今回は日常回です、アニメを見直していて、絵里が二週間練習出来たというセリフを言っていたので、あ、あのA-RISEとの会話のあとってそんな空いたのか。じゃあ、何か間を埋めるために話を作ろう。
で、出来たのが今回のお話です。
サクッと飛ばして予選大会のライブ! でもよかったのかもしれないですが。
それではどうぞ。
スクールアイドル、それは学生、高校生がアイドル活動を行うという人気急上昇中の活動のことだ。
その知名度は人気と共にどんどん上がり、今ではラブライブというスクールアイドルたちがトップを目指して競い合う大会まで開かれるようになった。
俺、八坂優が通う音ノ木坂学院にも、そのスクールアイドルが存在する。
9人のメンバーで構成されているμ’sというグループ、その実力は結成して半年足らずで第1回ラブライブに出場目前までいくほどだ。まぁ、色々とアクシデントか重なり、出場機会は逃してしまったけど。
そもそも、μ’sが結成された目的は音ノ木坂学院の廃校を阻止することであり、そっちの方は無事に解決することが出来た。
一見すると、嘘みたいな話だけど、それでも実際に起こったこと。ただの学生が起こしたには少々身に余る奇跡と言ってもいいだろう。
さて、廃校は阻止し、これからのことを考えないといけないという時に第2回ラブライブの開催が決まった。
紆余曲折あり、もう一度ラブライブ出場を目指し、優勝しようという大きな志を掲げ、彼女たちμ’sは1週間後に迫るラブライブ地区予選大会に向けて、猛練習に励んでいた。
――はずだったんけどなぁ・・・・・・なんだこれ? どうしてこうなった?
さて、ここで1つ忘れてはいけないことがある。
いくら廃校を阻止したという偉業を持ち、スクールアイドルの頂点を目指しているという他の人が聞けば十分に特別視されてもいいぐらいの彼女たちμ’sだけど、本来はどこにでもいる普通の学生だ。
それは本当、μ’sも全く例外ではない。
「だからわざとやったわけじゃないよ!! 真姫ちゃんちょっと大げさに怒りすぎ!!!!」
「なによ!! 凛が落ち着きがないからこういうことになってるんでしょ!? 意味わかんない!!!」
「だ、誰か助けてぇ~!!!!!!」
・・・・・・いや、本当。どうしてこうなった?
調理器具や、具材が散乱する自らの部屋を見て、俺は頭痛をこらえながら額に手を当てて空を仰ぐ。
事の発端は、ラブライブの予選の為のライブ会場がUTX高校の屋上に決まり、A-RISEと一緒の会場でライブをするというとんでも展開になった翌日。
――即ち、1週間前に遡る。
***
「うー! よく寝たぁ~!!」
「あはは、ぐっすりだったよね。凛ちゃん。私も眠くなっちゃったよ」
「凛は授業中寝ない方がいいんじゃない? テスト前に泣きついてきても助けないからね」
A-RISEからUTXの屋上でライブをしてみないかと誘われた、次の日のことです。私と凛ちゃんと真姫ちゃんはHRを終えて、今から部室に向かうところでした。
ライブの場所も決まったということもあり、私たちμ’sは朝練の時からより一層練習に熱が入っていました。もうすっかり秋が近い、空気が澄んで空も高いそんな日のこと。
「そう言えば、花陽。来週のことなんだけど・・・・・・」
「あ、楽しみだね! でも、ちゃんと出来るか不安だよ・・・・・・真姫ちゃんは大丈夫そう?」
「・・・・・・正直言って、あまり自信は無いわ。いつも作るのは私じゃないから」
「何々? 2人とも来週何かするの!? 凛も一緒にやりたい!!」
鞄を自分の机に取りに行っていた凛ちゃんが戻ってきて、私と真姫ちゃんに飛びつくように抱き着いてきます。
凛ちゃんは元気だなぁ、それも凛ちゃんの可愛らしさの秘訣なのかな? ってそうじゃなくて・・・・・・。
「一緒にやるも何も、凛も一緒にやるんでしょ? 来週の調理実習」
真姫ちゃんが調理実習のことを言うと、凛ちゃんは笑顔のまま、ピタリと動きを止めた。
「凛ちゃんグループ決めの時もぐっすり寝てて、私と真姫ちゃんで勝手にグループ決めちゃったんだけど、よかったよね?」
ピタリと動きを止めたままの凛ちゃんはダラダラと冷や汗を流し始めました。あれ? そう言えば凛ちゃんって確か・・・・・・。
「凛は料理とか出来るの? ・・・・・・無理そうね」
「カ、カップラーメンなら任せるにゃ・・・・・・」
「り、凛ちゃん・・・・・・調理実習でカップラーメンは、ちょっと無理があるんじゃないかな?」
凛ちゃんは得意料理がカップラーメンというぐらい、お料理が苦手なんです。なんでも、昔手料理を家族に振舞ったところ、全員がお腹を壊し、3日も休むことになったとか・・・・・・一体何をいれたんだろう?
