! 下さい!!」

 

 いや早い早い!! こんなパンチ喰らったら顔吹っ飛ぶって!? 

 捌いて、避けてを必死に繰り返す。

 

「うわぁ!! すごいわね!! 英玲奈のパンチをここまで躱すなんて!! まるでドラマみたい!!」

 

「いや!! そんなこと言ってないで、いい加減助けてもらってもいいですか!?」

 

 少し、目を離してから英玲奈さんの方に視線を戻すと、何故か英玲奈さんの背中が視界に飛び込んできた。

 

「はぁっ!!!!!」

 

 迫真の気合と共に長い足が喉元へと伸びて来る。

 

 回し蹴り!? 当たったら絶対死ぬ!!

 

「はいはい、英玲奈。スト~ップ」

 

 部屋の入り口から聞こえてきた声に、英玲奈さんの踵が喉元数cm手前でピタリと止まる。

 

 た、助かった・・・・・・。

 

「あ、ありがとうございます・・・・・・。命拾いしました」

 

「いえいえ~、ほら英玲奈、早とちりしすぎよ。よく彼の顔を見て?」

 

「・・・・・・君は、μ’sのマネージャーの・・・・・・」

 

 ゆるめのふわふわとした声に、英玲奈さんは目をパチパチと瞬かせ、キョトンとしている。

 

「えっと、本当・・・・・・助かりました、優木あんじゅさん」

 

 英玲奈さんを止めてくれたのは、A-RISEの3人目、優木あんじゅさんだった。

 身長はツバサさんより高く、英玲奈さんよりは低い。

 

 声と同じくふわふわとしたパーマがかかったセミロング、なんというか全体的に甘々な雰囲気を漂わせているお嬢様みたいな人だ。

 

「す、すまない・・・・・・悲鳴が聞こえてきたから、ツバサが襲われているとばかり・・・・・・」

 

「そもそも、どうしてツバサは悲鳴を上げていたの?」

 

『え、ええっと・・・・・・それはぁ・・・・・・』

 

 あんじゅさんの疑問に俺とツバサさんの声がシンクロして、その様子を見たあんじゅさんは笑みを深くしている。

 

「はは~ん、大体分かったかも。まず、英玲奈が電話をかけてきた時、ツバサの携帯はきっといつも通りこの部屋の衣類の下に埋もれていた、それで探すのを八坂君に手伝ってもらって・・・・・・スマホと一緒に何か悲鳴を上げるものを引っ張り上げてしまった、ここまでは合ってる?」

 

「すごいですね、完璧です」

 

 どんだけ洞察力と推理力を持ってるんだろうこの人。

 僅かな情報だけで、ここまで完璧に推理してみせる人なんて初めて見た。

 

「んー、多分だけど・・・・・・この部屋高い位置にあるし、部屋自体は虫とか湧く環境じゃないと思うから~、きっと下着類ね」

 

「正解よ、さすがあんじゅね!」

 

 ツバサさんの称賛に気をよくしたのか、あんじゅさんは衣類を軽く除けてから満足そうにソファに座った。

 

「相変わらず、あんじゅの推理力には感服する・・・・・・だが!!」

 

 英玲奈さんはツバサさんをギロリと睨みつけ、足音も重く、壁際まで部屋の主を追い詰める。

 

「あれほど・・・・・・部屋はちゃんと片付けろと言っているよな? なぁ、ツバサ?」

 

「え、ええっと・・・・・・顔が近いわ、英玲奈? あとあんまり怒りすぎると綺麗な顔にしわがついて取れなくなるわよ?」

 

 ツバサさんの一言に英玲奈さんの瞳が更に鋭くなる。

 

「誰のせいだ!! 誰の!! 大体ほんの三日前に来て部屋を掃除したばかりだろう!? どうしてまたここまで汚すことが出来るんだ!!」

 

「うーん・・・・・・才能」

 

「うるさい!!! 今日という今日は絶対に許さないからな!!!!」

 

 ポカンとする俺に、愉快そうに2人を眺めるあんじゅさん。

 これが全スクールアイドルの憧れのトップユニットの日常・・・・・・。

 

「あ、そういえば八坂君はどうしてツバサの部屋にいるの?」

 

「実は俺、この部屋の隣に引っ越してきまして・・・・・・挨拶をしに来たんですよ」

 

「へぇ~!! 偶然ね! ここはツバサのお爺様が管理しているマンションなの」

 