「ま、まずいよ!! どうにかして練習しなきゃ!! かよちんはともかく、凛と真姫ちゃんじゃ確実にまずいことになるよ、料理も状況も!!!」
「ちょっと上手いこと言わないでよ。というか流石にそこまで慌てる必要はないんじゃない? ちゃんとレシピもあるんだから」
「わ、私もご飯を炊く以外のことはあまり自信無いし・・・・・・私も練習しておきたいなぁって・・・・・・真姫ちゃんは週末とか空いてるかな?」
ラブライブ予選大会に向けて練習中とはいえ、根の詰め過ぎはよくないので、週末の日曜日は練習もお休みになっています。そこなら、ちゃんと時間を取って練習出来ると思うけど・・・・・・どうだろう?
「空いてるけど・・・・・・練習って言ったって場所とかはどうするの? 3人だけだとあれだろうし、ちゃんと教えてくれる人が必要なんじゃない?」
「真姫ちゃんの家はダメなの?」
「多分だけど、設備的に練習にならないと思うわよ。うちは専属の料理人が料理を作ってるわけだし、キッチンはもちろんプロ仕様だから、学校の家庭科室とは設備が違い過ぎて対策にはならないだろうから」
プロ仕様のキッチン・・・・・・きっと炊飯器も高級モデルで土鍋なんかもあったりして・・・・・・美味しい白米が炊けることは間違い無しです!! 羨ましい・・・・・・この時期は新米の季節だし、美味しいご飯が出来ると思うとますます・・・・・・うぅ、なんかお腹が空いてきちゃいました・・・・・・。
「かよちんが白米のこと考え出しちゃったよ」
「え、えぇ!? どうして分かったのぉ!?」
「だって花陽、急にうっとりしてお腹を摩り出したんだから。誰だって分かるわよ」
は、恥ずかしい・・・・・・でも、白米の魅力には抗えないです。
「そ、それよりも・・・・・・誰に教えてもらうかを考えないと!」
「うーん、料理上手って言ったらにこちゃんとか?」
「・・・・・・なんとなく、にこちゃんに教えてもらうのは気が引けるというか、素直に教えてくれなさそう」
え、えぇ? そんなことないと思うけどなぁ・・・・・・にこちゃんとアイドルのお話してる時なんて目をキラキラさせてるし、多分私もだけど。
「真姫ちゃんと同じでにこちゃんは素直じゃないからね~」
「誰がにこちゃんと同じよっ!! あと私たち3人が家に行っても邪魔にならない広さが必要になるし、にこちゃんの家がどんな感じなのかも分からないし、あまり現実的じゃないわね」
そうだよね・・・・・・うーん、ある程度広さがある部屋で、お料理が上手な人かぁ・・・・・・。
『――あ』
3人同時に声が出て、顔を見合わせました。多分だけど、皆同じ人の顔が頭の中に浮かんでいるはずです。私たちよりも身長が10cmは高く、黒髪の中性的な少年、かっこいいというよりはどちらかと言えば可愛い顔立ちに寄った、それでも私にとってはとってもかっこい・・・・・・じゃなくて! 頼りになるマネージャーの姿が。
昨日、優さんの新しいお部屋について聞いたんだけど、μ’sの9人が入っても余裕がある広さなんだそうです。1LDKで、しかも特に使わない物置部屋があるとか・・・・・・私だったら広すぎて落ち着かないかな、なんて。
なんて、お話をしながら歩いていると、部室に着いてしまいました。うん、とりあえず無理にとは言わないけど、頼めるだけ頼んでみようかな?
「ゆーサ~ン!! 凛たちに料理を教えて欲しいにゃー!!」
部室の扉を開くなり、凛ちゃんが先に部室に来ていた優さんの所へと小走りで駆け寄っていきました。
「はぁ? どうしたんだよ、急に?」
「実は、来週に調理実習があって・・・・・・ちょっと自信無くて」
優さんはきょとんとした様子から、納得がいったように頷きました。
「あぁ、なるほど。でも調理実習ならレシピあるんだし、俺が教えることもないと思うぞ?」
「凛はそれでもちゃんと作れる自信が無いよぉ・・・・・・前にお母さんたちに料理を作ったらレシピがあっても皆お腹壊しちゃったし・・・・・・・もうあんなペロ行為はごめんだにゃ~・・・・・・」
「ペロ行為ってなんだよ・・・・・・舐めてんのかよ、いや舐めてるんだろうけど」
「正しくはテロ行為よ、凛。それで、週末ユウの家に行って3人で練習したくて、教えてもらえないかしら?」
「予定があるなら無理にとは言わないから・・・・・・」
優さんは何かを考え込む様子で、頭の後ろを右手でかき始めました。これは、優さんのなんだかんだ言いながらも引き受けてくれる時の癖みたいです。
・・・・・・本人は気が付いてないみたいだけど。
「まぁ予定も無いし、別にいいぞ。じゃあ、週末な。あとこの事は周りにはあまり言うなよ? 言ったらみんなしてうちに来そうだから。普段なら別にいいけど、今回は料理を教えながらだし、あまり他に時間を割いてる余裕もないだろうからな」
「分かった!!」
「分かったわ」
「分かりました」
三者三様に頷き、私たち3人は返事をしました。こうして、週末のお料理教室が開かれることになったのでした。
・・・・・・服、何を着ていこうかな。
***
「へぇ、中々いい部屋に住んでるのね」
「そりゃどうも、お嬢様。でも1人だとかなり持て余すんだよな」
「ひっろいにゃー! ねぇねぇ! ここでバク転とか出来そうだよ!」
「辞めなさい、確かにお前なら出来るだろうけど、ケガしたらどうすんだ」
「優さん、買ってきた物はここに置いておけばいいかな?」
約束した週末の日曜、俺の新しい部屋に花陽と真姫と凛がやってきた。まぁ、家の場所とか案内ついでに、スーパーで一緒に買い物してから来たから、やってきたと言えるかは微妙なんだけど。
「それで、何作るんだっけ?」
「かよちんがご飯炊く係とサラダ係で、真姫ちゃんがカレー係、凛がハンバーグ!!」
「いや、多いな。女子が食べる量じゃないだろそれ」
ていうか最近ハンバーグにやけに縁がある気がする。呪いか?
「えっと、食べられる量で作ることと、余りそうならタッパーに入れて持ち帰ってもいいって先生が言ってたよ」
「多分、余るだろうからそもそも持って帰って家族に振舞うことが前提と考えた方がよさそうね」
「そうだな。とりあえず、花陽は見なくても大丈夫そうだし、カレーは具材を切って鍋にぶち込んで煮るだけだから、凛の担当のハンバーグからやっていくか」
「・・・・・・わ、私も自信は無いからちゃんと教えて欲しいなって・・・・・・ほ、ほら! サラダの綺麗な盛り付け方とか!!」
「お、おう? 盛り付けなんか俺も適当だけど」
「それでも構いません!」
んー? まぁ、確かに盛り付け方によって美味そうかどうかって割と変わる気がするし、そこまで食に拘るなんて流石花陽だな! 俺も見習わないと!