「・・・・・・ツバサさんってもしかして結構お嬢様なんですか?」

 

 つまり、父さんとツバサさんのお爺さんは知り合いだったということになる。世間は狭いね。

 

「ツバサも昔はこうじゃなかったんだけどね~。どこに出しても恥ずかしくない名家のお嬢様だったし、性格だって大人しいものだったわ」

 

「それがどうしてここまで自堕落に?」

 

「名家のお嬢様らしく、教育方針で色々と教え込まれていて、窮屈だったんでしょうね。一人暮らしになった途端にこうなったから・・・・・・反動じゃないかしら、外ではしっかり者らしく振舞うんだけど、部屋に帰ってくると気が緩んじゃうみたい」

 

「大変なんですね・・・・・・いや、部屋ぐらいはちゃんと片付けた方がいいとは思いますけど」

 

 それにしても、反動が大きすぎるよなぁ・・・・・・。

 

 ぎゃあぎゃあと言い合いを続けている2人をよそに、あんじゅさんとの会話を進めていく。

 

「3人は幼馴染なんですか?」

 

「えぇ、一応ツバサのお目付け役、ってことになってるわ」

 

 なんていうか、この3人の関係性が、穂乃果と海未、そしてことりたち3人のようなものだということが分かった。

 バランスのいい3人組だな。

 

「八坂君! 君からも何か言ってやってくれ! 男性からして部屋を片付けられない女性なんてありえないだろう?」

 

「八坂君、英玲奈に言ってあげて! 男性からして細かいこと気にしすぎる女性はありえないでしょ?」

 

「うーん、部屋ぐらいちゃんと片付けましょうよ」

 

「そんな!?」

 

「ほら見たことか!!」

 

 まあ、確かに細かいこと気にしすぎる神経質なタイプは苦手だけど・・・・・・これは全く細かくないと思う。

 というか勝ち誇ってる英玲奈さんに何か言うとボコられそうなので、何も言いたくないっす。

 

「そ、そういえば! μ’sはもうどこでライブするのかは決めたの!?」

 

 ツバサさんが必死に話題を逸らそうとして、俺に話題を放り投げてきた。横では英玲奈さんが話を逸らすなと叫んでいるけど、俺自身もその話題事態には興味があった為、スルーさせていただく。

 いや、決してさっきの回し蹴りにビビっているわけではない、うん。

 

「・・・・・・ライブの場所ですか、正直言ってどこでやるかとかはまだ考えてませんでしたね」

 

 今回のラブライブ予選では参加チームが多いから、運営が用意した会場以外でも歌うことが許されていて、もし自分たちで場所を決めた場合はネット配信でのライブの生中継を行い、そこから全国の人にライブを見てもらえるみたいだ。

 つまりはどこでライブを行うかも、投票数に絡んでくるということだ。インパクトが強ければ強いほど、印象に残りやすくなって票ももらいやすくなるかも知れない。

 まぁ、それでも結局はダンスの内容と歌が重要だとは思うけど、やれることはやっておくに越したことないよな。

 

「A-RISEはライブの場所は決まってるんですか?」

 

「私たちはUTX学院の屋上よ、どこでやろうとも私たちに出来る最高のライブをするだけだから」

 

「あんじゅの言う通りだ、どこでやろうとも私たちにかかれば最高のライブステージに変えて見せるさ」

 

「と、言うことよ」

 

 A-RISEの3人は一瞬の迷いもなく、そう言い切った。

 これが・・・・・・トップスクールアイドルか・・・・・・。

 

 そこには普段からの血の滲むような努力から来る絶対的な自信が見えて、さっきまでコント同然の空気だったはずなのに、一瞬でピリッとした空気に切り替わるのが肌で感じ取れる。

 それは実質、宣戦布告とも取れるような発言だった。どこでやろうとも最高のライブをしてみせるから、誰と競い合おうと絶対に負けないという強い意志。

 

 ツバサさんはさっき敵も味方も関係無いと言っていたけど、それも本心だろうけど・・・・・・この人、いや、この人たちは相当な負けず嫌いだ。

 負けて気分がいい人間なんていないだろうけどさ、それにしたって、この人たちのは隠し切れない獰猛な獣のような鋭さを思わせる。

 

 呆気に取られて、思わず口を閉ざしてしまう。何か言い返さないと、勝負が始まる前から気迫で押されてどうする! 