「じゃ、凛。食材は失敗を見越して多めに買ってあるし、見ててやるからまずは1人で作ってみろ。ほら、レシピ」
「う、うん!」
袋の中から、必要な食材をレシピを確認しながら出していく凛。うん、まぁここまでは誰でも出来るよな・・・・・・って
「おい待て、そのクッキーをどうするつもりだ」
「え? 隠し味とあと歯ごたえが欲しくて」
「没収」
「あぁ!? どうして!?」
「どうしても何もあるか! お前ハンバーグにクッキー入ってて美味しそうに見えるか!?」
あぁ、こいつは所謂レシピ無視して自分なりにアレンジを加えたがる、メシマズの典型だ。そりゃ家族みんな腹も壊すわ。
「あのな、アレンジなんてもんは料理を長年やった人間だけが出来るもんなんだよ。料理をしたことないやつが下手にそんなことやってみろ、結婚相手がそんなことしようもんなら余裕で離婚案件だぞ」
「そんなに!? でも分かった! 凛も料理出来るようになりたいし、頑張る!」
花陽は苦笑し、真姫が呆れた目でこっちを見ているのを確認し、最初からドッと疲れが沸いた。これは想像していた2~3倍大変なことになりそうだ。
「えっと、まずは手を洗って、ひき肉をボウルに入れてぇ・・・・・・」
お、ちゃんと手を洗うのは何気に偉いな。当たり前のことだけど、面倒くさがってちゃんと洗わないやつもいるし。
手つきのたどたどしさが何とも言えない不安さがあるけど、まずは手際を見ないとアドバイスも何も言えないし、いやでもこれは・・・・・・見てる方がハラハラする!
「玉ねぎをみじん切り・・・・・・ど、どうすればいいのぉ・・・・・・か、皮を剥いて、玉ねぎを洗って・・・・・・えっと、確かこう・・・・・・」
多分何回か親の手伝いとかでやったことがあるのか。ゆっくりだが確実に玉ねぎが刻まれていく。
「う、うぅ、目が痛いぃ・・・・・・涙が止まらないよぉ・・・・・・」
これはもはやお約束だ。というか俺玉ねぎ切る時そんな風になったことないんだけど。この場合俺がおかしいの?
「これもボウルに入れて・・・・・・パン粉を入れて、あっ!? ・・・・・・つ、次は卵を・・・・・・わぁっ!?」
パン粉がどっさり入り、生卵は砕け散った。
「・・・・・・せめて、卵の殻は取り除け。手でも切ったら大変だからな」
「う、うん!」
これだけは言っても大丈夫だろ。ケガされるのは俺も嫌だし。
「えっと、塩コショウを一掴み・・・・・・っと」
「力士かお前は」
流石にこれはレフェリーストップだ。多分このあともコンロの火力を強で焼いて真っ黒にするんだろうし、ここならまだ取り返しがつくからな。
「まず、思ったよりは出来てる。要所要所で変なことしでかさなければ普通に及第点。手もちゃんと洗ってたし」
「ほ、本当!? やったぁ!!」
「ただ、包丁の使い方だったり、卵の割り方、あと最後の塩コショウは一掴みじゃなくて一つまみだ、そういう所を直していこう。次は俺が教えるから、一緒に作ろうぜ」
「うん! ありがとー!! ゆーサン!!!」
おぉ、すげえ屈託の無い笑顔・・・・・・なんていうか、凛は思ってもみないところでドキッとさせてくることがあるし、きっと共学だったら男子からモテるだろうな。
「せっかくだし、かよちんと真姫ちゃんも一緒に習おうよ! 料理のでぱーとりーは多い方がいいでしょ?」
「そうね、あとでぱーとりーじゃなくてレパートリーよ。花陽はどうするの?」
「う、うん。せっかくだから私も一緒にするよ。あとで真姫ちゃんのカレーも一緒に作ろうね!」
こうして見ると、随分と真姫は凛と花陽と仲良くなったように見える。常に口角が緩み、柔らかな雰囲気が出ているのは余程気を許してないと、そうはならないからな。
「とりあえず、最初からな。まずはひき肉を人数分ボウルの中に入れる」
流石にここでミスするようなら2度と食材に触らず料理なんてしない人生を歩んで欲しい。ボウルに3人分のひき肉が投入される。
俺の分はこの凛が前に作ったものをどうにかして調理することにしよう、幸い塩コショウとパン粉を取り除けばなんとかなりそうなレベルだし。
「レシピにある卵とパン粉って言うのはつなぎって言ってひき肉をこねる時、まとまりやすくなる。ついでにパン粉を入れるのは焼く時に外がカラッとなるから、みたいだな」
ま、俺このタイプ以外のハンバーグを作ったことないし、カラッとなってるのかどうかは判断しかねる。
「玉ねぎを入れるのは肉の臭みを消し、甘みを出させる為だ。実際にやってみると分かるけど、肉だけこねて焼くと固めのハンバーグが出来る。俺はこっちでも肉肉しい感じがあって好きだけどな」
「なるほど・・・・・・あ、玉ねぎを炒めてから冷ましてタネに入れる人もいるけど、あれはどうしてなの?」
花陽が玉ねぎをみじん切りにしながら尋ねてくる。
手つきを見れば分かるけど、花陽は家で結構手伝いとかもやるタイプなんだろうな。かなりスムーズに切り終ってるし。あと、ちょっと目が潤んでる可愛い。
「俺も詳しくは知らないけど、甘みを増す為だとか、あとは水分を飛ばして肉汁の多いハンバーグを作る為らしいぞ。と言っても、俺そもそもハンバーグに玉ねぎ入れずにひき肉だけで焼くことが多いから」
料理が出来ると言っても、全ての手順を毎回きっちりこなすの面倒くさいからな。省けるとこは省く。玉ねぎは入れないけど、隠し味にすりおろしたチューブのにんにくとか入れることはある。
「あと凛、さっき歯ごたえが欲しいって言っただろ? あれは玉ねぎのみじん切りを少し大きめに、粗目にするといいと思うぞ」
「粗目・・・・・・そもそもかよちんもゆーサンもなんでそんな簡単にみじん切り出来るの?」
「玉ねぎのみじん切りは他に比べれば簡単だぞ。まず、皮を剥いて洗った玉ねぎを半分に切って、先端の部分を切り落として、切った方の先端じゃない方から縦方向に切れ込みを・・・・・・あー、こういう風に入れていくだろ?」
「うん、こう・・・・・・かな?」
「そうそう。で、今度は縦に切れ込みを入れた方から切り落とした先端に横方向に切れ込みを入れていく。OK?」
「これでいいの?」
凛も真姫も丁寧に切れ込みを入れていき、縦と横に切れ込みが入り、切り落とした先端の方が辛うじて繋がっている状態になった。
「よし、あとはそっちの切れ込みを入れた側面からこうやって切っていくだけで完成」
「わっ!? 本当だぁ!! 凛でも綺麗に切れる!! すごいにゃー!!!」
「なるほど、確かにこうすれば早いわね」
凛と真姫と花陽が切った玉ねぎがボウルに入れられ・・・・・・やっぱ玉ねぎ多くなりすぎたな。ボウル分けるか。
大きいボウルから中ぐらいのボウルを2人分用意し、具材を分けていく。
「で、あとはパン粉と卵と塩コショウ加えてこねる、それで形作って焼く。それだけだ・・・・・・ん? 電話か?」
リビングに置いていた俺の携帯が着信音を鳴らす。手を洗って、画面を覗き見ると優莉からだった。
急に電話ってなんかあったのか?
『もしもし? どうした?』
『あ、お兄ちゃん。そっちにお醤油ってないかな? 今お昼ご飯作ってるんだけど、切らしてるの忘れてて』
『おー、あるぞ。今から持って行くな』
『ありがとー、お願いね』
電話を切り、花陽たちがいる方に向き直る。
「悪い、調理中の妹が醤油切らしてたらしいから今から持って行ってくる。花陽、あとは任せてもいいか? あまり目を離したくはないんだけど、カレーとかも作らないといけないし、時間が惜しいから」
「うん、大丈夫だよ。あとは包丁使うことも無いし、ちゃんと見ておくから」
「焼くまではいかなくていいから、形は作っておいてくれ。じゃ、行ってくる」
ついでにコンビニで替えの醤油買っていってやるか。醤油片手にコンビニ入るって完全に変人だけど。
袋に入れていけばそこまで変じゃないだろうし。
***
「ゆーサン行っちゃったけど、ここからはどうするの、かよちん?」
「とりあえずパン粉を入れたあと、卵を割って入れて、あとはお塩とコショウを適量入れて・・・・・・こんな感じかな?」
形作るところまではやっておいて欲しいって言ってたけど、上手く教えられるかな? でも、真姫ちゃんも凛ちゃんも慣れないながらにとっても丁寧にしてるし、私も頑張らないと!