 

「俺た『ぐぅ~!』ちょっと、いいところでお腹鳴らさないでもらえます!? なんかこのあとどんなカッコいいこと言ったって絶対締まらないでしょこれ!! どうしてくれるんですか!?」

 

「ごめんね、そろそろ晩御飯の時間だから」

 

「さっきほむまん2つ食べてたでしょうが! どんだけ腹に獰猛な獣飼ってるんですか!!」

 

 どうやら隠し切れない獰猛な獣は食欲だったようだ、うるせえ、ちくしょうが。

 

「・・・・・・でも、もうこんな時間ですか。そろそろ俺も失礼しますね。このあとスーパーに行って今日の晩御飯の材料を買わないといけないので」

 

「・・・・・・君が作るのか?」

 

「料理出来る系男子って素敵ね、何を作るの?」

 

「今日は仕込む時間もないし、簡単に丼物・・・・・・親子丼とかにしようかと」

 

「・・・・・・親子丼」

 

 ツバサさんがジッと見つめてくる。・・・・・・一体どうしろと?

 

「じゃ、俺はこれで」

 

 部屋を出ようとすると肩をガッと掴まれた。

 

「・・・・・・食べたいんですか?」

 

 めっちゃ勢いよく首を縦に振り始めたんですが。さっきまでのシリアスはどこに?

 

「いいですけど、ツバサさんは自分で料理とかしないんですか?」

 

「出来るけどめんどくさい」

 

「ツバサはやらせれば大体何でも出来るぞ、めんどくさがりなだけで」

 

「テストも90以下は取ったことないわよね」

 

「超人かよ・・・・・・統堂さんと優木さんも食べますか?」

 

 何気なく聞いてみると、2人して思案するような顔になった。

 

「では、ご相伴に預かろう。あと私のことも英玲奈でいい、ツバサを名前で呼んでるんだ。気にすることはないだろ? 私は優君と呼ばせてもらおう」

 

「私もあんじゅでいいわよ。ゆうくん」

 

「私も優くんって呼ばせてもらうわね」

 

 コミュ力高すぎぃ・・・・・・そういえばツバサさんは最初から名前呼びだったな。特に気にも留めなかった。

 

「えと、じゃあ4人分材料買って来るんで、その間に部屋の片づけお願いします。さすがにこの環境でご飯は食べられないんで」

 

「え゛っ!?」

 

「そうだな、こんな環境じゃあ、なぁ?」

 

「そうね、こんな環境じゃあ、ねぇ?」

 

 顔を引き攣らせるツバサさんに悪い笑みを浮かべて詰め寄る英玲奈さんとあんじゅさん。まるで悪魔みたいだ。

 俺は巻き込まれない内に部屋を抜け出して、自分の部屋に財布を取りに行く。

 財布を取ってから、スマホを使って電話帳から相手を選択し、電話をかける。

 

『あ、もしもし? 花陽?』

 

『はい、もしもし? 優さん? どうかしたの?』

 

『ごめん、合宿終わって疲れてるだろうけど、明日のことについて話しておこうと思って』

 

『ううん、疲れてるのは優さんも一緒だから、気にしないで? それより話って?』

 

 今の一瞬のやり取りで俺の疲れはどこか彼方の方へぶっ飛んでいった。声だけで体力回復効果があるんですか?

 

『ライブ会場のことなんだけど、明日の内に決めてしまった方がよくないか?』

 

『えと、分かった。そのことについて明日みんなで話し合おうってことだよね?』

 

『あぁ、そういうことだ。じゃ、いきなり電話かけてごめんな? おやすみ』

 

『いえ! (電話をかけてもらえるのは嬉しいから)・・・・・・ってなんでもないです!! おやすみなさい!!』

 

 ブツリ、と物凄い勢いで電話が切られた。声が小さすぎて最後の方はなんて言ってるのか聞き取れなかったけど、まぁ、気にしないようにしよう。

 

 さ、晩飯の材料買いに行くか。でも、まさか引っ越した先の隣人があの綺羅ツバサさんだったなんてな、にことかに言ったらさぞ面白い反応をしてくれるだろうな。いや、信じてもらえないか。こんな作り話みたいなこと。

 

-To be continued-

 




如何でしたか?
A-RISEについては作中でほとんど語られていないので、どんなキャラにしようか想像するのは楽しかったです。

リハビリがてら、作品を書いていますので、苦労はしていますが、やっぱ書くの楽しいからやめられないんですよね。

では、次回に続きます。
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