「花陽、私は出来たわよ。凛の方を見てあげたら?」
「う、うん! えっとね、凛ちゃん。卵を割る時はそんなに力を入れなくていいんだよ。こう、軽くヒビを入れるようにコンコンっとぶつけるだけで割れるから、あとはヒビに爪をかけるようにして、開くだけだよ」
「あ、出来たよかよちん!!! これでゆーサンも褒めてくれるよね!?」
「卵割れたぐらいで褒めてくれるわけないでしょ?」
私だったら頭撫でちゃいそうな凛ちゃんの笑顔。・・・・・・別に優さんに頭撫でてもらう場面なんて想像してないですよ?
「ふふん、このまま卵割るの上手くなって、いつかは片手割りをますたーして卵割りますたーとしてゆーサンに認めてもらうにゃ!」
「いや、卵割りじゃなくて料理をマスターしなさいよ・・・・・・」
「えっと、じゃあお塩とコショウを入れてこねてから形を作っていこう?」
自分の分を完成させて、お手本を見せる。
このぐにゃりとした感触って普段お料理をしない人にとってはかなり変な感触なんだよね。私は少しだけ、苦手かもしれません。
「うわっ、変な感触ぅ~・・・・・・んしょ、んしょ。これでいいの?」
「手が生肉とか油とかでベタベタね・・・・・・手を洗うから、蛇口捻ってもらっていい?」
「でも、美味しそうな感じがするね!!」
「あ、舐めちゃだめだよ! 生肉なんだから!」
凛ちゃんがそれを実行する前に声をかけて止め、蛇口を捻ります。この油汚れって普通に手を洗うだけじゃ落ちなくて、手にぬるぬるした感触が残るんだけど、この後また形を作るのに触らないといけないし、ある程度落ちたらいいよね?
「こう、手に持って両手で軽くキャッチボールするようにするの。リズム良く、それである程度出来たらあとはこうやって真ん中を指で軽く押して窪みを作れば完成だよ」
優さんはここまでしておいてって言ってたし、何も問題無く済みそうでホッと一安心です・・・・・・あれ、こういうのってどこかで聞いたことがあるような気が・・・・・・確か優さんが、ふらぐだとかなんとか・・・・・・え?
「えいっ! えいっ! なんだか料理してるって感じで楽しいにゃあ! 真姫ちゃんほら見て見て!! 凛こんなに早く出来るよ!!」
「ちょっとやめなさいよ、失敗してもしらなぶぇっ!?」
『・・・・・・――あ』
凛ちゃんが両手でリズミカルに叩きつけていたハンバーグのタネが真姫ちゃんの顔に向かって飛んでいき、そのままべしゃりと音を立てて、真姫ちゃんの顔に・・・・・・そして、ビックリしてのけ反った真姫ちゃんの肘がボウルや調理器具に当たり、ガシャンっと大きな音を立ててフローリングに落ちてしまいました。
「ま、真姫ちゃん・・・・・・? だ、大丈夫・・・・・・ヒィッ!?」
怖いっ!!! 真姫ちゃんがとても口では言えない表情を!? これはまずいよ!! 一体どうすればいいのぉ!?
「凛っ!!!!!!!! 何するのよっ!!!!!!」
当然、真姫ちゃんはその表情通り、大噴火です。ど、どうしてこうなっちゃうのぉ!? 途中までいい感じにいってたのにぃ! と、とりあえずなんとかしてこの場を収めないとっ!!!
「ご、ごめん!! ついテンションが上がっちゃって!!」
「大体凛はいつもそそっかしいのよ!!! そのせいでいつもこっちに迷惑がかかってるって分かってるの!?」
「そんな言い方しなくてもいいじゃん!!! ちゃんと謝ったし、真姫ちゃんちょっと心が狭いんじゃないの!!!」
「ふ、2人とも! ケンカは――」
『
「は、はいっ!!!!」
む、無理です!! とてもじゃないけど花陽には荷が重すぎますっ!!!! エキサイトしていく2人をオロオロしながら見ることしか出来ませんっ!!!!
「だからわざとやったわけじゃないよ! 真姫ちゃんちょっと大げさに怒りすぎ!!!!」
「なによ!! 凛が落ち着きがないからこういうことになってるんでしょ!? 意味わかんない!!!」
「だ、誰か助けてぇ~!!!!!!」
その時、玄関からガチャリと音がして、ダッダッとフローリングを蹴る音が聞こえたと思ったらリビングの扉がバンっと大きな音を立てて優さんが入ってきました。
そして、とても小さな声でどうしてこうなった? と呟きながら手を額に当てて空を仰ぎ見始めました。
***
「――まったく、何事かと思ったわ」
部屋に入った瞬間、凛と真姫が大声で言い争っているのを聞いて、仲のいい2人がケンカとか何やったんだよって思ったけど、凛が調子に乗ってしまい、真姫の顔に飛来したハンバーグが直撃してしまったことがケンカの発端みたいだ。
ひとまず、真姫には顔を洗いに行ってもらい、その間に俺と花陽で後片付けをした。
「ご、ごめんなさい・・・・・・私がもっとちゃんとしてればよかったのに・・・・・・」
「花陽は悪くないだろ? そもそも、俺が怒ったのは床に落ちている調理器具でケガしてないか心配だっただけだし。ほら、2人とも、仲直りしないならこのハンバーグ俺と花陽で食べるからな」
落ちてしまったものは使えないけど、最初に凛が作った分と、花陽が作った分を細かく分けてミニハンバーグにして、もう皿に盛った状態で置いてある。
というか、もうカレーもサラダも出来た状態だ。ケンカして不貞腐れてるのか、俺に怒られて不貞腐れているのかは分からないけど、凛と真姫の空気は作り方を教えていた時からどことなくぎこちない。
――ま、大方謝りたいけど言い出し辛いってところだろうな。2人とも。
「ご、ごめん真姫ちゃん! 本当は凛が悪かったのに・・・・・・」
「わ、私も・・・・・・その、つい勢いでいつも迷惑かかってるなんて言っちゃったけど、迷惑だなんてお、思ってないから・・・・・・ごめん」
「ま、真姫ちゃぁぁぁぁん!!!!!」
「あ、ごめん。やっぱりほんのちょっとだけ思ってなくもないかも」
「にゃっ!?」
いくらステージであんなすごいパフォーマンスしてても、こいつらはまだ中学生から高校生になったばかりなんだし、いがみ合いぐらいたまにはするよな。
抱き着こうとする凛を片手で制止しながら、真姫はまんざらでもなさそうに口元に柔らかな笑みを浮かべ、俺にその様子を見られていたことに気づき、赤面したあと高速でそっぽを向いてしまった。
頬杖をついて、ケンカの終着点を見届けながら、俺は苦笑する。
「とりあえず食べようぜ。カレーはせっかくの真姫の手料理だし、冷めたらもったいないだろ。サラダにかけるドレッシングは何がいい?」
そう言うと、凛が何やらすり寄ってきて、ビシッとポーズを決めた。・・・・・・いや、全く意味が分からん。
「何だよ?」
「――風を、添えに来たにゃ」
聞いても分からん。風? ・・・・・・もしかして、こいつ。
「お前、とりあえず料理には~の風を添えて~とか付ければそれっぽく見えるとか思ってない?」
「うん! しべりあの風にゃ!」
「寒そうな上にハラショー姉さんが大喜びしそうだなおい。どうせテレビでシチリアの風って単語を聞いてうろ覚えでシベリアって言ったんだろ? それでよく実在する地名と間違えたもんだ」
頭の中に賢くて可愛いあの人が浮かんだけど、速攻でロシアに送り返し、呆れながらツッコミを入れる。
「はぅ~、白米が輝いてます・・・・・・」
「ほら、下らないことやってないで、花陽もこんな感じになっちゃったし、早く食べるわよ」
各々がいただきますと言い、作ったものを口に運ぶ。うん、普通に美味いな。
これなら調理実習でも何も問題なさそうだ。
まあ、トラブルはあったみたいだけど、たまにはこんな日も悪くはない。その後、調理実習は特に問題が起きたわけでもなく、3人仲良く料理が出来たと、花陽から聞いた。
さ、ラブライブ地区予選大会まで、あと少し、だな。
―To be continued―
骨抜き回のつもりだったのに1万字を超えてしまった。
以前とは書き方も大分変ってしまい、描写をなるべく書くようになりましたし、読者からすれば読み辛かったりしそうとか思ってます、はい。
もう少し簡潔に書く方法とか他の方の作品を読んで研究とかしてみようかなと、思ったりもしてますね。
次回ももう一話だけ日常の話を挟むかもしれません。
お楽しみに。